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キングバック   作者: 君子な在る虎
月下砂漠編 ~砂城の独裁王と月の迷走者~
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確かな愛

バルターと勝負を続ける岩谷とカレン、この勝負の行方は何処へ向かうのだろうか……

 キングバック19話「確かな愛」



 バルターのインフィニティムーンに苦戦を強いられ、フィッシュマンのラッシュ&チップスは左腕を破壊され、実質機能停止となった。


 バルターを倒すためにカレンのホワイトブレイドは文字通り大剣となった。

 子供騙しとバルターは嘲笑するが、その実力は如何に。


「治、私を上手く扱いなさいよ」

「ああ、行くぜ!」


 クリサリスストーンズはホワイトブレイドを構え、インフィニティムーンに突っ込んで行く。

 インフィニティムーンは両腕をダイヤモンドのように変化させ、受け止める。


 変形したホワイトブレイドを使った水平切りが衝突したとき、高音を出しながら、インフィニティムーンはその圧倒的パワーによって後ろのピラミットまで吹き飛ばされてしまう。


「く、このパワー、クリサリスストーンズだけの力ではないな、あの剣、パワーを加算しているのか?」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その頃、インフィニティムーンがピラミットに直撃したことで、ピラミット内にいたテューラーは驚いた。


「何だ? 今のは誰かがピラミットにぶつかりおった」

 テューラーは目をつぶって意識を外のコピー体に向けた。その時インフィニティムーンがピラミットまで吹き飛ばされて、そこから起き上がる瞬間だった。


「おお、バルターめ、なかなか手こずっておるようだな? いや、あちらも一人やられているな。まあ、奴なら何とかするだろう」

 テューラーはすぐに自分の作業に戻ろうとしたが、そこで異変に気付く。


「ん? 今スティーブの姿が見えなかったが、奴は今どこにいるんだ?」

 テューラーは再び外に意識を向ける。しかし、ピラミットの外にはもちろんスティーブはいない。


「……いない、外には奴の死体も生体もおらん。ま、まさか……」

 今度はピラミット内の様子を見てみると、ピラミット内をスティーブが走り抜けている姿を見た。


「いつの間に、スティーブがこんなところまで、クソっ、バルターは一体何をしている! まあいい、この城の中は俺の空間、貴様がここまで来ることはあり得ん」


 テューラーはピラミット内に、複数のトラップを新たに設置した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ピラミットまで吹き飛ばされたインフィニティムーンは起き上がると、ダイヤモンドの両腕にヒビが入っていた。


「……あれはもはや、鈍器だな。遠距離主体で戦うか」

 すると今度はインフィニティムーンの両腕が変形し、刃の付いた複数の触手に変化した。


「触手がなんだ、全部切り落としてやる!」


 インフィニティムーンは複数の触手でクリサリスストーンズを迎え撃つ、クリサリスストーンズは襲い来る触手を切断しながら、接近する。しかし、触手は切られた所からすぐに再生し、再び刃を向ける。


 襲い来る触手の攻撃を全て捌ききれないクリサリスストーンズは何度も攻撃をくらい、そしてひるんでしまう。


 その隙をバルターは待っており、触手の一斉攻撃がクリサリスストーンズを襲う。


「その剣、重すぎて扱いずらそうだな」

 バルターは小馬鹿にした様子だった。


「何を、くらえ!」

 しかし、クリサリスストーンズは持っていた大剣をインフィニティムーンへ投げつける。

 そしてすかさずインフィニティムーンの方向に走り出した。


 インフィニティムーンはこの投げられた大剣を軽く避けた。


「おい! 岩谷お前、結局その剣邪魔なんじゃねえか!」

 バルターは少しキレ気味に言う


「そ、そんなことはない。決して凄く重いとか、でかくて使いにくいとか断じて思っていない……よ」

 岩谷は目を逸らす。


「ちょっと私の剣が使えないっていうの? 治」

「……い、いえそんなことは」


「私の目を見て言いなさい」

 カレンは岩谷のほっぺをつねっている


「痛い、カレン痛い」



 そうこうしているうちにクリサリスストーンズは触手は振りほどきながらインフィニティムーンに近づき、殴り掛かる。しかし、インフィニティムーンはゴムのように弾む身体になり、パンチを跳ね返す。


「貴様一人、これでこと足りる」

「果たしてそうかな?」

 岩谷は悪い笑みを浮かべた。


 バルターはゾッとした瞬間、インフィニティムーンの背後から、変形を解除したホワイトブレイドが飛び掛かってきた。


 これをインフィニティムーンは咄嗟に身体を少し変形させ、躱す(かわす)


 ホワイトブレイドはそのままクリサリスストーンズの方まで飛んで行ってしまう。


 だが、ホワイトブレイドは空中で大剣の形態に変形し、クリサリスストーンズはこれを右手でキャッチした後、すぐに両手で持ち構える。


 ホワイトブレイドが飛んできた力を利用し、クリサリスストーンズはその場に踏ん張って時計回りに大剣をぶん回し、大きく回転斬りを行った。


「クソ、硬化が間に合わん!」

 バルターが焦った声を上げる。


 妨害しようと触手は襲い掛かるがこの触手たちはついでにこの回転斬りによってなぎ倒され、そしてついに、インフィニティムーンの首を刎ねた。


 クリサリスストーンズは回転斬りを終えた後、バランスを崩し、その場に派手にこけた。


「ふー重っ」

「誰が重いですって?」

 カレンが笑顔でこちらに迫ってくる。笑顔だが、少し怖い。


「い、いや冗談ですよお」

「まあ、いいわ。それよりやったわね」


「ああ、何とか倒せた」

「ええ、これでスティーブの元に急げるね」


 二人でバルターを倒し、安堵したそのとき、インフィニティムーンがピクリと動いた。

 そのことに唯一気が付いたカレンはホワイトブレイドは変形を解除させ、まだ起き上がっていない、クリサリスストーンズの前に出た。


「……危ない!」


 ホワイトブレイドがクリサリスストーンズの前に出た次の瞬間、太くて長い尻尾のような槍がホワイトブレイドの腹を貫いた。


 ホワイトブレイドはクリサリスストーンズへ槍が届かないように、腹を貫かれたまま両手で槍を握りしめた。


 そして、槍はクリサリスストーンズへ届くことがなく、止まる。


 クリサリスストーンズへの攻撃を諦め、槍をホワイトブレイドから引き抜こうとするが、それでもまだ掴んだままだったのか、その槍はホワイトブレイドの腹を貫いたまま、持ち上げ、振り払うように、ホワイトブレイドを地面へ叩きつけた。


 地面に残ったホワイトブレイドは力を無くして倒れており、それと同じようにカレンもおなかを抱えて倒れた。


「カレン! 大丈夫か!」

 岩谷は倒れたカレンの元に急いで駆け付ける。


「ええ、凄く痛いけど、死ぬわけじゃないわ、だから安心して」


 辛そうだが、それを感じさせないようにカレンは笑って見せる。こんな状況でも俺に気を使わせたことに自分自身に腹が立つ。


「なんで、俺を庇ったりしたんだ!」

「あなたが残ること、それが一番勝率が高いからよ」


「…………ほんとかよ」

 岩谷は少しムッとした表情でカレンを見つめる。


 するとカレンは少し、困った顔をした、後に諦めたのか、口を開く。


「……ごめんなさい、やっぱりさっきのは嘘。本当はそんな合理的なこと、思いつくような余裕なんてなかった。気付いたら動かしてた、咄嗟にあなたを守ろうって、思ったの」

 言い終わるとカレンはニコッと笑う。


「なんだよそれ、俺、あんたに会ってまだ少ししか経ってない。なのに、……なのに俺はあんたから貰ってばっかりだ。庇ってもらうようなこと、してない……」

 岩谷は悔しそうな顔して、カレンから顔を背けた。


 カレンはそんな岩谷の頬を右手で触れた。

 岩谷は少し、驚いてカレンを見る。


「もう、バカね、そんなの決まっているじゃない?」

「な、なんだよ?」


「分からないの? 自分の他人にも鈍感なんだから、さっきだって爆発から私のキングバックを庇ってくれたでしょ?」

「それは、クリサリスストーンズだったら耐えられると思ってだな……」


 岩谷は誤魔化すように言葉を濁す。しかし、そんな岩谷をカレンは見透かした様子で言葉をつづる。


「もう変な理屈を付けないで、そんなものよりも、あの時あなたを突き動かした物はなに?」

「そ、それは……」

 岩谷は少し顔を赤める。


「ふふ、私も同じ気持ちよ」

 そしてカレンは顔に触れた手を首の方に回し、自分の方に引き寄せる。


「カ、カレン⁉」

「私、あなたが勝つって信じてる。()()()()あなたに勝って欲しい。勝ってスティーブのこと助けに行ってあげて」

 そしてカレンは微笑み、岩谷の右頬に軽くキスをする。


 岩谷はカレンの右手を強く掴む。



「ああ、勝さ、約束する。()()()()カレンに約束する。勝って、スティーブも助けて、これ以上誰もこぼさない」


「ええ、あなたなら出来る。……さすがにそろそろ話すのも限界かな」

 カレンは優しく微笑んだ後、目をつむった。


「ああ、ゆっくり休んでくれ」


 カレンとの間に確かな絆を感じた。


 そのとき、俺の中で何かがはじけた感覚して、前にも聞いた声が脳内で聞こえる。



「岩谷治、貴様はカレンとの愛を今ここに確立した、これは貴様にとって紛れもない成長の証である。さすれば今の貴様の何が出来るか、自分の心の内に問うがいい」



 そう告げるとまた、声は聞こえなくなった。


「ああ、わかってるさ、だがまだ、するべきことがある」


 岩谷はカレンをお姫様抱っこすると、そのままフィッシュマンの所まで行き、優しく地面にカレンを置いた。


「フィー、カレンを頼む」

「ああ、勝てよ」

「当たり前だ、好きな女に約束したんだ。ここで約束を破ったら、俺じゃねえ」


 そして岩谷はバルターのいる方向に歩いて行く。


 さっきの槍や切られた触手は液体のとなり、インフィニティムーンに吸収され、再びキングバックの姿に戻る。



「よお、バルター、せっかくの感動シーン中に邪魔はしない。これくらいの空気は読めるみたいだな」


「最後だ。そのくらいかっこつけさてやるよ」

 バルターは起き上がって岩谷の方を向き、冷たい目で言った。


「ああ、お前の最後だ。恰好くらいつけなきゃ俺が映えないだろ」

 岩谷は少しドヤ顔で言う。


「全くその自信はどこから来るのやら」

 バルターは立ち上がり、呆れた顔とポーズをする。


「なあに、今、お前の能力の謎が解けたんだよ」

「……何?」


 岩谷は自信たっぷりでバルターを見る。


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございました。

今回は岩谷とカレンの中が進展した話でした、しかし、少し二人の関係の展開が速い気もいたします。なので、本日はカレンとの掘り下げをする間話も投稿するのでそちらも是非ともよろしくお願いいたします。

また、ブックマーク、評価、感想など良ければお願いいたします。

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