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キングバック   作者: 君子な在る虎
月下砂漠編 ~砂城の独裁王と月の迷走者~
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変形武器はロマン

バルターの変幻自在な能力に苦戦する岩谷たち、彼の能力には秘密がある、それを岩谷は見つけることが出来るのか?

 キングバック18話「変形武器はロマン」



 バルターと衝突した岩谷たちはバルターの使用する、キングバック、インフィニティムーンの変幻自在さに苦戦していた。


 一方大部隊の方はというと次々と押し寄せる砂の国の兵が使うキングバック勢に大苦戦していた。



「数が多すぎる! お前たち、深追いはするな! 撤退する敵はほっておけ、常に連携、陣を崩さないことを守れ! 到着が遅れている部隊が来るのを待て!」

 ドラゴンは自分のキングバックで敵のキングバックを倒しながら指揮をとっていた。


「ドラゴン殿」

 戦闘には一切参加していなかったルインが突然ドラゴンに話し掛けて来た。


「ん? ルインあなたか、こんな時にどうした?」


「別に用が出来た。ここを離れる」

「……どこに行くんだ?」


「これを指揮している奴に会いに行く」

「会ってどうするんだ?」


「この戦いを止めるように説得する」

「……なぜそこまで我々に加担する? 相手はあなたの仲間だろう?」

 ドラゴンはルインの行動に深い疑問を抱く。


「だからこそだ。こんな意味のない戦いにこれ以上の被害を出させるわけにはいかない」

「あなたは同僚のため、自らの王を見捨てるということか? いくらあんな王でも、お前の忠誠心はそんなものか?」

 ドラゴンはルインの行動に強い不信感を覚え、ルインを睨む。


「……違う。今スティーブはあの城の中にいる。許可されていないと城に入るのは仲間でも困難だ。故に放っておけば、リーダーのどちらかが倒れることで、この戦争は終わる」

「……」


「だが、一つ懸念点がある」

「何?」


「この戦い、スティーブはどちらにしても死ぬことだ」

「何が言いたい?」

 ドラゴンは眉間にしわをよせてルインを見る。


「スティーブがもし、我が王を倒すことが出来ても、スティーブは復讐者になる。おそらく、以前の彼には戻れまい、あいつはそういうタイプだ」


 ルインは何かを悟ったような表情をし、ドラゴンはこのルインの言葉の意味を完全理解したわけではないが、スティーブをこのままピラミット内に残していけないことは理解した。


「な、何だと! どうにかならないのか?」

「だから、俺が行く、俺がここの指揮官を説得か倒す」


「何故ここの指揮官を倒すことが、スティーブを救うことに繋がる?」


「今のスティーブを止められるのは岩谷だけだ。だが、現在この一帯には砂嵐が起きている。この状態では岩谷は絶対バルターには勝てない。だから、砂嵐の発生源たる、指揮官をどうにかする」


「なるほど、あなたが言っていることは分かった。だが、何故あなたがそこまでしてスティーブを助ける? もちろん仲間のためだけではないだろう?」

 ドラゴンは少し微笑みルインの心を見透かしたような表情でルインを見る。


 これに、ルインは少し、あわくった後に、俯き、そっぽを向く。


「……個人的にあの二人が好きだからかもしれない。だが、一番の理由はセイリスだ。彼の死のツケは我が王の代わりに俺が返さなくてはいけない」

「……本当に残念だよ、これほどの臣下がいて、テューラーがあれとは」


「……愚かな王ではあります。しかし、私の王は彼一人だ。出来れば生きていて欲しい」


 ドラゴンはルインの後ろからであったが、その声色から、深い悲しみを感じた。

 なぜ、そんな風にルインがなっているのかドラゴンには分からなかったが、並々ならぬ事情を感じ、それ以上追求することが出来なかった。


「……それはすまなかった。ならばなおのこと岩谷をスティーブの元まで送らなければな」

「はい、それでは俺は行きます」

「ああ……」

 ルインは素早くその場から離脱して行った。



 そして、ドラゴンは一気に気合を入れる。


「よし、お前ら、ルインが無事たどり着けるように俺たちが敵を引き付けるぞ!」

「おー」と鉄の国の兵たちは大きく声を上げた。


「ドラゴン! 僕を使って下さい!」

 アレンがドラゴンのところにやってきた。


「何! あれを使うのか?」

「はい!」


「しかし、あれはお前にかなりの負担が……」

 ドラゴンは心配した様子で、アレンを見る。


「お願いします! 僕も出来る精一杯のことをしたいんです!」

「ったく最近の若い連中ときたら、熱くなりおって、俺も熱くなっちゃうだろ」

 ドラゴンは嬉しそうにアレンを見る。


「ふふふ、子は親に似るものですよ」

 アレンも嬉しそうな表情でドラゴンを見つめ返す。


「よし! お前ら予定変更だ。こっちに戻れ、アレンを使う!」

 鉄の国の兵たちは戦場の中心に戻って来ており、そこで円陣を組んだ。そして鎧を着たドラゴンのキングバックは円陣の中心でアレンのキングバックの肩を掴んだ。


「じゃあ、やるかアレン」

「はい、それでは発動させます」



 アレンのキングバックは足を伸ばして広げて、両腕を前に突き出した。

 すると足先と踵から二本ずつ長い杭が射出され、砂漠の地面に深く突き刺さる。そして膝の裏の関節を隠すようにシャッターが降りた。


「アンカー地面に固定、脚部関節固定完了」


 次は前に出した両腕に付いている二枚重ねの大きい盾が変形を始めた。


 二枚のうち外側の盾は真ん中から真っ二つに開かれ、盾の面積は以前と比べ二倍になった。

 そして外側だった盾は内側の盾の端を基点に回転し、もう片方も回転している外側の端と合体した。


 こうして、前に突き出した両腕の周りに盾によって造られた六角形の筒が出来た。


「砲身形成完了」


 そしてアレンのキングバックの頭部は胴体の中に引っ込み、最後に胸部の装甲が外れて下に落ちる。するとあらわになった胸部には大きく丸い穴があり、そこから太い丸い砲身が伸び、盾の砲身と合体する。


「エネルギー発射口準備完了」


 胸の丸い砲身の奥には赤いマグマのようなエネルギーが見える。


「ドラゴン、準備出来ました。撃てます」


 アレンはドラゴンの方に覚悟を決めた表情で振り向く。


「ああ、分かった」


 ドラゴンキングバックはアレンのキングバックの背中に付いている取っ手を掴んだ。


「お前ら、スリーカウントで撃つ、0秒と同時に共にキングバックを引っ込めろ! いいな。狙いは……つけなくても当たるな。よし、3・2・1・0、発射ぁ!」

 鋼の国の兵たちはすぐにキングバックを引っ込めた。


「この身と共に焼き尽くせ、バスターアップ・アレンカノン」


 アレンの言葉によってアレンのキングバックの胸部からエネルギーが勢いよく、発射され、それは砲身を伝い、外へ吐き出され、砂の国のキングバックたちに直撃した。


「まだまだ、行くぞ!」

「はい、まだまだ行けます」


 アレンのキングバックはまだエネルギーを放ち続け、ドラゴンは取っ手を掴んだまま、発射の向きを変えようとした、それに合わせ、アレンのキングバックの腰が360度回転し、これによって全方位への攻撃を可能にした。


 アレン砲の攻撃を受けた砂の国のキングバックは次々と爆発を起こし、辺りは砂漠の風景というより、火山地帯のように変えていった。



「……あんなものを隠し持っていたのか、咄嗟に隠れて正解だったな。はあ、援護にしてはアクティブすぎる。だが、この様子なら、あっさり指揮官に辿り着けそうだ」

 ルインは途中で砂の山に身を潜めて回避した。


 アレン砲を撃ち終わった。

 するとアレンのキングバックはエネルギー切れを起こし、キングバック形態に戻ると、その場に崩れ落ちた。


「大丈夫かアレン」

「大丈夫じゃないかもしれないです。凄い疲労感であんまり、身体が動きません」


「よし、そこで休んでろ」

「はい……」


「状況報告、どのくらい減らせた?」

「はい、おそらく4割ほどかと」

 鋼の国の一人が報告した。


「4割か、想定より少ないな」

「味方を盾に逃れたものがいるようです」


「クソ、お前らすぐに敵が来る。気を抜くなよ」


 燃え上がる砂漠の上を砂の国のキングバックは何の怯えもなく、進む。


 あたかもこれ以上の恐怖がここではないどこかにあるかのように。


 そして再びドラゴンたちと砂の国の兵との戦いは再開された。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 少し遡って岩谷たちはバルターのインフィニティムーンを突破できずにいた。


「クソ、硬くなったり、柔らかくなったり、めんどくせえ」

 岩谷は愚痴をこぼす。


「ええ、でも少し彼の能力には慣れて来たわ」


 インフィニティムーンの変幻自在攻撃にクリサリスストーンズとホワイトブレイドは打撃攻撃と斬撃攻撃の波状攻撃で何とか対抗していた。


 クリサリスストーンズの渾身のパンチをゴムのようにした右腕でインフィニティムーンは受け流した、しかしその直後一瞬でホワイトブレイドはインフィニティムーンの側面に移動し、今度はそのゴム質な右腕切り上げる。


 切断された右腕は高く空中を舞う。


 そのまま、畳みかけようとするが、突然インフィニティムーンはもう片方の左腕を突き出す。


「このまま、両腕貰ってやるわ!」


「カレン! そいつは罠だ!」


 ホワイトブレイドは接近しようとするが、クリサリスストーンズがその肩を掴み、後ろに引っ張り倒し、クリサリスストーンズが前に出る。


 岩谷の言葉どうり、インフィニティムーンの左腕は突然爆発を起こす。


 クリサリスストーンズがまともに爆発を受け、後ろに吹っ飛ばされる。


「ぐあ、くそ!」

「ごめん! 治」


 ホワイトブレイドがすぐにクリサリスストーンズの元に駆け付けるが、そのタイミングで空中を舞う右腕が落ちてきて、その自分の右腕をインフィニティムーンは蹴り飛ばす。


 蹴り飛ばされた右腕がホワイトブレイドは左肩に直撃し、バランスを崩しその場に尻もちをついた。


 その隙をバルターは逃さず、爆散させた左腕を再生させながらインフィニティムーンはホワイトブレイドに襲い掛かってきた。


 再生した左腕は、今度は細長い棒が何度もねじれた形をしており、突然その左腕はドリルのように回転し始める。


 それを守るために、フィッシュマンのラッシュ&チップスはその間に割って入り左腕の甲羅のような盾を構えてそのドリルのような腕を受け止めた。



「馬鹿め、はじめから貴様が狙いだ!」


 ドリルは火花を散らしながら盾をえぐり、ついには貫通し、ラッシュ&チップスの左腕を串刺しにした。


「ぐわあぁ」

 フィッシュマンは軽く、左腕を押さえる。


「どけ、バルター!」

 立ちなおしたクリサリスストーンズはドリルが盾に深く刺さって抜けない状態のインフィニティムーンに殴り掛かったが、インフィニティムーンは咄嗟に左腕を切断し、距離を取った。


「大丈夫か、フィー?」


「左腕がやられた、盾が重くて、移動が困難になった。すまん」

「いや、仕方ねえ、代わりにカレンが助かった」


「ごめん、私の迂闊な行動のせいだ」

 カレンは凄く落ち込んだ様子だった。


「気にするな。盾使いとしては当然のことだ。まだ対キングバック用弾の残弾はある。これで援護する」


 インフィニティムーンの右腕とドリルになった左腕は液体になり、地面を這いながら、主の元に戻っていき、その液体を吸収したインフィニティムーンはすぐに両腕を回復させた。


「やっぱり頭じゃないと、効果はないわね」


 その時、大部隊の方から、大きな爆発音が聞こえた。


「なんだ! 今は?」

「たぶん、兄さんの切り札よ、うん、こうなったら、私たちもあれを使うわよ」

 カレンは笑みを浮かべて岩谷を見つめた。


「ああ、練習の成果見せてやるぜ」


 すると突然カレンのキングバックは頭部を引っ込め、両足は脛を外側にして、合体し、脛と太ももからは新しい刃が生え、両腕はバンザイをして腕の刃が外側になるように、向けて、合体。


 そして、背中に二枚あった、刃は移動し、両脇腹に設置された。

 こうしてホワイトブレイドは超大型の大剣へと変形した。


 ホワイトブレイドの背中にある持ち手をクリサリスストーンズは掴んで大剣を構えた。


「私たちの本気見せてあげる」

「行くぜぇ。バルター!」


 二人は気合の入った声で叫び、バルターを見る。

 バルターは少し呆れた顔と声で


「ふん、でかいだけの子供騙しが、俺に通用すると思うなよ」

「まあ、とりあえず、受けてみろって」


 岩谷とカレンの二人はバルターをはたして倒すことが出来るのだろうか?


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

明日の投稿は今日の続きと、13話の話で岩谷とカレンが他に何をしていたかという、間話の二本を上げる予定です。これからもキングバックをよろしくお願いします。

また、ブックマーク、評価、感想など良ければよろしくお願いします。



今日のキングバック

ステータスA+~E-


グロウシード・スティッキーホルン

パワーA、スピードA、特殊エネルギー性A、行動距離B、耐久性A、精密性A


ホルン・O・スレッカーの使用するキングバック、小型タイプ最強と言われている。


身体の右上半身と左下半身に、いばらのような物が巻き付いており、逆に左上半身と右下半身はレンガのような物がピッタリと張り付いており、モチーフは植木鉢である。

右手から種を出す能力があり、種を植え付けられた者から、エネルギーを吸い取り、自分の物にすることが出来る。

吸い取ったエネルギーで自身を強化したり、回復にあてることも出来る。

大抵の小型タイプに一つでも植え付けることが出来るとそれだけで行動不能にすることが可能。それ故に小型タイプ最強と言われている。

ただ、種は火などには弱く、火などを使う能力相手だと分が悪い。

また、最強と言わしめる能力がまだあり、それは種の場所に転移する能力である。

左手のひらに能力が宿っており、転移する際は種の位置に左手が来るように転移する。

左手を破壊されると、転移能力が使えなくなる。

転移する際、距離や転移先の種がどこに植え付けられているかなどによって、転移出来る回数が変わってくる。ただ、相手からエネルギーを吸い取っている状況だと、回数は増える。


ホルンは片目をなくしているが、これは数年前の戦争にて、現在の火の国のリーダーの攻撃から現在の女王、リリィを庇ったときに出来たもの。

ミドルネームのOはオレンの略。

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