太陽のような男Part1
ローキットの話により、世界の危機を知った岩谷は今の世界が創造される前の世界に転移した。
この世界で勝たせなければならない、太陽の国。そのリーダーのスティーブ・ロイヤーに岩谷は出会うことが出来るのか?
「太陽のような男」Part1
海に飛び込んだ俺はもちろんびしょびしょになった。
いきなり、海を泳いだことで疲労を感じた俺は砂浜に寝転がった。
その間濡れた服をパンツ以外地面において乾くのを待つ。
「久しぶりに泳いだなぁ。少し疲れた」
疲労感で少し眠くなる、俺はそのまま砂浜で眠ってしまった。
「おい、こんなところで何をしている!」
うるさいおじさんの突然の大声で目が覚める。
「あ? 泳いで服が濡れたから乾かしてるんだよ」
「いや、何でこんな時期に泳いでいるんだ? 他の国から不法侵入したんじゃないだろうな。お前どこから来たんだ?」
「……海だ」
「海? いやいや、侵入経路を聞いたんじゃない。お前はどこの国から来たんだ? と聞いているんだ」
「……日本だ」
「日本? どの町だ? って町じゃなくて国を聞いているんだ」
「国なんだよなあ」
「はあ? もういい、じゃあ日本という国があると仮定しよう。それでお前は何しにここに来たんだ。」
通りすがりのおじさんは眉間にしわをよせている。
「……俺は俺のすべきことをこなしに来た」
「いや、お前のすべきことなんて知らん、もっと具体的に言えよ」
「うーん、端的に言えばこの国を救いに来た」
「端的過ぎるだろぉ! 何段か説明ぶっ飛んでないか? サッパリ分からんわ」
「そんなこと言われてもなあ、そのまんまなんだから、しょうがないだろぉ」
俺は呆れた様子を見せる。
「だろぉ、じゃない。もういい、続きは検問所で聞く。こっちに来い!」
そしておじさんは裸の俺の腕を強く引っ張る。
「痛い痛い、わかった、行くから、せめて服を着させてくれ」
俺がおじさんに連れていかれて三日後
「おっさん、そろそろここから出してくれよ。もう三日だぞ」
「うるせえ! お前が何しにここに来たか、それとどうやってここまで来たかをきいてない」
「三日前に言ったじゃねえか、海から泳いで来て、それからこの国を救いに来たってな」
俺は三日間も檻に入れられていた。
出されるご飯はうまいし、居心地はいい、どうやらご飯はあのおっさんが作っているらしい。
そんな生活に少し居心地の良さを感じていたとき検問所に短い金髪に紫陽花の模様が入った青いスーツを着た、誠実そうな青年が入って来る。
「どうも、お疲れ様です。ジールさん」
「こ、これはスティーブさん。今日はどうされたのですか?」
おじさんの態度が急にかしこまったものになる。
ーーこの男結構偉いのか?
「いや、たまたまこの辺りに用事があって来ただけなんだが、何やらこの国を救うとか言う面白い奴がいると聞いてね、興味があってきてみたんだ」
「ええ、まあ、ですがその男、スティーブさんの聞いた通りのことしか言わないのです」
「へえ、なるほどね」
スティーブは手を顎に当ててこちらを見ている。
ーーん? そういえばスティーブって、この国のリーダーじゃないか、さっそくラッキーだな
するとスティーブは牢の前までやってきて笑顔で俺を見下ろして問う。
「私はスティーブ・ロイヤー、名前は?」
「岩谷治だ」
「いい目をしているね、よし、ここから出してあげよう」
「なに⁉」
「望むものは何でも用意する。この国を救ってくれるんだろ? それくらいのことはお安い御用だとも……ただし、この俺に忠誠と妄信をしてもらう。これでどうかな?」
スティーブは笑顔でこちらを見てくる。
さっきから俺に向けてくる笑顔はなんだか嘘くさい。
そんなスティーブへ俺は勢いに乗った声で返す。
「断る!」
すると突然スティーブは笑顔ではなくなり、冷たい目で岩谷を見下ろす。
「それは、何故?」
「俺は何か利益が得たくてここに来たんじゃない。それに信頼と忠誠は違う! 信頼をしているからこそ、牙を剥くこともある。妄信も嫌いだ! 妄信は人の信念を捻じ曲げ、視野を狭くする。だから忠誠も妄信もしない。俺にそれを強要すると言うのなら、一生俺をこの牢に入れておけ!」
スティーブは少し驚いた様子だったが、今度はさっきと違い、嘘っぽくない本物の笑みを浮かべる。
「ハハハ、信頼するからこそ、その者が道を外したとき、牙を剥いてでも止めるということか」
「ああ、もしあんたが少しでも尊敬や擁護も出来ないと判断したら、この国の力なんざ、借りない」
「なるほど、これは本物だな。よし、ジールさん、岩谷をここから出してやってください。彼には二つの意味で俺の背中を守ってもらうとします」
「分かりました。私にはわからないが、あなたがそうおっしゃるなら。出しましょう」
ジールが牢の鍵を開けるとスティーブは牢の入り口を開け少し中に入り、座っている岩谷に少しかがんで右手を差し出した。
「もう一度自己紹介をしよう、スティーブ・ロイヤーだ。さっきは君を試すような真似をしてすまなかった」
俺は差し出したその右手を右手で掴み返すとスティーブは俺を立たせるように引っ張り、俺は立ち上がってスティーブの顔を見つめ返す。
「岩谷治だ。スティーブ、あんたが聡明そうな人で良かった。あんたの言葉どうり、二つの意味で背中を守ると約束しよう」
キングバックを引き続き読んでいただきありがとうございます。
一話はほぼプロローグだったのでこの二話から本格的にストーリーが進んできましたね。
ですが、まだまだストーリーはこれからで、世界観の説明なども不十分です。
なので、近いうちに次話を投稿したいと思っているので続きを楽しんで読んで頂けると幸いです。
個人的にはとにかく完結させることが目標なので応援してくださると嬉しいです。