表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キングバック   作者: 君子な在る虎
同盟締結編 ~鋼の国の竜~
41/205

[間話] 可憐なる? 三日間 中編 

これは岩谷とカレンが訓練を行っていた間の二人に何があったのか、それを語る話。

 キングバック13.5話 可憐なる? 三日間 中編



 怪我をした岩谷は休憩がてらにカレンに連れられ、鋼の国を訪問する。

 少し、不穏な雰囲気を感じながらも、気にしなかった岩谷だが、突然、背後に誰かが立ち、背中に刃物を突き立てられる。



「⁉ お前は一体?」

 俺は振り向こうとする。

「振り向くな! 振り向いてみろ、お前を殺す」

 ドスの利いた男の声で、物凄い緊張が背中を走る。


「く、何が目的だ!(近づかれるまで、気付かなかった、こいつ、出来る!)」

「ふふふ、知れたこと、それはお前が一番分かっていることではないのか?」

 男は少し、怒りの混じった声で話す。

「何のことだ?(こいつどこの国の者だ、どこから俺はつけられていたんだ?)」


 しーんと少しの静寂が俺を包む、緊張で汗が流れる。その静寂を男は破壊する。

「しらばっくれてんじゃねえぞ! 俺の、俺たちのカレンに手を出しやがって、まずは俺たち、カレンファンクラブを通すのが筋ってもんだろうが! このクソ野郎!」


「……そっちかああああぁぁぁぁ!」

 俺は思わず大声を上げる。


「それ以外に何があるって言うって言うんんだあぁぁぁ!」

 男の声からは深い憎しみを感じる。

「普通そっちにとるかボケ!」

 最近、敵から狙われて来た俺にとってあまりにも予想外過ぎて、ついこちらもキレてしまう。


「騒がしいわね」

 カレンが戻って来そうになる。

「ちぃ、覚えてろよ、この落とし前は必ずつけてやる!」

 そう言い残すと男は風のように消えた。


「……覚えてろよなんてリアルに使う奴初めて見た」

 俺は呆れていると、カレンが戻って来る。

「どうしたの? 何か騒がしかったけど?」

「い、いや何でもない」

「そう? ならいいわ」


 すると、カレンと同い年くらいの女性が家から出て来る。

「ようこそおいで下さいました、岩谷治様ですね? 私、レナと申します、今は仮ですが、ここの院長をしています」

 上品な佇まいで、いかにも院長をしていてもおかしくないような様相であった。

「あ、ああ、そうだが、何故俺の名を?」

 俺は不思議に思い、レナに問う。

「ええ、以前に届いた手紙にあなたのことが書いてあったものですから」

 レナはそう言うと微笑んで見せる。

「も、もうレナまで、余計なこと言わないでよ! ほら行くわよ」

 カレンは少し照れた様子でレナの背中を押す。

「あらあら」

「岩谷もこっち」

「わ、分かった」



 そして俺は孤児院の中に案内された。

 孤児院の中は何の変哲もない家という印象だったが、それでも何故かこの家に温かい雰囲気が染み込んでおり、心が落ち着く。

 俺が家を見て少し微笑むとレナが俺を覗き込むように見てきて、ニッコリ笑う。

「気に入って下さって良かったです」

「え! いや気に入るだなんて、俺みたいなよそ者がそんなこと、おこがましいです」

「いいんですよ、ここはみんなの家です。カレンがあなたをここに連れてきた、もう、あなたはみんなです」

 そう言ってもう一度レナはニコッと笑う。

 その時のレナの表情があまりにもキレイで思わず、ドキッとしてしまう。

 カレンは少しムッとして、俺の袖を引っ張る。

「今、子供たちが外で遊んでいるから、案内するね!」

「え? ああ、分かった」

「あらあら、じゃあ、いってらっしゃい」

 レナは笑顔で手を振り、俺も振り返すが、カレンは見向きもせず、岩谷を引っ張って行く。



 そして岩谷とカレンは庭で遊んでいる子供たちのところに案内されたが、何だか、俺は孤児院の子供たちに歓迎されてない状況だった。


 双子の姉妹の子はカレンの両足にしがみついて、こちらを遠くから警戒しなが見ている。

 それどころか、やんちゃそうな男の子は俺の(すね)を蹴ってくる。


「な、なんでかなぁ~この状況は……」

 俺は顔を引きつりながらカレンを見る。

「うーん、普段はここまで警戒しない子なのにねぇ」

 すると、双子の姉妹の内、髪の長い姉は小声でぼそぼそと喋り、カレンは耳を傾ける。


「なんて言ってるんだ?」

「普通に怖いみたい」

「こ、俺が怖いのか」

 岩谷はショックを受けたような顔で少し落ち込む。

 すると、双子の姉妹の内、髪の短い妹もカレンの耳元でまたぼそぼそと話す。


「今度はなんて?」

「うんうん、ナチュラルに怖いみたい」

「言い換えんでいいわ!」

 俺は少し大きい声で言う。

 しかし、これが逆効果で、双子の姉妹はさらにカレンに隠れてしまう。

「あ! しまった!」

「もう! そんなに叫んだらダメでしょ」

「ご、ごめん、謝るから、出てきてくれないかな?」

 岩谷が頑張って作った笑顔で呼びかけるが、出てこない。

「うーん、なかなか難しいなあ、ってさっきから、ずっと俺の脛を何度も蹴るこの子は何なんですかね!」

 俺はさっきから、ずっと俺の脛を蹴る男の子を指さす。

「イルキよ、かなりのやんちゃっ子だけど、ここまで執拗にやられるのはむしろ好かれているのかも?」

 そう言うとカレンは微笑む


「おらぁ、よそ者が、自分の国に帰ってママのおっぱいでも吸ってな!」

 そんなことを言いながら、イルキは俺の脛を蹴る。

「どう見ても好かれてないと思わないんだけどぉ!」

 そう俺が訴えかけるが、カレンがにこやかにしている。すると何かに気付いたカレンはキョロキョロする。

「どうしたんんだ?」

「あともう一人いるはずなんだけど、どこに行ったのかしら? ちょっと探してくるわね」

 そう言うとカレンは双子の姉妹を連れてどこかに行ってしまう。

「ちょっと、俺をこの子と二人にしないでくれ!」

 俺の懇願も空しく、カレンはどこかに行ってしまう。


 すると、俺がの膝の裏に違和感を感じた、その時。

「ふふふ、僕はここにいるぜ」

 背後から子供の声が聞こえた。

 俺が首を少し後ろに向くとそこには、邪悪に微笑んだ、男の子がいた。そしてその男の子を見た次の瞬間、俺はひざカックンをされ、後ろに倒れてしまう。

「ナイスだ、ジルノ」

「このガキ! っ痛てぇ」


 倒れて、目を閉じていた俺が目を開けると、いたずら坊主が二人、俺を見下ろして、ニヤッと笑う。

「俺たちのカレンとレナに手を出させないぞ!」

「やっちまえ!」

 すると二人は俺に関節技を決めて来た。

 イルキは俺の腕に横十字固めを行い、ジルノは俺の脚に膝十字固めをする。


「うぐぐ、こんなところに伏兵がぁ」

「おら、参ったか?」

「参ったら、ここから出ていけ!」


 俺が寝技を決められている間にカレンが戻って来る。

「なんだ、ジルノそこにいたのね、もう岩谷と仲良くなっちゃって」

 カレンは微笑む。

「これのどこが、仲良くに見えるんだぁ!」

「もう二人とも、そのくらいにしておきない」

 そうカレンが一言言うと、二人はピタッと寝技を止める。


「カレンがそう言うならなぁ?」

「お、おう」

 二人のやんちゃ坊主は照れた様子だ。

「(……なんだ、敗北感は、はぁ、カレンってばみんなに好かれているんだな、そりゃあ、俺みたいな奴が突然来たら、こんな態度にもなるか)」


 そして、俺は孤児院に入る前に襲ってきた男を思い出す。

「(いや、さすがに大人であれはどうかと思うが……でもファンクラブって言ってたよな? あんな狂った奴がまだいるってことか? まさかな、あんなのが、何人もいたらたまったもんじゃない)」

 俺がそんなことを考えていると、俺にとって絶望の言葉をカレンは発する。


「まだ、ご飯まで、時間があるわね、イルキ、ジルノ、岩谷お兄さんに遊んでもらいなさい」

「⁉ ちょっと待て、そんな話聞いてな」

 すると、イルキとジルノはこちらに振り向くと、二人とも邪悪なとてもカタギとは思えない笑みを浮かべる。

「まあ、許しが出たってことで」

「俺たちと遊んでよ、岩谷お兄ちゃぁん」

 二人はするすると俺に忍び寄って来る。

「ちょっ、待て、カレン! 助け、あああぁあぁぁぁあ!」



 その後、俺は二人の怪物に弄ばれ、ボロボロになっていた。

「みんな、ご飯よ」

「わーい」

 そして二人の怪物から解放された俺は仰向けに寝転がった。

「子供の体力、恐るべし」

「お疲れ様、岩谷、あんなに楽しそうな二人を見たのは久しぶり、ありがとうね」

「そ、それなら良かったぜ」

 カレンは手を差し出し、俺はカレンの手を掴み起き上がる。

「岩谷もご飯食べてね、まあほとんどレナ作だけど」

「ふぅ、やっとご飯だ、少しは休める。



 しかし、食事時も子供たち俺への攻撃は止まなかった。

「おら、等価交換だ、岩谷の唐揚げと俺の人参と交換な」

 イルキに不当な交換を強要される。


「おまえなぁ、好き嫌いするなよ」

「はあ! 岩谷だって、グリーンピース全然減ってないだろ!」

「うぐっ、こいつ」

「岩谷さん、おいしくなかったですか?」

 レナが少し悲しそうな顔でこちらを見てくる。

「い、いや全然、大好きですよ、ははは」

 俺はグリーンピースを一気に口の中にかきこむ。

「そう? なら私のもあげるわ」

 カレンは笑顔で俺のさらに大量のグリーンピースを入れてくる。

「俺も、そんなに大好きならあげるよ!」

「私も」「私も」

 子供たちもカレンにつられて、俺の皿にどんどん投入してくる。

「お、お前らなぁ」

 俺は怒りでピクピクしていると、皿の上の異変に気付く。

「ん? って唐揚げがもう一個も残ってねぇじゃねえか!」


 すると、ジルノの口がモグモグと動き、リスのようにパンパンになっている。

「ジルノ、お前の仕業か!」

「もぐもぐ、そんなにグリーンピースがあればいいかなって」

「よくねえよ、俺はまだ一個も食べてねえんだよ!」

 俺はキレる。


「あらあら、うちの子がごめんなさいね、私の唐揚げを一つあげますので許してあげて下さい」

 レナが唐揚げを一つ俺の前に差し出す。

「あ、ありがとうレナさん」

「はい、あーん」

 レナは屈託ない笑顔で断ろうと思う気持ちはなくなる。

「え! あ、あーん」

 俺は少し照れた様子で口を開ける。

「わ、私も!」

 カレンは少し焦った様子で、唐揚げを差し出してくる。

「ちょっ、二つ同時は」

 カレンの唐揚げが俺の頬っぺたに直撃する。

「あ、ごめん、岩谷」

「順番ですよ、私から、はい、あーん」

「ははは」

 俺がレナとカレンから順番に食べさせられているとき、テーブルの下では、イルキとジルノから、蹴りの攻撃が始まっていたが、そこはこらえて食べきった。



 食事の後イルキとジルノの相手をしていたが夜も遅くなり、みんな就寝していった。

 俺も借りた部屋で眠っていたが、ふと起きてしまい、トイレのために部屋を出る。

 そして、廊下を歩いていると、女の子の小さい悲鳴が聞こえた。

「痛っ!」


 何事かと思い声のする方に向かうと、少し戸が開き、部屋の明かりがついている。

 覗くと、双子の姉妹が何やら作業をしている。

 何を作っているのか気になり、見ているとついうっかり物音を立ててしまう。


「だれ?」

 俺は仕方なく、部屋に入る。

「ははは、ごめんたまたま通りかかってさ」

「……」

 双子はだんまりをきめている。

 双子が何をしているのかと見てみると何やら革のような物を扱っている。

「何を作っているんだい?」

「……」


 双子はお互いを見つめ合ったまま黙っている。

 よく見ると、革は手の形をしているように見える。

「あーもしかして、革の手袋を作っているのかな?」


「うん」

 姉の方が答える

「そんな丈夫な手袋二人とも使わなさそうだけど、どうして作っているの?」

「……」

「……もしかして、カレンにあげるのかな?」


「うん、なんで分かったの?」

 妹の方は驚いた表情で言う。

「いや、みんなカレンのことが大好きみたいだし、そういうこともあるんじゃないかって思っただけだよ」

「そうなの、大好きなカレンお姉ちゃんに戦いで傷ついて欲しくないから、手袋を作ってるの」

 だが、二人の手は傷があり、作業は上手くはいっていないようだ。

「革だもんな、加工は大変だ、俺も手伝うよ」

「やったことあるの?」

 双子は素直に聞いてくる。


「ない、だけど、力がいるときは俺の方がてき面だろ? それに三人でやった方が早く終わるよな?」

「う、うん」

「よし、頑張ろう! えーと」

 そういえばこの子たちの名前を聞いてなかった。


「私、シルエル」

 双子の姉が名前を言う。

「私、ミルエル」

 姉に合わせ、妹の方も名前を言う。

「よし、シル、ミル、頑張って完成させよう!」



 そして俺たちは互いに助け合いながら、時には手を怪我しながら、カレンに送る手袋を完成させる。

「ふぅ、何とか完成したな」

「うん、ありがとう、カレンお姉ちゃんにプレゼント出来る」

 シルエルは昼には見せなかった笑顔を見せる。

「なあに、俺はちょっと手伝っただけさ、そもそも途中までは完成してたからな」

「でも、岩谷お兄ちゃん、手、怪我しすぎ」

 妹のミルエルは俺の傷だらけの手を見て笑う。

「ははは、慣れないことしたせいだな」


 数時間だが、関わると双子と言っても違うということが分かった、姉のシルエルの方は責任感はあるが、基本大人しい、だけど、妹のミルエルは心を許すと、活発になり、甘えん坊になる。


「さあ、完成したんだ、夜も遅いし、二人とも寝ような」

「えー、もっと起きていたい」

 ミルエルは文句を言う。

「もう、寝るわよ!」

 シルエルはミルエルの肩を触る。

「レナさんにバレちゃうかもよ」

「う、レナさん、怒ったら怖いんだよぉ」

「だったらもう寝ような」

「うん」


 こうして、俺は二人を寝たのを確認して、自分の部屋に戻ろうとしたところで、レナさんに見つかってしまう。

「岩谷さん、起きていたんですか?」

「え、えぇ、(シルとミルのことバレないようにしないとな)たまたま、起きてしまって」

「うふふ、優しいんですね」


 レナは微笑んでいるが、こちらを見透かされたような気分にさせる。

「なんだ、気付いていたんですね、悪い人だ」

「ええ、少し騒がしかったですから」

「す、すみません」

「いえ、いいんです、それより、眠れないのなら、少し話をしませんか? カレンについてです」

 いつも、微笑んでおおらかな印象を感じるレナさんだったが、暗くて分かりにくいとして、その声色は真剣な声だった。

「はい、いいですよ」



 二人して、夜、庭にあるベンチで座る。

 しばらくは沈黙が続いたが、レナさんがこれを破る。


「あの、カレンのこと、どう思っているんですか?」

「え⁉ えっとそれは……」

「正直に答えて下さい」

 レナさんは赤面した顔で俺の腕に身体を密着させてくる。


「ちょっと、レナさん⁉」

「答えて下さい! あなたがカレンを好きと言うのなら、親友として、身を引きます、でもそうでないのなら、私じゃあダメですか?」

 唐突の出来事に頭が回らなくなっていく。


「ねえ、どうなんですか?」

 どんどん、レナさんの柔らかい身体が俺に密着し、俺は少し離れようとするが、逃げ場なく、椅子が倒れる。咄嗟に俺はレナさんを抱きかかえる形で倒れる。


「きゃっ」

「ご、ごめんなさい、大丈夫ですか? レナさん」

「ええ、倒れるのを支えてくれたんですね、ありがとうございます」

 そしてレナさんは俺の胸に顔をうずめた後に、顔をあげ、こちらを見る。

 なんだか、変な雰囲気になり、俺の思考力が低下していく。




このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

この間話、これで中編ですが、実は当初は前後編で終わらせるつもりだったのですが、書いていると、どんどん話が長くなってしまい、結局4部構成になってしまいました。なので、これでやっと半分と言うところです。

なので、もうしばらくは間話が続きます。その分本篇が進行しておらず、申し訳ありません。

今後もキングバックをよろしくお願いいたします。

また、ブックマーク、評価、感想など良ければよろしくお願いいたします。

[注]間違えてこの話の続きを最新部としてあげてしまいました、続きはそちらの方でお願いいたします。申し訳ございません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ