俺と観測者の最悪な出会い
[少し編集しました、内容には影響はございません]
これは少し偏屈で自分を普通と信じてやまない主人公、岩谷治がキングバックと呼ばれるもう一人の自分を駆使して、今の世界が創造される前の世界を旅する冒険ファンタジーです。
初投稿です。
文章など分かりにくい点など多いかと思いますが、最後まで楽しく読んで頂けたら幸いです。
プロローグ「俺と観測者の最悪の出会い」
しばらくして岩谷は観測者が普段いる空間に連れてこらていた。
「……なんだか、気が付いたら変なところにいるんだが、オレ」
真っ白で何もない世界だ、ここにいるとすごく落ち着く。
だがそれと同時に強制的に落ち着かせようとする気がして逆に落ち着かない。
そんなことを思い、辺りをキョロキョロしていると突然目の前で謎の映像が流れ始める。
――そして動画を見終わった頃に今度は動画に移っていた靄がかかった謎の存在が目の前に現れる。
「やあ、私の動画みてくれたかなあ、岩谷君」
「ああ、動画を見て大体この世界の現状は理解したぜ」
「協力する気になってくれたかな?」
「……その前に一ついいか?」
「いいよ、どうしたの?」
「お前! 全然編集出来てねぇじゃねえか、俺への悪口全部残ってたぞ! この野郎」
「あれぇ、ちゃんと保存したはずなんだけどなぁ、どれどれ……あー間違って、編集後の動画を編集前の動画と勘違いして消しちゃったみたい。ごめんね、まあ事実なんだしいいじゃん!」
「事実じゃねえ、俺はいたって普通だ」
「だから友達少ないんだよ」
「うるせえ! ゼロじゃない」
「雀の涙だよw」
「ていうかお前さっきから妙に俺に馴れ馴れしいし、姿も見せないし、それが人に物を頼む態度かよ」
「あー、私の姿、今の君には見えないんだね。分かった、分かりやすい姿になるよ」
するとローキットは俺と同じ年齢くらいの見た目で学生服を着た真っ白な長い髪の美少女に変身した。
「やあ、こんな感じでどうかな?」
「それがお前の本当の姿か?」
「違うよ、そうだね、真の姿は今の君では見えないみたいだし、これで勘弁してよ、どう? 可愛いでしょ? 興奮した?」
観測者、ローキットは少女の姿で少しスキップをしたのちに、スカートをつまんで軽く持ち上げると小悪魔のように笑う。
「し、しねえよ! もう、とりあえずその姿でいいわ。で、どうすりゃ向こうに行けるんだ?」
岩谷は少し焦った様子だった。
「え! あっちに行ってくれるの?」
ローキットは驚いた表情をする。
「世界がそんな状況なら行くしかないだろ。俺なんか変なこと言ったか? こんぐらい普通だろ?」
世界を救うことをさも当然であるといった様子だ。
ーーふーん、なるほどね、検索で引っかかるのはこれが原因か、彼には世界を救うことは、何もない日常と同じなんだ。
私は少し岩谷を見直す。
「オッケー分かった、君を向こうの世界に送ろう。何か必要な物はないかな? あれば可能な限りの物は揃えるけど」
すると岩谷は少しイラっとした様子で
「んなもんいらねえよ。言っとくが俺はお前に頼まれたから行くわけじゃねえ、この世界の事情知ったから行くんだ。お前の力なんて借りねえ」
ーーあーでもやっぱ、こいつめんどくさいわ、さっさと送ろ。
「あっそ、じゃあ行ってらっしゃい」
すると岩谷の周りが光に包まれ、始める。
「うわ、なんじゃこりゃ、お前これ、本当に大丈夫なんだろうな!」
「大丈夫大丈夫、ちょっと分子レベルで分解して送るだけだからさぁ」
「全然大丈夫に思えないんだが! あぁ、身体がどんどんバラバラに、もし向こうにちゃんとたどり着けなかったら、覚えておけよ、このパチモン神!」
「あーもう、うるさい、さっさと逝け」
「いや、逝けの字が完全に殺るタイプのやつなんだけどぉ!」
「あーそうそう、向こうに行ったら、スティーブ・ロイヤーという男を探すんだ、彼は太陽の国のリーダーだ。きっと君のことをなんか上手く使うんじゃない? 知らんけど」
「知らんは余計だぁぁ、お前は関西人か!」
そう言い終わると岩谷は全て分子レベルまで分解されその短い人生を終えたのであった(完)
「勝手に人生終わらすなあぁぁぁぁ、ナレーション真面目に仕事しろおぉぉぉぉ」
ローキットの空間に岩谷の声だけが大きく響く。
「いやいや、分子レベルの状態で話すなよ、世界観がブレる」
こうして岩谷治はビックバンが起きる寸前の世界へ旅立ったのであった。
ローキットはやっと岩谷を向こうに送ることが出来て、せいせいしていた。
「ふー、なんとか岩谷をあっちの世界に行かせることに成功したわ。うるさいけどいなくなると寂しい気もするかな? ……いやいやないない。うーん、そろそろ到着したかな? ちょっと向こうの様子を見てよう。どれどれ」
ざざーん、ざざーん、という波の音で目が覚めた。どうやら転送は上手くいったらしい。ちゃんと身体が全部あるか確認した。
「よし、身体は無事そうだ」
だが、このとき俺はとても重要なことに気が付いた。
「今、俺が寝ていたのは砂浜じゃねえ、海の上だ。だが、俺は濡れてねえ、ああ、あいつ俺に気を使ってイカダを用意してやがる。言ったはずだ! 俺は何もいらねえってよおぉぉぉ」
そして岩谷は水泳選手のようなキレイなフォームで海に飛び込んで行った。
この様子を見ていた観測者、ローキットは
「うわぁ、やっぱりあいつめんどくさ、こんなことならイカダ用意しなきゃよかった。もう勝手に世界救ってろ!」
こうして普通(?)な岩谷の冒険は幕を開ける。
この度は最後まで読んでいただきありがとうございました。
まだ、序盤も序盤なので、ほとんどストーリーが進んでいません。
次の話からは本格的にストーリーが進み始めるので、続きを読んでもらえると嬉しいです。
また、私の今後のモチベーションに繋がりますので、ブックマークや評価、感想など良ければお願いいたします。