新たなる仲間Part3
これは分割編集版です。
表現が多少変化していますが内容に変更はありません。
キングバック13話「新たなる仲間」Part3
一方その間スティーブたちはというと
出発から三日目
「ここまで、進行が遅れるなんてね」
アレンが疲れた顔で言った。
「ああ、ここまでトラップが多いなんてな、避けていくために迂回を繰り返していたら、ここに来るまでに思いのほか時間がかかってしまった」
スティーブも疲れた様子だった。
「だが、ここまで厳重だと決まったようなものだな」
ドラゴンは少し満足げな顔で言う。
「ああ、奴らは確実にここにいる!」
スティーブたちは野営を繰り返しながら、着実に暗夜高山を探索していった。
そして五日目の夜
「まずいなぁ、持って来た食料が底を尽きそうだ」
アレンが困った顔をした。
「俺もだアレン、さてどうしたものか」
「そんなことか、食料不足は現地調達が当たり前だろう?」
スティーブがポカーンとした顔で言う。
「そんなこと言ってもなあ、明かりが少ないこの山じゃ、ランタンを点けるのは敵に見つかる恐れがあると言ったのはスティーブではないか?」
「ああ、そんなことですか、ドラゴンさん。大丈夫です、俺ならこの暗闇の中でも匂いで獲物を取れます。じゃあ、行ってきます」
20分後スティーブは大量の野生動物を狩ってきた。
「す、すごいですね」
「ああ、サバイバル能力が高いな」
ドラゴンとアレンはスティーブの手際の良さに驚きを隠せない。
「さあ食べよう。」
するとスティーブは動物の生肉をそのまま食べ始めた。
「え! 生のまま食べるんですか!」
「え? 取れたてで新鮮だから、この肉なら生でも大丈夫だぞ」
「いや、さすがに生は……」
ドラゴンとアレンは青い顔をした。
「そうか、生は無理か……わかった。そこのマントを貸してくれないか?」
「ええ、どうぞ?」
スティーブはサーセイバーをだし、丸い石で剣を叩き始めた。
「な、何をしているんだ?」
「まあ、見ていてください」
サーセイバーは高速で石を剣に叩きつける。
すると、激しく火花が散り、ついでに持って来た蒔きに火花を移す。
そして小さな焚火が生まれる。
「火は着けないんじゃなかったのか?」
「少しだけです、ほら、肉と剣を温めます、出来るだけ、マントで隠して下さい」
そして少しの間、肉と剣を火で炙る。
「もうそろそろいいかな?」
スティーブはまだ、焼き上がっていない、肉を見てそう言った。
「ん? この肉まだまだじゃないか?」
「いや、肉じゃなくて、この剣が出来上がったんだ、多少生焼けでも、この剣で切れば素早く肉が出来る。まあ味は落ちますけどね」
そう言うとサーセイバーは肉を切っていく、ジュウっと音を立てながら、少しレア気味な肉があっという間に完成した。
「よし、出来ました、お望みの焼肉です」
スティーブは二人に薄切りの焼肉を差し出した。
「す、すごい」
「ああ、プロだ」
三人は疲れた身体を癒すように大量の肉を平らげた。
次の日スティーブたちは小さな集落にたどり着いた。
しかし、その集落には人の気配は全く感じられなかった。
「小さな集落のようですが、誰もいないのはなぜでしょう?」
アレンは集落に人がいないことに疑問を持った。
「こんな場所にあるんだ、この集落は月の国だ、おそらくな」
スティーブは辺りを見渡して言った。
「……家の扉が開いたままだ」
ドラゴンはそう言って家の中を覗いた。
そしてその後三人はいくつかの家の中を見て回ったがどの家にも人は住んでいなかった。
「これだけ探してもいないということは、彼らはもうここにはいないのかもしれませんね」
アレンは手で顎を触り少し考えた顔で言った。
「ああ、だがここを離れたのは随分前ではないらしい。家にほこりやゴミが少ない、離れたのはここ数日内だろう」
スティーブは家の状態から推察した。
「なるほど。もしかしたら既に我々の接近に気づいたのかもしれないな」
ドラゴンは自分たちの存在がバレたのではないかと恐れた。
「たぶん、そうでしょう。荷物がまだそれなりに残っている。全てを運び出す余裕はなかったことから、我々を察知して速やかに逃げたと考えるのが妥当です」
スティーブは自分たちが察知されていることを認めた。
「何故我々が接近していることを察知したのに誰も襲ってこないのだ?」
ドラゴンは不思議に言ったがこれにすかさずアレンは言う。
「ドラゴン、この集落を見て下さい、国どころか、町ですらないただの村です、その村にいかほどの戦力がありましょう」
「なるほど、今まで彼らは戦うことを避け、各地を転々としてきたのだな」
ドラゴン納得した後、少し悲しそうな顔になった。
だがその時外から別の話し声が聞こえた。
三人は咄嗟にしゃがみ隠れて窓から外の様子を伺った。
外で二人の男の話し声が聞こえる。
「一体誰だ?」
「クソ、ここからじゃ上手く見えねえな」
ドラゴンはうずうずし、窓から顔を出そうとする。
「ドラゴン、あんまり顔出したらまずいですよ」
スティーブたちはこそこそ話しながら外の会話を盗み聞きした。
「お前は先にあいつらと合流しろ、俺も後でそっちに向かう」
「分かりました。ですが、どこに奴らがいるか分かりません、気をつけてください」
「分かっている。忘れ物を取りに行くだけだ」
「それでは、ご武運を」
そう言うと二人の男のうち部下のような奴は離れて行った。
そしてもう一人の男はこちらにどんどん近づいて来た。その男は白髪で黄色い目で三日月のイヤリングをしていてスティーブにとって見覚えのある顔だった。
「あいつはまさか⁉ 情報屋のバルター!」
「誰だ?」
「俺の国にいた情報屋だ。まさか奴が……」
「しぃー、気づかれますよ」
そのままバルターは俺たちに気づかずに通り過ぎて行った。
気づかれていないことが分かり、3人は胸を撫でお下ろす。
しかし、突然バルターは足を止め振り向いた。
そして一言呟く。
「扉が閉まっている」
そう言うとバルターは突然走り始めた。
スティーブたちは僅かな情報源を逃がさないためバルターを追いかけた。
「やっぱり気付かれてますよ!」
「おい、待てバルター! そうやって今まで逃げて来たのか? 他国の情報を売って生きて来たのか?」
スティーブは力のこもった声で叫ぶ。
「黙れ、俺にはこれしかないんだ。仲間を守るにはこうするしかないんだよ!」
バルターは走りながら、こっちを見て怒鳴る。
「お前はそれでいいのか? 生まれた地を捨て、他者の弱みで生きる。例えそれで仲間を守れても、お前の心は満たされるのか?」
「黙れ! きれいごとだけでやっていけるほどこの世界は甘くない。一番重要なものを優先するなら、二番三番には目をつぶる。それが俺の生き様だ。笑いたきゃ笑え、この理想論者が!」
「ならば、お前の一番が仲間と言うのならもうこの戦争を降りろ。俺はお前たちを殺さない」
スティーブはバルターを説得しようと試みる。
「そんな言葉信じられるか! 事実仲間のガルドはお前の国に行ったきり帰ってこなかった」
「あいつか、あいつなら、自分で」
「いや、いい、聞く気はない。俺たちは自分たちの力で生きるまでだ。例え汚い手を使ってもだ」
バルターは話を無理やり中断した。
「待て、まだ話は終わってない」
するとスティーブは何かを踏んだ。
「しまった、これは⁉」
「俺の仕掛けたトラップだ、仲良く夢でも見ているんだな」
スティーブは意識が遠のいて行く。
その暗くなっていく視界の中で、バルターは悲しげな顔を浮かべると、俺たちに何かをするわけでもなく、その場を去っていった。
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