同盟Part3
これは分割編集版です。
表現が多少変化していますが内容に変更はありません。
キングバック12話「同盟」Part3
フィーはローを抱えて岩谷とスティーブを鋼の国まで案内する。
「ホントにこっちで合ってるのか?」
「疑うのはわかる、だがあくまで俺は命令に従っているだけだ。お前たちを罠にかけることは命令に入っていない」
フィッシュマンは冷静に答える。
「心配するな治、鋼の国はこの方角であっている。だが、変な行動をしたら俺が即座に斬る」
スティーブの声はガチだ。
「案ずるな、もう着く」
それからしばらく歩くと大きな砦が見えた。
「これの砦の奥に国がある。我がリーダーはこの砦にてお前たちを待っている」
すると砦の中から上品な服を来た従者らしき者たちが出て来た。
「お待ちしておりました。スティーブ様、岩谷様。砦内にて食事をご用意させていただきました。どうぞこちらへ」
そのまま俺たちは連れられるままに奥の部屋に案内された、その部屋には長く大きなテーブルがあり、その上には多くの料理が用意されている。
そして俺たち二人は部屋から入って左側の席に案内され、座って待つ。
すると奥の部屋から、四十代ぐらいの男が現れた。
その男は知的さとワイルドさを兼ね合わせる雰囲気を漂わせ、灰色の髪には所々にある白髪が目立つ。
その男はお辞儀をすると俺たちの向かいに座った。
男のすぐ後ろには二十歳くらいで両方とも濃いクリーム色の髪で丸くまとまった短髪の男と長いポニーテールの女が立っていた。おそらく護衛である。
「いやあ、わざわざここまでご足労いただきありがとうございます。わたくしこの国のリーダーを務めるドラゴ・デルギンと申すものです。どうぞドラゴンとお呼び下さい。さあ遠慮なさらずにこれからのことを料理を食べながら話合いましょう」
男は丁寧であったが、その態度は少し無理をしているように感じる。
「……これ食っていいのか?」
俺はスティーブの方を向く。
「毒の匂いはしない」
そう言うとスティーブ一口料理を口にした。
「うん、毒は入ってない、食べて問題ない」
フィーとローは部屋の入口付近に立たされており、ローはドラゴンを指さし笑っていた。
「アハハ! ドラゴン全然スーツ似合ってないなあ」
そこで護衛の女は凄い剣幕怒鳴る。
「ロー、あんたいい加減にしなさいよ! これ以上ドラゴンに恥をかかせる気ならここで殺すわよ」
だが、ローは未だにヘラヘラとしている。
「まあまあ、カレンお客さんの前だから、これ以上は……」
もう一人の護衛の男がカレンという女を止めた。
「わ、わかったわ、兄さん」
「すみませんねえ、騒がしい奴らばかりで、かくゆう私もこういった服は着慣れないのですよ」
ドラゴンは少し、苦笑いで言った。
だが、スティーブは静かに低い声で言う。
「本題に入らせていただこう」
「そうですね、では早速、私たち鋼の国と同盟を結んで欲しいと考えています」
ドラゴンは真剣な顔で言う。
「何故、俺たちなんだ?」
岩谷は素直に聞く。
「そうですね、まず、辺りの国は信用がない」
「だが俺たちはあんた達より、圧倒的に戦力が少ない。だが逆にこっちから裏切る可能性は低いだろうな、故にそっちからは一方的に信頼はできるだろう」
スティーブは依然冷たく対応する。
「……それが判断材料の一つであったことは否定はしません」
ドラゴンは気まずそうな表情をする。
「それでも利用価値がないと同盟に入れる意味がない、だからわざわざあいつらをよこしたんだな。そして弱かったらそのまま殺すように言ったんだろう?」
「……その通りです」
ドラゴンは俯く。
「随分となめられたものだ。全てお前たちにとって都合のいいものばかりではないか、確かに俺たちにとって同盟は喉から手が出るほど欲しいものだ。しかし、この様子では同盟を組んだ後、我々が使い捨てられるのは目に見えている。そのように上から目線では交渉はできない」
スティーブはきっぱりと言い張る。
「……貴殿の意見はごもっとも、今回の失礼な行為の全ては私の傲慢さ及び浅はかさによるものだ。ローやフィーの問題行動も上司である私の責任だ。もし同盟を組むことにおいて、このことが、弊害になるのならば、どうか私の首一つで水に流してはくれないだろうか? 私の跡は後ろのアレンに任せます。ご安心を彼は私なんかよりも話の分かる優秀な男です」
ドラゴンの顔は覚悟を決めた男の顔だった。
すると、後ろにいた護衛のカレンは焦った様子でドラゴンに詰め寄った。
「ドラゴンっ、こんな奴らと同盟を組むために死ぬなんて私は認められせん!」
「カレン落ち着いて、相手の方もいるのですよ!」
アレンは必死に妹のカレンの肩を掴み抑えた。
「すまんな、俺はバカなお前たちを先に死なせたくない。もう、置いて逝かれるのは嫌なんだ」
ドラゴンは優しく微笑む。
「そんな、この作戦を考えたのは私です、私にこそ裁かれるべきです」
アレンは自分の胸を叩く。
「いや、最終的に許可を出したのは俺だ、俺の罪だ」
扉の近くで立っていたローとフィーが走って岩谷とスティーブの前までやって来た。
するとローとフィーの二人は床にめり込むほどのめいいっぱいの土下座をした。
「任務のことで頭がいっぱいになり、あなたたちの国民に危害を加えようとしてしまい、すみませんでしたあぁぁぁぁ!」
静寂を好むフィーが大きな声の謝罪を行った。
「ごめんなさい! もうこんなことしないから、ドラゴンを殺さないでください! 僕のことはどうしてくれてもいいから、おねがいします!」
ローの声は普段のふざけた感じではなく、焦りと真剣さを感じさせるものだった。
その様子からドラゴンという人間の様が垣間見える。
カレンは落ち着き、アレンから拘束を解かれると、カレンとアレンの二人はその場で平謝りをした。
その後、ドラゴンは立ち上がり、カレンとアレンと同じように、深々と頭を下げる。
沈黙が続き、スティーブは目を瞑る。
この沈黙を破ったのは岩谷だった。
「なあもういいんじゃないかスティーブ、こいつら確かにバカだけど、俺はこいつらの普通を壊したくないぜ」
「……普通か、この者たちにとって互いをかばい合うのは普通ということか、俺が町の人や岩谷をかばうことが普通であるように」
「ああ、こいつらは俺たちと一緒だ」
「一緒なら俺たちはかばわなければいけないな。いいだろう、その同盟受け入れよう。ただし、二つ条件がある」
「条件とは?」
ドラゴンは顔を上げ驚いた様子で聞いた。
「一つ目はこれからは互いに平等を貫くこと、二つ目はそこのお前たち二人が迷惑をかけた町に行って謝罪することだ」
「うん、僕町で謝るよ」
「俺も謝ります」
「私も、二人と一緒に謝ろう」
ドラゴンも謝ると言い出した。
「決まりだな、なら善は急げだ、すぐに町に戻るぞ」
「至急、石車を用意しろ!」
ドラゴンは部屋の外にいる召使いに命令した。
その後岩谷とスティーブの方に向いて、再び頭を下げた。
「ありがとう、バカな我々を受け入れてくれて」
「俺たちも貴殿と同じ感想を相手に抱いただけた、この者たちなら、信用してもいいと」
「そうだぜ、おっさん日頃の行いに感謝だな」
「……二人の寛大さに感謝する」
ドラゴンは俯き、涙をこぼす。
こうして鋼の国と同盟を結んだ岩谷たちはセンドウに戻った。
その後ロー、フィー、ドラゴン、それに加え、護衛だったカレンとアレンもが、町の人々全てに謝罪をした。
スティーブの説得もあり町の人々との和解が無事成功した。
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