それぞれの思いPart1
岩谷はクリサリスストーンズをタンザナイトバタフライに変え、ホルンと対決した、スティーブやノールの助けもあり、何とかホルンのキングバックを倒すことに成功する岩谷たち。
しかし、ホルンが既に援軍を呼んでおり、来たのはまさかの木の国のトップである、女王のキングバックだった。
ホルンとの戦闘で疲弊した岩谷たちに女王のキングバックと戦う力はなく、このまま捕虜になるかと思われたが、謎の声を聴いたティッカロによってセンドウの町の人々が岩谷たちの元に駆け付ける。
町の人たちは戦う力がないのにも関わらず、岩谷たちを守ろうと壁になる。その姿を見た女王は「次はない」と言い残し、ホルンと共に帰って行った。
何とか生き延びた岩谷たちであったが、その日双方の国にはそれぞれの思いがあった。
キングバック11話「それぞれの思い」Part1
俺たちがセンドウに帰ったその日の夜、俺とスティーブはセンドウのあるホテルにいた。
そしてスティーブは町の偉い人と話があると言って部屋を出て行った。
俺は一人、ベットで寝転がっていた。
「あー眠い、スティーブは凄いな、サーセイバーあんなにボロボロになってたのにまだ、動けるなんて……」
ベットで意識が朦朧としていると俺を呼ぶ声が頭を揺らし目を覚ます。
「おーい、岩谷、今回は私に感謝してもいいんじゃないか?」
「……はあ、なんだ、パチ神か」
そして俺は目を閉じた。だが、ローキットの声が頭の中でガンガンと響く。
「おーい、起きろ、私の声が聞こえているはずだぞー……あれ? 届いているはずなんだけどな、うーんもっと音量あげるか」
「うるせぇ! さっきからガンガン聞こえてんだよ!」
「なんだ、聞こえてるなら、返事しろよ」
「俺は眠いんだよ!」
「いつでもこうやって会話できるわけじゃないんだから、ちょっとくらい話聞いてくれてもよくない?」
ローキットはちょっと不貞腐れたような声だった。
「お前ってそんな性格だっけ? まあいいや、それでなんだよ?」
「というか、私が今回ティッカロ君を呼ばなければ、君は終わってたんだよ」
「やっぱりお前の差し金だったか」
岩谷は頭を抱えた。
「なんだよ、私と分かったとたん、そんな態度をとって。君が本当に危険だと思ったから、頑張って町の人たちも気づかないように森の中でワープまでさせたのにひどいよ」
そのことを言われた岩谷はさすがに悪いと思ったのか、少し照れた様子で謝罪する。
「わ、悪かったよ、ありがとう、さすがに今回はお前の助けがなかったらどうなっていたか、お、お前がいてくれて、よ、良かった」
「ぷっアハハ、そうやって素直になっていれば可愛いのに♪」
ローキットは上機嫌だった。
「クソっ、もう二度と言わねえ!」
「残念でした、もうさっきの全部録音してまーす♪」
「なんでこんな時だけ準備がいいんだ!」
「ぐふふ、これがあれば、岩谷は私の言いなりだね」
「人の弱みを握ってんじゃねえ!」
「これを消して欲しかったら、分かるね♪」
「絶対ロクなことにならない未来しか見えないんだが」
「アハハ、じょーだんだよぉ」
「全くこいつは……」
俺が呆れていると。
「ん? 治以外に誰かいるのか?」
スティーブが部屋に入ってきた。
「い、いや別に何でもないぞ」
「そうか、何だか賑やかだったから、誰か他に部屋にいるのかと思ったのだが」
めんどくさいから、こいつのことは言わない方がいいかもな。
「あーいや、それはたぶん俺の寝言だ」
「そうか、起こしたのなら悪かったな。こんなことなら部屋を分けた方が良かったな」
「いや、別にそこまでは……」
「まあいい、それより、今後についてなのだが今回の戦闘で「あー」の国は我々を警戒しているからすぐに「うおー」してこないはずだ」
ーー⁉ 何だこれ⁉ そうか、パチ神か、頭の中でパチ神の声が邪魔して来てスティーブが何を喋っているのか聞き取れないじゃないかぁぁぁ!
内容が全く入ってこない岩谷を差し置いてスティーブは話を続ける。
「それでだ俺たちは今後「ひゅー」国の「ウェイ」を調べようと思うのだが、異論はないか」
ーーいや、ひゅー国のウェイっていったいなんだあぁ!
「ん? どうした?」
スティーブが不思議そうにこちらを見る。
「い、いや大丈夫だ問題ない」
俺は決め顔でそう言った。
「そ、そうか、そしてその作戦についてなんだが、「イエーイ」に「べろべろバー」にて俺と「ばぶぅ」で「腹パン」任務にしようと思う」
ーーうん、ほとんど聞き取れないね、しかも腹パン任務って……さっぱりわからん、あークソニヤニヤするパチ神の姿が目に浮かぶ。
「そして細かい詳細なんだが「あ、そうそうスマホ新しくしたいんだけどぉ、みんなiPhoneだし、私もiPhoneの方がいいかなって、でもでも、iPhone高いし、最近他のメーカーでもいいのあるって聞くし、どう思う? 岩谷ぃ」ってことなんだがわかったか?」
「さっきからうるせえ! パチ神ぃ! だいたいお前スマホなんか、使ったことねえだろ、そもそも俺が生きてた時代にもねえよ!」
「いきなり、どうしたんだ? 治」
スティーブはいきなり叫けび始めた岩谷にびっくりしてこっちを見ている。
「あ、いやこれは……こっち話っていうか」
岩谷は汗をダラダラ流し、スティーブから顔を逸らす。
「こっちの話?」
スティーブはジロジロと疑いの目線を俺に向ける。それに耐えられなくなった俺は暴露する。
「あーもう! パチ神、スティーブにも分かるように声を送ってくれ、埒が明かん」
「えー面白いしこのままでいいじゃん♪」
「よくねえ、これじゃあ俺が頭の中の人としゃべる可哀そうな人になるだろが」
「じゃあ、「憐れな私のためにお願いしますローキット様」って言ったらやってあげる♪」
「そういえばお前の名前そんな名前だったな」
「普通にひどっ、もういいから言うの言わないのどっち?」
「絶対言わねえ、これ以上弱みを握られたまるか!」
俺はキレた。
「仕方ないな、そこまで言うなら優しい私は応えないわけにはいかないなあ♪」
「言ってないのにあいつの中では俺が言ったことになっているんだが!」
岩谷が衝撃を受けていると、ローキットはスティーブの頭の中にも声を届ける。
「えーっと聞こえるかな? スティーブ君」
「な、急に頭の中に声が!」
スティーブは突然の声に驚き、首をブンブンして周りを見た。
「今、君の頭の中に直接話しかけているよ。岩谷の記憶を体験した君はわかると思うけど、私はローキット・ハイエルン、観測者だ、今日ティッカロ君や町の人を誘導したのは私だ」
ローキットさっきのように高いテンションではなく、突然、落ち着いた調子でスティーブには話しかける。
「あ、あなたが本来の私の世界の観測者ですか……この度はご協力感謝いたします」
「……うん、まあ別にこれ以上話すことはないんだけどね。それにまだまだこの世界に長時間通信はできないから、そろそろ切れちゃうわ。私がそっちに行くにはまだまだ時間かかるけど、それまで頑張ってね」
また気の抜けた調子に戻ったが、さっきの様子が効いたのかスティーブの態度はまだかしこまったままだった。
「はい、観測者様」
「あースティーブこいつに様はいらんぜ」
「いや、でも俺たちにはとても恐れ多い存在だぞ」
「いやいや、こいつにそんな威厳ねえよ」
「えーでも、私が本来の姿になれば岩谷でもビビッてズボンを濡らすこと間違いなしだよ」
「絶対ねえよ、てかお前が来る前に全ての国落としておいてやるよ」
「せいぜい私が楽になるように頑張ってね! じゃあまた連絡するよ。バァーイ」
「ああ、またな」
「お元気で観測者様」
「うん、うちの岩谷をよろしくね、スティーブ君」
「お前は俺の母ちゃんかよ」
「はい、任されました」
するとローキットの声が聞こえなくなった。
「はあ、やっと帰ったぜ」
「厄介そうにしてるが、いい人じゃないか、いや人じゃないか」
「……かもな」
俺はボソッとそう呟いた。
「え!」
スティーブは目をまん丸にして驚く。
「な、何でもねえよ」
この度はキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回は岩谷とローキットとの会話と木の国を少し深堀りしましたね、また、鋼の国は同盟を持ち掛けて来ましたが、岩谷たちはそれを今後どう判断していくのでしょうか?
続きが気になった方は次回も読んでいただけると幸いです。
今日のキングバック
キングバック紹介編
ステータスA+~E-
ウッドハザード
パワーB、スピードC、特殊エネルギー性A+、行動距離D、耐久性B、精密性D
木の国の幼い少女チイラが使うキングバック、木がキングバックではなく、本篇では一切登場していないが、本体のキングバックは地中に潜っている。
森の木や根っこなどはこいつが地中から生やしている物、木で作った少女人形のような見た目だが、地中に潜るために、服は邪魔であり、潜っているときは基本全裸である。
外に現れると瞬時に木で服を生成する。
能力は本篇どうり、木を生やす能力、地中で木の根っこが本体のキングバックと繋がっているため、木に触れたりするとすぐにバレる。なお、根っことを本体のキングバックから、切り離したとしても、多少は繋がっている模様。
兄妹や母なども同じ能力のキングバックを持っており、彼らは木の国の森を管理している。




