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キングバック   作者: 君子な在る虎
森林浴 デットチェイサー編 ~森の中を探検しよう! 命は保証しないけど~
30/205

舞う戦闘Part3

これは分割編集版です。

表現が多少変化していますが内容に変更はありません。

 キングバック10話「舞う戦闘」Part3



 ホルンはグロウシードの消滅をもって身体の力が抜け、その場に倒れる。


「クソ、こんな弱小国の奴らに俺がやられるなんて戦士の恥だ」

 ホルンは悔しそうに唇を血がにじみ出るほど噛む。


「まあまあ、そのうち俺らが全国統一するから、それまで捕虜となって見といてくれや」

「お前らに捕まるくらいならいっそのこと殺せ」


「別に拷問とかするつもりはないが」

 岩谷はケロッとした顔で首を傾げる。


「あーもういい! こんなことなら舌を噛んで死んでやるわ」

 ホルンは大袈裟に下を出して見せる。


「おい、早まるな!」 「自害はやめろ」

 俺たち二人がホルンの自害を止めようしていると突然この場にいなかった女性の声が森中に響く。


「そうですよ、あなたにここで死んで欲しくありません」

「誰だ!」


 森の奥から、深い緑色の身体に黒い模様が多く入っており、顔には尖った仮面をした大型タイプのキングバックが現れた。


 そのキングバックは両手には先端が毒々しい紫色に染まるレイピアのようなものを持ち、それをこちらに向けてくる。


「新手か、タンザナイトバタフライやれ」


 タンザナイトバタフライは光のエネルギーを放出しようとしたが、タンザナイトバタフライは急に力を失い、飛ぶこともできなくなり、地面に墜落する。


「あれ?」

「まずい、力の使い過ぎだ」

 スティーブは地面に伏して岩谷に告げた。


「ガス欠かよ。ヤバイ、そのせいかかなり疲れが一気に押し寄せてきた」

 岩谷は息切れを起こし、その場に膝を着いた。


「ホルン、あなた自害しようとしましたね」

 突然現れた大型タイプから怒った女性の声が聞こえる。


「は、はい」

 ホルンは震えた声で返事をする。


「はいじゃないです。勝手に死に場所を作らないで下さい」

「す、すみません女王」

 女王はホルンに説教を始め出した。


「な、こいつ、女王のキングバックか、本体はどこだ?」

「おそらく、少し離れた場所に隠れて操作しているのだろう」

「俺たちもう余力はないぞ」

「この場をどう切り抜けるか」

 岩谷とスティーブは少しの間作戦会議をしていたが、ある程度説教をし、満足した女王のキングバックは岩谷たちの方に顔を向けてきた。


「ホルン、この続きはまた後でします」

「……はい、わかりました」


「それで、あなたたちのことですが、ホルンを捕虜にしようとしていたようなので、それと同じ処置としましょう」

「(仕方ない殺されるよりはマシか)」



 そのとき、スティーブのすぐ後ろの木からノールが現れ、女王のキングバックに向けてノールの透明なキングバックが透明の糸を放出し始めた。


「こ、この二人は絶対渡すもんか!」

 ノールは怯えで震えていたが、彼の心の中に潜む勇気がノールを突き動かす。


「やめろ、ノールお前は逃げろ!」

 岩谷は大声でノールに逃げるように叫ぶ。


「僕は逃げない、この二人を連れていくなら、この僕を倒してからだ!」

 ノールの糸は女王のキングバックの腕に絡みついたが、それを軽く振り払った。

 そして糸は千切れ、その反動でノールのキングバック吹き飛ばされ、ノールもそれに連動し、激しく転ぶ。


「うわあぁぁ」

「頼む、逃げてくれノール」

 岩谷は悔しそうに頼んだ。


「嫌だ、絶対にいやだ! 他の大人はみんな自分の町が敵に侵略されていても見て見ぬふりだった、でも二人は命を懸けて、それを助けてくれた! 僕はもう逃げない! 二人が逃げなかったように僕は逃げない!」

 ノールの幼くも覚悟の籠った声が森に轟いたその時。


「そうっすよ、少年その意気っす」

 次の瞬間複数の回転したナイフが飛んで行き、女王のキングバックにヒットし、そのナイフの一本が爆発を起こした。


 女王のキングバックには傷一つ付いてはいない。

 だが、ティッカロやセンドウの町の人たちが次々と森の中から現れた。


 ティッカロは小走りで倒れているノールを抱きかかえてスティーブの近くに来る。


「ティッカロ何故ここに?」


「センドウに戻って来てスティーブさんがいないなぁと思っていたらですね、突然謎の焦った様子の声が頭の中に聞こえきて、岩谷とスティーブそしてノールって子供が危ないって、初めはおかしいと思ったんすけど、かなり切羽詰まった感じだったから、とりあえず、町の人を集められるだけ集めたんすよ」


「それにしては、到着早すぎるだろ」

「そうなんすよねぇ、異常に早く着くことが出来たんすよ。不思議ですよねえ。でもこの光景を見て下さい」

 すると今度は町の人々はスティーブと岩谷の前に壁になるように立つ。



「この人たちは町の英雄だ。あんたらが勝手に町に森を作っても、俺たちは見て見ぬふりをしていた。でも彼らは俺たちを助けてくれた。今度は俺たちが助ける番だ」


「若者たちがこうして頑張っているのに俺たち大人が怯えている場合じゃあないよなあ!」


「そうよ、彼たちをやるなら先に私たちを殺しなさい」


 皆が一丸となって束になっても敵わない敵を睨む。この光景を見て女王は


「……一般市民を殺す気はない、フンっ、日頃の行いに感謝することだ。だが、見逃すのは今回だけだ。次に同じことをされても今度はまとめて殺す。次までに戦場に一般人が入り込まないように教育しておけ」

 こう言い残すと女王のキングバックはホルンを雑に回収すると去っていった。




「た、助かったー」

「奇跡だわ」

 町の人々はその場に腰を下ろし、安堵していた。


「ああ、これはまるで奇跡だ。だが、まだまだ謎も多い、それにやらなくちゃいけないことも多いな」

「そうだなスティーブ、俺もキングバックを上手く制御出来るようにならなくちゃ。でもとりあえず今は」

「ああ、みんなでセンドウに帰ろう」



 この後岩谷たちは疲労が溜まっていたこともあり、かなりの時間をかけて森を抜け、センドウに無事に帰って行った。


 そしてセンドウの町の人たちに無事を喜ばれ、町の人たちとひと時の宴を上げた。


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

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