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キングバック   作者: 君子な在る虎
森林浴 デットチェイサー編 ~森の中を探検しよう! 命は保証しないけど~
29/205

舞う戦闘Part2

これは分割編集版です。

多少表現が変化していますが内容に差はありません。


 キングバック10話「舞う戦闘」Part2



「クリサリスストーンズ、俺の思いに応えてくれ」


 するとクリサリスストーンズの内から光が漏れ、岩が崩れ落ち、中から大型タイプにしては小柄で細い四肢であり、青い宝石のような模様がある大きい蝶のような羽を持つ、そんな美しいキングバックが現れた。


 その姿は青く美しいだけなく、神秘的で、高貴、そして冷静さをも感じさせた。


「美しい色だ。俺だけじゃこの色は出せない。スティーブの色も入っている。よし、今その姿に名を付けよう、こいつの名はタンザナイトバタフライだ」

 タンザナイトバタフライはその美しい姿を輝かせながら、岩谷の前に佇んでいる。



「蝶だと! 話ではカブトムシと聞いていたが、複数に変化するタイプは聞いたことがない。岩谷、お前は一体? 俺は化け物を誕生させたのか?」

 ホルンは岩谷のキングバックの異常さに狼狽えていた。


「かもしれないな、ホルン、お前は治の秘めたる力を目覚めさせたのかもしれない」

 スティーブはホルンにそう告げる。


「ちっ、蝶がなんだ、前より身体自体は小さくなっているじゃないか。再び種を埋め込んでやる!」

 グロウシード・Sはタンザナイトバタフライに種を埋め込むために近づいたが、タンザナイトバタフライは大きな羽で空を飛んだ。


「身体は小さくていい、空を飛ぶなら今までの形態では重すぎる」

「空を飛んだからなんだ、くらえ!」


 グロウシードはタンザナイトバタフライに向けて種を投げた。

 そしてその後すぐにグロウシードは投げた種に転移し、タンザナイトバタフライに攻撃を仕掛けたが、タンザナイトバタフライは今までの姿では考えられないほどのスピードでグロウシードの攻撃を華麗に避けた。


 そして、空振ったグロウシードは地上に着地する。


「なるほど、空を飛ぶ感覚はなんとなく、掴んだ」

「かなりの速度だ、とても大型タイプの速度ではない。だが、その速度と引き換えにその貧弱な身体パワーはかなり落ちているはずだ」

 ホルンは冷静にタンザナイトバタフライを分析する。


 事実タンザナイトバタフライの腕は細く小さい。そのことから、とても接近戦を挑めるキングバックでない。


「ならば光の一閃だ」

 疑似太陽から、光の柱が落ちタンザナイトバタフライはこの光のエネルギーを吸収し、発光し始めた。


「なんだ、あの状態は近寄るのはまずそうだな」

 ホルンはグロウシード・Sを自分の元に引き戻す。


 しかし、タンザナイトバタフライはすぐグロウシード・Sに近づき接近戦を仕掛けた。


 突然の接近を警戒したグロウシード・Sは距離を詰められないように辺りに散らばめていた種へ転移を繰り返したが、転移をそう連続で使えるわけはなく、すぐに追い詰められた。


 そして追い詰められたグロウシード・Sはレンガを纏った左拳のパンチでタンザナイトバタフライの右ストレートを受け止めた。強い衝撃波が辺りに走る。


 今度はグロウシード・Sがパワー負けし、左手のレンガに亀裂が走り、レンガの一部は崩れ落ちてしまった。


「ぐ、この感覚、左手はもう使い物にならないな」

 ホルンの言葉からレンガだけでなく、グロウシード・Sのその左腕の中身もダメージを負ったようだった。

 しかしこの攻撃を最後にタンザナイトバタフライの発光は消えてしまう。


「光の一閃の効果時間切れか、思ったより短かったぜ」

 だか、岩谷に焦りは見えない、何かを掴んだような表情だった。


「左手はやられたが、代わりに矛は失ったようだな」


 ーー他に何か、こいつの能力があるような気がするんだが、さっき光の一閃を受けたとき、特に手や羽からエネルギーが漏れ出しそうな感覚が確かにあった。

 もしかするとこれを活かせるかもしれない。


 光の一閃はそう何度も使えない。思い出せ、さっきの感覚を、エネルギーを外に押し出すイメージを、さあ応えてくれこのビジョンを再現してくれ、タンザナイトバタフライ!


 岩谷は両手を強く握り、がに股のように足を広げ眉間にしわを寄せていた。


「うぐぐ、頼む出てきてくれぇ」

「何をしているんだこいつは、ここに来て神頼みか?」

 ホルンは警戒して岩谷に近づこうとしない。


「(治は決して神頼みをしているのではない、あの行為には意味がある。何か……言わないが出しそうな態勢だが)」

 スティーブは岩谷を信じて見守る。


 するとタンザナイトバタフライの四つある羽のうち正面から見て左上に付いている羽の真ん中に描かれている大きな宝石のような模様から、黄色く光るエネルギーのような物が発射された。


 もちろんたまたま出たもののため狙いはめちゃくちゃだったが偶然その光が当たった木に穴を開ける。


「なんだ今のは!」

 ホルンは突然羽からエネルギー弾のようなものが出たことに驚きを隠せない。


「うーん、俺もよくわからんが、きばってみたら出た」

「そんなう〇こみたいな原理で出したのか、お前は」


「おいっ、ホルン! 俺がわざわざ伏せたことを言葉にしよって!」

 スティーブはホルンの言った言葉にツッコむ。


「外野のスティーブは黙ってろ!」

 ホルンは怒った様子でスティーブに言い放った。


「な、なんだと!」

 さらにホルンとスティーブとの間で喧嘩が起きそうだったが、子供のように嬉しそうな岩谷の声が二人を振り向かせる。


「おい、みんな、出す感覚を覚えたから、羽からはいっぱい出せるぞこれ!」


 二人が岩谷とタンザナイトバタフライを見たとき、タンザナイトバタフライの四つの羽の模様全てから光のエネルギーが途切れ途切れに放出していた。

 しかしその光の狙いはバラバラで簡単に言うと乱れ撃ちだった。


 突然発射されるエネルギー弾をグロウシード・Sは必死に避けていた。


「な、狙うならしっかり狙え! 余計に避けずらい!」

「だったら避けなくていいんだぞホルン」

 横からスティーブが茶々を入れる。


「うるせえスティーブ! 横からごちゃごちゃ言うんじゃない!」

「うーんまだ、操作が難しくて乱れ撃ちが限界だな、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってことで」

 だがこれをグロウシード・Sはなんとか紙一重で回避し続ける。


「これならなんとか、避けれるくらいだな」

「だったら、その動きを封じる!」


 スティーブは少ない力を振り絞ってボロボロのサーセイバーを動かし、右手に持っている剣をグロウシードに向けて投げた。


 その後全ての力を使い果たしたサーセイバーは消えてしまった。

 しかし、このサーセイバーの最後の一撃をグロウシードはまだ剥がれずにレンガが残っていた、左肩で防ぎ、その剣は惜しくもそのまま地面に突き刺さった。


「バカめ、お前が割り込んでくることは想定済みだ」

 ホルンは得意げに笑ったが、突然グロウシードが何かに引っ張られるような様子で動きが鈍くなる。


「何が起こった! クソっ何をしたスティーブ!」

 ホルンは笑みを浮かべるているスティーブを睨んだ。


「なに、ただの二段構えなだけだ。剣が当たればよし、剣をはじかれたときの保険を用意したまでだ」

「保険だと?」


 ホルンは何が起きているかわからない様子だったが、光のエネルギーがグロウシードの付近に落ち、強い光によりホルンは細く伸びる糸を発見し、グロウシード・Sが思うように動かない理由を理解した。



「糸か、剣に透明の糸を纏わせていたな。あのガキ、いつの間にかスティーブに糸を渡していたというのか!」


 ホルンは糸が原因と気づいたが、時は既に遅く、運よく当たっていなかった、光のエネルギーの一つは見事グロウシードの右胸部に命中し、その胸をえぐるとグロウシードは少し吹き飛ばされた後、しばらくして消滅した。


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

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