舞う戦闘Part1
木の国のNo.2ホルンと遭遇したスティーブは激闘を繰り広げた、しかし、最終的にはたまたまその場に居合わせた少年ノールを逃がすべく、スティーブはホルンに捕まってしまった。
そして岩谷はノールと共に、スティーブを助けるべく、ホルンを追いかける、途中木の国の兵士と遭遇するが、これを難なく退け、二人はとうとうホルンを見つけ出し、追い詰める。
岩谷たちはホルンからスティーブを取り返すことが出来るのだろうか?
キングバック10話「舞う戦闘」Part1
岩谷たちはスティーブをさらったホルンを追い詰め、そしてついに岩谷とホルンの戦いが幕を上げる。
「さてホルン、お前がどうやってスティーブのサーセイバーを倒したか、ある程度はノールから聞いた。お前の手の内はバレている。お前に勝ち目はないぜ」
自信満々な岩谷にホルンは少し小馬鹿にした態度で言う。
「確かに、俺の使う能力はバレてる。それにそっちは大型、こっちは小型。こちらは不利だ。だが俺は巷では小型最強と言われているらしいな、それは何故だと思う?」
「なんだよ」
「そいつぁ、対面してからのお楽しみだな」
そしてホルンはすぐさまグロウシード・スティッキーホルンを出し、クリサリスストーンズと対面する。クリサリスストーンズは大きい拳で押しつぶすように攻撃する。
しかし、グロウシード・Sはこれを華麗に避ける。
それから、何度もクリサリスストーンズは攻撃を繰り返すがグロウシード・Sにはかすりもせず、その姿はまるで闘牛士のような余裕あるものだった。
「アハハ! 遅すぎる。スティーブと戦った後だからか、余計に遅く感じてしまう気がするな、ちゃんと本気出して狙ってるか? この鈍間」
ホルンは岩谷を起こらせるように煽る。
「なんだと!」
岩谷はイラっとしたことで、クリサリスストーンズの攻撃はより単調な大振りになってしまう。
「おいおい、さっきより避け易いこと極まりないなぁ、もうちょっと冷静に行こうぜ、とりあえずこれでもくらって、落ち着きな」
グロウシード・Sはクリサリスストーンズの攻撃を避けたあと、攻撃を繰り出した後のクリサリスストーンズの右手にすっと種を埋め込んだ。
すると、種を植え付けたクリサリスストーンズからエネルギーをグロウシード・Sは吸い上げ、グロウシードの身体はより活力が溢れ始めているように見えた。
「おお、いいねえ、こんなに力が溢れるのは初めてだ。サーセイバーと岩ゴリラのスピードと力が一緒になるなんてな」
ホルンは片目が隠れて見えないが、それでも1度に二体のキングバックの力を吸い、高揚しているようだった。
「これ以上はまずい、やれ、クリサリスストーンズ!」
「遅い、もうそこにはいないさ」
クリサリスストーンズが右手を持ち上げ、次の攻撃を行おうとした次の瞬間、気付いたときにはグロウシード・Sの姿は先ほどの場所にはなく、種を植え付けたクリサリスストーンズの右手に転移していた。
グロウシード・Sはクリサリスストーンズの右腕の上を走る。
「振り落とせ!」
「だから、遅いって言ってんだろう?」
グロウシード・Sは捕まえようとするクリサリスストーンズの左手を軽く避け、今度背中に回り込み、そのまま背中に二個目の種を埋め込んだ。
「く、二個目まで」
「まだだ、さらに追加だ」
さらに、背中から飛び降りたグロウシード・Sは近くにあったクリサリスストーンズの左足にもさらに種を植え付けた。
これによってクリサリスストーンズはフラフラとよろける。
「やばい、明らかなパワーダウンを感じる(なんでこんなに上手くいかないんだ!)」
「今なら、いけるかもな、そらぁ」
グロウシード・Sはクリサリスストーンズの足に向けてレンガを纏った右足を高く振り上げた強烈な蹴りをおみまいする。
クリサリスストーンズはこの蹴りでバランスを崩し、倒れた。
そしてその蹴りを入れられた左足には大きなひびが入ってしまっていた。
「やりやがったな。こいつ!」
クリサリスストーンズはすぐに態勢を立て直し、パンチを繰り出す。
グロウシード・Sは今度はさっきのように躱そうとせず、左手のパンチを合わせる。
二つのパンチがぶつかったとき、辺りには物凄い衝撃波が走った。
10mを超える大型タイプと人間より一回り程度の大きさしかない小型タイプ、その2つの拳が対等にぶつかり合う光景は異様であった。
しかし、先ほどの対等と言うには語弊がある、なんとクリサリスストーンズの手に亀裂が入る。
そう、押し負けたのだ。
「お、俺のクリサリスストーンズがパワー負けした! 小型で大型のパワーをも手に入れやがった。な、なんて野郎だ!」
ーークソ、三個も埋め込まれたから、なんだか、ひどく疲れる。これが奴の能力、侮った俺のせいだ。
「さあ、どうする?」
「ならば、これだ!」
クリサリスストーンズは手を天に掲げた。そして辺りが少し明るくなり、太陽圧力が放たれようとした。
「押しつぶせ、太陽圧力!」
太陽圧力を放たれようしていたが、態度は変わらず、ホルンはいたって冷静だった。
「なら、お前の身体に転移すれば問題ない」
グロウシードはクリサリスストーンズの背中に転移した。
だが、岩谷はニヤリと笑った。
「そう来ると思ったぜ、だからよぉ、太陽圧力の座標はクリサリスストーンズにしている」
太陽圧力が放たれ、クリサリスストーンズに身体には物凄い圧力の光の柱が浴びせられる。
太陽圧力を撃ち終わり、辺りには煙が舞った。
「やったか?」
しかし、岩谷は自分の目を疑った。
グロウシード・Sはホルンの傍に悠然と立っていたからだ。
「惜しかったな、俺の行動を予測した攻撃、実にブラボーだ。だが、俺自身が種を持っていることは予測できなかったみたいだな」
ホルンはポケットから種を出して見せた。
「こ、これもダメなのか」
「どうした? 次は何かないのか? いやあるよな、チイラたちを追い込んだ、あれがあるんじゃないのか、ほら出せよ早く」
ーーダイヤモンドビートルを使うか? だが、こいつ相手に通用するのか? いや、マイナスのことを考えるな。今の俺にはこれしか残ってない!
「脱皮しろ!クリサリスストーンズ」
岩谷は力強く叫んだが、クリサリスストーンズは応えない。
「ど、どうした?脱皮しろ、何故だ。何故できない!」
岩谷は焦った様子だったが、これにホルンは何かを悟ったような様子で言う。
「なるほど単純なことだ、お前が本能で俺に勝てないと自覚しているんだ。故にキングバックはそれに応えない」
「そ、そんなことは、ない、はず、だ」
岩谷は言葉ではそう言っていたが、どんどん声が小さくなっていった。
「いやそんなことはない、でなければ出来ないはずがない、こうなったお前にもう成長はない」
「お、俺に成長がないだと」
「そうだ! お前はもう心の中では諦めているんだよぉ!」
ホルンは岩谷に対して言葉で追い討ちをかける。
しかし、これは有効なのか?
いや、違う、私の知る岩谷という人間はピンチのときほど、強くなる。
「く、はははははは」
突然岩谷は顔を押さえ笑い始める。
「な、なんだ? こいつ、突然笑い始めやがって」
「ははは、いやいやすまん、ちょっと面白くってな」
「面白い、だと?」
「ああ、お前は俺を煽って冷静さを欠かしていたな、だが、今に限ってはそれはむしろ逆効果だ、そこまで言われちゃあ引くわけにはいかねえよな、諦めるわけにはいかねえよなぁ!」
岩谷はさっきと打って変わっていい表情で叫ぶ。
「……どういう神経構造してんだ、こいつは普通あそこまで、言われたら折れるだろ」
ホルンは奇異な視線を岩谷に送る。
「はっ、俺は迷わねえって前に決めたんだ、諦めなかったら、いつかお前に勝てる!」
「……実力差ってもんがあんだろうが! くそ、諦めなかったら、なんとかなるだと、そうそう現実は甘くはねぇんだよ!」
ホルンの心の奥にある何かの逆鱗に触れたのか、今度はホルンがぶちギレ始めた。
「それでいい、治! お前はそれでいい!」
気絶していたスティーブは地面に伏せていたが、意識を取り戻し、右腕で身体を少し起こして叫んだ。
「スティーブ!」
「こいつ、もう起きて」
ホルンは少し青ざめた表情でスティーブを見る。
「治、お前は自分の思う道を突き進め、もし何か治の道に穴があるのならその穴、俺が埋めよう。治、もし今後自分を信じれなくなっても、お前を信じるこの俺を信じろ! だから、迷わず前へ進め!」
スティーブの言葉は少しでも迷いを感じた俺の心を正す。
「なんだよ、本当は俺が、リーダーのスティーブを支えるつもりだったのに結局、俺が支えられてしまったな」
岩谷は少し照れた様子だった。
「お互い様だ、一人では出来ないことも、俺たち2人なら、乗り越えられる!」
スティーブは少し辛そうだか、大声で叫ぶ。
今の俺は強く、スティーブとの絆を感じる。
俺の中で何かがはじけたような気がして、頭の中にどこか聞いたことのある声が聞こえる。
「岩谷治、貴様はスティーブとの絆を今ここに確立した、これは貴様にとって紛れもない成長の証である。さすれば今の貴様に何が出来るか、自分の心の内に問うがいい」
そう告げると頭の中の声は聞こえなくなった。
「ふふふ、わかったよ、なんだよ、簡単なことじゃねえか、ありがとうスティーブ俺は前に進むよ」
俺はまた以前と違う自信に満ち溢れていた。
俺を肯定してくれる存在がいる、それがこんなにも心強いとは、いや、スティーブだから、心強いのかもしれない、今の俺ならクリサリスストーンズを脱皮させることが出来る。
俺の成長の証を今ここに。
「クリサリスストーンズ、俺の思いに応えてくれ」
するとクリサリスストーンズの内から光が漏れ、岩が崩れ落ち、中から大型タイプにしては小柄で細い四肢であり、青い宝石のような模様がある大きい蝶のような羽を持つ、そんな美しいキングバックが現れた。
この度はキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回で10話目です、個人的にはあっという間に来てしまったなぁという感じです。
大体のラストは考えているのでここまでで約全体の2割くらいかなと思っています。
今回の内容に関してですが、岩谷のクリサリスストーンズの進化先にタンザナイトバタフライが追加されました。
こんな感じでクリサリスストーンズは他のキングバックと違い、複数の姿に変わるという能力があります。いろいろと条件が存在するのですが、その辺は追々ということで。
因みにタンザナイトバタフライのタンザナイトというのは現実に存在する青い宝石の名前で、石言葉は「誇り高き人物」「高貴」「知性」「冷静」「希望」などであり、気持ちを落ち着かせたり、冷静にさせると言われています。
次回からはまた、木の国とは一旦距離を離れ、別の国と渡り合って行くことになります、次回も読んでいただければ幸いです。
今日のキングバック
豆知識編
キングバックにおけるちょっとした裏設定的なものを今日は解説します。
まず、キングバックには大きく分けて大型タイプと小型タイプというものが存在します。
単純に大きさで分けており、大型タイプは10m前後、小型タイプは人間サイズに近いものです、しかし小型タイプに関してはそこからさらに分類が分かれますが、今回は省略いたします。
そして基本的にはキングバックは大型タイプのほうが攻撃力防御力に優れ、小型タイプは基本的に大型タイプには不利です。
しかし、今回のようなホルンは初期状態では不利ですが、能力を行使することで、大型タイプ相手に互角以上に戦うことが可能なので、一概に大型タイプが強いわけではありません。
また、今まで紹介したキングバックにはステータスというものが存在していましたが、これは同じタイプ同士の戦闘におけるステータスであり、大型タイプと小型タイプ同士ではステータスに補正が掛かります。
具体的に言うと、大型タイプはスピードが2ランクダウン、小型タイプはパワーと耐久性が2ランクダウンすることで、同等となるわけです。
ここで、今回の戦い何故、岩谷のクリサリスストーンズがホルンのグロウシード・スティッキーホルンに対して何も出来なかったのかを軽く解説します。
クリサリスストーンズのスピードランクはCです、一見平均的に見えますが、DやEのキングバックは圧倒的に数が少ないため、大型タイプ全体でみるとクリサリスストーンズはかなり遅い部類に入ります。
そしてグロウシード・スティッキーホルンのスピードランクはAです。これはかなり速い部類です。
つまり、この両者が戦うことになると、クリサリスストーンズのスピードランクはEランクまで低下します。
普段ただえさえ遅く、攻撃を当てることが難しい、クリサリスストーンズが相手にするには分が悪過ぎる相手です。
逆にグロウシード・スティッキーホルンの耐久性はAです。これが2ランクダウンし、Cになります。
それに対してクリサリスストーンズのパワーはA、大型タイプですら、一撃でノックアウトしてしまうクリサリスストーンズのこのパワーは正直オーバーキルもいい所です。
つまり、今後岩谷は大人しく大型タイプだけを相手にしましょう。
今日はここまでです、正直ここまで読んでくれた方はどれだけいるのか分かりませんが、少しでも今後のキングバックを楽しんで読むことが出来るようになったのなら幸いです。
それではまた次回でお会いできるのを楽しみにしております。




