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キングバック   作者: 君子な在る虎
森林浴 デットチェイサー編 ~森の中を探検しよう! 命は保証しないけど~
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木とクモの包囲網Part1

センドウに潜む木の国の敵たちとの戦闘を終えた、岩谷とスティーブは今度は自分たちが木の国に侵入しようと考える。

スティーブは今のタイミングで敵は岩谷たちが侵入して来ないと考えるだろうと判断していたが、木の国のNo.2ホルンはそれを予期し、侵入しようとするスティーブを襲撃する。

素早い動きのサーセイバーでホルンを追い詰めるスティーブだったが、ホルンのキングバック、グロウシード・スティッキーホルンは互角の戦いをする。

埋め込んだ相手から力を吸い取る、グロウシードの種やサーセイバーが隠し持っていた短刀など互いの切り札を切りながら、戦いは進む。

どちらも大きく疲弊し、戦いは一時中断となる、そのままセンドウに帰ろうとするスティーブだが、その後ろにはまだホルンが襲撃のチャンスを伺っていた。

 キングバック9話「木とクモの包囲網」Part1



 スティーブとホルンの遭遇戦は痛み分けに終わった。


 傷つきセンドウに帰還しようとしていたスティーブだったが、その後ろにはさらに追撃しようとホルンが後をつけていた。


「(人目がつく町に戻るまでにスティーブを捕らえたいな、グロウシードの右腕は切断されたが、幸い切り口はきれいだ。奴に近づき再びエナジードレインの有効距離に入れば、サーセイバーの左足に残っている種から再度吸収し、右腕は再生可能だろう。だが、正面突破は奴がどこまで動けるかわからん以上リスクがある、あれは今の状態の俺なら一回が限界だ。安全に帰還するためにあれは使いたくない)」

 ホルンは警戒しながらスティーブの後ろをつける。 


 スティーブは誰かが後をつけていることに気が付いており、常に一定の距離を取るように歩いていた。


「さっきから誰か、後をつけているな。なんとかして、町に戻らなければ……! これは⁉」

 すると、スティーブは突然岩陰に隠れた。


「なんだ⁉ 奴は何をしている? やはり、こちらの尾行に気づいているのか?」

 そしてしばらくホルンは遠くから様子を伺っていると、スティーブは岩陰から飛び出し突然走り出した。


「クソ! まだそんな元気が奴に残っているとは! このままでは逃げ切られる! 後生だがあれを使う!」


 あれを使うとホルンが覚悟を決めたとき、グロウシードのレンガに包まれた左手のひらが緑色に光始めた。そして次の瞬間ホルンとグロウシードはその場から消えた。


 消えたと同時にグロウシードの左手はサーセイバーの右脚を掴んでおり、頭を下、足を上に上下が反転した状態で、スティーブの元まで瞬間移動をしていた。

 グロウシードはそのままの態勢でサーセイバーの左肩に右足で強烈な蹴りを入れた。


 サーセイバーの左肩はバキッと大きい破壊音を鳴し、サーセイバーは蹴り飛ばされる。そしてスティーブもこれに連動して引っ張られる。


「がっ、左が完全にやられた」

 サーセイバーの左肩はプラーンとしており、スティーブの左腕も連動して、動かなくなっていた。


「ホルン、まだこんな能力を隠し持っていたのか……」

 息が上がりながら、スティーブはホルンを睨んだ。


「悪いな、あんまり能力を見せびらかすのは好きじゃないんだ」

「まだだ、俺のサーセイバーはまだ剣を持てるぞ」

 サーセイバーは右手で剣を持ち、構える。


「いや、さすがのお前も終わりだ。今のお前はもう種の有効範囲内だ」

 ホルンがそう言うと、 サーセイバーとスティーブは再び凄い脱力感でその場に倒れてしまった。


「な、まだこの種は機能しているのか」

「ああ、その種は取り除かない限り、永遠にエネルギーを吸い続ける。それに有効範囲から、離れてもその間の利息がついていく、つまり一気に距離を詰めるとそれまでの分のエネルギーを奪える」

「く、くそ俺はこんなところで……」

 そう言い残すとスティーブは気絶し、サーセイバーが消滅する。


「やれやれ、ここまで俺が確保するのに苦戦した奴は初めてだ。だが、これで初めての脱落国は太陽だな。他の奴に見つかる前に帰るか。くそ、こっから徒歩かよ」

 グロウシードは切断された右腕をくっつけると、スティーブを抱えて、木の国の方角へ歩て行く。



 30分後、岩谷がセンドウに戻ってきた。

「急いで戻ってきたが、どこにもスティーブの姿がない。町の人にも聞いて回ったが誰も見てないなんて、くそ、まずいな、もしこのままリーダーのスティーブがやられたら、この国は負けだ。それは絶対だめだ。こうなったら俺一人でも突撃するか?」

 岩谷が大きい独り言をしていると一人の男の子が岩谷の服を引っ張った。


「ん? なんだ?」

「僕、スティーブさんがどこに連れていかれたか、わかるよ」

 岩谷の服を引っ張る10歳そこらの深い青髪の少年はスティーブの居場所を知っていると言う。


「ホントか! どこだ!」

 岩谷は青髪の少年の肩を強く掴む。


「う、うん、僕のキングバックの能力で今どこにいるかわかると思う」 

「お、お前みたいな子供がキングバックを使うだと?」

「や、やっぱり信じられないよね、町の人に伝えても誰もスティーブさんを助けに行くのを手伝ってくれないんだ」

 すると青髪の少年は下を俯く。


「一体何があったんだ? 教えてくれ! あ、そうだ俺は岩谷治、お前は?」

「僕はノール。30分くらい前に僕はクモを探して、少し町から離れたところの岩陰にいたんだ」


「クモ?」

「うん、僕のキングバックは糸を使うから、勉強になると思って、そしたらボロボロのスティーブさんが歩いて来たんだ。そのときのスティーブさんは誰かに追われているみたい感じだったんだ」


「なるほど、敵と戦闘になった後、この町に戻ろうとしていたわけだ」

「うん、でもそのときスティーブさんは僕が岩陰にいることに気が付いたんだ! まだ敵は僕の存在に気づいていないらしくて、もし、敵に僕が見つかったら口封じに殺されるかもしれない。だ、だからっ、スティーブさんは僕を逃がすためにあえて目立つ行動を取って、それで捕まっちゃったんだ!」


 少年ノールは真剣な表情でこちらに訴えかけてくる。

 その目はとても嘘をつくようには思えないように俺は感じた。



「なるほど、スティーブらしいな」

「僕のせいなんだ。僕があんなところにいたから、スティーブさんは」

 すると岩谷は涙目になるノールの頭を優しく撫でた。


「いや、お前は悪くねえ、スティーブにとってお前を助けたのは普通なんだよ」

「ふつう?」


「ああ、スティーブにとってお前を助けるために行動することは普通なんだ、たとえそれに命がかかっていてもな。だから助けられのは当たり前として受け入れろ。気にすんな」

「で、でも」


「あーもう! これじゃ話が進まねえ、それでなんでお前はスティーブの居場所が分かるんだ?」

「それはこの僕のキングバックで糸をつけているからだよ」

 ノールは自分の横に指を指したが、そこには何も見えなかった。


「何も、ないが」

「いるよ、ここに僕のキングバックが、透明で見えないけど」

 ノールは手で表現しようとしているが、そこには何も見えない。


「ん~、見えないな」

「なんで見えないんだよ。だからみんな信じてくれないんだ」


「……それで、どうやって糸をつけたんだ?」

「敵の人、スティーブさんを抱えて歩いていたとき、酷く疲れていた感じだったから、バレずにいけると思って岩に隠れて近くに通ったときにスティーブさんの身体に糸をつけておいたんだ」


 ーーこんな子供が敵にバレないように糸をつけれるものだろうか


 岩谷は腕を組み考え込む。

 

「僕を信じてよ!」

 ノールの声は真剣だ。

 

 ーーいや、普通、糸をつけられる状況でも、自分を危険に晒してでもスティーブを助けようとは思わない。


 岩谷は考えたのちに一つの考えにたどり着いた。そして笑って言った。


「俺にはお前のキングバックは見えない。だが、これは俺にとっての普通だ。お前には見える。それはお前には普通だ。だから、スティーブの命を懸けた行動に、勇気ある行動で返す。これはお前にとっての普通なんだな、勝手に俺の価値観でお前を見るべきじゃない。お前はお前だ」


「うん! 僕はこのまま何も出来ないのは嫌なんだ」

「よし! ついてきてくれ、スティーブを助けに行く」


「僕も、僕の力でスティーブさんを助ける」

「だが、危険なとこに行くんだ。いざとなったら逃げるんだぞ」


「わかったよ」 

「よし、今から俺はお前を一人の男として扱う。だから、俺とお前は対等だ。遠慮するなよ。お前という人間は尊敬に値するからな」


「いいの?」

「ああ、ノール、お前は普通出来ないことを当たり前にやってのけた。これはそう簡単なことではないんだ、心で分かっていても、それを実行するのとは別だ」


「そうなんだ」

「ああ、だが、大きくなってもそれをできるようにしとくんだぞ。うーん、あんま時間がねえな急ぐぞ、スティーブはどこだ?」

「こっちだよ」



 岩谷は少年ノールを連れ、スティーブを追う。

この度はキングバックを読んでいただきありがとうございます。

なんと木の国No.2のホルンにスティーブは負けてしまいましたね、今回でなんとか、岩谷はホルンに追いつきましたが、果たして岩谷は強敵ホルンを倒すことが出来るのでしょうか? 次の回にて決着がつきますので次回も読んでいただければ幸いです。

次回は来週の木曜日になります。


今日のキングバック

ステータスA+~E-

ハートシャッフル

パワーE-、スピードE-、特殊エネルギー性A、行動距離D、耐久性E-、精密性D

5話にて岩谷とスティーブを密室に閉じ込めた、宿屋のダンナことアッキの使用したキングバック、密室でしか行動出来ないという大きなデメリットを持ち、また直接戦闘能力も皆無なキングバック、しかし、密室かつ二人以上その部屋内にいるという条件を満たしてしまえば、部屋の中にいる人間の魂を強制的に入れ替え、記憶が混同している合間に相手の記憶を書き換えることが出来るというチートクラスの能力を持つ。

しかし、その能力者のアッキはその能力の危険性から、木の国を追放されていた(主にカムラのせい)。

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