最強の植木鉢Part2
これは分割編集版です。
多少表現が変化していますが内容に差はありません。
キングバック「最強の植木鉢Part2」
探索を開始から3時間後スティーブは
「かなり探したが、上手く侵入できそうな場所はないな、木ばかりだ、脇道すらないじゃないか。あの情報屋デマを言ったんじゃないだろな。あの時あいつの文には……」
スティーブはバルターから貰った文の内容を思い出す。
「木の国は都市の周りを全て森に覆われた国、いわゆる隠れ里だ。一見木ばかりだが彼らが出入りする脇道はたくさんある。もちろん彼らが利用する脇道だ、そこを通ることはリスクがある。しかし、木を勝手に倒すのはNGだ。木一本一本に神経のようなものが通っているから倒すとすぐばれる。だから、その脇道の使用頻度などを確かめ、安全なのか判断しなくてはいけないね。残念ながらどこが安全かまでは私でもわからない。よって侵入するなら安全かどうか自分で判断してね」
「って言ってたくせにそもそも脇道すら一つも見当たらない。奴の情報によると既に3つか4つはあってもおかしくないはずだが」
そんなスティーブの背後から土を踏む足音が聞える。
突然の足音にスティーブは振り返ると後ろには黒に近いほど深い緑色の髪で左目が前髪で隠れていて、俺と同じで24か25歳くらいの男が立っていた。
「誰だ、あんたは?」
「いや、いきなり、後ろに立ってすまんかったな。あんた兵士じゃろ、その身のこなし俺にはわかるぞ、職業柄色々関わるからの」
「……あなたの職業とは?」
「ああ、今はオフだから持って来てないが、いちお商人じゃ、最近まで木の国まで行ってたんだが、脇道はどうやらふさいでるみたいじゃぞ」
「なるほどありがとう、しかしなぜ今になって突然脇道をふさいだんだ?」
「そいつはな……」
男はスティーブに近づくとポケットから何かを出す素振りを見せる。
すると突然男が笑みを浮かべたと思ったら男の後ろから人影が現れる。
その人影は剥き出しの牙に、殺気立った目を持ち、そして頭部から茨が髪のように伸びていて、左上半身と右下半身はレンガに覆われ、反対の右上半身と左下半身には茨が巻き付いていており、獰猛さを表現したような姿のキングバックだった。
「お前みたいなやつがウロウロしてるからだ!」
男が出したキングバックは勢いよく左腕を振りかぶり、そのレンガを纏った左拳をスティーブに叩き込もうとする。
スティーブはすんでのところでサーセイバーを出し、剣でその拳をガードをした。
だが咄嗟のガードだったので上手く踏ん張れず、スティーブ共々後ろの木までぶっ飛ばされた。
「おいおい、今のを防ぐとはなかなか、やるねえ。かなりいい不意打ちだと思ったんだが」
「そうだな、だがお前の不意打ちは半分成功で半分失敗だ」
立ち上がったスティーブは鋭い目つきで男を見る。
「へえ、それはどうして?」
「確かにお前のキングバックのパワーや不意打ちのタイミングは完璧だ。だがお前は商人と名乗るには少し上品ではない。商人は本人の匂いに商品の匂いが混ざってるもんだ。だがお前は戦いに飢えた獣の匂いだ。お前は、戦士だ」
すると男は少し驚いたような顔を見せると、すぐに笑い出した。
「アハハ」
「何が可笑しい?」
「いやすまん、お前みたいな上物が簡単に殺ることができるなら楽だなって思ったんだが、俺が間違いだった。お前みたいな奴は正面から叩き潰すほうが、いいに決まってるわな」
「……同感だ」
「はぁ、そもそも、カムラに出来ないんなら、はなから俺には無理か。俺には俺の得意分野でやるべきだったな、うん、これは反省ものだな」
ホルンは腕を組んで頷いている。
「もう、自己分析はいいか?」
「おう、オッケーだ。自己紹介がまだだったな、俺の名はホルン・O・スレッカー、この名ちょっとくらい聞いたことくらいあるだろう?」
「木の国のNo.2……小型タイプ最強と言われる男か」
スティーブは顔をしかめる。
「へえ、巷ではそう言われてんのか、でもよぉ、戦いってのは流れがある、真の最強なんてこの世に存在しねえよ」
「そうか、だったら、この俺が勝たせて貰う!」
「まあ、そう簡単には勝たせんがな!」
ホルンのキングバックは再び左の拳で殴りかかってきた。
その拳をサーセイバーは剣で受け止めた後はじいた。
しかし、攻撃は止まることなく次は右手のパンチが来た、これも同じようにはじいて対処しようとしたが、それは叶うことはなかった。
なぜならサーセイバーのガードより、ホルンのキングバックの右手のパンチの方が速かったからだ。
ホルンのキングバックの右ストレートはサーセイバーの左頬にヒットし、頭の兜は少し、凹みスティーブは少し後退る。
ーー明らかに左手より右手のパンチの方が速い。
そうか! 左手はレンガを纏っている分スピードが落ちる。
右手はレンガを纏っていないだけあって、スピードはあるが威力は落ちる。
今回はそのことに助けられたな。
左手の威力はさっき思い知った。直接くらうのは避けなければ。
重い左に速い右、どっちか片方なら対処は楽な方だが、その両方を同時に相手するには慣れが必要だ。
だが、奴はそんな時間をくれるだろうか? いや、ない、ならば取るべき行動は一つ、こちらから攻め、相手に攻撃する隙を与えないことだ!
因みにスティーブはこの考えに至るまでに1秒とかからなかった。
スティーブは守りより、攻めに転じ、サーセイバーの高速の連続剣撃がホルンのキングバックに攻め掛かる。
これをホルンのキングバックは巧みに左腕に纏うレンガでガードを続ける。しかし、動きが遅い左腕ではサーセイバーの動きについてこれず、サーセイバーに押されつつあった。
「やはり、その左腕だけで全て攻撃をガードするのは無理があるようだな」
スティーブは少しニヤリとしながらホルンを見る。
これに対してホルンは少しキレた様子で叫ぶ。
「何もガードが左腕なだけがあるか!」
するとホルンのキングバックはサーセイバーの攻撃の途中に突然強引に右足を上げ、回し蹴りを行った。
「何! そっちか!」
ガードの薄い右側からの攻撃を全く考慮していなかったスティーブはレンガを纏った右足によるガードを兼ねたゴリ押しの回し蹴りの対応に一瞬遅れる。
サーセイバーはなんとか剣で回し蹴りをガードしたが、その回し蹴りはガードごとサーセイバーとスティーブを吹き飛ばした。
その回し蹴りの威力は凄まじいものでサーセイバーは剣を手放してしまい、勢い余って地面に叩きつけられる。
「がぁっ!」
もちろんホルンはこの大きい隙を見逃すわけもなく、サーセイバーが態勢を整え、剣を拾いに行くより先にホルンは自分のキングバックを向かわせ、左手による強力な一撃を叩きこもうとした。
その大きく振りかぶった一撃をサーセイバーは左方向に紙一重で避け、その左腕を両手で掴み、腰を低くし、振りかぶった拳の勢いを利用して、ホルンのキングバックを背負い投げる。
木の国の木まで投げ飛ばされ、ホルンのキングバックは背中から木に激突する。
ホルンのキングバックがいきなり投げ飛ばされ、キングバックと距離を離されたことから、ホルンは自分のキングバックに引っ張られ、派手に背中からこける。
「くっそ、背中がダブルで痛てぇ!」
「ホルンお前の特徴を一つ教えてやる。いざという時、必ず左手の大振りをすることだ」
「はぁ、今後の教訓にさせてもらうよ」
ホルンはため息をつきながら背中を痛そうにしながら立ち上がり、自分のキングバックも木を背にし、スティーブの方向を見て立ち上がらせた。
しかし、サーセイバーはこの間に剣を拾い一気に距離を詰めていく。
たびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
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