乱雑に倒れる木Part3
これは分割編集版です。
多少表現が変化していますが内容に差はありません。
乱雑に倒れる木Part3
そしてセンドウの北の森までやって来た。
「バルターの話だとこの森は予想通り木の国のキングバックによって生み出された物らしいな」
「ああ、森の正面から入ると、知らぬうちに正面の入り口に戻される仕様らしい。だから東か西のどちらから侵入する必要がある」
「めんどくせえ、全部この木をなぎ倒していけばいいだろ」
「そんなことをすればすぐに気づかれて敵に逃げられるだろう」
スティーブは少し呆れた様子で言う。
「うーん、そうか、なら慎重に進むしかないか」
「ああ、それに恐らくこの木、奴らが生み出した物なら木自体がセンサーの役割になっている可能性が高い。倒すことはもちろん、触れることだけでも侵入者を感知されると考えたほうがいい」
「じゃあ、二人同時に侵入するか?」
「……いや、二手に分かれよう」
スティーブは少し考えたのちに二手に分かれることを提案した。
「慎重じゃなかったのか?」
「それもそうだが、バルターの情報をもってしても奴らの詳細なことは分からなかった。いつ見つかるかわからない状況でゆっくり探している暇はない、数は多い方がいい」
「バルターが全て話していない可能性はないか?」
「だとしてもあの場面で情報を出すのを渋るということは相当な情報ということになる。つまり、俺たちでは見つからずに奴らにたどり着くのは不可能というわけだ。それこそどちらかが、出来るだけ奴らに近づけていれば見つかったとしても奇襲をかけられる」
「つまり、お互いなるべく見つからないように行動して、もし見つかっても次第各自奇襲をかけるということだな」
「そうだ、そしてこれを使え」
するとスティーブは不思議に光る石を渡してきた。
「なんだこれ」
「その石は対になっている石が破壊されると同時にもう片方も壊れる双子石と言われるものだ。敵に自分の場所がばれた場合壊せ」
「オッケー、わかった。さっそく潜入するか」
そして俺は東、スティーブは西と二手に分かれて、森に潜入した。
「うぇえ、木に触れられないなんて面倒だな、うっかり触れてしまいそうだ」
一方森の最深部では青い瞳で美しい金髪の幼い少女とカムラなど複数の人がいた。
「ねえ、カムラ」
金髪の少女がカムラに話しかける。
「どうした? チイラ何か感じたか?」
「うん、男が二人、別方向から、こっちに向かってきてる。どうする?」
「誰か、わかるか?」
「ううん、奴ら警戒して木に触れようとしないんだ」
「そうか、ならタラプ、森に侵入した奴をお前の能力で足止めしろ」
「了解、やれバストーテム」
そして少し小太りの若い男、タラプは木製の人形ようなキングバック、バストーテムを出現させ、森に対して、特殊な電波のようなものを送った。
「これで、迷わせる力を東と西に集中させましたぜ」
タラプは自信げにカムラに報告する。
「もう、元々タラプがこの森全体に幻術をかけられればこんなことにならなかったのにねっ!」
チイラはタラプのお腹にチョップを入れる。
「無茶言わないでくださいよ、お嬢、森全体なんて俺には無理ですよ」
「チイラ、ないものをねだるものではないぞ、こいつの能力は所詮時間稼ぎだ、初めから期待していない」
カムラは辛らつに返す。
「ま、まあそうなんですけどね。みんなデブに厳しいなあ」
「チイラはこのまま、奴らの動向を探れ、
ヨプとヤチェは東と西の奴らが誰か目視で確認してこい」
30分後スティーブは森で迷っていた。
「おかしい、この森はそこまで大きくないはずだ、30分も歩いて、どこにも辿り着かないなんて」
スティーブはタラプのバストーテムの能力によって、同じ景色を見続ける幻惑にかかり同じ所をグルグルさせられていた。
そしてその後をヨプという赤いマントをした男がついてきていた。
「ひひひ、ついてるぜ、東を選んで正解なんだな、なんせ太陽のトップが無防備でいるんだからな」
ヨプが笑いをこらえていると、突然スティーブのがキョロキョロし始めた。
「む、おかしいな、人の匂いがする」
ヨプは目を丸くし驚く。
「な、タラプの幻惑、匂いには効いてないのかよ。あのクソデブ使えねぇ、仕方ない、さっさとスティーブをやっちまうか」
ヨプがスティーブの背後に立ち殺気を漏らす。すると、スティーブはサーセイバーを出現させ、サーセイバーは剣を一振りした。
「わ⁉ な、なんだこいついきなりどうしたんだ?」
すると、スティーブはヨプの方へ突然振り返った。
「なんだ、こんな近くにいたのか」
突然の出来事にヨプはヤバイ化け物に見つかってしまったような感覚に襲われる。
「な、なんでお前は幻惑にかかってた、はずじゃあああ、クソが、このままぶっ殺してやる」
そして、スティーブに対して身構えたが
「遅い」
一瞬でサーセイバーの剣の中央で頭を殴られ、ヨプは気絶し、「ぷしゅー」と言ってその場に倒れた。
「うーん、木には触れていないが、これは確実に向こうに俺たちがいることがばれているな。仕方ない」
そうして、スティーブは自分の持つ双子石を破壊した。
「いったい今どこにいるんだ俺は? これじゃあ本物の迷子だ。治の方は大丈夫だろうか?」
一方岩谷は……むちゃくちゃイライラしていた。
「あーもう、なんなんだよこの森、ていうかここどこだよ。木には触れちゃいけねえし、だあー、敵はどこだあー」
森の中を騒ぎながら、走っていた。そしてその後ろをつけていた青いマントをしたヤチェはため息をつく
「はあ、こっちは完全はずれだ、絶対めんどくさい奴だこれ。さっきから同じ場所ばかり、走って怒ってるし。ちゃっちゃと片付けて帰りますか」
すると、岩谷の懐が強く光った。
「こ、これは双子石が壊れた。つまりスティーブが見つかっちまったということか。なら、もう好きにやっていいよな!」
そして、岩谷は空中を木を撫でるように手を動かす。
「うーん、普通の木ばかりだな」
「……あいつ、いくら、タラプの幻惑がすごくても木の感触までは再現できないはずなのに何してんだ。パントマイムか?」
ヤチェは岩谷を不思議そうな目で見る。
その頃の森の中央では
「ひゃああぁ」
チイラが顔を赤くし、叫ぶ。
「どうした、チイラ?」
「何者かが私の木に触ったの」
「それがどうした? それより、触ったのは誰だ?」
「そ、それがね、敵の二人がいる所とは関係ない木が触れられたの」
チイラは突然のことで支離滅裂だ。
「どういう意味だ。こんな時にふざけたことを言うんじゃない!」
「ふざけてないもん、ホントにどこからともなく触れられたんだもん、ってまた触られたあー、今度は別の木だ」
チイラはもじもじしている。
「な、何どういうことだ? 一体何が起きているのだ?」
その頃岩谷は
「うーん、ここがどこかわかんねな、もう木をぶっ飛ばすか、俺がここで暴れているといい陽動になるし」
そして、岩谷はゴーレムを出現させ、近くの木を殴りつける、しかし岩谷からは見て木は何ともなかった。
「あれ、今確実に、感触的にゴーレムは木に触れ、ぶっ飛ばしたはずなのに、なぜまだ木が残っているんだ? 頑丈な木だな、よし、もう一度」
そして、ゴーレムは何度も木を殴り始める。
「なんだあの男、自分のキングバックを出して、暴れ出したと思ったが、さっきから空中を空振りばかりしている。まだ、幻惑にかかっているのだろう」
ヤチェは腕を組みうんうんと頷く、その後目をパッと開けた後、頭を抱える。
「なら、なぜ、なぜなぜなんで、俺の周りの木がどんどん倒れていくんだ。乱雑に、法則なんてなく、ランダムに木が倒れるんだ! 何が起こっているんだ⁉」
そう、ヤチェの言う通り何故か岩谷のゴーレムは空中を素振りしているだけなのに、森の木は次々と倒れ始めて行くのだ。
これは異様な光景であることに違いない。
そして、ヤチェが混乱していると突然倒れた木が彼の後頭部に直撃して、「へぶっ」と情けない声をあげて倒れた。
それと同時期、森の中央ではチイラは倒れて痙攣していた。
「おい、どうした、大丈夫かチイラ!」
カムラが倒れたチイラを揺する。
「ああぁ、森で突如木が別々の所で倒れ続けて、もう情報を処理出来ないよお」
チイラは泡を吹き始める。
「突然木が倒れ始めるだと? それは本当か? タラプ」
「ええ、今すごい速度でしかもランダムで木が倒れていきます。あと5分もしたら、全ての木が倒れてしまいますぜ」
そして、カムラは少し考えたのち
「クソ、チイラもう、木達とのリンクは切れ、全ての木が倒れきる前にお前が壊れてしまう」
「う、うんわかった」
そしてチイラは木とのリンクを切り、少し様子が落ち着く。
「チイラ、お前は少し休んでろ。ここまで来たら、見つかるのは時間の問題だ、交戦は避けられない。最終的にはチイラの能力は必要だ。俺は隙を見て暗殺を仕掛ける。タラプ!」
「は、はい」
「もし、何かあったら、チイラを連れて逃げろ」
「た、隊長はどうするんです?」
「せいぜい若い奴の時間を稼ぐとするさ」
カムラは覚悟に満ちた目つきで倒れる木を睨む
「奴ら、一体どんなトリックを使った?」
交戦が始まる。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
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