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キングバック   作者: 君子な在る虎
遊撃隊編 ~遊撃とは言うが単に戦力が少ないだけ~
14/205

毒のある日々Part2

これは分割編集版です。

多少表現が変化していますが内容に差はありません。

 毒のある日々Part2



 スティーブ・ロイヤー、彼はまだ24歳という若さながら太陽の国を背負う男である。


 彼は医者の父を持ち、母は有力貴族の女性であった。

 つまり将来を約束されたような男だった。


 スティーブの父は多くの人を救いたいと平民ながら医者になり、母と結婚した。スティーブはそんな父を心から尊敬していた。


 そして自分もいつか父のような医者になりたいと幼いながらも勉学に励んでおり、同年代の誰よりも頭が良かった。


 しかしスティーブが11歳のとき、父の行動が原因でスティーブは地獄を見る。


 スティーブの父ライゴはそれまで貴族専門の医者だったが貴族は生活環境の良さから大した病気でもないのに診察しなければならない日々が続いた。


 ライゴはそれ以上に貧民街の人たちにこそ医療は必要と考えるようになる。


 ライゴは平民から医者になるために物凄い努力をしてきた人だ。しかし、彼は自分が全て正しいと固執する思考が凝り固まった人物でもあった。

 その性格が災いし、ライゴは周りの意見など無視して、貧民街に移住し、低利益で病院を始めるようになる。


 ライゴはより多くの人を救うために移住した自分の行動を全て正しいと信じきっており、貧民街の人々からは感謝されてはいたが、中には十分に料金を払わない者も多く、ライゴの人の良さをただ利用されている状態だった。


 そんな状態を続けたライゴ一家はどんどん貧しくなっていく。そしてその状況に一番耐えられなくなったのはライゴの妻リーンだった。


 元々貴族出身だった母リーンは貧民街の暮らしが合わず、その上夫のライゴは貧民街の人々に利用されるばかり、そのことをライゴに訴えてもライゴはリーンの心境を理解しようとせず、むしろ己の正義を否定する愚か者とまで言い張った。


 リーンは元々親に平民との結婚をよく思われていなかったが、人を救いたいと言うライゴを支えたい一心で反対を押し切って結婚した。


 だがその心さえも否定され、駆け落ちに近かったため簡単に実家に戻れにくく、居場所がなくなっていき彼女を追い詰める。


 ついに我慢の限界に達したある時、リーンは息子のスティーブに母か父のどっちについていくか聞く。

 スティーブにとっては母と父は等しく大切な存在だった。故にどちらかを選ぶことは難しい選択だった。


 しかしスティーブは医者になる夢を持っていたため、父について行き近くで学ぶほうが医者の近道だと思い彼は父のもとに残ることに決めた。


 ただしこの決断はまだスティーブが幼く、父の異常性に気づいていないからこそできた決断だった。


 結局母リーンはスティーブを置いて家を出て行った。

 しかしライゴはこれに対して妻は人を助けることから逃げ出した愚か者と断じ、自分を見捨てたと考え逆恨みするようになる。


 だがスティーブは母の心境を理解していたので父に対して母のことを説明した。


 しかしライゴは母を擁護する息子を見て息子も母と同じ正義を理解しない愚か者として、スティーブに対して虐待を繰り返すようになっていく。


 初めは人に見えない目立たない箇所ばかり殴っていたが、3カ月が過ぎた頃、細見だったスティーブは以前より身体がたくましくなり、父からの暴力に余裕を持つようになっていた。


 父が豹変してもスティーブが家に残り続けたのは、以前の優しい父に戻ってほしいという想いがあったからだが、ライゴは一度思い込むと考え変えない頑固者であり、スティーブの思いはその度何度も踏みにじられていった。


 時を重ねるごとに次第に母に似ていくスティーブを見て父は怒りを抑えることがなくなり、ついには顔など見えるところにも暴力を行うようになった。

 こうして暴力が激化した頃、スティーブは不治の病にかかったことにされ、外に出ることは許されなくなった。


 しかし実際には部屋に監禁されていたわけではなく出ようと思えばいくらでも出られる状況にスティーブはあった。

 だが、この時のスティーブは突然父が変貌してしまったことを受け入れることが出来るほど大人ではなかった。


 そこからさらに3か月が経った頃スティーブは父の暴力を受けても動じず、平気な顔をするようになった。


 それからというものの、スティーブは暴力を受けることがぱったりとなくなった。


 代わりにスティーブのご飯に毒が盛られるようになった。


 人を死に追いやるほどの毒ではなかったが、毎日身体が痺れて動けなかったり、強い発熱で寝込んだり、常人では普通耐えることが出来ないほどの苦痛を……拷問を受け続けた。


 しかし、スティーブは同じ毒を何度も身体に受けることで耐性ができるようになった。

 日に日に毒の効果が薄くなっていくため、その度に違う毒をご飯に盛られた。


 スティーブはこのような常に極限状態にある日常だったためか、五感、特に元から鋭かった嗅覚がさらに鋭くなり、ご飯に混ぜられている毒を匂いで判別できるようになった。


 その常人離れに発達した嗅覚で毒の濃度が高いところを捨てることでさらに半年の間生き延びた。


 しかしスティーブが半年も生きた延びたことで、家から聞こえる子供の苦しむ声や薬よりも毒物ばかり購入するなど、ライゴは周囲からの疑いの目を向けられることが多くなり、次第にスティーブへの虐待を隠し通すことが難しくなっていく。


 自業自得ではあるが、追い詰められたライゴはとうとう寝ているスティーブに常人なら半日で死に至る毒物を注射した。


 注射されたスティーブは半日で死ぬことはなく三日間も苦しみ続けた。


 ライゴは初め、苦しむ息子の様子を見て安堵していたが、半日で死なず、三日も生き延びる息子に人間ではない化け物染みた物を感じ恐怖を覚える。 

            

 そしてスティーブは極限状態の日々を送り続けたことで無意識のうちにキングバックを発現させ、その力を持って完全に毒を克服することに成功したのである。


 そんな化け物染みた息子の姿を見るライゴの顔はもはや息子に向けるものではなく恐怖に怯える青い顔をだった。


 その後ライゴは近くにあったナイフを手に取りスティーブを刺し殺すことに決めた。


 このときのライゴは憎しみで殺そうとするのではなく化け物に対する恐怖からくる自己防衛心であり、ライゴは息子に対して本気で恐怖をしていた。


 そんな父の姿を見たスティーブはとうとう父に以前のような面影を全く感じることができなくなった。

 その後スティーブは父のナイフをサーセイバーで叩き落とし、怯える父を残して家を出た。


 そして貧民街で彼が秘めていたカリスマ性が働き、3年後、15歳になる頃には貧民街のリーダー的な存在になっていった。


 そんなスティーブの前にセイリスが現れる。



このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

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