憧れからくる恋は叶わない
ザキュナの元に向かうゼドとノレド
キングバック93話「憧れからくる恋は叶わない」
う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!
「はぁはぁ、久しぶりに夢を見た」
久しぶりに過去の夢を見て飛び起きる。
「……ゼドに会ったせいね」
私はザキュナ・パスカル
今はウォーターナイトとして大出世して、故郷で自由に生きている。
はっきり言おう、私はゼドが好きだ。
昔から好きだ。勇敢で優しくていつも私たちを引っ張って行ってくれる。
彼は人々を守る兵士になりたいようだった。
実に彼らしいと思った。
でも彼が王都に行くことになると彼に会えない。
だから、私も兵士を志願した。
ただ、それだけだった。
別に誰かを助けたいという気持ちはなかった。
ただ、ゼドの近くにいたかった。それだけだった。
だけど、私にはキングバックの才能があり、ウォーターナイトになった。
マリカもそうだった。
ゼドが一番だったけど、マリカも友達としては好きだった。
真面目で、正義感が強くて。
二人はいつも私の前を歩いていた。
だから、置いて行かれたくなくて、見栄を張った。
私も二人と同じ意識を持った人間だって見栄を張って、私自身もそうだって言い聞かせた。
私とマリカは能力の相性も良くどんどん強くなっていった。憧れのゼドを置いて行くほどに……。
だけど、後始末隊に入ってすぐにマリカは精神を病んだ。
そこで私は思ったの、なんだ、案外二人とも大したことないって。
だけど、そんな弱ったマリカをゼドは放って置けるわけがなかった。
私はしまったと思った。
その手があったかと。
その時から私の中でマリカは敵に変わってしまった。
だから私も後を追って、ゼドに看病してもらって、レジスタンスに入った。
レジスタンスでのマリカの作戦は甘いと思った。
だから、一番いいと思う作戦を考えた。
だけど、いつも否定されるた。
ゼドにはアルファラスと同じだと言われた。
さすがにそれはショックだった。
仕事だから仕方なくやったけど、私が殺した人は気の毒だと思ったし、アルファラスが悪であることは分かっていた。
だから、それと同じと言われたことは私がゼドとは根本的に違うと言われた気がした。
思わず部屋を出て行ってしまう。
だけど、忘れ物をしたことを思い出し、部屋の前まで戻って行き、ドアノブに手を掛ける。
私がいなくても二人は会話をしていて、つい気になって盗み聞きしてしまう。
「はぁ、ザキュナ、いつからあんな感じなってしまったの?」
「……君より後始末隊に長くいたから、少し攻撃的になっているだけだ。もう少し休んだらきっとザキュナも君の考えを分かるようになるさ」
ーーああ、私をフォローしてくれるのね、好き。
「……そう、ね。いつもありがとうゼド」
「構わないさ、君のためなら」
そう言うとゼドとマリカは軽く唇を重ねる。
ーーは? は? はあぁぁぁぁぁ⁉
なんで? なんで? そんな女がいいのよ! 私の方がこんなにも愛しているのに!
なんでいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも、二人は私を除け者するの?
混乱した私はその場を後にした。
それから、私は引きこもり毎日泣いた。そして泣き疲れた。
そうこうしているうちに二人は結婚してしまった。
その時の私の顔を酷い顔をしていたのだろう。
そんなとき、あの人が私の前に現れた。
「やあ、ザキュナ、最近元気がないね」
アルファラス様が私に声を掛けて来た。
「ア、アルファラス様」
「どうしたんだい? 何か辛いことでもあったのかな?」
アルファラス様はただただ優しく声を掛けて下さいました。
「わ、私……」
「何か上手く行かないことがあったんだね?」
「は、はい」
「おお、それは可哀そうに、辛そうな君を見ていると私も辛く感じてしまうよ。何か私に出来ることはないかな?」
「い、いえ、アルファラス様の手を煩わせるわけには……」
「それは残念だ。でも確かに欲しい物は自分で手に入れるべきだからねえ」
「そ、そうですよね……」
私は少し俯く。
「でも君が頑張ってくれると俺もそれなりのお礼をしなくちゃあいけないなぁ」
「お、お礼、ですか?」
思わず聞き返してしまう。
「そうだろう? 頑張ってくれたのならそれに応えるのが王の役目だ。な・ん・で・も欲しい物をあげよう」
「な、なんでも」
思わず生唾を飲み込む。
「そう、なんでも、欲しい物の一つや二つ、君にもあるだろう」
アルファラスはニヤリと笑い、ザキュナの耳元で呟く。
私は茫然として立ち尽くしてしまう。
「じゃあ、俺はもう行くから、少しでも君が元気でいられることを心から願うよ」
そう言うと、アルファラスは背を向けて歩いて行く。
「は、励ましの言葉、ありがとうございます!」
私は頭を下げる。
「はは、そう素直にお礼を言われると気持ちがいいねえ」
アルファラスは優しい笑顔で振り返る。
「は、はい?」
「いや、聞き流してくれて構わないが、少し愚痴を聞いてくれないか?」
「え、ええ、私でよければどうぞ」
「最近私を困らせている連中がいるんだ、レジスタンス、だっけ? 私の情報が筒抜けでね、嫌われている証拠だ、悲しいねぇ。だから君のような信頼の出来る部下が一人でもいることが嬉しいんだ。期待しているよザキュナ」
そう言うと今度こそ、アルファラスは背を見せて去って行く。
(その時、アルファラスがニヤリと笑っていることをザキュナは知らない)
「(憧れからくる恋は叶わない。憧れは存在が遠いことで生まれる。もしその恋が叶ったとしてもその瞬間、憧れは憧れではなくなり、現実によって容易く壊される。だからどのみち上手く行くことはないんだけどねぇ、でも面白いから好きさせよう♪)」
その時アルファラスはそんなことを考えていた。
ーーああ、そうだ、その手があったか、欲しい物があったら自分で手に入れる。
それに頑張ったらアルファラス様は欲しい物をくれる。
こんなにも私のことを考えてくれる上司の情報を私は売っていたのか
こんな簡単なことになんで今まで気が付かなかったんだろう?
だから、マリカを売った。
いや、アルファラス様に歯向かうバカを突き出したのは当たり前のことだ。
なのに、ゼドは私を受け入れてくれない。
マリカがいないのに、私を受け入れてくれない。
それじゃあ、私はマリカの有無に関係なしにゼドと一緒になれないってこと?
再び傷ついた私は故郷に帰った。
ゼドは手に入らなかったから、他の男を何人も味わった。
でも、違う。
この私の心を埋めてくれる人はいなかった。
ムカついたから私を抱いた男は殺した。
気に食わない男も殺した。
そしたら、町の男共は私を怯えるようになった。
いい気味だ。
私を埋めてくれないのが悪いんだから当然の結果だ。
でもアルファラス様のおかげで今まで楽に暮らして来れた。
たまに仕事をするだけで故郷にいてもいいと言ってくれた。
私の殺しも揉み消してくれる。
ああ、あの人は裏切れない。
でも、ゼドが欲しいなぁ。
どこまで頑張れば、くれるのだろう?
そんなとき、この町にスティーブと言うアルファラス様の敵がやって来た。
これは大物だよね、きっとこいつをアルファラス様に渡したら、ゼドをくれる!!
あぁ、ゼドに久しぶりに会った、相変わらずカッコいいなぁ
「それにしても、さっきから外が騒がしいわね」
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回はザキュナ視点での過去回想です。
ザキュナがおかしくなっていく様子が描かれています。
それにしても、アルファラスは本当に人心を掌握するのが上手いですね、彼は恐怖だけでなく、様々な方法で人の心を誘導します。
能力もチートですが、彼がここまで力をつけることができたのはその悪のカリスマ性が凄いからです。
また、部下の性格などもしっかり把握しており、アルファラスの性格が良かったら本当にいい上司になれたはずです。
少し長くなりましたが今回はこの辺で次回はザキュナ戦です。おたのしみに!
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作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。
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どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。




