ぶっちゃけ
ゼドの過去が明らかになった。しかし、それでもゼドは抱え込もうとしているようだが……
キングバック90話「ぶっちゃけ」
ゼドとザキュナ、複雑に愛憎が交差した二人。
「……」
皆、ゼドの過去を聞き、ただただ沈黙していた。
その沈黙をゼド自身が破る。
「ガジャック、スティーブの容態はどうだ?」
「え⁉ ああ、そうだね、非常に安定している。回復はかなり早い」
「……そうか、皆、ここでお別れだ」
ゼドの言葉に皆、ビックリする。
「おいおい、それはどういうことだ⁉」
岩谷が食いつく。
「スティーブの容態は良くなった。もうこの町にいる必要はないはずだ。先を急げ」
「今の話を聞いてゼドを置いて行けるかよ!」
皆岩谷の意見に頷く。
「俺に構うな! お前たちにはもっと重要なことがあるだろう? こんな状況になったのは俺に責任がある。これは俺のケジメだ!」
ゼドはそう言い皆を黙らせる。
すると、ノレドはゼドの前にやってくると、ウィルメリアの方を向く。
「すみません。ウィルメリア様。私もここに残ります」
ノレドがウィルメリアに深々と頭を下げる。
「ノレド……」
ウィルメリアは少し驚いた表情をしたが何かを察したのか優しく微笑む。
「おい待て、ノレド何のつもりだ?」
ゼドはノレドを睨む。
「戦いはあなたに教わった。師を失いたくないと思うことはおかしなことでしょうか?」
「バカが、お前は俺がいなかったとしても最終的には強くなっていた。それに今はウィルメリアという立派な主君がいるだろ」
ゼドは目を逸らす。
「なぁ、今、バカって言った?」
タオンが突然ひょこんと現れる。
「はいはい、お前が出て来るとめんどくさいから、あっちでお菓子食べようねー」
岩谷はタオンを抱えて奥の方へ引っ込んで行く。
「お前は俺がいなかったとしても強くなっていた。それに今はウィルメリアという立派な主君がいるだろ」
ーーあ、言い直した。バカが消えてる。
「そうよ、ノレド、今あなたは私の部下、常に一緒のはずよ」
「は、はい」
ノレドは俯く。
「だからね、私たちも残るわ」
ウィルメリアは優しく微笑む。
「ウィルメリア様」
ノレドは嬉し涙を浮かべる。
「私たち、今までここまでやって来たじゃない。こんな所で分かれるなんて嫌だもの」
「おいおい、これは俺のケジメだ。お前たちを巻き込むなんて出来ない」
ゼドは拳を握る。
「はっはっは、ここまでゼドのおかげでやって来れた。俺たちはもう仲間だろ?」
「⁉」
ゼドが振り返ると、そこにはタオンをおんぶする岩谷がそこにはいた。
タオンは岩谷の髪形をいじって、角のようなものを建設している。
「……」
ゼドは何とも言えない顔で岩谷を見る。
しかし、岩谷は全く気にせず話を続ける。
「ずっと隠して来た過去を俺たちに教えたんだ。それは仲間と認めたってことだろ?」
「(そのまま話を続けるのか……)確かに、お前たちと関わって来て凄く懐かしかった。昔に戻ったような気がした」
「そうだろ? だったら俺たちを頼れよ! っていうかぶっちゃけた話さぁ」
「う、うん?」
ゼドは少し驚いた表情をする。
「ここまで話しておいて、俺を置いて行けだぁ? だったら最初から話すな! こっちだってモヤモヤが残ったままになるだろうが! カッコつけんじゃねえよ!!」
「……」
ゼドは少し顔が赤くなりプルプルしている。
「岩谷、ぶっちゃけすぎ……それはちょっと思ったけど」
ウィルメリアは呆れた顔をする。
「はぁ、岩谷は空気が読めねぇなぁ~」
タオンはため息をつき、岩谷の頭をポンポン叩く。
「お前にだけは言われたくねえわぁ!! 降りろ、お前もう船降りろ!!」
岩谷は激しく動いてタオンを振り払う。
「ざんねーん、原作では言ってませーん」
タオンは岩谷にしがみついて離れない。
「っぷ、あはははは!」
すると、ゼドは笑い始める。
「え⁉」
これまでずっと笑うことのなかったゼドが笑い、皆が驚愕する。
「いや、お前たちらしい。俺、お前たちが好きだわ」
すると、ゼドは今までに見せたことのない笑顔を見せる。
「なんだよ、笑えるじゃねえか」
「そうだな、簡単なことなのにな、意外とこれが難しいことなんだ」
俺よりも10歳以上年上のゼドは少し悲しい顔をする。
「……それで、俺はまだ帰っちゃだめなのか?」
マシューは会話についていけず困った顔をしている。
「まだダメだ。もう一働きしてもらう」
「敵だってのに、こき使いすぎだろ!」
「ノンノン、敵ダカラ、内の社員じゃないから、労働基準法ナイ。OK?」
「なんで所々カタコトなんだよ!」
「もうちょっとだけ残業してってくれよぉ、どうせ家帰ってもやることないんだろ?」
「将来絶対パワハラ上司になるなこいつ」
マシューは呆れた顔をする。
「はっはっは、冗談だって、でもよ、ここまでゼドの話に最後まで付き合ったってことはなんか思うところがあるんだろ?」
「……仕方ねえ、もう少しだけ付き合ってやる」
マシューは岩谷の問いに素直には答えなかったが、その態度で彼が人情に厚い人物であることが伺える。
「よし、みんなの考えはまとまったな」
岩谷はキリッとした表情で言う。
「なぁ、俺がどうするか聞かないのか?」
岩谷の膝の上で猫のように手懐けられているタオンが聞く。
「お前はスティーブの護衛だろ?」
「おお、そうだった!」
タオンはすっかり忘れている様子だった。
「さて、問題はザキュナをどうするかだが……」
「一つだけ頼みがある」
ゼドは真剣な表情だ。
「なんだ?」
「ザキュナの相手は俺に任せてくれないか?」
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回は重い回ではなく休憩みたいな回でした。
ザキュナとのストーリーも今後進んでいきます。次回をおたのしみに!
いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。
ブックマーク、評価、感想などよろしくお願いいたします。
作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。
Twitterでは作品に関する情報を提供するかもしれません。
作者名で検索すると出ると思います。
どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。




