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キングバック   作者: 君子な在る虎
醜美鎖国水都 アルファラス ~ハーレム世界の反逆者たち~[Part5.故郷の狂愛者ザキュナ]
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その髪を下ろせ!!

ザキュナと呼ばれるウォーターナイトとゼド、何やら因縁があるようだが……

 キングバック88話「その髪を下ろせ!!」



「ザキュナァァ!!」

 ゼドは剣抜いてザキュナに斬り掛かる。


「随分な挨拶だとこと」


「な⁉ あ、足が動かん⁉」

 ゼドはピタリとその場から動けなくなる。


「久しぶりね、ゼド、会いたかったわ」

 淡いピンクのポニーテールの女性、ザキュナはニヤリ笑い、動けないゼドに近づく。


「俺は会いたくはなかったが会いに来てやった!」

 ゼドはその場で剣を振る。

 それをザキュナのキングバックが受け止める。


 そのキングバックはザキュナと同じピンク色のキングバックで男性を魅了する女性的なイメージを感じさせる見た目だ。

 そして、その身体の上に深い蒼色のドレスを纏っている。


「く、剣が」

 ゼドは受け止められた剣を動かそうとするが動かない。

「私の能力は知っているでしょう?」


「だが前と違って洋装が違うな、その服お前のキングバックに似合っていないぞ」

「あら、そう? あなた好みだと思うのだけど」

 すると、ザキュナのキングバックは手から水を発生させ、その水は手の上で踊るような水流となり、軽いパフォーマンスを見せる。


「ザ、ザキュナ、そ、それは⁉」

 ゼドは目を大きく見開き、顔を青くする。

「どう? 美しいよね?」

 ザキュナは企んだように笑う。


「さっきから誰の真似だ! その髪を下ろせ!!」

 ゼドは今まで見せたことのないほどキレた顔で叫ぶ。


「ザキュナ先輩、さすがに趣味が悪いです」

 ノレドはゴミを見るような目でザキュナの首に目掛けて剣を向け、立っている。


 それと同時に岩谷やウィルメリアたちも駆けつけて来る。


「あらあら、知った顔がたくさん。まるで同窓会ね」

「……ザキュナさん、ここは引いてくれませんか?」

 ウィルメリアはザキュナにそう言う。


「……そうね、今回は様子見に来ただけだしね、いいわ、今日は引いてあげる」

 そう言うとザキュナは背を向けて診療所を出て行こうとする。


「ザキュナ! お前は絶対俺が殺す!」

 ゼドはそう叫ぶ。


 ザキュナは軽く振り向く。

「そう……熱い想いをぶつけて貰えるのは嬉しいわ。あなたは必ず私の物にする」

 そう言うと、ザキュナは診療所を出て行く。



 しばらくして動けるようになったゼドが膝を着く。

「くそぉ!!!」

 普段冷静なゼドがここまで熱くなっていることが岩谷にとって衝撃だった。


「一体何があったんだ? あのザキュナって奴と?」

 岩谷は素直に疑問を問う。

 

 すると、その場にいた、ガジャック、ノレド、ウィルメリアは微妙な顔になる。

 しかし、事情を知らない岩谷とエルフェ、ついでにタオンは首を傾げる。

 忘れられがちだが、シャルデは無表情でどっちかわからない。

 

「……えっとザキュナ、彼女は……」

 ガジャックが口を開くがそれをゼドが制止する。


「ガジャック、俺が自分で話す」

「わ、分かった」


 ガジャックは少し心配した様子でゼドに譲る。


「奴は、ザキュナは俺やガジャックの幼馴染だ。そして俺の……俺の亡き嫁、マリカの同僚だ」


 ーーマリカはポニーテールの似合う。正義感の強い女性だった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺たちはこのココノツで生まれた。

 王都から少し離れていたことから情報統制は緩く、アルファラスへの絶対的信頼は王都と比べると薄かった。


 しかし都会を憧れ、そこに仕事を求めるというのは仕事の少ない田舎町では必然だったのかもしれない。

 俺、マリカ、ザキュナは兵士になるため、ガジャックは医者なるため、ここを出た。


 俺は男だ。だからキングバックの素質がある可能性は低く、案の定キングバックは使えなかった。

 しかしマリカとザキュナはキングバックを使うことができ、二人の能力の相性も良いことからすぐにウォーターナイトになりどんどん出世していった。


 一人置いて行かれる気がして俺は生身だと誰より強くあろうと鍛錬に励んだ。


 キングバックありきのこの世界でいくら強くなっても意味はないとバカにする奴もいたがそれでも強くあろうと思った。

 そんなとき、俺の前にノレドが現れた。


 ノレドのキングバックは大型タイプだ。

 大型タイプは強いが小回りが利かず小型タイプに接近されると不利になる。


 だから、生身で一番強いと噂のある俺の元に教えを乞いに来たと言った。


 正直、ここまでの努力が報われた気がした。

 だから容赦はせず、みっちり剣技を叩きこんだ。

 今ではすっかり力も技も抜かれしまったが……。


 その後エステイトに仕えることになったノレド経由でエステイトと出会った。

 当時は中身が女であることなどは知らなかったがそれでも内に秘める野心、いや復讐心には気が付いていた。

 

 エステイトのおかげか、それとも自分という人生の山をある程度登ったからなのか、今まで強くなることしか見えなかった俺は他のことにも意識を向けることが出来るようになった。

 この頃くらいだ。俺がこの国の兵士であることに疑問を持ったのは。

 


 それ同時期、コンビを組んでいたマリカとザキュナは隠された部隊、後始末隊に所属していた。

 これまで二人の息の合ったコンビはこの隊に所属してから変わった。

 

 アルファラスにとって都合の悪いという理由だけで人を殺さなくてはならないことによる強い罪悪感から精神を病んだマリカと仕事と割り切っていたザキュナとでは上手く行くはずもなく。

 コンビは解消、マリカは後始末隊から外された。

 

 俺は精神を病んだマリカをただ見ていることが出来ず、一時期つきっきりで世話をした。


 それでもなおマリカはウォーターナイトには所属していたが、当時レジスタンスと言うほど大きくはなかったがアルファラスを倒そうとする連中に情報を流すようになる。


 俺もマリカに賛同し、当時検死の仕事をしていたガジャック、遅れて兵士になったが腐った組織に嫌気がさした同郷の後輩ハービットの4人で各地にいた反アルファラス勢力をまとめ上げた。


 後輩のハービットはさっさと隊をやめ、ガジャックはレジスタンスの医者になった。

 俺とマリカはそのまま隊のスパイを続けた。


 そんなある日、ザキュナも後始末隊をやめた。

 さすがのザキュナも疲れてしまったのだろう。


 レジスタンスに入りたいと言うザキュナを俺たちは喜んでレジスタンスに入れた。


 しかし、これが大きな間違いだった。


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

明日の投稿はお休みさせて貰います。明後日お会いしましょう。

次回はゼドの過去の続きになります。ザキュナとの間に何があったのかお楽しみ!


いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。

ブックマーク、評価、感想などよろしくお願いいたします。

作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。

Twitterでは作品に関する情報を提供するかもしれません。

どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。

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