多手多様Patr3
これは分割編集版です。
多少表現が変化していますが内容に差はありません。
多手多様Patr3
両断した赤い手は燃えたマッチに戻る。
「なに! まずい油断した!」
ーー先にウォッカでアルコールを体に付着させ、次に引火させるとは、死にはしないが消火に時間を取られてしまう。
すると水が飛んできてマッチを消火し、スティーブに炎がかかることはなかった。
「ふー、危なかったっすね、スティーブさん」
「ティッカロ、お前には助けられたな」
「お安い御用っすよ」
ティッカロは屋根の上からスティーブとフードを被った男を見下ろす。
「な、なに! 他の仲間か! 逃げないと!」
「そう簡単に逃げれないっすよ、その先は通行止めっすからね」
「行き止まりだと? 僕は3か月この町にいる。この先は行き止まりなんかじゃない!」
しかし、フードを被った男が振り向くとレンガで道が塞がっていた。
「な、前までこんなものなかったはず、いつの間にこんなものが建造されたのだよ? ……まさか、こいつは!」
「当たりだ、これは俺のキングバックだ」
岩谷のキングバックが体育座りをして、背中をこちらに向け、あたかもレンガ壁のようになっていた。
フードを被った男は少し、動揺していたが、覚悟を決めたのかローブを脱ぎ捨てスティーブを睨んだ。
男は白髪短髪で白い花柄の服を着た男だった。
「戦闘はあまり得意じゃないけど、やらなきゃ、突破しないと、僕はいけない」
「3対1とはフェアじゃない気がするがこれは遊びじゃない。覚悟しろ」
「わかっている。あまり僕をなめるな!」
その男のキングバックもフード付きローブを脱ぎ捨てる。
そのキングバックは腕がなく尖った足で立っており全身が赤くナイロンみたいでのっぺりした見た目だった。
「ウォーカー地面のレンガを食え」
ウォーカーは歩道のレンガに顔面を押し付ける。
するとレンガはウォーカーの顔から吸い込まれ、少しして背中から、赤い手が発生した。
「なるほど、そうやって手を発生させていたのか、そしてその手を町中に隠していた」
「さあ、ここでケリをつける覚悟しろ、スティーブ!」
「この短期間で随分と男になったな。いいだろう掛かってこい」
スティーブは少し微笑む。
「全てのスナッチズよ。ここに集まれ、そして喰らえスナッチズ百裂拳。おらあああああ」
そして百を超える手がスティーブに襲い掛かる。しかしサーセイバーは全く動じることなく、赤い手を次々と切り捌き、みるみるうちにその数を減らしていく。
だが、スティーブの背後には別の赤い手が忍び寄って来ていた。
その状況を見てティッカロの両腕が黒く染まりポケットからナイフを二本取り出して両手に持つ。
そしてそのナイフを軽く離す。
するとナイフがその場で回転をし始める。
回転させたナイフにティッカロは軽く、パンチする。
衝撃を受けたナイフは忍び寄る赤い手に向かって回転しながら飛んで行く。
回転したナイフは赤い手に命中し、命中した赤い手は元の石に戻ってしまう。
「そう簡単に頭は取らせはしねえっすよ」
「なにぃ、たかがナイフがスナッチズを倒すなんて、何をした?」
「回転させた。ただそれだけっすよ。にしても回転させただけでやられるなんて思ったよりも脆いっすねアンタのキングバック。なら、よいしょ」
新たに回転させたナイフを今度は白髪の男に向けて飛ばす。
「守れウォーカー。」
ウォーカーは器用に足だけで飛んで来た二本のナイフをはじいた。
「さすがにあっちのほうがガードは硬いっすね」
「あーもう、邪魔だよぉ。行けスナッチズ」
白髪の男から今度はティッカロに向けて赤い手が飛んで来る、ティッカロは飛んで来た赤い手を黒くなった両腕でぶん殴った。
「俺の能力は回転させるだけだ。ただし殴った物質はその場で回転する。そして、その場で回転解除するとそれまでの加えられていたエネルギーはそのまま開放される。つまりは、こういうことだ!」
赤い手の回転が一瞬止まった瞬間突然白髪の男目掛けて赤い手が回転しながら飛んで行く。
そしてその赤い手は元の石に戻り、白髪の男の頭にヒットした。
「ヘブッ」
情けない声を出したのち白髪の男は目を回して倒れた。
その後白髪の男はスティーブ達によってロープで拘束されてしまった。
スティーブはティッカロに白髪の男を北の門へまで戻り、牢に入れておくように頼む。
「トホホ、こいつのせいで残業っすよ」
「すまんな、ティッカロ」
「まあいいですよ、確かにこのなかじゃ一番戦力として心もとないですからね」
俺たちはティッカロを見送った後、白髪の男の荷物が気になったのであさっていた。
「えーと、スティーブ、こいつの持ってる身分証明書みたいなものはなんだ?」
「これは、メンバーカードと言ってそいつの名前、職業なんかを記したもんだ。模様的に俺たちの国のものだ」
「偽装か?」
「おそらくな。間抜けに見えて意外にやり手のようだ。これを見てみろ」
「名前はクラスチェ・ホワイト。職業花屋、花屋だと?」
「興味があるな、岩谷、見に行くか?」
「もう、こんな時間だ。店なんてやってないと思うが……」
「あ、確かに」
「今日はもう休もうぜ、スティーブ」
「そうだな、さて、ここから宿を探さなきゃだが……」
「今から探すのかぁ」
「知っている宿はあるにはあるんだが、クラスチェを捕まえるためにかなりの距離を移動したからな、ここからは遠い。もう少し近くで探したほうがいいだろう」
「ていうか、リーダーなら顔パスで行けたり、誰か予約してるもんじゃないのか?」
「それなんだが、この国は木の国との国境付近の町でな、一応は太陽の国内ではあるがあまり統治が行き届いていないのだ」
「なるほど」
「つまり、ここは太陽の国と思わないほうがいい」
「ゴクリ、そうか気を付けないとな」
「まあ、そこまで気にする必要はない。国の統治は行き届いていないのはいろいろな理由があるが、治安はいい町だ。よし、じゃあ宿屋探しだな」
「そうだな、いいとこあるといいなぁ」
俺たちはその後すぐに宿屋を見つけた。
その宿屋は最近始めたらしい。
その時の俺たちはその宿に泊まることがどんなに危険なこととまだ知らない。
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