ネーミングセンス
リリナとルペルが死にさらにアルファラス以外の悪も確認された。
キングバック84話「ネーミングセンス」
スティーブの足のため、ゼドの知り合いの医者がいると言う町、ココノツを目指すため行き先を変更していた。
ココノツを目指している途中、スティーブの容態はどんどん悪化し、発熱で寝込んでしまった。
「おい! ココノツはまだか? スティーブがマズイ!」
岩谷は馬主に声を掛ける。
「ごめんなさい。もう少しかかります」
「クソ、このままではスティーブの足が」
そのとき馬車が急停車する。
「うぉ⁉ なんだ?」
「う、馬が⁉」
馬主の焦る声が聞こえ、岩谷とゼドは馬車の外に出る。
すると、馬車を引く馬の全身にキノコが生え、馬はぐったりとしており、その場で動けなくなってしまっている。
「な、なんだぁ⁉ このキノコは?」
俺とゼドが馬の様子を確認していると、後ろの馬車からウィルメリアたちが出て来る。
「何があったの?」
「馬に変なキノコが生えてな、おそらくこれのせいで馬が動けなくなった」
「なら、僕たちは後から行くから、スティーブさんを僕たちの馬車に乗せて先に行って」
ウィルメリア(男装)は先に行くことを提案する。
「ああ、そうさせて貰うぜ」
岩谷とゼドがスティーブを移動させるため馬車の中に入ろうとした瞬間、その馬車の屋根の上に一人の人影があった。
「だ、誰だ⁉」
「しばらくぶりだな岩谷、それにしても前と比べて随分メンバーが違うな」
なんとそこにはユニコーンの手先、マシューが悠然と座っていた。
「お、お前はマシュー! そうか、これはお前の仕業だな、お前がこの馬を機能停止にしたんだな!」
岩谷はマシューを睨み、他のメンバーもマシューを疑いの目で見る。
「そうだな、その馬にキノコを植え付けたのは俺の能力だ」
「ユニコーンの手下のお前のことだ、現在の俺たちの状況を理解してここにいるんだろ?」
「いかにも、現在スティーブが足を負傷し、この先のココノツに向かっていることは把握している」
「お前たちにとってまさにナイスタイミングと言うところか、俺たちにとってはバットタイミングにもほどがあるがな」
「いや、ナイスタイミングだ。そのために俺がここに来た」
「何ぃ?」
「今回俺が来たのはお前たちの邪魔をしに来たんじゃない。急がば回れ、こういう時こそ冷静になれと忠告しに来ただけだ」
「……冷静、だと?」
「確かに、そろそろココノツに着いてもおかしくはない」
ゼドは感じていた疑問を呟く。
皆が岩谷たちが乗っていた方の馬車の馬主を見る。
「な、何⁉ 私はただ最も安全なルートを選んだだけ、もしかしてそんな怪しい奴の言うことを聞くつもり?」
馬主はマシューを指さす。
「俺としては貴様らがどうなろうと知ったことではない。ユニコーン様の命令で来ただけだ。ただこの先は罠だぞ」
皆は困った表情で顔を合わせる。
「どうする? 今からでも引き返して別ルートを取るか?」
ゼドはそう言う。
「……いや、今のマシューは嘘を付いていない」
岩谷はマシューの意見が誠だとキッパリ言う。
「理由は?」
「ない! 勘だ!」
「そんな、勘だなんて無茶ありませんの? 馬主さんは生粋のエステイト派ですのよ」
「あの、どうしてユニコーンさんは僕たちに手を貸すんだ?」
ウィルメリアはマシューに尋ねる。
「知らん、興味がない」
マシューは突き放すような態度で言う。
「そうですか……」
「おいマシュー、罠だと言うのならそこに案内しろ! ちゃっちゃと片付けた方が早いだろう?」
「……いいだろう、マッシュサイド! 胞子を解除しろ」
すると、馬に生えたキノコが剥がれ落ち、元気に立ち上がる。
そして、そのままマシューを乗せたまましばらく進む。
「ここで止めろ」
マシューが馬車を止めさせる。
「どうしたんだ?」
「この先にウォーターナイトが複数待ち伏せしている」
「……こちらの情報が筒抜けか」
岩谷は馬主をじろりと見る。
「な⁉ 私は裏切ってなどいないわ!」
「……そうか? それにしては焦りが凄いが、まあいい、待ち伏せを確認すれば分かることだ。マシュー案内しろ」
「ああ」
「僕も行く」
ウィルメリアも馬車から出る。
「いえ、エステイト様ここは私が行きます」
ノレドがウィルメリアを引き留め、自分が行くと言う。
「そうかい? なら君に任せるよ」
こうして、岩谷とノレドはマシューに案内され林の中を進んで行くと潜伏している人影を発見する。
ざっと確認してウォーターナイトらしき人物が馬車の進行方向から見て死角になる岩陰に複数人。それがいくつか見られ合計15人前後のウォーターナイトが待ち伏せていた。
「多いな、これ全員に不意打ちをかけられたらたまったもんじゃないな」
「……ふんっ、俺の言ったことが正しかっただろう?」
マシューはドヤ顔でこちらを見てくる。
興味ない振りをしていても、自分が正しかったということが証明出来て嬉しかったのだろう。
案外ツンデレタイプなのか? こいつ?
「そうだな、だがどうする? 複数に分かれて制圧するか?」
「いや、私の能力だといい塩梅で制圧可能だ」
すると、ノレドは剣を鞘から引き抜く。
ーーそう言えば、ノレドの能力は良く知らなかったな。
ノレドは自身の剣を軽くこすると、剣から綺麗なシャボン玉がたくさん発生する。
「おお、綺麗だ。そのシャボン玉を使うのか?」
岩谷は興味津々でシャボン玉を眺める。
「ああ、これだと半殺しくらいで済む。行け」
シャボン玉はノレドの元を離れて行く。
「制圧しろ! うたかたの爆撃」
ノレドはいい顔でそう言った。
「うんうん、ん? 今なんつった?」
岩谷は聞き流しそうになったあの綺麗なシャボン玉には似つかないワードを拾った。
「制圧しろ?」
「そっちじゃない」
「うたかたの爆撃?」
「そう、そこ」
「凄い物騒なネーミングなんだが⁉」
「うたかたが?」
「だから、そっちじゃねえ!」
「爆撃?」
「そう、そこ」
「爆撃、カッコいいだろ!」
ノレドは目を輝かせる。
「いやいや、あのシャボン玉に爆撃って」
「はっはっは、あのシャボン玉が爆発するんだから爆撃と言わず何という?」
「そのネーム的に半殺しで済む気がしないんだが⁉」
「任せろ、私のキングバック、はかなき爆弾魔の腕に狂いはない」
ーーこのネーミングセンス、こいつ天然だ!!
しかし、シャボン玉は既に各敵の元に向かってしまっている。
そしてその時、岩谷は敵の中に見たことのある人物を発見する。
そう、タオンだ、タオンが敵の中に混じっている。
ーーあいつ生きてたのか!
岩谷がそう思った瞬間、シャボン玉は既にタオンたち敵の少し上空。
「ふふ、着火」
ノレドがにやけた表情でそう呟くと、同時にシャボン玉が大爆発を起こした。
爆風の勢いがこちらまでやって来る。
「うぉ!! これ結構ヤバいのでは⁉ 殺ってしまっているのでは⁉」
「決まったぁ!! ふぅ↑」
ーーこいつ普段は常識人枠なのに……残念美人過ぎる。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
今回は常識人枠で武人なノレドの残念な一面が明らかになりました。
次回もお楽しみに!
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作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。
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作者名で検索すると出ると思います。
どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。




