反転のトリックスター
スティーブの背後を狙うリリナ、スティーブはリリナがアルファラスが送り付けて来た刺客とは知らない。
キングバック78話「反転のトリックスター」
リリナ油断したスティーブの背後で自分のキングバックを出す。
そのキングバックは黒い身体に全身を赤い矢印のラインが無数に走っており、顔は何か企んだような悪魔のような顔をしている。
そして最も特徴的なのはその手に持つ剣である。
その剣は矢印を円形に巻いたような形状の刃が何個も連なったデザインをしており、まともな剣ではない。切り口は想像できないだろう。
「(殺れ! ロキ!)」
リリナのキングバック、ロキはその歪な剣をスティーブに向かって振りかざす。
「やっぱり、君もそうだったんだな」
「⁉」
ロキが振りかざす剣をサーセイバーは剣ではじき返す。
「な、私が刺客だって気付いていたの?」
「……こんな国いれば、疑い深くなるだろ?」
「ふーん、私のこと信じてくれていなかったんだ?」
リリナは悲しそうな顔をする。
「……俺がもう少し若かったら、絆される所だったな。だが、もう少し前情報も仕入れておくべきだ。俺の後ろでキングバックを出せば、匂いでバレることくらい知っておけば対策出来たはずだ」
「そう、確か鼻が利くんだったわね、忘れていたわ」
「不意打ちが失敗に終わったなら退け、こんな所で戦うつもりか?」
「ふふ、何言ってるの? 今のあなたの状況、相当不利よ、後ろの大通りに出れば狙撃される。前には私がいる。かなりピンチじゃなくて?」
「そうか? ここで君を倒せば問題ない」
「ふふ、うふふ、私が正面から戦わなかったからって戦闘が苦手って考えてない? それは、勘違いも甚だしいわ! ただ、私は楽に勝ちたいだけよ! やれ! ロキ!」
ロキは再び剣を大きく振りかぶり、そして振り下ろす。
それをサーセイバーは受け止めるが、ロキのパワーは凄まじく、サーセイバーの足元が軋む。
「こ、このパワーは⁉」
「アハハ、私、別に接近戦も苦手じゃないのよねぇ!」
ロキは剣を振り払い、サーセイバーは再び剣で受け止めたが、そのパワーによってスティーブ共々後ろに大きく後退する。
「ま、まずい、これ以上は狙撃手の射程圏内に」
「アハハ! もう後がないんじゃなくって?」
そう言うとロキはサーセイバーの左側へ大きく剣を振る。
「そこだ!」
サーセイバーは左袖から短刀を取り出すと、ロキの剣の円形に巻かれた刃の中心に短刀を通しそのまま建物の壁に突き刺して固定する。
ロキの剣は剣を固定され、ボディはがら空きだ。
「終わりだ!」
サーセイバーは剣を構え、ロキのボディに剣の突きを差し込もうとする。
「アハ! 結構やるじゃない!」
なんと、サーセイバーが突きが成功しようとした瞬間、ロキは円形の刃の一つを切り離し、その突きを受け止めた。
「なに⁉ その剣、分離するのか!」
「ええ、だからこんな使い方も出来る!」
ロキは地面を這うように剣を下から斬り上げる。
その時、また円形の刃の一つが分離する。
分離した円形の刃は地面にぶつかると反射し、サーセイバーの方へ飛んで行く。
それと同時にロキはそのまま剣で攻撃して来る。
「同時攻撃か!」
サーセイバーはロキの剣撃を受け止め、その上飛んで来た円形の刃を首を傾けて躱すが、円形の刃はサーセイバーの肩を掠る。
「少し驚いたが、詰めが足りないな」
「ふふ、本当にそう思う?」
リリナはニヤッと笑う。
「何?」
「ロキ! とどめよ!」
ロキは再び剣を構え斬りかかって来る。
「遅い! サーセイバーの敵ではない!」
サーセイバーはロキに向かって行き、その攻撃を躱した後、そのがら空きになった胴体に剣の一撃を加える……はずだった。
しかし、スティーブの思い描いたとおりにサーセイバーは動かず、逆にサーセイバーは後ろへバックする。
「な、何故後ろへ下がる⁉」
バックしたサーセイバーを手で受け止め、前に押し返そうとスティーブは思うが、それとは反対にまたスティーブは大きく後ろに後退してしまう。
これはサーセイバーに押されて後ろに行ったのではない、スティーブの自身が後ろに後退したのだ。
「こ、これは⁉ 今、俺の身体が後ろに下がったと言うのか!」
スティーブの意志と反対に後退した、これは何を意味するのか? だが、今最もまずいことはスティーブが後退したことで、足が、スティーブの足が建物からはみ出してしまい、狙撃手の射程圏内に入ってしまったということだ。
もちろんこのチャンスを逃すルペルではない。
一瞬だった。スティーブが建物から足を出した瞬間、その足に目掛けて弾が飛んで行き、スティーブ右ふくらはぎを打ち抜いた。
「ぐがっ⁉」
スティーブは右膝をついて前に倒れる。それを何とか手を前に出し、受け身を取ろうとするが、思うように身体が言うことを聞かず、そのまま倒れてしまう。
「アハ! いっちょ上がりぃ!」
「くっ」
「さっき私のロキを遅いって言ったけど、その状態で私のロキに勝てるかしら?」
リリナは笑いながらスティーブに近づいて行く。
「……感覚を反転させる能力か」
「アハハ! ここであなたたちの物語は終わりよ!」
ロキは剣を振り下ろす。
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