多手多様Patr2
これは分割編集版です。
多少表現が変化していますが内容に差はありません。
多手多様Patr2
俺たちはセイリスさんを病院に送り、ティッカロのいる北の門に行った。
「待たせたな、ティッカロ。早速センドウへ向かおう」
「そうすね、けどそれなりに時間がかかるので、いったん向こうで泊まって、次の日から、調査したほうがいいすよ、夜に森なんて調査出来ませんしね」
「確かにそうだな。そうしよう」
思ったよりセンドウは遠く昼過ぎに出発して、着く頃には夕方になっていた。
「さてスティーブ、宿はどうする?」
俺の言葉にスティーブは少し考えたのち
「この辺りは何度か来たことがある。いい宿を知っている」
そう言って俺たちはスティーブに連れられるまま、どんどん人気がない場所に連れられて行った。
「な、なあスティーブ、ホントにこんなとこに宿なんかあるのか?」
「あ、あのぉ、スティーブさんもしかして、あれっすか?」
「……いい宿を知っていると言ったが、そんなもの微塵も欠片も俺は知らん」
「……」
なんとも言えない空気が流れる。
「だが、そろそろかな、宿は知らんが、この辺りの道は知っている。少なくとも尾行野郎、お前よりはな」
俺とティッカロはスティーブの発言に驚く。
「尾行されていたのか!」
「だから、わざと人気のない方に誘導したんっすね?」
ティッカロは感心した様子だった。
「ああ、今回のは比較的わかりやすい奴だ。見分けるのにはコツがあるんだが……おいこっちは気付いている。いい加減出てこい。そこの木箱の後ろにいるのはわかっている」
そのとき木箱に隠れているフードをしている男はビクッとした。
「(……気付かれちゃっているかも、いやかまをかけている可能性があるし、ここはだんまり決め込むか?)」
「おい、フードを被ったお前だ」
フードを被った男がもたもたしていると既にスティーブは木箱に肘をおいてフードを被った男を見下げていた。
ーーす、すでに来ている! ま、まずいなんとかしないとぉ
「わ、私はただの一般市民ですぅ、リーダーのスティーブさんがどんな人なのか気になって後を付けましたぁ。ただの気の迷いなんですぅ。すみませんでしたあああぁ」
「そうか、どおりで素人臭い尾行なわけだ。もう紛らわしいことをするなよ。今は忙しい。悪いが、また今度にしてくれないか?」
「わ、わかりましたぁ。スティーブさん(やったあ、なんとか誤魔化せた。とにかく早くここから離れないと、バレないうちに)」
フードを被った男はスティーブに頭を下げそっとその場を離れようとした。
「敵と疑って悪かったな、もう行っていいぞ……但し奥にいるもう一人のフードを被った奴の顔を確認出来たらな」
そのときフードを被った男は逃げようとした足をビタッと止め、冷汗を垂らし始めていた。
それはフードを被った男のすぐ近くにもう一人、フードを被った人がいたからだ。
ーーなんで、今戻って来てるんだ、俺のキングバック! 何とかしてごまかさないと!
「あ、か、彼は僕の友人でして、昔顔に負った火傷をあまり人に見せたがらなくて……あはは」
ーーこいつは僕のキングバック、スナッチズ&ウォーカー、情報収集専門のキングバックで能力発動中は姿を消せない。だからフード付きのマントで誤魔化してきたのに……
「いや、君の友人からは人間特有の匂いがしないなぁ」
「く、薬の影響ですよ、きっと」
「おかしいな、俺は薬の匂いは特に得意なんだ、昔いろいろあってね、とても君の友人からはそう言った薬品の類の匂いは感じられない。それと、君、さっきから急に汗の匂いがする、どうしたんだ? 何かまずいことでも?」
スティーブは鋭い目つきでフードを被った男に近寄る。
ーーもうダメだ、これ以上隠し切れない。だけど町中に隠しているスナッチズたちをここまで呼び戻すことは出来た、後は逃げるだけだ。この国の情報は十分に得たからな
そして、フードを被った男はいきなり走って逃げ出した。
「スナッチズたち足止めを頼むぞ」
フードを被った男がそう叫ぶと至る所からスティーブにめがけて赤色の手のような物体が多数襲ってきた。
「切り裂けサーセイバー」
出現したサーセイバーによって一瞬で襲って来た赤色の手たちは両断された。すると両断された手は石ころや木の棒に変化し、地面に転がる。
「なんだこれは、あいつのキングバックの能力か?」
スティーブは興味深そうに石ころを拾う。
「とりあえず、追わなきゃにげちまうぜ」
俺はスティーブを急かす。
「ああ、わかっている。岩谷とティッカロは奴の先回りをしてくれ。俺はこのまま奴を追いかける」
「わかったぜ」 「オッケーっす」
そしてスティーブたちは逃げた男を追いかける。
しかし、町中から次々と現れる赤い手が襲い掛かって来るせいでなかなか追いつけずにいた。
「一体一体は弱いが、如何せん数が多い、よくこんなガラクタばかり集めたものだ。ガラス瓶に本、さらにはぬいぐるみまで、仕方ないが少し切るのが悔やまれるな」
「はっはっはぁ、これが僕の作戦だ。どうだ! ぬいぐるみが変化していると思うと切りにくいだろ」
フードを被った男はこっちを向いて自信満々に高笑いする。
「……少し躊躇はするが、作戦内容がしょぼいな」
「な、なんだとぉ、ならこれならどうだ」
すると新たな赤色の手がとんで来た。
「学ばないな、無駄だ」
サーセイバーが新たな手を両断するとその手は中身の入ったウォッカの瓶に戻った。そしてスティーブはそのまま中身のウォッカを頭からかぶった。
「……嫌がらせの天才だな、こいつ」
スティーブはキレそうになりながらも冷静を保ちフードを被った男を追いかける。
また新たな手が襲い掛かって来てサーセイバーが再び赤い手を両断すると赤い手が戻った物は燃えているマッチだった。
「なに! まずい油断した!」
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