恐怖
アルファラスによって岩谷たちから救出されたセイガ。
しかし、アルファラスはセイガの身を案じて助けたのではない。
キングバック75話「恐怖」
「はい、アルファラス様のためなら、何でもいたします!」
アルファラスはかがんで顔を上げるセイガに顔を近づける。
「だったら、俺のために死んでよ」
「へ?」
セイガは茫然とする。
「なんで? なんで? なんで? そん、な、そんな、そんなことって!」
「今、何でもするって言ったじゃん、セイガ。嘘は良くないなぁ?」
アルファラスは優しい口調ではなくなる。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、いやだぁあああ!」
セイガの顔がどんどん青くなっていく。
「自分が言ったことくらい責任持てよ」
そう言うと、アルファラスはセイガのおでこをつつく。
「そんな、そんな、嘘だ! お願いします! お願いします! 命だけはぁ!」
セイガはアルファラスに泣きつき、許しを請う。
「そうだねぇ、さっき俺、君の能力は代替が利かないって言ったよね」
「は、はい」
「でもさぁ、それが勝手な行動して負けて捕まるようじゃあ困るんだよ。だからさぁ、死んで俺の物になってよ」
「そんな、もう勝手なことはしません。一生監禁でもいいです! だから、だから、お願いします」
「人間、何が一番大事だと思う?」
アルファラスは人差し指を立てて見せる。
「え?」
突然の質問にセイガは言葉が詰まる。
「さぁ、早く」
「そ、それは、強さですか?」
するとアルファラスは土下座するセイガの首を掴んで持ち上げる。
「それは、信頼だよ! 君は俺の信頼を裏切った!」
「い、いや、だ、死にたくない、死にたくない、まだ、死にたくないよぉぉぉぉおおおおおおお! 」
アルファラスはそのままセイガの首を強く絞める。
「うぐ、ぎぎぎ」
セイガは涙を浮かべ、バタバタと暴れる。
しかし、次第に動きに元気が無くなり、プツンと動かなくなる。
「まあ、そんなもの俺は守ろうとしたことないけどね」
セイガは口から泡をブクブクと噴き。下半身からはアンモニア臭のする液体が垂れ流れ始める。
「ちっ、汚ねぇ」
そう言うと、セイガを投げ捨てる。
「おい、お前ら、これ片しとけ」
アルファラスがそう言うと、王の間に控えていた、使用人たちがセイガの遺体を回収し掃除をする。
アルファラスは王の間を出て行こうとし、振り返りると部下のミュウラに声を掛ける。
「俺は情報局に行く。ミュウラお前はリリナとルペルを呼べ!」
「今からですか?」
夜が更けて来て、暗くなりつつある。
「……そうだな、ルペルはまだしも、リリナはまずいか、よし、明日の朝8時来るように連絡しておけ、俺はこのまま帰る。後は任せた」
そう言うとアルファラスは王の間を去って行く。
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次の日、王の間
「リリナとルペルが来ましたアルファラス様」
ミュウラは王座に座るアルファラスに声を掛ける。
「通せ」
「分かりました」
二人は王の間に入ってくる。
一人はまだ10歳ほどの銀髪の少女で、もう一人は身長が高く少し細身の20代後半くらいの黒髪ショートカットの女性だ。
「アルファラス様♡ お久しぶりですねぇ♪」
銀髪の少女は媚びるように挨拶をする。
「リリナ、君も元気そうで何より、最近は相手してやれてなくて悪いな」
「うふふ、いいんですよ、今夜相手してくれれば♪」
「はは、任務を無事完了出来たらご褒美をやる」
「あはっ! じゃあ、頑張りますねぇ~」
リリナは小悪魔のように不敵に笑う。
「ちっ、このクソロリコン野郎」
黒髪ショートカットの女性、ルペルはボソッと悪口を言う。
「ルペル! 毎度毎度口が過ぎますよ!」
王座の隣に立つ、眼鏡をかけた女性がルペルにキレる
「ジューノ、言わせてやれ」
アルファラスは手を挙げ、止める。
「で、ですが、アルファラス様!」
「以前、褒美で、俺への暴言を求めたよな、それを許可したのは俺だ、多少は目をつぶってやる。まあ、こんなに口が悪くても、夜は大人しいのがお前の可愛い所だよな、ルペル」
アルファラスはルペルを小馬鹿にした様子で笑う。
「ちっ、この性欲クソ野郎! てめえとは金輪際したくねぇ!」
「はは、まあ任務さえやってくれればそれでいい」
「それで、私に何の任務だ?」
「殺して欲しい奴がいる」
「そんなこと、知ってる。いつも私に頼むのは殺し、だろ」
「こいつだ」
アルファラスは岩谷とスティーブの写真をルペルとリリナに見せる。
「こいつは?」
「昨日俺と殺り合って逃がした侵入者だ」
「……アルファラス、あんたと戦って逃げ切れるような奴を私が殺れるとは思わないが?」
「ああ、お前一人ならな、リリナと組んで殺れ」
「私がこんなガキと?」
ルペルは嫌そうな顔をする。
「はは、そう見た目で判断するな、こいつは俺のお気に入りだ、相当やる」
「はっ、お前の夜のお供でお気に入りの間違いじゃないのか? お前のクソロリコンっぷりにも呆れたな」
すると、リリナは自分のキングバックを出し、手にした円形の刃が複数連なった剣でルペルの首を捉える。
寸でで剣を止める。
ルペルは突然の行動に対応出来ず、冷や汗を流す。
「ねえ、アルファラス様、こいつ殺していい? さっきからうるさいんだけど」
リリナはさっきの甘えた声ではなく、殺意の籠った声であり、場の空気は一気に冷える。
「それは許さん、ルペルは私の大事な部下だ、こいつの暗殺は目を見張るものがある」
アルファラスはリリナは止める。
「なーんだ、つまんないの」
そう言うと、リリナはキングバックを引っ込める。
「まあ、俺の悪口を言うのは勝手だが、俺以外から制裁されるかもしれない、いい勉強になったなルペル」
「あ、ああ」
ルペルは少し大人しく頷く。
そんなルペルにアルファラスはいきなりキスをする。
「ん⁉ んんんんん!」
アルファラスはキスと同時に自分の血をルペルに直で飲ませる。
ルペルはごくごくと飲まされた後、振り払いアルファラスを突き放す。
「ぷはっ、けほけほ! 何をする!」
ルペルはアルファラスを睨む。
「はは、そう落ち込むな、お前のキングバックを多少強くしてやった、射程は少し伸びただろう? リリナのサポートを頼んだぞ」
「……わ、分かった」
するとアルファラスはルペルの耳元でルペルにだけ聞こえるように言う
「俺はいつでもお前を監視している。リリナに何かあってみろ、賢いお前なら分かるよな?」
アルファラスの凄まじい重圧で声が出ず汗を流す、ルペル。
「はは、その表情が答えだな、期待しているよ」
そう言い終えるとアルファラスはルペルの肩をポンポンと叩き、王座の方へ戻って行く。
「……失礼する。リリナ、後で合流しよう」
「はぁ~い、じゃあね、アルファラス様!」
ルペルとリリナは王の間を後にする。
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
最近少し、暗い流れが続いています。若干ストレスを感じている方には申し訳ございません。
次回からはルペル&リリナ戦が始まります。お楽しみに!
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