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キングバック   作者: 君子な在る虎
醜美鎖国水都 アルファラス ~ハーレム世界の反逆者たち~[Part3.欲望の獣アルファラス]
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生きていてくれてありがとう

弟の代わりに生きて来たウィルメリアの過去が明らかになった。

 キングバック74話「生きていてくれてありがとう」



 私の前から気まぐれは姿を消した。


 それから家の中を漁っていると、男物の服を見つけ、エステイトとして生きるためにそれに着替える。


「これ……サイズ、気まぐれに全然合ってない」

 ポケットに手を突っ込むと、その中には金貨が数枚と、少しひしゃげた封筒が入っていた。


「何これ?」

 封筒を開けると、中には推薦状と書かれた紙が入っている。

 なんと私がウォーターナイトに入りやすくなるための推薦状だったのだ。


「……ふふ、何よ、あいつ、結構過保護じゃない」

 ウィルメリアは少し目に涙を浮かべると、貰った仮面を構わずその上から付ける。


「……今日から、僕はエステイトだ!」



 そして現在に至る。


「これが私がここまで生きて来た道よ」

 ウィルメリアは真剣な目でこちらを見る。


「えぇ⁉ 私との出会いはカットですの⁉」

 エルフェはウィルメリアに引っ付く。


「お前はただの一目惚れだっただろ!」

 ノレドはウィルメリアに引っ付くエルフェを引きはがす。

「あんまりですの~」


「あはは、ごめんね、元気な子たちで」

「いや、いい仲間じゃないか?」


「うん、そうだね、ありがとう」

「……他人からもらう同情ほど安い物はない。だから俺は大変だったな、なんて気軽には言わない。だが、これだけは言わせて貰う。他の誰でもない、ウィルメリア、()()生きていてくれてありがとう」

 スティーブはエステイトとしてのウィルメリアではなく、ウィルメリアただ一人が生きていたことに感謝した。


 その瞬間ウィルメリアは突然、ポロポロと涙をこぼし始める。


「う、うぅ、うわぁーん」

 スティーブは泣きじゃくる、ウィルメリアの頭をそっと撫でる。


「私、私、うぅ」

 ウィルメリアはスティーブの胸に顔をうずめる。


「思う存分泣くといい、ここには今の君を笑う者はいない」

 スティーブは優しくウィルメリアの背中をさする。



「ちょっ、いつまで」

 エルフェが割って入ろうとすると、ノレドが止める。


「今のウィルメリア様を受け止めるのは女ではない、男だ」

「はぁ、分かったですの」

 エルフェはあっさりと諦める。



「(ただし、イケメンに……)」

 クラスチェは微妙な表情でスティーブとウィルメリアを見る。


 そんなクラスチェに岩谷は肘打ちを食らわせる。

「(うぐっ⁉)」

「(今、絶対ロクなこと考えなかっただろ!)」


「(なんで分かんだよ! 怖ぇ)」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 アルファラスの城、王の間


 気絶していたセイガは王の間で寝転がされている。

「う、うぅ、ここは?」


 そして意識を取り戻したセイガはゆっくりと起き上がり、ハッキリしない頭で辺りをボーっと眺める。


「セイガ、大事はなかったかな?」


 アルファラスの声で一気に目が覚めたセイガは、その場に起立する。


「こ、これはアルファラス様!」

「うん、腕は怪我していたようだけど、その様子だと大丈夫そうだね」


「は、はい! アルファラス様の手を煩わせるほどではありません」

「そう、なら良かった」

 アルファラスは優しい声でセイガに語り掛けるが、違和感を醸し出し、逆に怖い雰囲気を作り出している。


「そ、それより、私は何故ここにいるのでしょうか?」

 セイガはウィルメリアたちにやられた後のことを知らないため、何故自分が助かったかわからない様子だ。


「うん? それは君が負けたから僕が助けに行ったんじゃないか」

「あ、ありがとうございます! この私ごときを助けるためにご足労いただきありがとうございます!」


 セイガはその場に土下座して感謝する。


「……顔を上げてよ、大切な部下を助けるのは大切なことじゃあないか」

「は、はい」


 セイガは恐る恐る顔を上げる。

 すると、さっきまで王座に座っていたアルファラスはセイガの目の前までやって来ていて、笑顔で笑う。


「あ、アルファラス、様?」

「君の能力は代替が利かないからねぇ、()()()()()()()()()()()()()

 笑顔でセイガを見るアルファラス。セイガはさっきから震えが止まらない。


「は、はは、そ、そうですよね、あ、あはは」

 セイガは必死に笑顔を作る。

「土下座はもういいよ、ほら立って」


「は、はい」

 セイガは恐怖で足がガクガクであり、立とうとするがよろけてこけそうになる。

 それをアルファラスは咄嗟に支える。


「おっと、大丈夫かい?」

「は、はい、すみません。ありがとうございます!」


「ところで、セイガ、この俺を()()()()()()()()

「も、もちろんです。私が愛しているのはアルファラス様ただ一人です」


「そう、なら良かった。でも、だったら何故、エステイトに会っていたのかな?」

 アルファラスは笑顔で淡々と聞いてくる。


「そ、それは……(こ、怖くて言えない)」

 セイガは口をパクパクしているが声が出ない。


「ん? どうして怖くて言えないのかな?」

 アルファラスはセイガの心中を見抜いている。


「(な、なんで私の心の中を)」

「何でって、今自分で言ったんじゃないか、セイガ」


「そ、そんなはずはない、私が口に出して言うはずが、言えるはずが、はっ⁉」

 そのとき、セイガは今まで自分の口で全て喋ってしまっていることに気が付く。


「セイガ、何が言えるはずないのかな?」


 セイガは全て理解した、アルファラスの能力で嘘は言えないことを、だからセイガはもう一度その場に土下座をする。


「す、すみません。私が愛しているのはアルファラス様だけです! 私に出来ることは何でもします! ですから、ですから、どうか、命だけは」

 セイガは必死にアルファラスに懇願する。


「……本心か、いや、恐怖が塗りつぶしたか、まあどっちでもいい。そんなに俺を愛してくれて嬉しいよセイガ。だから、そんな愛しい君に一つだけ頼みがあるんだ。聞いてくれるかな?」

 

 セイガは安堵の表情ですぐに顔だけ上げる。

「はい、アルファラス様のためなら、何でもいたします!」


 アルファラスはかがんで顔を上げるセイガに顔を近づける。

「だったら、俺のために死んでよ」


「へ?」


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

ウィルメリアの過去が全て分かりましたね。

次回からはまた、ストーリーが進行していきますのでお楽しみに!


いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。

ブックマーク、評価、感想などよろしくお願いいたします。

作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。

Twitterで作品に関する情報を提供するかもしれません。

作者名で検索すると出ると思います。

どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。

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