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キングバック   作者: 君子な在る虎
醜美鎖国水都 アルファラス ~ハーレム世界の反逆者たち~[Part3.欲望の獣アルファラス]
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代わり

謎の男、気まぐれによって命を救われたエステイト、しかし姉のウィルメリアにはその価値がないと断じるられる。

 キングバック73話「代わり」



「僕が姉ちゃんを助けるんだ!」


 僕は姉の身体に触れキングバックを出す。

「僕の力を姉ちゃんに分け与えたら」



 弟は長い間、私の身体を直そうと必死に能力を使いました。

 そして、長い夜は明け



「う、うーん、ここは?」

 私は血だらけのベットで目を覚まします。

 そして、私のすぐそばには弟のエステイトが寝ています。


「え? ここどこ? ねえ、起きて、エス、起きて」

 私は何度も弟を揺すりますが起きる気配はありません。


 それどころか、弟の身体が酷く冷たく硬いことが嫌な予感をさせました。


「起きたか」

 そこにはフード被って時計の模様が入り、角が生えた仮面を付けた男が部屋の隅で椅子に座っていた。

「え? だ、誰⁉」


「名など勝手呼べ、お前の弟は気まぐれと呼んでいたな」

「じゃ、じゃあ気まぐれさん、ここは?」


「ここ? ここは俺の隠れ家だ。そんなことよりもっと重要なことがあるんじゃないのか?」

「そ、そうでした、私は何故ここに、わ、私の弟はどうなったんでしょうか!」


「……お前の弟はお前を助けて代わりに死んだ。能力の使い方もロクに知らずに使ったから、お前を助けるために、全て明け渡してしまった。だから、死んだ」

「え、死んだ? う、嘘でしょ」

 

 ウィルメリアは狼狽え、エステイトの頬に触れる。


「嘘ではない、その硬さ、死後硬直だ」

「い、いや、いやぁぁぁぁあぁ!」


 現実を受け入れられない私を置いて気まぐれは話を続ける。


「全く、せっかく助けてやったのに、役に立たない姉を助けて死ぬなど、愚かな」

「一体、何が、昨日の夜何があったんですか!」


「説明するより、思い出した方が早い。一度寝ろ」


 気まぐれは私の頭をポンっと触れると、眠気に襲われる

「な、何を」

「おっと、思い出す前に、私の素顔の記憶は消しておかないと」


 そう言うと男は私のおでこに軽く触れる。

 そのとき、私は眠りに入った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして目を覚ます。


「あ、そうか、私、だけ、助かったのか」


 夢から醒めたことで現実が浮き彫りになる。

 現実を受け止めたからなのか、ポロポロと涙が流れ始める。


「……」

 気まぐれは椅子から立ち上がり、その場から去ろうとする。


「気まぐれさん!」

「……なんだ?」


 気まぐれはゆっくり振り返る。


「あなたが何者かは聞きません。私が、私がアルファラスに復讐するために、この私を鍛えて下さい!」

 涙を浮かべながらも、目つきが鋭く変わる。


「この俺に憤りは感じないのか?」


「確かに少し思うところはあります。ですが、あなたは私の弟を器があると言った。そして私は不必要だと」

「ああ、そうだ」


「だったら、私が今からエステイトになります! 私がこの国を変える!」


「ふふ、お前がエステイトの代わりになると?」

「はい! 本来私が死ぬはずだった。その代わりに弟が死んだ。なら、私が代わりにアルファラスを倒します」


「(今、ウィルメリアの中にエステイトがいる。人とは変わるものだな、私の目からも、その将来が変わりつつある)」


「ダメですか? 私はそれでも不必要と?」

「……気が変わった。いいだろう、ウィルメリア、お前を鍛えてやる。ただしお前のキングバックの定着が馴染むまでだ。そこからは自分でなんとかしろ」



 そこから、私の狭い世界での生活が始まりました。

 私は家から出ることは許されず、気まぐれが用意した本を読み、ひたすら知識を付け、気まぐれがいる間はキングバックの使い方などを学びました。



「はあはあ」

「やはり、エステイトほどの器ではないか」


 気まぐれは呆れた様子だ。


「まだまだです! 私は出来ます!」

「キングバックの外見は継承しても、能力はお前依存だ。平凡極まりない」


「でも、まだ、ぐっ」

 ウィルメリアは疲れて倒れる。


「ふん、力の使いすぎだ。そもそもそのキングバックはお前の物ではない。無理をするな」


 厳しいながらも気まぐれは嘘はつかなかった。

 辛いことも、良いこともハッキリと伝える。


 このアルファラスによって造られた嘘だらけの(世界)でそのことはむしろ良かった。



 そして、半年が経ったころ。


「……随分と物にしたな、ウィルメリア」

「あなたが褒めるなんて、どうかしたんですか?」


「ふん、お前にしては躍進したと述べただけだ。だが、アルファラスを倒すにはまだ力不足と言わざるを得ないな」

「はーい、分かってます」


 慣れた気まぐれとの会話が続く。


「……ねえ、気まぐれ?」

「なんだ?」


「私、時折エスのこと思い出して泣くでしょ?」

「……知らんな」


「そう、いつも見ない振りをしてくれるものね」

「……」


「でも、私向き合ったおかげで、ひとつだけ使える能力が増えたの」

「そうか」


「あなたに向かって撃っていい?」

 ウィルメリアは無邪気に笑う。

「物騒な奴だ」


「だってあなた、今まで私にキングバックを見せてくれたことないでしょ?」

「見たいのか?」


「見たいって言っても見せてはくれないよね?」

「当たり前だ」


「だから、力試し」

「はぁ、ここ半年で随分とやんちゃになったものだ。(だが、これが本来のこいつか)……好きにしろ」


「分かった」


 ウィルメリアの周囲に流れる空気が重く変わる。


「これは汝の罪を写す、氷の鏡。ジャッジメントミラー!」


 すると気まぐれの胸に大きな透明な氷が発生し、その氷に何か映る。


「クソ、見るな!」


 そのとき一瞬白いキングバックの腕のような物が気まぐれの身体から現れた。


「(何か見えた!)」


 しかし、気付いたときには既に気まぐれの胸に発生した氷は跡形もなく消えており、キングバックの姿は何処にも見当たらない。


「あれ? 失敗?」

「バカ、成功だ。俺が咄嗟に解除しなければ全て見られていた」

 気まぐれは少し焦った様子だった。


「そのまま見せてくれても良かったのに♪」

 ウィルメリアは気まぐれに能力を使わせたことに嬉し気だ。


「お前に見られるほど、俺の腕は鈍っちゃいない」


「そう……」

「だが、俺に能力を使わせたのは褒めるポイントだな、その力を応用すれば、アルファラスを倒せるかもしれない。(こいつ、弟の力を引き出して自分の物に変化させた。案外こいつはやるかもな)」


「ホント⁉ 私倒せる?」

「あくまで可能性の話だ。ゼロが1パーくらいにはなった程度だ」


「なーんだ」

 ウィルメリアは分かりやすくガッカリする。

「……一人ではな」


「え?」

「お前一人だと所詮1,2パーセントが限界だ。だからお前を活かす仲間を集めろ」


「な、か、ま?」

「そうだ、お前の1パーセントに掛けてくれる仲間を探せ。仲間は足し算ではない。掛け算だ。お前が強くなれば仲間も強くなり、信頼できる仲間が増えればそれだけ、確率は高くなる」


「なるほど」

「ただし、さっき言ったとおり掛け算だ。マイナスや1以下のような奴を仲間にすると終わりだ、そこはしっかりと選べ、数ではない」


「でも、私、仲間の作り方なんて知らないよ」

「そんなもの自分で何とかしろ」


「でも……そうだ! 気まぐれ、私と一緒に来てよ!」

 ウィルメリアは気まぐれを誘う。


「……それは無理だ」

 気まぐれは少し溜めた後断る。


「どうして?」

「それは……本質的に私はお前の敵だからだよ。つまりマイナスだ」


「そう、なの?」

「ああ、いずれ分かる。そんなことより、今日はもう遅い、さっさと寝ろ」


 そう言うと気まぐれは下の階に降りて行った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 次の日


 私が起きると、部屋のテーブルに仮面と置手紙が置いてある。

 その手紙を読む。


「これ以上俺が教えることはない。今日からお前はエステイトだ。その仮面をつけ、男として生きろ。それと家に残った物は好き使え」


 その置手紙と共に気まぐれは私の前から姿を消した。


このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。

今回はエステイトの代わりにウィルメリアが助かったという回でした。

本来エステイトは英雄の素質がある人間です。しかし、肉親がいることでアルファラス討伐に気持ちが向かない。また、ウィルメリアの性格的にいると邪魔だと、気まぐれは判断しています。

しかし、その気まぐれの考えは大きく外れ、エステイトの力を引き継いだウィルメリアが英雄の素質を持つこととなりました。

ただし、気まぐれの言うように、エステイトの能力はアルファラスを倒す可能性の高い物です。

それをウィルメリアがどれだけ引き出せるかが今後のカギ?になるかもしれません。


いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。

ブックマーク、評価、感想などよろしくお願いいたします。

作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。

Twitterで作品に関する情報を提供するかもしれません。

作者名で検索すると出ると思います。

どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。

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