外道
岩谷の悪い予感が的中、アルファラスは外道だ。
キングバック68話「外道」
ーーああ、俺の最悪の予想が当たってしまった。
「はは、俺の能力に気が付いたか? なかなか鋭いじゃないか、なぁ?」
「……」
岩谷はショックで放心状態になる。
「ご、ごめんなさい、私が事前に言っておくべきだった」
ウィルメリアはショックを受ける岩谷に謝罪する。
「……」
「はは、なんだよ、これくらいでメンタルやられてんのか? 思ったより大したことねえなぁ! このザコが!」
アルファラスは岩谷を罵倒する。
「……アルファラス、てめぇの能力は他人からあらゆる物を奪う能力だな」
「そうだ。まあ、バレたところで痛くも痒くもないがな」
「圧倒的な再生力、それは他者を犠牲にして得たものだった。しかもその効果は一般市民までも、対象」
そう言うと岩谷はアルファラスを睨む。
「おお、怖い怖い、殺意がビンビンだねえ」
アルファラスはおどけた態度だ。
「この国中の国民に打った予防接種に何か仕込んだな! アルファラス!」
「ほう、そこまで気付くとは結構頭回るんじゃないの、この国の国民全員お前くらい頭が良かったらこんな事態にはならなかったかもなあ? おお、可哀そうに」
「ふざけるな! 全部てめぇが仕込んだことだろうが!」
「ああ、そうだけど? でも俺でも同情するね」
「同情だと?」
「はは、考えてもみろよ、情報統制さえしてればバカみたい誘導されていく、故にこの俺みたいな人間に利用されるそのお頭のゆるさ加減、同じ人間として、同情するよ! はっはははははは!」
「こ、この野郎ぉおおおおおおおおお!!」
怒りの頂点に達した岩谷は叫び。
ダイヤモンドビートルはグレイトフル・オーシャンに襲い掛かる。
棒立ちなグレイトフル・オーシャンにダイヤモンドビートルの拳をぶつける瞬間、ピタッとその動きを止める。
いや、正確には止めざるを得なかった。
「ぐ、ぐぎぎぎ」
岩谷は怒りで歯を食いしばる。
岩谷は攻撃出来ない。
いくらグレイトフル・オーシャンに攻撃したところで、代わりに一般市民や奴の部下が身代わりとなって死んでいくだけだからだ。
ただ、多少の犠牲は覚悟の上で特攻し、アルファラスを仕留めることが出来たのならいいのであろうが、岩谷にはその決断が、覚悟が出来るわけがない。
岩谷はそういう人間だ。
「はは、どうした? お前が殺意を向ける相手は目の前にいるぞ?」
アルファラスは岩谷を煽る。
「て、てめぇ!」
「はは、出来ねえか? 出来ねえよなぁ! 正義の味方ぶってるてめぇにゃあ出来ねえよなぁ!」
さらに煽る。
「ぐ、ぐぐぐ」
「ほーら、ここだぜ、ここ、目の前にいんだろ? 目と鼻の先のだろう? 殴って来いよ、鈍間。それとも遅すぎて今動いてる途中なんですかねぇ? ほら、いっそやっちまって気持ちよくなれよ。まあ、それでバカどもがどうなっても知らねえがよぉ! ぎゃははハハハ!」
「このゲス野郎!」
ダイヤモンドビートルは拳を振るうが、その拳はグレイトフル・オーシャンの横を通り、ただ地面のタイルを破壊するだけだった。
「あーあ、面白くねえ、既に何人か殺ってんだ、細かけぇこと気にしやがってつまんねえの。はぁ、もういいわお前、処刑な」
岩谷への興味を無くしたアルファラス、対して岩谷はメンタルがやられその場に膝を着く。
「フリーズチェーン」
アルファラスがそう言うと、ダイヤモンドビートルの周囲の地面から氷で出来た鎖がダイヤモンドビートルに絡みつき、動きを封じる。
しかし、ダイヤモンドビートルは抵抗する素振りすら見せない。
「はは、どんだけ硬かろうが構わずやれ、デスロック!」
すると、ダイヤモンドビートルの真下の地面が割れる。
そこには真っ黒な闇のような、沼のような空間が広がっている。
そこへ、ダイヤモンドビートルは氷の鎖によって引きずられていく。
そしてついにダイヤモンドビートルが全て飲み込まれてしまう。
ダイヤモンドビートルを飲み込んだことで、役目を終えたのか割れた地面は元に戻っていった。
すると、岩谷は胸を抑え、その場に倒れる。
「大丈夫か!」
クラスチェが倒れた岩谷の元に駆けて行く。
「はは、決まった! 岩谷、これでてめえは俺が許可しない限りキングバックが使えなくなった、てめえはもう終わりだ! ハハハハハ!」
アルファラスは一番の脅威を封印したことで高笑いをする。
「だが今、ここでお前を殺せば問題あるまい」
「あ?」
アルファラスが高笑いをし、勝利を確信したその一瞬の隙を逃がさない男がいた。
アルファラスの目の前にサーセイバーが現れ、抵抗させる間もなく、アルファラスの首を刎ねる。
アルファラスの首が地に落ち、力を失った身体は膝を着き、バタリと前に倒れる。
「え? お、終わったですの?」
「……」
あまりに一瞬の出来事だったことから何が起こったのか、みんなは状況が飲み込めていない。
しかし、アルファラスの首を刎ねたスティーブ本人は静かに地に落ちた首を見る。
そして一言
「……その首からは血の匂いがしない」
そのスティーブの発言の後、聞きたくない声が再び始まる。
「はは、危ない危ない、念のためを思って偽物を用意していて良かったよ」
その声と共にアルファラスの死体とおもしき物は水になって弾け消えた。
そして、ウォーターナイトの一人の変身が解け、アルファラスが現れる。
「はは、スティーブだっけ? なかなか速いじゃないの? 結構ビックリしたよ」
「ほざけ」
スティーブはアルファラスを強く睨む。
「はは、なんだよ? 激おこですかぁ?」
サーセイバーは剣をアルファラスに向ける。
「俺とやるって言うのか? それがどういう意味か分かってんのか?」
「お前を一分一秒生かせておく方が人類のためにならん」
「言うじゃないの、で? 速いだけのお前でどうやって俺に勝つわけ?」
すると、スティーブは懐からキングバックを覚醒させるアイテム、イカロスの仮面を取り出す。
「なんだぁ? そいつは?」
スティーブは躊躇うことなく仮面を顔に被せる。
「俺の殺意に答えろ! サーセイバーオリジン‼」
このたびはキングバックを読んでいただきありがとうございます。
アルファラスはかなりゲスな人物として描いています。
それで不快な思いをした方には申し訳ございません。ですが、最後にはしっかりその報いは受けると思いますので、お付き合い下さい。
いつも読んでくださる皆様にお願いがあります。
ブックマーク、評価、感想などよろしくお願いいたします。
作者のやる気が上がり、クオリティがアップすること間違いなしです。
Twitterで作品情報を提供するかもしれません。
作者名で検索すると出ると思います。
どちらにせよ、次回もお会いできるのを楽しみにしております。




