多手多様Part1
砂の国から敵が送られてきた、主人公たち太陽の国は戦力の少なさから、リーダーのスティーブ一人がこれを迎撃する。
しかし、相性の悪さと数の違いにより、苦戦を強いられるスティーブ。
見ているだけで何も出来ていなかった岩谷は悔しさで自分を責める。しかし、その岩谷を煽るように、岩谷の世界の観測者、ローキットは岩谷にアドバイスを送る。
こうして岩谷は自分のキングバックを手にし、砂の国の戦士の一人ルイン・カッシュに苦戦はしたものの結果的に砂の国の刺客たちを退けた。
多手多様Patr1
ルインのバッシュとの戦いから約2週間が経った、あの後俺は1日ほど入院した。
いちおう入院しただけで、特に体にはなんの異常はなかった。
問題はスティーブの方だ、やはり腹に貰った弾丸のダメージが大きかったようだ。
そのため、今日まで入院していた。本当はもっと入院したほうがいいらしいが、スティーブがこれ以上席を空けられないという理由で無理やり退院するらしい。
この2週間俺はスティーブにキングバック用の練習場を借りて、そこでキングバックを長時間動かし、ひたすらキングバックの練習続けた。
1度、キングバック出してから何回太陽圧力できるか試したり、その限界値を増やすためにひたすら発射したりなど、練習を積み重ねた。
そのおかげでバッシュのとき以上の力を引き出せるように成長していた。
「さて、そろそろスティーブが退院して、戻っている頃だろう。会いにいくか」
「ハロー、元気にしてたかな? 岩谷少年!」
突然脳内に耳に残る聞き慣れた声流れる。
「げ、なんだ、パチ神かよ」
「私に会えなくてさみしかったかなー?」
「んなわけねえだろ!」
「なーんだ、つまんないの」
ローキットはおどけた調子だ。
「今日は何しに来たんだ? この間は突然現れたと思ったら、気付いたら聞こえなくなってたしよ」
「うん、途中で邪魔が入ってね、そう長く声は届けられないんだ」
「邪魔って誰が?」
「たぶん、この世界を書き換えたのと同じ奴」
「それって、この世界のルールを変えた奴だな」
「うん、まあ、そんなこと出来るのなんて一人しかいないけどね」
「誰だ?」
俺は少し、低い声で聞く。
「そっちの世界の観測者、おそらく彼しかいないと思う」
「そいつが黒幕か、見つけ出してこの世界を元に戻させてやる!」
岩谷は少し怒りが混じった声だった。
「待て待て、黒幕がそんな簡単に尻尾出すわけないでしょお」
「この前、敵だったけど、人が死んだんだ、仲間のための自殺だった。その黒幕が世界を改変しなかったら、こんなことにはならなかったんだ!」
「……岩谷、そっち世界で人間が死んだとしても、私たちの世界で死んだわけじゃない。だから、世界のルールを元に戻すことが出来たら、そっちの世界で死んだ人も、全て私たちの世界で元の人生を歩むことになる」
「だったら、なおさら早く黒幕を見つけないと」
「もし、その間に太陽の国が負けたら?」
ローキットはいつものおちゃらけた調子ではなく、真剣な声だった。
「それは……」
「確かに、世界を元通りにするのがベストだ。しかし、太陽の国が勝てば、そこで、一旦、大きく歴史が変わることはなくなる。もちろん、ルールは変更されたままだから、ここの人たちは元の人生は歩むことはできないけどね」
「……黒幕より先にこの国を勝利させた方がいいって言いたいんだな、確かにここに連れて来られた人たちは歴史に影響のない替えがきく人間だもんな!」
岩谷は怒りで興奮した様子だった。
「ちょっと落ち着いてくれよ、そもそも、こんな手の込んだことをする奴だ、簡単に見つかるはずはない、その間に太陽の国が負けたらあいつの思うつぼだ。まず、太陽の国を勝たせるんだ。そうすれば、奴も何か行動に出て来る」
「……分かった、この国を勝たせる。それが当分の間の目標か」
「そう、今この世界は日(太陽)、月、火(炎)、水、木、金(鋼)、土(砂)の7つの国に分かれている。太陽に勝ってもらわないと、我々の世界の中心が太陽ではなくなり、歴史が変わる」
「仕方ない、お前の言う通り、この国を勝たせることを優先にするよ」
「うんうん、素直でよろしい! それから……あー少し喋り過ぎたなあ、もう時間がない、後は頼んだ、岩谷」
突然さっきまで聞こえていた声が聞こえなくなる。
「今はやれることをやるしかないな」
そして俺は退院したスティーブに会いに以前の建物に向かった。執務室にはスティーブ以外にも見慣れない顔ぶれがいた。
「よう、スティーブ体調はどうだ?」
「岩谷か、そうだな、活動可能なほどには回復したぞ」
「そいつは良かった。にしても今日はやたらと人が集まってきているな」
「岩谷は会ったことがない人も多いな、まずお前が知っているユーネリアは今いるこの建物の総合管理者だ」
「え、あんたそんなすごい人だったのか」
「は、はいみんなに助けてもらうことも多いですけど。戦闘ではお役に立てませんし」
「そしてそこの糸目でガタイのいい男はジンゴ、東の門の管理者だ」
「よろしく、砂の国の侵攻では助かった。ありがとう」
「そっちの不気味な笑顔の男はティッカロ、北の門の管理者だ」
「もう、不気味は余計っすよ、スティーブさん。あ、岩谷さんっすねよろしくっす」
「あとお前と同い年のこいつはユラジオだ。つい最近、西の門の管理者になった」
「よ、よろしくお願いしますぅ。まだまだ、未熟者ですが……」
俺はみんなの顔見て、あることに気付き、不思議に思った。
「全体的に若い人が多いなぁ」
すると、部屋に白髪で髪の長い優しそうな40代頃の男性が入って来た。
「それは僕がそう決めたからね」
そして周りのみんなは急にかしこまった様子になる。そしてスティーブが男性に丁寧に話しかける。
「セイリスさん、お身体は大丈夫ですか?」
「いや、君が退院したと聞いてね、勝手に来ちゃったんだ」
「ダメですよ、あなたはお身体が悪いんですから」
「君も無理やり退院したと聞いたけど。僕と一緒じゃないか」
セイリスという男は優しく笑った。
「なあ、スティーブ、このひとは誰なんだ?」
「ああ、彼は先代の国のリーダーだ」
「まあ、すぐにスティーブ君に譲っちゃいましたけどね。」
セイリスはまた笑う。
「よ、よろしくお願いします、セイリスさん」
俺は少し緊張し、セイリスに頭を下げる。
「うん、よろしくね、岩谷治君」
セイリスは笑顔で俺に返す。
「それで、スティーブ、今日はこんなに人を集めてどうしたんだ?」
俺はスティーブに問う。
「それについてはまずティッカロ、報告頼む」
「はい、まず北の門付近の調査報告っす。どうやら、北の門よりさらに北の町センドウではここ半年で木の量が爆発的に増えたらしいです。一部では森のようになっており、隠れるにはおあつらえ向きかと」
「とのことだ。実際センドウは木の国との国境に近い、こちらへの攻めの拠点としている可能性が十分にある。しかし我が国にはこの敵拠点と思われる要所を潰すために動かす戦力はない」
この戦力がないという言葉に管理者たちは悔しそうな顔をする。
「だが、それはつい最近までだ、俺たちには新たな強力な戦力岩谷がいる」
「彼にそれほどの力があるっすか?」
ティッカロが口を開く。
「それならこの俺スティーブ・ロイヤーが保証する。岩谷の実力は本物だ」
「それなら、俺も保証する。岩谷の力は他国のリーダー級に対抗できる」
ジンゴも言ってくれる。
「へえ、そんなに、あんまし強くない俺からすると嬉しい話っすね」
「ああ、そしてここに特別遊撃隊を結成する」
「そいつはいいっすね、で、メンバーは?」
「俺と岩谷だ」
「二人だけっすか?」
「そうだ。もちろん場合によってお前らの誰かを臨時に呼ぶこともある。今回はティッカロお前だ」
「いやいや、いくらなんでも少なすぎっすよ」
「遊撃だからな」
「遊撃にもほどがあるっすよ」
「だが、我々もいつまで経っても守りに入っている場合ではない」
ジンゴが静かに言った。
「そうだジンゴ、俺たちはここから動いて行かなくてはいけない」
スティーブは力強く言った。
それには俺も同調する。
「ああ、この国を変えるために俺は来たからな。やってやる」
「はいはいわかったっすよ。俺もスティーブさんに付いていく行くと決めてますから、どんなのにも付き合いますよ」
「よし決まったな、ティッカロは先に北の門まで行っていてくれ。俺はセイリスさんを病院まで送っていく」
「了解っす」
その後俺はスティーブと一緒にセイリスさんを病院まで送っていくことになった。
石車で郊外にある病院に行く最中気になったことを聞くことにした。
「あのセイリスさん、さっき言っていた。若い人多いように決めた。とはどういうことですか?」
「ああ、それはね、僕が3年前に改革をしたからさ」
「改革とは?」
「それまでこの国に根ずいていた、古い貴族社会を僕の代で終わらせたんだ。無能達がいつまでもトップにいると、この国の腐敗が進んでしまう。それが何よりも許せなかった」
このとき、俺はセイリスさんが優しいだけでなく強い心を内に秘めている人だと感じさせられた。
「セイリスさん、俺はまだあなたのことをよく知らない。だから偉そうにあなたの行動に深い意見は言えない。けど、これだけは言える。あなたは正しい」
俺はセイリスの目を強く見る。
「ありがとう。君はいい目をしている。君ならスティーブのこと任せられるね。この子何でも一人で抱え込むことがあるから、その時は君が支えてあげてほしい。君たちはいいコンビになる」
「セイリスさん、私はもうこの国のリーダーです。子供扱いは止めてください……」
その時のスティーブは恥ずかしそうだったが、しかし、少し嬉しそうににも見える表情だった。
「うん、そうだね、スティーブ君は僕なんかよりもずっといいリーダーになれる。いや既にそうかもしれないね。そして君達二人はきっとこの世界を変えられる、頑張ってね」
俺たちはセイリスさんを病院に送り、ティッカロのいる北の門に行った。
この度はキングバックを引き続き読んでいただきありがとうございます。
今回は世界観を説明することの多い回でした。理解しにくい場面もあったかと思いますが、楽しく読んでいただけれたなら幸いです。
次回はスティーブの過去を深く見て行く回になります。予定では明日金曜日に投稿するつもりなので、良ければ次回も読んでいただければ幸いです。
つい最近公式twittterを作りました。twitterにて何をするのか詳しくは決めていないのですが、新しい話を投稿したことの報告や、分かりにくい部分の解説などをしていきたいと思います。
あと今回からは過去に登場したキングバックの解説を後書きに書いていきたいです。ストーリーの根幹には触れないので、気になった方だけ見ていただければ幸いです。
キングバック紹介
キングバックの基礎知識
キングバックには大きく6つのステータスが存在します。
パワー、スピード、特殊エネルギー性、行動距離、耐久性そして精密性です。
どこかの漫画に似ていますが、気にしないで欲しいです。
ステータスA+~E-
パワー:キングバックそのものの筋力にあたるステータス、これが高いほど、単純な物理攻撃が 強くなります。
スピード:キングバック自体の動く速さに影響します。基本的にパワーとスピードが高いと単純に強力なキングバックになります。
特殊エネルギー性:キングバックの特殊能力に影響し、これが高いほど、特殊能力の効果、範囲、攻撃力が上がります。例として炎を扱うキングバックいるとします、しかしこの特殊エネルギー性が低いと貧弱な炎しか扱えません。しかし、これが高いほど、高火力でそれだけで戦えるほどのキングバックになります。
行動距離:これが高いほど、本体から離れて行動できるため安全に戦うことができます。しかし、本体からよく離れられるキングバックほど本体のエネルギー供給を受け取りづらく、他のステータスが低くなりがちであり、一概にこのステータスが高いと得をするわけではない。
耐久性:キングバックの全身硬さや、再生力を表すステータス。このステータスが高いほど硬いか、再生力が高いことになります。
精密性:キングバックがどれだけ細かい動作ができるかや、どれだけ本体の命令を忠実にこなせるかに影響するステータス、このステータスが高いほど、ピンポイントに攻撃したり、難しい指示も完璧に再現可能。
サーセイバー
パワーB,スピードA+,特殊エネルギー性D,行動距離C,耐久性B,精密性A+
スティーブ・ロイヤーのキングバック
和風模様の入った西洋の鎧に身を包まれているが、腕は重いガントレットではなく和風の袖を持ち、下半身は動きにくい重い鎧ではなく袴を持つ見た目。
パワーは突出していないが高いスピードと精密性で相手の弱点を的確に突くことが出来る急所重視のキングバック、スティーブの影響を受け嗅覚が優れている。また、サーセイバーの持つ剣は真実の剣と言い、幻覚などを見せる能力などにはめっぽう強い。
また、毒無効など、あらゆる状態異常に高い耐性を持ち、搦め手が得意相手には基本的には有利である。反面シンプルな攻撃能力は所持しておらず、剣による戦闘がメインであり、攻撃特化の能力を持つ相手にはやや苦手である。




