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異世界に風営法はありません!  作者: とろとろ湯豆腐
1章 悠久の夜想曲
3/39

母の笑顔は遠く

 夜の森を走る一人の女性がいた


 女性は足と背中に酷い怪我をしながらも、その腕の中に……大事に赤子を抱え、追手に追いつかれ無い様必死に走っていた……


 音が聞こえる度に、追いつかれたのではないかと……不安で押し潰されそうになるが。

 赤子の寝顔を見ては癒され、決して捕まってはならぬと!自分の身体にムチを打ち痛みに耐えていた。


 どれだけ走ったか分からないが、遂に森を抜け町が見えてきた……母親は街が見えた少しの安心感からか、緊張の糸が切れ赤子に語りかけていた


「もうちょっとで町だからね、大丈夫だからね!絶対お母さんが守って見せるから!」


 女性は自分に言い聞かせる様に赤子に語りかけ、そして微笑み……その頬をそっと撫でると再び走り出した。
















 ん?寒い……けどほのかに暖かい……ここは何処だ?何故か自分の身体は動かないし、いったい何が起こってるんだ?

 理由が分からない、俺は何かに揺られ……意識を取り戻した。


 目の前は真っ暗で何も目えない、身体も動かない……誰かが走ってるのか、荒れた息遣いとザーザーと雨の音だけが聞こえてくる……


 俺はこの誰か分からない人に話かけようとするも声がです、何故か猛烈に不安になり泣いてしまった……


「よしよし♪大丈夫でちゅよ〜♪ママが一緒でちゅからねぇ〜」


 優しい声が聞こえ目の前が明るくなる……そこには優しく微笑む一人の女性がいた

 少しばかり顔色が青白く体調が悪そうだが、溢れる優しさ……この人が自分の母親なのだろう、本当に優しそうな人だ。

 私の前の人生では、私を生んだ女性とは色々とあったから……目の前の人は素敵そうな女性で、私は心の中で躍りだすほど嬉しかった。


「いたぞぉ!!捕まえろ!!」


 遠くで声がした……女性は急に慌てた顔をして走り出す!

 ……誰かに追われているのか?もしかして俺は……何かやらかしてしまったんじゃないだろうか?不安でたまらなまい、今の自分に何か出来る事はないのか!?……考えるも何も思いつかず、情けない自分に涙が溢れた……そんな情けない自分に、母さんは笑顔で笑いかけてくれていた。


 私は言葉に出来ない感情が溢れ出して、泣いちゃいけないと分かっているのに……母の胸にすがり泣いてしまった…







 ドンドン!ドンドン!


「すいません!!」


 ドンドン!ドンドン!


「なんだい!いったい!?」


 扉から一人の女性が出てきた、薄紫色のワンピースに近い服装で胸元からお腹までが綺麗に露出している、なかなかにセクシーな女性だ。


「すいません!!この子をファルテをお願いします!!」


 女性は泣きながら、その女性に俺を渡そうとした。


「はぁ?アンタ何言ってんだい!寝言なら寝てから言いな!!」


 女性はそう言い扉を閉めようする……その時、カシャカシャと鎧の擦れる音と共に、複数の足音と「この辺にいるはずだ!?探せぇ!」と言う声が聞こえて来た。


「あんた……追われているのかい?」


「はい……私の事は構わないので、この子を!……どうか、この子だけでもお願いします!?」


 女性は消え入りそうな声で縋りつく。


「急だねぇ…………分かった、この子は任せな……けどアンタ、保障は出来ないからね」


 女は母さんから俺を受け取ると、大事そうに抱える。


「ありがとぉ……この子を……お願いします!」


 母さんは泣きながら感謝の言葉を告げると、私のおでこにキスをし去って行った……

 去り際、母の目から大粒の涙が溢れていたのを見てしまい……私はもう……あの母の優しい笑顔は見れないのだと、悲しみのあまり我を忘れて泣き叫ぶのだった……

私は自分を生んだ女性との良い思い出が無く、優しい笑顔を想像して理想の母を思い描き書きました。

理想と現実は遠く……

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