なんて不幸な…
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1〜4話は重い話なので、重い話や暗い話が嫌いな方は
非常に面白くないので5話から読み始める事をオススメします。
「はぁ〜今日もラストまでかぁ……」
今日もこのコロナ渦で電話は全然鳴らず、朝から晩までキャストのメンタル管理……やれお金が無いだとか、彼氏がどうのとか、家賃が払えなくてパパ活がどうのとか、愛人契約切られた〜とか、ホストがど〜とか推しが〜とか!!本当にいい加減にしろぉおおお!!
こちとら最近のこのコロナ不況でバイトは全部切られ……従業員が店2になり……残った社員の給料は30%カット……店長や部長は50%カット、店を二人で朝9:00〜5:00休みなどは無くフル残業……つうか残業代カットとか死ねって事!?このまま赤字だと完全にここも撤退……店をなんとか維持出来る様に●●を6割カット、経費も完全節約……本当のギリギリ君をやってるんでよ!!こっちは!!
「徹〜♪店長は?」
「●なのさん、店長は今日も休みです……相談と言うか無理は承知なんですけど、土日の両方出てくれません?俺も通しするんで一緒に頑張りましょうよ!!最近見つけた鶏そぼろ丼奢りますから♪」
そう……こんなコロナ渦でも、No.1は仕事が入る……なぜか毎回完売する……売上は完全に赤字で保障もなし、先週渋谷の支店は撤退させられた……いつここに来るか分からない!少しでも売上を出さないと……
なのになんで店長が来ねぇ!!コロナ渦になる前も仕事中に配車(●リする車の事)で渋谷の●スパスに打ちに行くわ、キャストと居酒屋に行くは、当欠かますわ、店金6万持ち出しスロットに行くわ、しかも負けたからって給料日に埋めるとほざき!!結局は埋めねぇ!!レジ締めやる時毎日6万マイナス……それを見つけた部長に突っ込まれ、6万を俺が埋めさせられるとか!!「こんなクソ会社潰れてしまえぇっぇえええ!!」……いや、落ち着こう!!ダメだ思い出すと殺意が湧いてきた……落ち着くんだ!!
「え〜なら●タバも付けて♪」
うん可愛い……おねだりが●ターバックスコーヒーとか、●なのさんマジ天使!!●タバで出勤してくれんなら毎日だって奢るぜ!!
「いいですよ♪お安いご用です!では土日いつもの定時で上げときますね♪」
私のテンションは爆上がり、この笑みを見るだけで1日頑張れる気がする!!
ガチャ!……老朽化した扉の音と共に、私のテンションを一瞬で崩壊させる悪魔の使いが現れた……いや悪魔本人か……モンスター遭遇!!事務所に佐久間部長が現れた!!
「ったく、相変わらず汚え事務所だなぇ!おい能無し〜豚助は?」
来たよ……悪魔が……部下を長時間労働で拘束し、店金をフルに使い……経費を無駄遣いし店のキャストに手を出す外道が……
この男は本当にヤバい!!店の経費で買ったマスクやアルコール、それに次亜塩素酸とかを自宅に持ち帰るし……キャバクラの料金を店の経費で落とさせる、60万とかどうやって経費で落とせと言うんだ!?論理的に考えられんのか!?
「佐久間部長……店長なら本日休みになります……」
「えぇ?とうとうくたばったかあの豚!?……ん〜〜ならそうだなお前で良いや、ちょっと来い!」
俺は部長の呼び出しに応じ事務所の外に出る、その時にも万が一電話が鳴っても良いように、子機に転送してから事務所を出る。
「部長……ご用件は?……」
だいたい呼びだしをくらって良い出来事など一度として無い……悪い事ならこれでもかとあったが。
はぁ〜……しかも雨が降ってる、最悪だ嫌な予感しかしない……
「あ〜そうね、お前今日でクビね!……能無しはもういらない、あの豚もクビだから伝えといて♪」
何を言ってるんだコイツは!?理解出来ない……7年もグループに尽くし、お店の立ち上げや……マイナス店舗の立て直しをしてきたのに……結果も出た!!赤字店舗を黒字にだって変えた!!……確かに一度店長職の時、部下に店金も落ち逃げされて降格になり、それからの昇進は途絶えたが……それでもクビにする事はないだろ!?
「理解が出来ません!!……ここまでグループを思い尽くしてきたのに、いきなりクビですか!?確かにこのコロナで売上は赤字かもしれません、撤収するなら理由も分からなくはないですが、クビと言うのは理不尽では!?」
俺はどうしても理解と言うか納得が出来ず、部長に説明要求をする。
「あぁ!?お前はいらねぇんだよ!!それに……どの道赤字なら将来有望な奴に店を任せた方が良い経験になるってもんだろ♪だからお前はクビ!!まぁ〜失業保険もあるし、生活は出来んだろ……もしくは実家にでも帰ってクソみてぇな人生おくりな!!」
俺は部長の言葉に怒りを通り越し、言葉に出来ない……そう、なんと言えば良いのか分からないが、言葉には出来ない黒い感情と絶望で胸を締め付け、我慢できず膝から崩れ落ちる。
「チッ、邪魔だ!この能無しが……いいよお前、もう今日すらいらないから消えろ」
部長は崩れ落ちた俺の腹に蹴りを入れると、俺は痛みと勢いのあまり後ろに飛ばされて階段を転げ落ちる……俺は蹴られた腹部の痛みと階段を転げ落ちた痛みに蹲り身動きが取れなくなった、そんな階段で蹲る俺に……容赦のない雨が降り注ぐ。
「おら!てめぇの荷物だ!二度と顔を見せんな!!」
部長が事務所から俺の荷物を持って来ると、転がってる俺に投げつけて来た……この令和の時代にこんな事を平気でする奴がいるとか、俺の人生って何だったんだろう……俺は30を超えたにも関わらず、こらえきれず涙した……しかしそんな俺の涙は、通りすがる誰にも気づかれず……降り注ぐ雨だけがひたすらに、オレの心を洗い流すのだった……
それから俺はどうやって家に帰ったのかは分からない。しかし傘もささず足元もふらふらとしており……我を忘れて記憶も曖昧になり……すれ違うカップルや家族、幸せそうな笑顔を見るたびにフツフツと殺意が湧いた……
俺は……俺は本当にどうしようもない自分の人生を呪った……幼少期から●待、●●未遂、青年期は協調性が無いといじめられ、大人になってからは理不尽の捌け口……はははぁこんな人生呪うよな……
俺はその時、分からない何かとぶつかり、気が付くまもなく俺の人生は幕を下ろすのだった……
そんな誰の目にも止まらない、死にゆく男を眺める一人の女がそこにはいた……
「ちょん♪ちょん♪……ふふふ♪遂にゴミ屑発見!(笑)丁度いい奴見つけたなぁ〜私ってホント今日もツイてる♪」
そんな固形物を指でつつくこの女が、俺の人生を大きく左右するなど……この時の俺は知る由もなかった。
思い出ですね……嫌な世の中