1-6-5
お久しぶりです。
遅れてすいません。
いやぁ忙しかった!えふごやアークナイツで忙しい!……いや、本当にすいませんでした。
あ、今回は佐賀視点です。
視点が変わりましたが、既存の話では無いのでご安心を。
《サイド 佐賀》
圭に言われた通りに、スマホで写真を撮る。肉片などや爆弾の残り物を動かしつつも、ノートに文字を書いて、別の物を置いておく。
そしてメジャーで爆発範囲や、飛んだ勢いから風速を計算していく。得意分野じゃないので、大雑把にだけ書くと、確実な情報はノートに記す。不確定な情報や推測は、ホワイトボードに書く。そしてそれもスマホで撮る。
ホワイトボードが段々と黒くなっていき、消しては書くを繰り返す。
ドロドロに溶けてる地面と、肉片を見てとある事に気付き、呟く。
「……この後始末って私やるの?」
「そうなるだろうな」
面倒。でもやらないと圭が困る。
となればやるしかない。地面は放置しても問題ないとして、この肉片。どうしたらいいのか、悩む。腐敗臭が起きたら赤牛が集まるので、出来るだけ避けたい。
「流石に使えない。燃やして捨てる」
ポケットからファイアースターターを取り出すと、肉片の前で火を起こす。そこに油を注いで、燃える速度を速める。
肉同士をまとめて着火したのもあるので、すぐに燃え尽きると思う。
「……コンクリート。どこにあるか知ってる?」
「知らないな。というかこの生徒はどうすりゃいいんだ?」
「そう。頑張って」
助けを求める優を無常に切り捨てると、骨を見て気になる。遠くに飛んでしまった骨を集める。頭蓋骨はどこかへ行ったが、四肢や肋骨などは集まっていく。
そして骨の形を繋げていくと、見覚えのある形になった。
「……人体模型?」
いや、正確には人の骨格。
肋骨など変形したりしてはいるが、人の骨で間違いない。人型生物が似たようになってるなら兎も角、これは人の骨格。
猿と言うには違和感もあるし、あそこまでの四足歩行出来てこんな形をしてる動物はほぼ居ない。
となれば赤牛の正体にも目星がつく。
「優、これってどう思う?」
「……赤牛は人だ。多分何かしらのことが原因で赤牛となった。その可能性が高いな」
優も私と同じ考えに行きついた。
だけどそうなると話は厄介。私たちにも赤牛になる危機はある。何かの要因かウイルスか分からないけど、危険度が高まる。
今のところ、点呼で人がいなくなった報告はない。
だからある程度の安心はある。だけど、このままなら学校内で赤牛になってもおかしくない。その時に、他の生徒や先生は手をかけることは難しいと思う。まず相手が人だと分かって殺れる生物なんてまず居ない。
「……一つ聞いていい?」
「なんだ?確認したい事でもあるか?」
「うん。牛の意味は?」
何故牛が選ばれたのか……もしかしたらそこに私たちが転移した理由があるのかもしれない。
場合によってはこの場所がどこか分かる。それに仕組まれた事なら、この赤牛が牛に似てる理由も考察出来る。
「……権力・行動力・平和……最後に一つ……」
最後の一つは言いたくないらしい。
それもそのはず、最後は『犠牲』。まるで私たちを生贄と言わんばかりの意味に聞こえる。イラッとするけど、怒りの対象がない。
犠牲とは何の犠牲なのか分からないことが多すぎる。考えすぎの可能性もある。ここが異世界なら、赤牛の骨格が人と同じ可能性も有り得なくはない。
問題はこれを圭に報告するかどうか。
「あいつには報告しない。これは俺ら仲間内での機密にする。聞かれたら答えるが、自分から話すのは駄目だ。あいつには辛すぎる」
「……同感。圭以外の仲間内で周知させる」
圭がそれを知れば今以上に無理をする。彼は特定の分野を除いて、ごく一般的な人。
周りに期待されて無理やりにでも鬼才に見せてるだけの普通な生徒。だから人どころか動物を殺めるのにも抵抗がある。
赤牛を殺る時も、精神統一してゆっくりと一撃で終わらせている。その後もかなり苦しそうに胸を抑えている。私たちが居ることに気付けば余裕ぶって、チャラチャラする。わかってても傷つけないために、見なかった振りをする。それが仲間内での暗黙のルール。
それで苦しいはずなのに、必死に最前線に出ている。これ以上の負荷はかけられない。こんな話で、圭の疲れを増やすなんてのは仲間じゃない。圭を第一に、が私達のルール。それを必死に守らなきゃいけない。
「……もちろん。そうする」
「うん」
私たちが骨を隠していると、ドアが開かれる。慌てて骨に制服を乗せて隠す。そして骨が見えないようにする。
もしこれ圭に見られてたら困る。周りから鬼才と期待されるのは、奇才程度には実力があるから。推察をされたら、気付かれる可能性も出てくる。
そしてドアの方を向けば、涼雅が居た。
ホッとして涼雅を手招きする。
「サポートだ。何をすればいい?」
「そこに情報は纏めた。写真もある。そこから計算して」
「分かった。それと報告だ」
涼雅はスマホを受け取り、ノートを眺めながらホワイトボードに書き記していく。こういう時に涼雅は強い。
パソコン等から計算するなら、他の人でもやれる。でも範囲や火力の計算を自分の手でやってくれる人はほぼ居ない。そういうとこが涼雅の有能ポイントだと思う。
「なに?」
「圭が戦闘中だ。浅間さんがサポートに回っていると思うが、多分劣勢になってると思う。相手は動物みたいな化け物だ」
「……優、どうする?」
必死に女の子をなだめている優に話を振る。
あまりの情報量の少なさに困惑するけど、今大切なのは圭がピンチという事。
圭なら何とかしてくれる気もする。だけど人外相手の場合は圭でも手に余る。圭の得意な分野は、対人。化け物相手だと、さすがに相手はできない。
「俺が行く。それはまだかかるか?」
「……あとは計算だけ。それは涼雅がやれると思う。でもその子は?」
「もう終わらせた」
優の方を見たら、女の子は既に眠ってた。どうやらもうなだめ終わったらしい。
女の子の扱いという面では凄い。それでも良い彼女に巡り会えないのは、女難の相、又は本人が悪いとしか思えない。
「……なら行こう」
「わかった」
涼雅に頼むと、立ち上がって屋上から向かう。
緊急時なので、少し焦り気味に行く。圭特製のランヤードを使って、多少のショートカットしながら講堂へと向かう。
急いでも、講堂まで大体10分はかかる。
涼雅と別れてから逆算して、私が向かうまでの時間は30分と数分。相手が相当な化け物でなければ、圭は一時間はもつと思う。
「優、いざって時は……」
「わかってる。」
走りながらポケットからナイフを取り出す。そして鞘から抜くと、いつでも殺れるように持つ。
優は走りながらも煙幕玉を取り出して、腕を伸ばしてすぐにして動けるようにしていた。
講堂の扉まで着けば、体を軽く伸ばしてからバク転をして問題ないことを確認する。
「……いける?」
「もちろん」
私が扉を開けようとすると、何か悲鳴が聞こえる。かなりの絶叫で、扉越しでは誰の声かわからない。
すぐに扉に耳を当てて声を聞けば圭の声だと分かる。
「行くよ。圭がピンチ」
優の返事を待たずに講堂へ入る。
そしてその光景に圧倒されてしまう。
動物の化け物に、もはや地面のように敷かれた生徒ら、そして木の棒や槍に四肢を貫かれ磔状の虎らしき生物。現実とは思えなければ、これが悪夢か何かとしか言えない。
ただここに圭が居るのは確実。
必死に生徒一人一人を確認していく。
「佐賀!こっち来い!」
「……なに?」
優の居る方へと近付くと、圭が倒れている。
圭の周りには青白く光った線が周りに流れて、地面に枝分かれして存在していた。
触れるのも危険を感じるので、触れないようにしながら見る。そして圭の首に手を当てて脈を測る。
「うん、少し弱ってるけど問題ない。それにこれなに?……いやそれよりも運ぶ。出血に体もやられてる。多分この化け物にやられた。優は直ぐに保健室に。」
優がそっと圭に触ると、青白い線が消えていく。 地面に消えたと言うよりは、圭に吸い取られたかのように消えて、何事も無かったかのようになる。
今は気にせずに急いで優に担いでもらう。
「……あれ、浅間」
「俺は先に向かってるぞ」
「うん、気をつけて」
壁の方に向かうと、やはり浅間がいた。壁にぶつかってる浅間の頬を軽く蹴る。
圭に怪我させておきながら悠長に寝てるのは腹が立つ。肉壁にもならないで、何をしてると言いたくなる。
何のために浅間を圭に張り付かせていたのか忘れているんじゃないかと嫌になる。もう一度足蹴りにしたくなる。
「……いったい……て、佐賀ですか」
「うん、何があったのか説明して」
「……彼らは生徒です。力に目覚めて暴走して……圭は!?圭は大丈夫ですか!?」
もしその言葉がなければ一撃を加えて仕留めるところだった。時々、浅間は私たちのいる意味を理解してないと思わされる。
圭が為に、私たちが居ることをもっと頭に叩き込まなくてはならなそうだ。
「無事。触ったけど、傷なし。詳しいことは分からないけど、粉砕骨折、圧迫骨折はしてない」
骨も砕けてなければ、骨が歪んだりもしてなかった。
圭が上手く受身を取れたのかは分からない。その現場に居たのは浅間だから、それについて詳しく聞きたい。
「……何故……」
「どういう意味?」
「……圭はあれによって一撃入れられていたはずです。それだけは見えてました。なのに、骨折してないのですか?」
あれと言うのはそこで寝そべっている生徒だと思う。浅間がやられたのなら相当だと思う。
その言葉が本当なら、圭はどうして無事なのか分からない。あの化け物にやられたのなら、かすっただけでも大怪我なはず。
なのにあれだけで済む……もしかしたら圭も力に目覚めたのかもしれない。
「……それは後でいい。それよりも後で話があるから」
「分かりました。体が動くようになったら向かいますよ」
浅間に話すことは、赤牛の骨について。
あれは極秘だからこそ、圭の護衛に当たらせている浅間には知っていて欲しい。でなければ事前に防ぐのことは不可能だから。
出来るだけ圭が起きる前に全てを終わらせておきたい。でなきゃ気付かれてしまうから。
そう考えながら屋上に戻ることにした。
次の投稿は早めになるように頑張ります。
だから許してヒヤシンス!
……絶対零度を放てば、呆れられることはないって行きつけの大将が言ってたんですが、皆さんはどう思いますか?




