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遅くなってすいませんでした……

いやね?理由が……まぁないんですけども。

失踪してすんませんした。

 マスクを付けて、ゆっくりと別館の地下に入る。かなり埃がたっていて、息をするだけでもかなり息が詰まる。


「……どうだ?回路は生きてるか?」

「一応生きてるぜ。旦那。」

「旦那はやめろって言ったろ。」

「それよりも、この回路直すのには道具が必要だ。この学校って技術室なかったよな。」


 ポケットから地図を取り出すが一つも見つからない。黒野に向けて首を振ると、ため息をつく。


「……コンピュータ室の鍵と、あとは実験室だ。そこにピンセットやPCがあるはずだ。それを使えば、電気回路は直せる。」

「……なら問題はあと一つか。」

「おう。」


 電気系の力を持つ存在が出てくること。

 それさえクリア出来れば、すぐにでもこの学校のシステムが復旧する。エアコンとかも動くから、死ぬことも無いはずだ。火も起こせるし、問題はないとみていい。


 ファイアースターターで火は起こせるが、それは無限とは言えない。マグネシウムもあるはあるが、いざってときのために取っておきたい。

 加工のしやすいマグネシウムは武器になる。加工しやすい材料は残しておくべきだ。

 一応白間という手もあるが、あいつに貸しやツケはしたくない。プールされるだけでも嫌なのに、頼ることにはなりたくない。


「……やっぱり実行しかないかな。」

「旦那、あれはやめといた方が……」


 黒野とは中学の頃からの付き合いだ。言いたい事も理解してくれる。これから実行を考える発電方法も知っている。

 実は優よりも昔からの付き合いだ。


「……俺はあんなやつに食われたくない。」


 俺の呟きが部屋を響き渡る。黒野も聞こえてるはずだが、何も返事をせずにいる。考えているのか、それとも無視しているのか分からない。

 数秒か、数分が経つと黒野が立ち上がる。そして俺の前に手を差し出す。


「……やるぞ。先生にバレたら止められることは確実だ。」

「おう、それなら仲間を集めてくれ。俺は地下の2階で待ってる。」


 レシーバーで仲間に声をかけながら、バッグを背負う。そしてかけ出すと、地下の2階に行く。

 このレシーバーは黒野が作ってくれたものだ。近距離で校内限定だが、ちゃんと伝えられる。


 普段は使われず、使用される事もない場所だ。基本的には放置されて、部屋の掃除すらもされてない。

 だからこそ、ここでやるしかない。


 軽く風を起こして埃を消すと、教卓に座る。

 何故か教卓の上と言うのは居心地が良い。教師に時々咎められるが、本気で怒っては来ないのでこうしている。

 それに少し怒っているのは、落ちた時の心配からなので気にしない。



「……黒板はまだ死んでないな。」


 黒板を濡れたタオルで拭くと、手で触れてみる。まだ使えるようなので、机などを後ろに下げる。

 チョークなどもあるので、書くに問題は無い。


「……来たな。早く座ってくれ。」


 俺は教室の中に仲間らを入れると、優、咲耶、黒野、天羽、涼雅、佐賀、白間、浅間、真衣。まぁ白間は仲間という訳じゃないが、計9人居ることを確認すると、座る。


「真衣、いきなり呼び出して悪いな。」


 赤松真衣。俺っ娘で、黒野と双角になるメカニックであり、ソフトを開発してくれる人。うちのグループでは、サイバー系の対策をしたりウイルスを作ることをしていた。

 今回はコンピュータ室にこもって、計算や食料の日分けを頼んでいた。植物や赤牛の重量などからの計算もしてくれていた。


「大丈夫だぜ。僕も仕事を終わらせてあるからな。」

「そうか、礼という程の物は用意出来ないが、これでも使え。そろそろ寿命だろう。俺のスペアで悪いがな。」


 ポケットからサングラスの入った袋を取り出すと、真衣に向かって投げ渡す。

 真衣は袋からサングラスを取り出すと驚いた顔をする。


「いいのかコレ!」


 真衣がいつも欲しがっていたサングラスだ。車用であり、値段でいえば六桁程度。仕事してる高校生とはいえ、まだ手が届かない。

 俺も父親から貰っていたものだが、こっちの世界じゃそんな事は言ってられない。


「問題ない。こっちじゃ俺は使わない。」

「有難く貰っておく!ありがとな!」

「おう。それに計算もしてくれたんだ。感謝してるのはこっちだ。」

「そうか!どうもだ!」


 俺は優の方へ向く。優は不安そうな顔でいる。


「決行するってことでいいんだよな?」

「ああ、発電しないと俺らが冬越すことはない。」

「分かった。それじゃあ説明してくれ。」


 優を席に座らせると、黒板に軽く発電方法を書く。

 原理は簡単だ。水に熱を加えて、それによって出来る水蒸気で、タービンを回すことで電気を作る。


「……んん?俺らに熱系の力を持つ人は居ないが?」


 黒野の言葉に俺は頷く。事実その通りであり、熱系ならあの少女を呼ぶ方がいい。


「それだと俺らが常にいなきゃいけないだろ。だから今回は俺の得意分野でやらせてもらう。」

「ちゃんと用意した。この二つ上。別館の1階に置いてある。」


 白間は用意してくれていたらしい。

 その代償に、スタンガンやら色々と持ってかれたが悪くない。代償に見合うだけのものは作ってくれた。


「詳しい話をして貰えませんか?」

「……俺がやるのは原子力発電だ。」


 浅間の質問に答えると、困った顔をされる。

 それもそのはず。俺らの歳でもあの事故は知っている。あの地震による悪夢。だから原子力発電は恐怖の対象だ。


「え?正気か?」

「まぁ狂気だろうな。」


 反対の意見を聞いていると、佐賀が俺の隣に来る。そして軽く黒板を見て、頷く。


「……私は賛成。前例はある。だから圭に一任して、私たちがサポートをすれば問題ない。」

「佐賀、正気か?」

「もちろん。私も凍死なんて嫌、壊死なんて笑えない。反対するなら、代用案出して。」


 佐賀の言葉に全員が黙る。

 ド正論なのもあるが、これで下手な事を言えば怒られる。下手すれば関節を決められて悲鳴をあげるようになる。


「反論なし。準備に取り掛かるよ。」

「真衣は計算し続けてくれ。」

「わかったぜ!今すぐやる!」


 真衣はパソコンを取り出すと、後ろの席で何かを打ち込み始める。

 既に情報を書いた書類は渡してある。三十分もあれば計算して、答えを出してくれるはずだ。


「次は咲耶。咲耶は赤牛を捌いて他のサポートに向かってくれ。天羽はここから力で人が近寄らないようにしてくれ。」

「わかったわ。任せて。」

「…………」


 咲耶が教室から出たのを確認する。そして天羽が目を瞑りながら頷く。

 どうやら言う前からやってくれていたらしい。黙ってクールな感じに嫉妬するが、それは置いておくとしよう。

 優と黒野、白間と涼雅を集める。


「俺らは制作班だ。黒野は分量を頼む。白間は加工と材料を作ってくれ。材料の危険なのは涼雅が担当だ。優と俺はウラン関係の機械を作る。いざって時の為に、凝固を出来る優はいて欲しい。」

「おう!」


 五人の一致が纏まり、各自行動をし始める。


「浅間は上の一階とかから道具を頼む。ウランとかは触れるなよ。天羽とトランシーバーで連絡取って。分からなくなったら勘で適当に。」

「任せてください。」


 浅間はトランシーバーを受け取ると、そのまま教室から出ていく。


「……佐賀はどうする?」

「涼雅に協力する。」

「わかった。よろしく頼む。」


 教室の端にあるポリタンクを持ってくると、原子炉に取り掛かる。原子力発電には原子炉とタービン、発電機などが必要になる。

 原子炉は簡単に作れる上、圧力などは真衣のパソコンで仕組みは完成する。電力は貯めておいたソーラー発電から取れば問題は無い。


 俺のノートは真衣が既に読んであるので、あとは原子炉とタービンで繋げるだけだ。そしたら黒野らがコードを繋いで完成させてくれる。


「白間。俺は作るからどんどんやってくれ。」

「そう簡単に言うが大変なんだ。」


 そう言いつつもペースを上げて部品を渡してくれる。俺の力で材質を変化させながら、繋げていく。

 普通なら熱などで接合させるが、俺の力がやれば接する部分を融合させて合金化。これで無理やりくっつけられる。


「……蒸気を送るための筒だな。これは白間じゃ無理だ。」


 パイプのような物があればいいが、白間にそんな長いものは作れない。となればどこからか持ってくるのが楽となる。


「……私が行く。」

「良いのか?」

「もちろん。」


 佐賀が名乗り出たことで、人員は解決した。

 ただ女子一人に探しに行かせるのは難しい。特にパイプになりそうなものは重い。佐賀一人だと何往復するか分からない。


「……黒野は佐賀に協力してくれ。その間、俺と優はウランを回収してくる。」

「おう。行こう。」


 優を連れて教室から出る。そして階段を登りながら優と話をする。


「そう簡単に言うがな、ウランはどうするつもりだ?」


 優の質問は最もだ。

 ウランと言うのは中性子とぶつかることで核分裂反応を起こす。空気中に中性子はあるので、空気には触れさせたらダメだ。しかも加熱すると分解して有毒ガスが出てくる。


「……窒素で覆う。優の凝固で窒素を固めて、触れられるようにして動かす。白間なら不活性ガスの中に入れてくれてると思う。」


 白間は馬鹿じゃない。というか、普通に頭が良い。いつもはふざけているが、そういう事には抜け目がない。だから安心していいはずだ。


「それに、そのやり方しか俺が知らない。」


 俺の専門は原子力だが、放射性廃棄物の活用についてだった。故に発電云々はあまり得意じゃない。


「わかった。任せときな。」


 優と一緒にウランを回収する。

 と言っても特に問題はなく、ケースにちゃんと入れて収めた。あとは動かし、試すだけだ。

 パーツも少しずつ出来ていってるので、何週間かあれば発電機が完成するはずだ。

原子力についての説明薄くてごめんなさい。

書いてる人、ただの理系大学生なんですよ。原子力の専門習おうとして大学落ちた人なんです。だから……許してヒヤシンス!

…………今の時期って寒いから風邪を引かないようにしてくださいね。

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