ま、異世界転生ってやつじゃな
◇◇◇(遥斗視点)
オレは、再度意識を取り戻すとあの真っ白な空間に戻ってきていた。
身体は消えもとの魂の状態だ。
目の前には、コヨミと神様が宙に浮かんでいる。
『おお。無事、戻れたようじゃな。』
そう言って神様たちはオレの方を見た。
陽菜はどうなったんだろう?もう大丈夫だとは思うけど。
『そなたの妹は、無事覚醒しておる。ついでにワシの加護も授けておいたから、
今後は悪しき者は近寄れんぞ。』
そうかぁ。良かったって、ええ!加護まで。
なんとお礼を言っていいのかわかりませんが、助力いただきありがとうございました。
それと、オレは視線?を送る。
『おおう。そうじゃった。詳しい紹介はまだじゃったの。
ワシの創りし神器の一つ、”流星の勾玉”の人格_そうじゃな、女神みたいなもんじゃ。』
え、女神様!だったんだ。
すごい剣技だったから、剣士かなにかかと思ってた。
『なによ!女神じゃわるいっての?』
コヨミがジロリと睨んできた。ヤクザかよ…。
なんだかさっきから、喧嘩腰だなぁ。
『こらっ。よさんか。まあ、戦女神のようなもんじゃよ。
神器には人知を超えた神力が付与されるのじゃが、それとともに人格も持っておる。
性格はちょっとアレじゃが、仲良くしてやってくれ。』
『父さ…。主神様!性格がアレってどういうことですか!』
コヨミはぷうと頬を膨らませ神様を睨んだ。
わ、わかった。コヨミさん、よろしく…。
と挨拶をするも、美少女はオレもキッと睨んでくる。
『さて、そろそろこちらの要件をつたえようかのう。』
というと、神様はニヤニヤと笑ったのだった。
コヨミはまた始まったとばかりに、やれやれと呆れた表情で神様を見た。
何をやらせるつもりだろうか?ちょっと不安…。
『何、大したことはないから安心せい。
ちょっと他の世界に行ってきてほしいのじゃ。
ま、異世界転生ってやつじゃな。』
やっぱりかい!ってそんなことだろうと、薄々気がつけるほどのヲタだからな。
実は期待してた。
『じゃろうの、ちゃんとチート能力も与えてやるわい。』
デスヨネー!ヤッホー!オラ、ワクワクしてきたぞ!
『主神様、大丈夫なの?そんなこと言っちゃって。』
呆れ顔のコヨミが言ってきた。
『大丈夫じゃよ。流星の勾玉を持って行かせるからのう。』
と、ニヤッと笑う。
えっ!?神器を持っていくということは?コヨミさんも一緒に来るってことですよね?
それを聞き、めっちゃ驚くコヨミ。
『はぁ!?何で私がこんな男に、ついていかなくちゃいけないのよ!』
とコヨミはすごい剣幕で、神様の襟首を掴み、前後に揺さぶりながら詰め寄る。
『く、苦しい…。やめんか。ま、まあまあ。落ち着くのじゃ。
コヨミも年頃に成長したのじゃから、外界での修行が必要な時期なのじゃよ。
天界や意識内では神力で実体化できるが、外界では神力だけでは無理なのじゃ。
お主はあくまでも神器。外界ではそれを使う者が必要なのじゃ。
それに、ずっと外界に行きたいと言っておったろう。』
と揺さぶられながら、神様が説明をする。
『冗談じゃないわよ!なんでこんなキモオタと行かなきゃ駄目なのよ!』
キ、キモオタって。この人今キモオタって言ったよ。グスン。
『こ、これ、端ない。なんて口の利き方をするのじゃ。
先程直接、魂に触れ、こやつの力を感じておったじゃろうに。』
『そ、それは!そうだけど、こっちにも選ぶ権利ぐらいあってもいいじゃないの!』
『そんなこと言ってたら、何百年も先になってしまうぞい。』
神様はやれやれとコヨミを引き離しながら、そう言った。
魂の力?何百年も先?どういうことです?
『順番に説明しようかの。』
そう言うと、神様は魂について説明してくれた。
・魂力とは人が持つ魂の経験値のことを指す。
・生物は死ぬと、生前の経験値によって天界人への昇格や、現世への転生、地獄行きが決定する。
・天界人への昇格はかなりの経験値を必要とする。
・死後、経験値は転生により増やすことができるが、転生後の行動によっては減ることもある。
・生物として、愛を重んじる行動でプラスされ、邪道や外道な行為はマイナスされる。
・死んだとき、魂力量がマイナスだった場合は、地獄行きが確定する。
・転生するには、マイナス分を相殺するための苦行が必要となる。
ちなみに、自分の魂力がどのくらいの量なのかを知ることができるのかは、門番(閻魔)から直接聞かされるようだ。
オレの場合は神様に直接呼び出されたから、自分がどの程度の経験値を持っているかはわからないままだったりする。
ま、異世界転生しろってことは、天国へは行けないくらいだったのかもね。
『…でじゃな。お主にコヨミを預けるから、異世界へ行って一緒に経験を積んできてほしいのじゃ。』
は、はい。わかりました。
あのぅ。経験ってどういうことをすればいいので?
『真っ当に、自分に正直に生きればよろしい。
また死んだときにでも、土産話を聞かせてくれるかのう。
ほれ、コヨミも準備をせんかい!』
『はぁ~。何でこんな微妙なのと…。』
とコヨミは、脱力しながら元の勾玉に戻った。
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すいません。