表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

かわいそうな子

◇◇◇(陽菜視点)

私は櫻井さくらい 陽菜ひな、6歳。パパ、ママのことは覚えていないの。

だけど、大好きな愛莉母さんとお兄ちゃんがいるから平気なの。


今日の昼休みに、この前学校で描いた家族の絵を見た健太くんが、


「お前の家族の絵、なんか変だな!」


って、初めはなんのことかわからなかったけれど、みんなも気がついて、変だ、変だって言い出したの。どこが変なのかわからない私は、


「お兄ちゃんと、愛莉母さんと私だよ!何が変なの?」


聞いてみたら、健太くんは、


「だって、お父さん、お母さんがいないじゃん!

愛莉母さん?ただの叔母さんでしょ!」


なんでそんな事言うの?なんだか、ムカッとしたから、


「変じゃないよ、みんな家族だもん!」


て言ったけど、周りのみんなも「変なの~!」って騒ぎ出しちゃった。

しばらくして、「みんな騒いで、どうしたの?」と、先生が聞いてきたの。

みんなから、私に両親がいないということを聞いたとき、


「みんな駄目でしょ!陽菜さんのご両親は事故でお亡くなりになったのよ。

かわいそう_なんだから、あまり騒がずに。これからは、気をつけましょうね。」


そう言って、先生はみんなに注意したの…。


(私ってかわいそう_なの?お兄ちゃん、愛理母さんがいてとっても幸せなのに。)


先生が言うからか、周りのみんなは私のことを「かわいそうな子」って思ったみたい。

いつも仲良しでいっしょに帰ってる、ゆみちゃんも、


「今日、お母さんがケーキを焼いてくれるって言ってたから、陽菜っちも来る?」


って誘ってくれたんだけど、急に気を使った様子で、


「あ…。なんでも無い…。ごめんなさい。今日は優子ちゃんと帰るね…。」


みたいなことがあって、今日は一緒に帰れなくなっちゃったんだ。

そのときは、すごく悲しい気持ちになっちゃった。


一人で寂しいな~って思いながら帰ってたの。


そしたら、向こうからお兄ちゃんの声が聞こえて…。

とっても嬉しくて、お兄ちゃんのそばに早く行きたくて、道路に飛び出しちゃったの…。



ドンってなって、気がついたら、お兄ちゃんが倒れてた。血もいっぱい出てたの。

周りにいっぱい人がいて囲まれてた。とっても怖かったの。


「お兄ちゃん!お兄ちゃん!うわーーん!」


何度も、何度もお兄ちゃんを呼んだのに起きてくれないの。


「お兄ちゃん…。おにい…ちゃ…ん。」


でもだんだん、眠くなっちゃってそのまま寝ちゃったみたい。


気がついたら、暗い部屋に一人ぼっちだったの。

なんだか、寂しくて怖くなって、


「お兄ちゃん!愛莉母さん!どこにいるの!」


って呼んでみたら、部屋の奥から二人が歩いてきたの。

とっても怖くて二人にしがみついたんだけど、


「お前のせいだ!お前のせいで大怪我をした!」

「こんな悪い子は、もういらないわ~。」


健太くん、ゆみちゃんまで出てきて、けらけらと笑いながら、


「あはは!お父さん、お母さんのいない、かわいそうな子だ!」

「うふふ!かわいそうな子とはもうあそばないよーーっだ!」


(なんで。なんでそんな事言うの?みんなどうしちゃったの?

いやだ、聞きたくない。聞きたくないよ。)

手で耳をふさいでも、声は聞こえてくるの。


「ううっ。私が悪いんだ。私のせいでお兄ちゃんが大怪我しちゃった…。

お兄ちゃん怒ってるし。愛莉母さんも、私のことなんていらないって…。

んぐっ。私はかわいそう…かわいそうな子…。だからひとりぼっちなんだ…。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ