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二章 怪盗獅子騙しと二人の魔女 その1

さあ、国をつくるには金が必須

そのためには?

舞台は誓いを立てた日の昼時、括正は二人分の食事を買って、幸灯と一緒に野原で食べていた。突然、幸灯は恐る恐る括正に話を振った。

「括正、怒らないで聞いてくれますか?」

括正は不思議そうに、彼女に言った。

「いいけど、君は僕をなんだと思っているんだい?」

「ん〜……闘牛?」

幸灯は括正の角を見て答えると、括正は大笑いしてから少々ふざけた。

「もぉ〜もぉ〜。あながち間違っていないな。とにかく言ってみそ。」

「え、……わかりました。言ってみます。私国造りの資金集めのために本格的に泥棒業を始めようと思うんですよ。」

それを聞いて括正は、少し不機嫌そうな顔をした。

「貴様あああ、マダムに許されたこともう忘れたのかな?」

「ヒィ、ほらやっぱり! 酷いことしないで! 乱暴しないで下さい!」

幸灯は慌てて身構えながら、必死に訴えた。括正はため息をして、呆れながら、静かに話した。

「乱暴しないけど君さ〜、マダムの気持ちをないがしろにしてないかい? ちょっとな〜。」

幸灯は下を向きながら、言いました。

「わかっています。だから怒って欲しくなかったのです。しかし考えてみて下さい。大名は農民や商人が必死で努力して手に入れたものをやれ税金だ、やれ福祉金だと取り上げてほとんどが自分たちのために使う泥棒、いえ、大泥棒だと思いませんか? 違いますか?」

括正は何か言い返そうとしたが、何も言い返せずしばらく口を開けたままだった。彼女の言っていることがあながち間違っていないことに気づいたからだ。幸灯は続けて喋り続けた。

「それに私、流儀として盗んだ半分は自分の手持ちにして、もう半分は貧しい人が住んでいる町や村にばら撒こうと思っているんです。」

括正は空を仰ぎながら呟いた。

「人の物を盗んではならない。盗んだお金は汚いお金だ、って言いたいところだけど、まるで呪いが掛かっているように腐っているこの国にとって綺麗も汚いもないのかもね。……わかった。協力しよう。幸灯は僕に何して欲しいの?」

幸灯は素直に目を輝かせながら、お礼と要望を言った。

「わかってくれましたか? ありがとうございます。実はですね、括正と初めてお会いした時に私を怖そうなお方から助けてくれたじゃないですか?」

「うん、そうだったね。」

「あの時括正がやった静かな歩き方、あのやり方を私に教えてくれませんか?」

幸灯は括正に訊くと、括正はドヤ顔で答えた。

「ふふふ、幸灯ちゃーん、それだけでいいのかい? 何を隠そうこの岩本 括正、我が父より泥棒の極意を教わったのだ。その全てを貴殿に伝授しよう! ……あれ?」

幸灯はこの括正の発言に若干引いてしまった。

「括正の家は泥棒一家なのですか? 私は何というとんでもないお方を家臣にしてしまったのでしょう。」

ブルブル震える幸灯に括正は思わずツッコミを入れた。

「いや泥棒業を始めたいってほざいている子にだけには言われたくないよ!」

「あ、そうでした。すみません。」

幸灯は盲点に気づき、すぐに謝ると、括正は自分の頭を掻、順序よく説明した。

「僕の父上は若い頃、ある魔法使いやたまには違う仲間と世界中を旅しては泥棒をはじめとした悪党と戦ったりとっ捕まえていたんだ。父上はよく僕に‘悪と戦うには、彼らのやり方も理解しなきゃいけない‘ってよく僕に言っていて、修行の一環として泥棒の技術も教えてもらっていたんだ。」

幸灯はかなり感心していた。

「うふふ、あなたのお父様はあなたと似てユニークな発想の持ち主ですね。」

「へへ、そうかもしれない。さて僕は役職の仕事期間まで日数があるし、戦はしばらくはないかもしれないのがラッキーだ。幸灯に僕が教わった全てを伝授しよう。」

括正はそう宣言すると幸灯は涙目になった。

「え、括正私に忠誠を誓ったのに帰っちゃうんですか?」

括正は幸灯の大泣きを食い止めるために、彼女の頭を優しく撫でた。

「ごめんね。僕も直接的に今すぐ君を全力でサポートしたいんだけど、武士の世界にはしたくなくても義理を重んじる精神があるんだ。中途半端な時間に職務を行ったら父上を含む僕の家族に迷惑が掛かる。きっちり義理を果たしてから、君の元へ駆けつけるよ。それは約束、ね?」

括正はそう言うと、小指を幸灯の方に向けた。幸灯は少し不服そうだったが自分の小指を彼と結んで共に唱えた。

「「指切りげんまん、嘘ついたら鬼が出る。」」

二人で言い終えると括正が元気よく叫んだ。

「さあ、さっそく始めようか!」

・・・

・・・

数週間後、東武国のさまざまな区の大名、権力者、公家、悪代官の屋敷のお宝や金が盗まれては貧しい町や村に金貨がばらまかれる事件が多発する。国を背負うリーダーの目を掻い潜り、速やかに盗む謎の存在は怪盗獅子騙しとして全国に、そして一部の外の国でも知られることになる。尚この者の姿をはっきり見た者は一人もいない。

・・・

・・・




次回

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