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出会い2

花畑の少し先から血の匂いと争う音がする。


「ヴァイオレット、向こうで…人と魔獣が争っている。」

知らせたくは無かった。ヴァイオレットが1番恐れている人がいるからだ。だが、彼女も薄々気づいていた。


「そう…なの 助け…られる?」


助けるのか…優しいな。


「あぁ助けられるぞ。行くか?」


「ん。いく…」


どこまでも優しいのだな。我は我が主となったヴァイオレットを傷つけ、挙句の果てに殺した人間が嫌いだ。もちろん、心優しき人もいるだろう。だが…我はヴァイオレットが気を許す人間では無い限り嫌うだろう。少しでも悪意あるものは抹殺したくなる。我は元々気が短いからな…



















ウィルと一緒に争っている場所に行った。そこには私と同じぐらいの年齢の男の子がいた。転移魔法を使い人々を逃がしていた。あれだけの人数…お忍びだったのだろう。でも15人はいた。あれだけの人数を転移させるにはかなりの魔力が必要だ…

自分の生命力を、削ってまで魔法を使ったのだろう。今にも死にそうになっている。


「ウィル 任せた。」


「任せろ!!」












ウィルが魔獣を倒している間、私は男の子へと転移した。


はやく手当しないと死んじゃう!!


「回復 不足補充」


段々と慣れてきたけどイメージを言葉で短く表すの苦手だな…魔術

そうやって使うものなんだけど…












「ヴァイオレット、こいつ連れて帰るのか?」


「うん。」


「そうか…」

我にはヴァイオレットの底なしの優しさが理解出来ない。

今だって震えているのに…























「ん…俺はどうしてここに。」

俺は確かみんなを逃がして…


「我が主に礼を言うんだな人間。」


「魔獣!?いや…この神々しさは…」


「我は獣王だ。魔獣と一緒にするな!!!!」


「申し訳ございません。」

大きい…威圧で潰れそうだ…そろそろいきがっ…




カタッ

「ウィル?何か あった?」


「いいや。何も無いぞ。」



俺を威圧から救ってくれたのは意識を手放す前に見たあの女の子だ。扉から顔の半分をのぞかせ、獣王に言っている。


「改めて、俺を救ってくれてありがとうございます。」


俺が言葉を発した瞬間

女の子はビクッと震え、涙目になり、耳を抑えてしゃがみこんでしまった…


「ヴァイオレット!!!」


そう言いながら急いで駆け寄った獣王は、前足で彼女の頭を撫で大丈夫だ、と声をかけ続けていた。



俺はその光景を前に、何が起こったのか分からずただ混乱していた。





その日以降俺は彼女にいきなりものを言うのをやめ、挨拶から始めることにした。初めの頃はすぐに逃げてしまい、何も話せないままでいた。だが、根気強く続けていたらある日彼女が俺に向かって、

「おは よう 」

と言ってくれた!!俺はそれだけで胸が高鳴り、心臓が飛び出そうだった。








怪我も治り、動けるようになった。

俺は世話になった彼らに、今までのお礼を告げここを去らなければならない。ほんとをいうと、ずっとここにいたい。だが、俺は王太子だ。国でまだやらなければならないことが残っている…











「今までありがとう。本当に世話になった。その…また、来てもいいか?」



「だめにきまっ」


「いい よ。」


まさか、ヴァイオレットからそう言って貰えると思わなかった俺は顔が赤くなったままこの家を去ることになった…

いつか、絶対に…ヴァイオレットにこの思いを…

そう心に決め王太子であるアランは旅立った。

















月日は流れ、私は15歳となった。私は、ここを出ようと思う。本当は出たくない。だけど…もう一度7年前のあの人に会いたい。そう願い、ヴァイオレットはウィルと共にこの家から旅立った。


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