異世界へ
「いつまで生きているのかしらね。」
「お姉様なんてこの家にとっては恥でしかないわ。私がいるから早く死ねばいいのに。」
長女として生まれた私。お父様はお母様が亡くなってから、仕事で気を紛らわそうとずっと海外にいる。親戚の皆様たちが選んだお父様の妻と、連れてきた私の妹は、私が3歳の時私をこの部屋に押し込め出してくれない。
「あなたは、もうこの家にはいらない子なのよ。だから、この部屋から出ないでね。」
「おかあさまー。このひとだぁれ?」
「あらあら、花連じゃない。コレはね、いらない子なの。あなたがこの家の娘よ。だからコレはね、こうするの。」
ガッ
え…蹴られた?頭が…痛い。角にぶつけたみたい。
生暖かい液体が首を伝った。
「奥様!?何をなさるので!」
「うふふふふ。私は花連にこれからの上下関係を教えているだけよ。」
「わかりましたわおかあさま!」
ドスッドスッ
お腹が…痛い。心が痛い。
「お止め下さい!!!!」
ギュッ
「あぐっ」
「あら、貴女庇うの?この家の底辺を?」
いけない。私のせいで、
「だ、っ大丈夫。私のことは気にしないで。ッグ…元気でね…」
そう言って私はお母様の前に立った。
「やっとわかったようね。最低限の食事は出すわ。お風呂やトイレは備え付けのものを使って。底辺、そう、ゴミには十分でしょう?死ぬまで出ないでね?」
「ごみーごみー!!!キャハハハハ。」
その日から私は空を見た事がない。
ドスッドスッ
「もう!なんなのよ!!あのくそ教師!!!なんで私が落ちた紙を拾わないといけないの!?意味わからないわっ!!」
ガッ
「なんなの!!茶会で出されたあの茶菓子!!私の舌に合わなかったわ!」
10年前のあの日から、私は毎日全身血だらけだ。
でも、もう、痛みは感じない。心も痛くない。
だけど、あの時庇ってくれた松本さんがお母様や花連の目を盗み、部屋に入ってきて私を抱きしめてくれる時は、なぜだか、感じなくなった痛みを感じた。
ある日、いつも以上に激しい暴力を振るわれていた時私は頭に強い衝撃を感じた。そして、そのまま意識を手放した。
「ごめんね。今度こそ幸せな人生を生きてね。」
真っ白な空間で、誰かが私にそう呟いた。
「誰?神様?」
「そう。でも私は貴女に何もしてあげられなかった。地球は私の管理下になくて…本当にごめんなさいね。」
「ありがとう。私の傷の治りがはやかったのはあなたのおかげでしょう?」
「そんな微々たることしか出来なかった。さぁもう行きなさい。幸せになって。今度は私の管理下にある世界だから…」
そして、私は意識を手放した。
「ここは…」
どこかの森に私はいた。
(ステータスオープンと言ってみて。)
そう声が聞こえた。
「ステータス…オープン。」
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