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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無人島生活

作者: おぺ


ここは船上。

甲板だ。


蒼之介「よう優人ゆうと、景色はどうだ?」

優人「海と空しか見えない。」

蒼之介「違いない。」

こいつは蒼之介そうのすけ

学生時代からの友人。

昔は俺と同じ普通の家庭だったんだが、今ではこんなでかい客船を所有している。

こいつの奥さんが金持ちなんだよ。


凛「すみません、つまんないですよね。」

優人「いえいえ、結構新鮮ですよ。それに潮風が心地いい。」

蒼之介「そうだな。」

優人「こんな船は初めてだからな。まるで異世界だ。」

凛「わぁ異世界いいですよね。私も行ってみたいです。」

この人はりんさん。

蒼之介の奥さんで、件の金持ち。

それでいて優しくて綺麗で・・正直うらやましい。


凛「そういえば、秋生あきみさんの調子はどうですか?」

優人「どうだろう?ちょっと様子見に行ってくる。」

凛「薬とか必要なら言ってくださいね。」

優人「ありがとうございます。」

凛さんは優しくて癒し。

俺は秋生・・妻のところへ行った。


・・

・・・・


優人「秋生、調子はどうだ?」

秋生「悪いわよまったく!ああもう気分最悪!」

・・妻の秋生。

美人ではあるが、性格がな・・


優人「水持ってこようか?」

秋生「早く持ってきて!」

俺は水を取って来た。


秋生「ぬるいぃ。キンキンに冷えたビールが飲みたい!」

優人「より気分悪くなるからやめとけ。」

秋生「ああもう!だから私は来るの嫌だったのよ!」

優人「いや別にお前は来なくていいって。俺がダチに誘われただけだし。」

秋生「そういうわけにはいかないでしょ!」

優人「マジで来なくても問題ないよ。」

秋生「それじゃあ私が悪人みたいじゃない!」

そんなことないと思うけど・・


秋生「あーあ、あなたみたいな甲斐性なしより、蒼之介さんと結婚すればよかった。」

優人「な、なんだよそれ!俺だってな、お前みたいなわがまま女より凛さんのような優しい女性がよかったよ!」

秋生「はぁ!?ふざけないでよ!私が結婚してあげたのよ!」

秋生がベッドの横の机に置いてあったものを投げつけて来た。


優人「おいやめろ!」

秋生「私ばっかり貧乏くじ!あーむかつく!」

やめることなく物を投げ続けてくる。


優人「お、おい・・痛っ!」

見ると、ナイフが床に落ちていた。

秋生の投げたナイフで少し切ってしまったようだ。


優人「ナイフ投げるのはダメだろ!」

秋生「あんたなんか死ねばいいのよ!」

優人「・・」

俺は激しい怒りを覚えた。

俺だって・・俺だって・・お前のこと死ねばいいと思ってるよ!!!

ナイフを手に取り、布団の上から秋生を刺した。


秋生「あ・・あ・・」

秋生はびっくりした顔でこちらを見て・・がくっと倒れた。

・・こんな女、殺したところでなんとも思わない。

だけど・・こんな女のせいで犯罪者になんかなりたくない!

なんとかならないものか・・

こんこん。


蒼之介「秋生さんの様子はどうだ?」

やばい!どうすれば・・

がちゃ。


蒼之介「入るぞ?」

蒼之介と、凛さんが入って来た。


蒼之介「!?」

凛「キャー!!!」

終わった・・


蒼之介「優人大丈夫か!?」

凛「ひどい・・一体誰がこんなことを・・」

・・え?

俺がやったと・・気付いていない?


蒼之介「お前は犯人を見たか?」

優人「い・・いや・・」

凛「優人さん、気を落とさないでください・・などと言っても慰めにもなりませんが・・」

凛さんは本当に悲しそうな顔をした。

これなら・・・・探偵とか警察が偶然居合わせなければなんとかなるかも。


?「ちょっと失礼します。悲鳴が聞こえましたが何か起きましたか?」

蒼之介「あなたは?」

探偵「これは失礼しました。山梨で探偵をしている者です。」

・・えええ!?探偵いるの!?


探偵「ふむ・・見たところ殺人事件のようですね。」

蒼之介「犯人が誰かわかりますか?」

探偵「この状況だけでは断定はできませんね。ですが・・」

探偵「見知らぬ相手が突然訪問してきた場合、ベッドに居続けるでしょうか?」

蒼之介「どういうことですか?」

探偵「犯人は被害者と顔見知りではないかと。」

探偵「第一発見者はあなたですか?」

優人「・・はい。」

探偵「被害者との関係は?」

優人「彼女は・・俺の妻です。」

探偵「なにかトラブルはありませんでしたか?」

この探偵・・俺を疑ってる・・


蒼之介「失礼ではありませんか!優人は妻を殺されたんです。」

探偵「だからですよ。遠く離れたフィンランドに住む方が殺したと思いますか?」

探偵「普通は思いません。まずは・・近くにいる方から疑います。」

蒼之介「でも!優人はそんなことするやつじゃない!」

探偵「ですから調べるのです。調べなければ永遠に疑わしいまま。」

探偵「調べた結果、犯人でなければ疑いは晴れます。」

探偵「そして悪人でなくとも罪は犯します。個人の性格やモラルで裁定してはいけません。」

探偵「なぜなら罪は法によって決まるものであって、個人の資質で決まるものではないからです。」

蒼之介「だが!」

優人「いやいい。ありがとな蒼之介。」

蒼之介「優人・・」

調べた結果、犯人でなければいいんだ。

こいつを騙しきってやる。


優人「さあ調べてくれ探偵さん。ええと、妻とのトラブルが無かったか・・だっけ?」

探偵「はい。」

嘘を言うのは簡単だ。

だが嘘をつきすぎたら綻びとなる。

要は、致命的なことだけ避ければいいんだ。


優人「喧嘩はちょいちょいあったよ。友人は金持ちなのに俺は・・みたいなのがね。」

探偵「ほお。」

優人「今回の旅行も、あいつは行きたくなかったけど行かないと私が悪人にされるから仕方なく来た。」

優人「で、行ったら船酔いで苦しい。全部俺のせいだって・・」

蒼之介「そんなことがあったのか・・すまない、無理に誘っちゃったかな・・」

優人「いやあいつが勝手について来ただけだって。俺はひとりで来るつもりだったんだし。」

優人「というか、なんであいつが行かないと悪人扱いになるのかわからんし。」

探偵「それで喧嘩を?」

優人「まぁ・・最近ならそういうのはあったよ。」

探偵「なるほど、それで殺したんですか?」

優人「さすがにそんなことで殺人犯にはなりたくないです。」

ボロを出さなければいい。

嘘は言わず、ただ否定すればいい。

証拠がなければどうすることもできないはず。


探偵「しかし、奥さんが殺されたというのに冷静ですね。」

優人「!?」

探偵「犯人に対する”怒り”のようなものはないのですか?まあ、あなたが犯人なら怒りも起きないでしょうが。」

完璧を求め過ぎたか?

・・落ち着け。このまま冷静でいるんだ。


優人「ここは船の上。犯人は逃げられない。」

優人「俺は犯人捜しについては素人だからな。あなたに任せるだけです。」

優人「犯人を見つけたら・・その時は怒るかもしれません。ですが犯人のいないところで怒ってもしょうがないでしょう?」

探偵「・・そうですね。」

蒼之介「他の人も調べた方がいいのでは?港に着いたらうやむやになってしまわないか?」

探偵「いえ、実は犯人はもうわかっているんですよ。」

な!?

こいつまさか・・


凛「え、誰ですか?こんな非道なことをした方は。」

探偵「特定まではまだですが、被害者に刺さったナイフに・・指紋がついています。」

!?


凛「犯人のですか?」

探偵「恐らくは。」

蒼之介「指紋?見ても・・よくわからないが。」

探偵「普通の方はそうでしょう。しかし、事件を解決し続けた私には見えるんですよ。」

探偵「港に着いたら警察に連絡して指紋を調べれば、犯人はすぐわかります。」

探偵「とはいえ何もしないのもなんですし、まあ簡単に話を聞いておくつもりです。」

探偵「警察さんの手間省きです。」

凛「そうでしたか。さすがですね。」

探偵「では他の方の話も聞きに行きますか。犯人が自白してくれれば楽なんですけどね。」

・・やばい。

このまま港に着けば、俺が犯人だとバレてしまう。

どうするか・・・・指紋さえ消してしまえば・・

今はまずい。実行は夜だな。

それまで休もう。今から寝れば夜中に目が覚める。


・・

・・・・


女の子?


「大変だね。」


お前は?


「私はミルク。初めまして。」


はぁ・・初めまして。


「助けてあげようか?」


どうするんだ?


「あなたのお願いを3つ叶えてあげる。」


3つの願い?


「ただし非常識なお願いだけ叶えちゃう。」

「無駄に使わないための優しい配慮♪」


助かるが・・お前は何者なんだ?


「・・よ。」


よく聞こえなかった。


・・

・・・・


ん・・夢を・・なんか重要な夢を見た気がする。

でも思い出せない。どんな夢だったっけ?

まぁいいや、そんなことよりまずは凶器の指紋を消さないと。


俺は、秋生の部屋へ行った。

よし誰もいないな。

こんな女のために犯罪者になるのはごめんだ。

ナイフの指紋さえ消してしまえば・・


探偵「やれやれ、やはりあなたが犯人でしたか。」

背後から声が聞こえた。

振り返ると、探偵が真顔でこちらを見ていた。


優人「な、なんでここに・・?」

探偵「見ただけで指紋なんかわかりませんよ。ああ言っておけば犯人が消しに来ると思っただけです。」

嵌められた?


探偵「人間慌てると視野が狭くなる。私の稚拙な罠にかかってしまうほどね。」

探偵「ここが船上なのも一因でしょう。元々選択肢の狭められた環境です。」

探偵「さて、指紋を消しに来たということは、突発的な犯行だったのでしょう。」

探偵「動機は・・先ほどの話にあった通り、喧嘩がエスカレートしていったのですか?」

優人「あ・・ああ。」

この探偵に見つめられると、すべて見透かされている気がしてしまう。


探偵「そうですか・・さぞ辛かったでしょう。殺したくなる気持ち、私にもわかります。」

探偵「いや実は、私も元妻とはよく喧嘩しまして。離婚したときもやれ慰謝料だ、財産分与だ、親権だの揉めました。」

探偵「まーぶっ殺してやりたかったですね。正直あなたが奥さんを殺したとわかってよくやったと思いましたよ。」

なんかすごいこと言ってる。


探偵「とはいえやってしまった以上、これは犯罪です。見過ごすことはできません。」

探偵「しかしどうでしょう、自首ということにしませんか?」

優人「自首?」

探偵「あなたも苦しみました。いわば被害者です。」

探偵「よい弁護士も紹介します。いたずらに罪を重くする必要なんてありません。」

探偵「私に任せてください。必ずあなたの力になりましょう。」

なんて人だ。

この人に任せれば全部うまくいくんじゃないか?


優人「な、ならお願いしてもいいですか?」

探偵「もちろんです。罪を憎んで人を憎まず、私は人を救うために探偵をやっているんです。」

探偵「警察にもよく言っておきますから。」

警察にも顔が利くのか。

もしかしたら、この人は結構偉い人なんじゃあ・・


探偵「あなたはただ、起きたことをありのまま話、罪を反省すればよいのです。」

探偵「ああ、警察へ話す前に、なにがあったのか私に詳細を教えてもらえませんか?」

探偵「ここではなんですし、別室へ行きましょう。」

探偵が部屋を出ようと後ろを向いた。

俺はすかさず手近にあった漫画雑誌で探偵の頭をぶっ叩いた。


探偵「な・・」

探偵は意識を失い、床に倒れた。


優人「ふー、騙されるところだった。」

罪を反省しろとか、なにを言ってるんだこいつは。

社会のゴミを処分して罪になるのが嫌なんだが。

放っておけば社会のゴミは、他の人にも迷惑をかける。俺はそれを防いだんだ。

それを反省?意味がわからない。

こいつも死んで当然だな。自覚のないゴミこそ最悪のゴミだ。無自覚に迷惑を振りまく。

・・が、これからどうしようか。


間違いなく第一容疑者は俺だ。

動機あり、アリバイなし。

警察が来れば容赦なく俺を疑い、やがては犯人だと断定するだろう。

なんとしても防がないと!

なにかいい方法は・・方法は・・思いつかない。


化け物でも現れて、船を座礁させてくれないかなぁ。

俺を疑うやつはみんな死ねばいいんだ。


ドン!ぐらぐら。

大きな音がして、船が大きく揺れた。

なんだ?なにが起こったんだ?


ドン!ぐらぐら。

ドン!ぐらぐら。

ドン!ぐらぐら。

只事ではない。俺は部屋を出た。

そして窓を見ると、なにやら窓になにかついている。

ナメクジ?


蒼之介「優人!ここにいたのか!」

凛「無事でなによりです。早く避難をお願いします。」

優人「ん?どういうこと?」

蒼之介「・・大王イカが船を沈めようとしているんだ。」

大王イカ?

以前テレビで6メートル級の大王イカを発見したとかやってたような・・

でかいとは思うけど、この船を沈めるほどとはおもえない。


優人「数が多いのか?」

蒼之介「いや、ただひたすらでかいんだ。」

客船を沈めるほど?そりゃやばい。


凛「今、みなさんの船室を回って避難を呼び掛けているんです。」

蒼之介「そういうことだ。救命ボートがある、お前もすぐ避難してくれ。」

・・下手にうろつかれてこの部屋に入られても困る・・

ここは・・


優人「俺も手伝うぞ。船室叩いて避難を呼びかければいいんだな。」

蒼之介「いやいいって。こういうのは運航側の責任だからな。」

優人「なに言ってんだ。大変なときにお前を放っておけるかよ。ひとりでも多くの人を救おうぜ。」

蒼之介「優人・・ありがとな。」

凛「ありがとうございます。優人さん。」

これでいい。

まぁ放っておけないって言うのも嘘じゃない。

乗客が死のうが俺は困らないが、それじゃあ蒼之介と凛さんが困るからな。

俺は急いで乗客に避難を呼びかけていった。


・・

・・・・


乗客に呼びかけを終え、俺も救命ボートへ向かった。

パッと見、殆どの乗客が既にボートに乗って海に漂っていた。

蒼之介と凛さんが俺を待っていてくれた。


蒼之介「優人、探偵さんは?」

優人「会わなかったけど、まだ避難していないの?」

凛「はい。どこにいるのかわからなくて・・」

捜しても無駄だけどな。


蒼之介「やっぱり捜してくるよ!」

凛「もう時間がありません!捜すのは・・」

蒼之介「だが!」

優人「蒼之介、ボートに乗るんだ。」

蒼之介「優人・・」

優人「見ろ。大勢の人が救命ボートの上で不安そうにしている。この人たちを無事に陸まで送ることがお前の役目だ。」

蒼之介「・・ああ。」

蒼之介と凛さん、そして俺がボートに乗り、海に飛び出した。

その瞬間、船は大きな音を立てて海に沈んでいった。

これで犯人はわからなくなる。

俺は心の中でガッツポーズをした。


蒼之介「優人ありがとな。お前が止めてくれなかったら俺も海の藻屑もくずになってたよ。」

優人「凛さんを悲しませる真似はすんなよ。」

蒼之介「ああ。」

蒼之介が苦笑した。


凛「あ、あれ!」

凛さんが指差した方向・・そこには、大きな津波が押し寄せて来ていた。

でかい。

あんなのに飲まれたら・・なんて考えている間に、津波はすぐ近くに来ていた。

津波って、底が深いほど遅くて浅いほど速いってどこかで見た気がしたけど。

そう思いながら、俺たちは津波に飲まれた。


これが天罰というなら、それも仕方ないのかもしれない。

あんなやつら殺したところで悪いとは思わない。

でも・・友人の船で殺人を起こしたこと、それは悪いと思っている。


・・

・・・・


優人「・・ん・・」

俺は砂浜で目を覚ました。

周りには何もない。どうやらここへ流れ着いたらしい。

・・あー、服の中びしょびしょ&砂が入りまくり。


まずは状況確認だ。

ここがどこか不明。周囲に人影、および人工物は無し。

・・無人島の可能性を考えて、食べ物飲み物の確保が先決だろうな。

俺は目の前の森に入っていった。


<無人島生活1日目>


・・

・・・・


食べ物はすぐ見つかった。

果物が結構実っていて、落ちた果実を虫が食べていた。

虫が食えるのなら毒ってほどでもないよな。


俺は果実をもぎ取り、ちょっと食べてみた。

・・中々おいしい。蒼之介の家で食べたのよりは劣るけど。

食べかけの果実を虫にプレゼントして、水を探すことにした。


万が一毒だった場合、たくさん食べていたら死ぬからな。

最初はちょこっと食べて様子を見るのがいい。


おや?

木がなぎ倒されている場所があった。

竜巻でも来たのだろうか。


・・

・・・・


水もすぐ見つかった。

川が見つかったからだ。

水の中には魚が泳いでいる。水草もある。

毒なら生き物は避けるはず。

俺は川の水を飲んでみた。


・・冷たくておいしい。

どうやら当分死なずにすみそうだ。


・・

・・・・


森から出て砂浜を歩く。

俺と同じ漂流者。もしくはなにか使えそうな漂着物がないか探す。

友人夫婦の無事が気になる・・ふたりとも無事でいてくれ。

っと、なにか人工物が流れ着いているのを見つけた!

というか色々流れ着いているな。


その中から使えそうなのを取り出す。

まずは非常食や水の入ったペットボトルの入っている箱。

船にあったやつか?

携帯用っぽい箱。

その中には、ナイフ、のこぎり、ライター、ビニールシート、ハンモック、ロープ、針金、網、やすり、電池式ドライバー、ホールソー、羅針盤、懐中電灯、乾電池、薬・・

船にあったサバイバルキットか?救命道具?

取説もあった。ペットボトルを使った火おこしの方法や、ビニールシートを使った真水の集め方とか。


テントや毛布もあった。

汚れているから洗わないといけないが、たぶん使えそう。


これだけあれば十分生活できそう。

俺は夜に備え、ペットボトルを使って火を起こした。

ペットボトルをレンズ代わりにして、太陽光を集め枯草を燃やした。

あとは火を絶やさなければ夜も温かい。獣よけにもなる。


テントと毛布を洗い、干した。

乾けば十分使える。テントは風よけ、毛布は布団代わりだな。

・・とはいえ今日は・・・・ハンモックを森の入口に設置してそこで眠ることにした。

確か無人島では地面にそのまま寝たら危険なんだっけ・・


・・

・・・・


<無人島生活2日目>


朝になった。体に異変はない。

あの果実は食べて大丈夫みたいだな。

あとは動物性たんぱく質や炭水化物をどうやって摂取するかだが・・

動物性たんぱくは川魚か?

そう考えながら海岸を歩いていたら・・・・あれは・・人?

向こうも気付いたようだ。走ってこちらに向かって来る。


優人「凛さん!」

蒼之介の妻、凛さんだ。

よかった無事だったんだ。

俺は心から安堵する。


凛「優人さん!無事だったんですね!」

破顔して駆け寄って来た凛さんは・・俺に抱きついてきた。


凛「よかった。よかったです!」

安心しきった凛さんは俺に身体を押し付け目に涙を浮かべている。

柔らかい。

非現実だった世界が、一気に現実へ押し戻された。


今はふたりっきり・・俺がなにをしても咎める者も防げる者もいない。

ずっと憧れていたんだ。

でも友人の女だったから遠慮していたわけで・・

いや俺はなにを考えているんだ!

ぐ~。


凛「あ・・ご、ごめんなさい昨日からなにも食べてなくて・・」

俺はクスッと笑った。


優人「森に食べ物ありますよ。案内しますからついて来て下さい。」

凛「・・う~笑われましたぁ。」

かわいい。

友人がいない間、俺が守ってあげないとな。


・・

・・・・


昨日と同じ・・森の果実がなっているところへ行った。


優人「昨日食べてみましたがおいしかったですよ。毒もなさそうですし。」

そう言ってひとつかじってみる。

こういう場所でそのまま食べられるのは助かるよな。

凛さんにもひとつ渡す。


凛「・・」

あ、もしかして洗わないと食べられない?

皮向かないとダメかな?お嬢様だし。

凛さんは果実をじっと見た後・・意を決してかじった。


凛「おいしい♪」

いい笑顔だ。


凛「食べるのと同時に喉も潤うなんて、実に優れものですね♪」

優人「一応、川も見つけたから飲み水もありますよ。」

凛「ほんとですか!?あの、行ってみたいです。」

川に行きたいの?

もしかして・・み、水浴びとか?

水着なんてものはないし、仲良く裸で入ったり。

・・う、うん仕方ないよな。仕方ない仕方ない。


・・

・・・・


凛「綺麗な川です。」

優人「魚もいるし、透明で綺麗だよね。」

凛「じゃあちょっと髪を洗いますね。」

髪?


凛「海水に浸かってしまいましたから。」

そういや俺も髪がごわごわする。

俺も一緒に髪を洗った。


優人「シャンプーがあれば・・」

凛「リンスも欲しくなりますね。」

俺たちは笑いながら髪を綺麗にした。

・・水浴びじゃなかった(´・ω・`)しょぼん


・・

・・・・


夜になった。

友人の奥さんと一緒の夜というのはめっちゃ気になる。

なにか起きても・・事故だよね?


凛「さすがにお布団はないですよね。」

優人「まぁね。昨夜はハンモックで寝たけど・・」

一人用だから・・


優人「テントを設置してみるか。」

凛「テントがあるんですか?」

優人「流れ着いたのがね。ああ、毛布も一応あったっけ。」

テントの組み立て。

月明りとたき火の明かりを頼りに設置する。

・・昼間やっとけばよかった。


凛「なにか手伝いましょうか?」

優人「ありがとう。じゃあそこちょっと押さえてて。」

凛「はい。」

お嬢様だけど凛さんは人任せとかしないよな。

こういう人と一緒なら夫婦生活も楽しいだろうに。

・・子育てや家事を手伝わない夫を持つ妻の気持ちがわかった気がした。


・・

・・・・


優人「完成!」

凛「わーパチパチパチ。」

我ながらよくできた!

凛さんとの初めての共同作業・・うん、ちょっと違う。


優人「じゃあこれ毛布。なにかあったら言ってください。」

凛「ありがとうございます。あの・・優人さんは?」

優人「俺はハンモックを使いますよ。」

凛「寒くありませんか?毛布はありますか?夜は冷えますが・・」

優人「大丈夫ですよ。それに・・凛さんに風邪でも引かせたら蒼之介に会わす顔がありませんから。」

凛「・・わかりました。でも寒かったら言ってくださいね。」

優人「はい。」

待てよ。もし寒いと言ったらどうするつもりだろう?

もしや一緒のテントで・・?

い、いやまさかな。


・・

・・・・


<無人島生活3日目>


朝。

・・寒い。

俺は昨夜のたき火をあさる。

残っていた火種に枯葉を与え火を灯す。

朝は太陽の光が弱いから助かる。

ライターは消耗品だから極力使いたくないし。


たき火にあたり体を温めた。

あ~生き返る。

・・凛さんは寒くなかったかな?

お嬢様にあんな毛布一枚じゃきついだろう。

俺はテントへ向かった。


・・

・・・・


優人「凛さん起きていますか?」

しかし返事はない。

・・勝手に入るのは良くないと思う。

が、ここは危険な無人島。

最悪のことを考えて行動しないといけない。


優人「・・すみません失礼します。」

テントの中を覗いてみた。

凛さんは・・すやすや寝ていた。

テントの中は上手く熱を逃がさないようにしているのか、かなり暖かかった。

これなら心配しなくて良さそうだ。


・・むしろ暑いのか、服をかなり着崩していた。

いつもの凛さんとは違って少しだらしない姿をしている。

が、それでも気品が感じられるのは、生まれ持った特性なのか育ちの違いか。


その姿は無防備で、俺がほんの少し手を伸ばせば壊れてしまいそうなものだった。

ふと、襲ってしまいたい衝動に駆られた。

足を大きく開かせ、己の欲望を満たしてしまいたくなる。

友人の妻を自分のモノに・・


落ち着け。

俺は何を考えているんだ。

今のうちに食べ物でも用意しよう。


・・

・・・・


サバイバルキットに針金と網があるのを思い出し、組み立てに入る。

網に針金を通し、棒をつければ・・虫取り網の完成!

別に昆虫採集するつもりではなく、これで魚をとる。


川へ行き・・ええと、魚の前方から素早くすくうんだっけ。

キットの中にあった取説を見ながら実践してみる。

・・おお!

魚がとれる!これは楽しい!

ふたり分なら2匹?一応4匹とっておこうっと。


・・

・・・・


たき火で魚を焼く。

これが結構難しい。

コンロのグリルと違って火力が一定じゃないから目を離せない。

放っといたら焦げそうな恐怖に駆られる。

・・うーん楽しい。


凛「おはようございます。釣りですか?」

優人「おはようございます。いえ網ですくったんです。」

凛「・・網なんてありましたっけ?」

優人「漂着物の中にサバイバル用の道具がありまして。それを使いました。」

凛「で、川へ行って魚をとって来たと。」

優人「はい。」

凛「ずるいです。」

はい?


凛「私もお役に立ちたかったです!私も手伝わせてください。」

上目遣いで非難してくる。

うーん、かわいい!

やっぱり襲っておけば・・なんで蒼之介の奥さんなんだろうな。

でなければ今頃は・・まぁ蒼之介が彼女だって紹介してくれたから出会えたんだけど。


優人「まぁとりあえず朝食にしましょう。お腹減っては力は出ませんよ。」

凛「私もいただいていいんですか?」

優人「もちろんです。俺ひとりじゃ食べきれませんよ。」

凛「お魚さん嬉しいです♪」

優人「果物だけじゃ飽きますし、栄養素も偏りますから。」

優人「脱出するまでは食べられるものを増やしていかないと。」

凛「なら食べられる野草はどうですか?」

優人「何が食べられるかわかればいいんですが・・あとは動物とかいないのかなここ・・」

平和でいいんだけど、緊張感もなにもあったもんじゃない。

果物ある川あるサバイバルキットあるテントあってハンモックあって・・キャンプか?


凛「なら食べ物を探しに行きますか?」

優人「・・いや、他の遭難者がいないか探そう。」

優人「多少食生活が偏っても数日は平気だと思う。でも人の命は失ったらそれまでだ。」

優人「まぁぶっちゃけ蒼之介以外は見つからなくても構わないけどね。」

凛「えー!」

優人「いやーでもさ、むしろ死んだ方が事故の賠償金とか請求されずに済むんじゃない?」

優人「凛さんもそっちの方が助かるでしょ?」

凛「それでも・・みなさん生きていてほしいです。」

凛「大変ですが信頼は取り戻せます。でも人の命は・・」

真面目だなぁ。

蒼之介は見る目があったんだな。

・・うらやましい。


優人「よし、ならひとりでも多くの人を助けるか!」

凛「はい!」

食べたら救助活動だ。


・・

・・・・


ふたりで海岸沿いに歩く。


優人「この島って意外と広いですよね。」

凛「そうですね。ある程度の大きさがあれば生態系も安定するとは思いますが・・それにしては動物に出会わなすぎる気がします。」

優人「どういうことですか?」

凛「生態系って、多少変化しながらも調和をとろうとするものです。」

凛「もしそのバランスがおかしいとしたら・・なにか異変が起きている可能性があります。」

異変・・俺は少し緊張した。


凛「単に動物がいなくても調和がとれているだけかもしれませんよ。」

まぁ植物が豊富に自生してたからなぁ。

植物と虫でなんとかなるのかもな。


凛「あ、優人さん、あちらになにかありますよ!」

本当だ。人工物っぽい色・・ちょっと安心してしまう。

いいなぁ人工物。文明って感じがする。

ええとこれは・・・・


優人「テントだ。」

凛「やりましたね♪優人さんもテントで寝られますよ。」

まぁ。暖かったもんなテントの中。

とりあえず回収。綺麗に洗わないと使えなさそうだ。


凛「・・ゆ、優人さん・・あちらを・・」

凛さんが震えた声で遠くを指差す。

指の先の方向には・・人が倒れていた。


優人「・・行ってみよう。」

ぱっと見た感じ、蒼之介じゃなさそうだし死んでても構わないが。

病原菌を媒介するのは勘弁ですけど。


・・

・・・・


凛「この人、船に乗っていたお客様です!」

優人「そっか・・」

俺はそっと海に帰そうとした。


凛「なにやってるんですか!」

いやぁつい。

凛さんとの楽しい日々に異物が混ざった的な。


冗談抜きで救助するか。

まずは呼びかけ。頬もぺちぺち叩く。


優人「死んでる?死んでるよね?死んでていいよ。」

返事がない。ただのしかばねのようだ。


凛「決めつけちゃダメですよ!」

死んでていいのに。

次に呼吸と脈の確認。

呼吸は・・してる。

脈は・・安定してる。

結論:こいつしぶとい。


凛「無事なようですね。でも体がこんなに冷えちゃって・・たき火のところへ連れて行きましょう。」

優人「こんな小太りのおっさん運びたくないなぁ。」

凛「なら私が運びます。」

凛さんは引きずってでもおっさんを運ぼうとする。


優人「さすがに大変でしょ!・・俺も手伝いますから。」

凛「優人さんならそう言ってくれるって信じてました♪」

にこやかに笑う凛さんを見て、どうもこの人には弱いなぁと思った。


・・

・・・・


たき火のところまで中年のおっさんを連れて行き・・ええと、火にくべればいいんですよね。


凛「燃やすのはNGですよ♪」

すべてを見抜かれていた。

く、これがお嬢様の力なのか!?

しばらくして、おっさんは目を覚ました。


男「・・ここは?」

優人「地獄。」

男「ほんとだ男がいる!」

・・男がいたら地獄なの?


凛「無人島みたいです。私たちみんな流れ着いたんですよ。」

男「美女がいる!天国か!?」

ある意味真理だったりして。

どこにいるかではなく、誰といるかが天国と地獄を分けるみたいな。


男「あ・・腹減った・・」

凛「なら果物をとって来ますね♪」

優人「ひとりじゃ危ないですよ!」

凛「大丈夫ですよ。すぐ近くですし。」

心配だ。漫画ならフラグだよ!


男「・・あの人って客船の持ち主だっけ?」

優人「ああ、凛さんな。」

男「お前は?」

優人「俺もお前と同じ乗客だよ。化け物イカに船を沈められて救命ボートに乗るも波にさらわれて・・気が付いたらここにいた。」

男「そっか。ふーん。」

優人「体調はどうだ?痛みとかはあるか?」

一応簡単な薬程度ならある。

漂着物バンザイ。


男「寒くてよくわからん。他の人は?」

優人「わからん。あれだけ人がいたんだからもっと人が流れ着いてもいいと思うんだが・・他の人の気配すらわからない。」

男「ふーん。まあ他のやつなんてどうでもいいけど。」

その辺は同意する。

知らないやつはどうでもいい。

蒼之介・・あいつは無事でいてくれ。


男「あの人は凛ちゃんって言うのか。綺麗な人だよな。」

優人「そうだな。」

男「客船じゃ男と一緒にいただろ?」

優人「蒼之介か?凛さんの旦那だよ。」

男「ふーん・・今はいないのか?」

優人「ああ。」

男「ふーん。」

”ふーん”の多いやつだ。

悪いとは言わんが、なに考えているのやら。


凛「とって来ました~好きなのどうぞ。」

凛さんが果実を抱えて持ってきた。

はて、果実と凛さんの胸を間違えてとってしまいそうだ。


男「じゃあオレこれな。」

男は凛さんの胸を掴んだ。


凛「ひっ!?」

優人「なにしてんだゴルァ!」

俺の膝蹴りが男の後頭部にヒットした。


男「いてーな、ちょっと間違っただけじゃねーか!」

優人「間違いで済む問題じゃねえよ!!!」

凛「い、いえ、いいんですよ。まだ調子悪いんですよね。」

男「えへえへ凛ちゃんは優しいですね。」

こいつ殺してやりたい。

やっぱり見捨てりゃよかった。


男「いやー凛ちゃんの取って来てくれた果実はおいしい。またお願いしたいなあ。」

凛「はい、食べたくなったらいつでも言ってくださいね。」

優人「自分で取りに行けよ。そんな遠くないぞ。」

男「凛ちゃんはここっ。オレの隣座って。」

凛「?はい。」

凛さんが男の隣に座る。

こいつ無視しやがった。


男「事故って大変だったでしょう。あんな化け物普通いませんよねえ。」

凛「はい・・でもあなたが無事でよかったです。」

男「賠償とかってしてもらえるの?」

凛「それはもちろん。皆様の安全を守るのはこちらの役目ですから・・この度は本当に申し訳ございませんでした。」

男「いやいいんだよ。凛ちゃんは誠実でいらっしゃる・・さぞみんなに好かれているんでしょうなあ。」

そう言って凛さんの肩に手を置いた。

こいつ・・馴れ馴れしいな。


凛「私なんか全然。まだまだ未熟ですから。」

男「いやいやそんなことありませんよ。オレも凛ちゃんと仲良くしたいなあ。」

凛「私なんかでよければ。」

男「本当ですか?実はですね、簡単に仲良くなれる気持ちいい方法があるんですよ・・」

男が凛さんの膝に手を置いた。

その手で凛さんの膝をなでまわす。


凛「あ、あの・・」

俺の怒りは頂点に達した。


優人「かかと落とし」

男「ぐわっは!?」

今の一撃で、凛さんの肩から手が離れた。

これはチャンスタイム。


優人「蹴り」

男「ちょー!」

男はたき火にダイビングして飛び跳ねた。

砂浜の上をゴロゴロ転げまわる。


優人「ゴミですら大人しく燃えるというのに、ゴミ人間ときたら・・」

男「殺す気かよ!」

優人「セクハラ禁止だ。頭でも冷やすんだな。」

男「燃えたよ!」

そこは頭を働かせるんだ。心頭滅却すれば涼しくなる。

燃え尽きるまで焼かれてくれ。


男「あーあ、汚れちまった。風呂ある?」

優人「あると思うか?」

凛「川がありますから、そこで手や顔を洗ってはどうですか?」

男「それいい採用!凛ちゃんも一緒に泳ぐってのは?もちろん裸で。」

凛「い、いえ私は遠慮しておきます。」

優人「川か・・見つけたテントを洗っておくか。」

凛「あ、私も手伝います!」

優人「洗うのはひとりで大丈夫だから・・凛さんはお昼用の魚をとってもらえるかな?」

凛「はい!お任せください!」

みんなで川へ行った。


・・

・・・・


男「うおー気持ちいい!」

凛「きゃあ!」

男が裸になり、凛さんがその姿を見て悲鳴をあげた。

せめて前を隠せよ・・


優人「じゃあ俺もテント洗うから。凛さんは男より上流にいる魚をとって。」

凛「はいわかりました。」

男のエキスを吸った魚は毒と同じだから。

さて、テント洗うか。


テントの中は住居も同じ。

綺麗に洗わないとな。丁寧に丁寧に。

待てよ。もしかしてこのテント、あの男が使うことになるのか?

雑でもよかったかなぁ。

まぁここまでやったなら最後まできっちりやるけどさ。


凛「優人さん。6匹とりましたがもう少しいりますか?」

優人「たくさんとったね。それで十分だと思いますよ。足りなければ果物でもいいんですし。」

凛「はいありがとうございます。では私は戻ってお魚さん焼きますね♪」

男「さーむーい!ちょ、川の水ってお湯にならない!?」

優人「ならない。」

時々、”欲望>常識”なやつっているよな。


凛「冷えたならたき火にあたるといいですよ。」

男「それしかないか・・くっそ不便だなここ。」

インフラ整った生活と比べたらそりゃそうだ。

俺は自分で生活環境整えるのも好きだけど。

自分の手で生活が良くなっていく感じがいいんだよな。

凛さんと男は先に戻っていった。


ふたりだけにして大丈夫かな?

まぁすぐ戻ればいいか。凛さんだって蒼之介がいるんだ。

男になにかされそうになったらすぐ逃げるだろう。


・・

・・・・


綺麗になったテントを眺めてにっこり。

そろそろ戻るか。


戻ってテントを干した。

・・のはいいんだけど、ふたりがいない。

果実でも取りに行った?

あれ・・?

かすかに声が聞こえる・・


・・・・凛さんのテントの中?

俺は聞き耳を立てた。


・・

・・・・


少し前。


男「ああ、たき火は温かいねえ。」

凛「お魚も焼きますね♪」

男「ごくり・・」

笑顔で焼き魚を作る準備をする凛。

男はそんな凛の姿を見て、ドス黒い感情を抱いた。


男「・・あーあ、本当だったら今頃は家で楽しくネットをしてたんだろうなあ。」

凛「あ・・すみません、私共のせいでこんな生活をさせてしまって。」

男「まったくだ。本当に悪いと思っているのか?」

凛「はい。無事帰ったら必ず相応の補償を致します。」

男「帰れるかどうかすらわからないだろ?今補償してくれよ。」

凛「・・そう言われましても・・で、出来る限りのことは致します。ですからもう少し・・」

男「出来る限りのことはしてくれるんだな?」

凛「はい!」

男「なら・・外っていうのもなんだし、場所を変えようか。」

凛「?」

ふたりは凛のテントへ移動した。


男「凛ちゃんは男のことどれくらい知ってる?」

凛「どういうことでしょうか?」

男「男はね、適度に性欲を解消しないと辛いんだよ。わかる?」

凛「あ、いえ・・そういうことはあまり知らなくて・・夫からもそういう話はされたことなく・・」

男「もー苦しくて苦しくて大変なの。普段ならエロ本とかでオナニーするんだけど、ここにエロ本ある?」

凛「い、いえ。無いかと・・」

男「じゃあオレの性欲どうやって解消しようか?」

凛「そ、そう言われましても・・」

男「誰かが手伝ってくれればいいんだけどなあ。誰のせいでこんなことになったんだろうなあ。」

凛「・・・・私が・・その・・お手伝いした方が・・いいでしょうか?」

男「オレは別に頼んだりはしないよ。あー苦しい苦しい。このままじゃおかしくなってしまいそうだ。」

凛「・・」

男「誰のせいでこんなことになったのかなあ?」

凛「・・・・私に、その・・・・お手伝い・・させてください・・」

男「仕方ないな。凛ちゃんがそこまで言うなら手伝わせてやろう。」

凛「・・」

男「どうした?感謝の言葉は?」

凛「あ・・ありがとうございます・・」

男「よーくオレに感謝するんだぞ。さあて、あの男が帰って来る前に楽しませてもらおうかな!」

凛「ああ・・蒼之介さん・・」

男が凛を押し倒した。


・・

・・・・


・・なんだ?なんでこんな男が偉そうなんだ?

いくら客船が沈没した責任があるからって、凛さんに何をしてもいいわけじゃない!


優人「何をしている!」

男「うお?」

凛「きゃっ・・優人さん・・み、見ないで・・」

男に押し倒された凛さんは・・女の顔になっていた。

友人の奥さんが女になっているのを、俺は初めてみた。

魅惑的で、ずっと欲しいと思っていたもの・・


男「なんだよもう帰って来たのか。」

男「あ?これ?お前も男ならわかるだろ?いい女がいたら自分のモノにしたくなるよなあ。」

俺はブチ切れた。


優人「こんのレイプ魔が!」

男につかみかかり、テントの外に放り出した。


男「おいおい、なに怒ってんだよ。お前だってオレがいないときはやりまくったんだろ?」

男「エロい女だもんなあ。気持ちよかっただろ?ん?」

俺は初めて知った。

怒りにも段階があるんだなって。


優人「凛さんを侮辱するな!!!」

俺は男に殴りかかっていた。

お前みたいなやつがいるから、真っ当に生きている人が苦しむんだ。

お前みたいなやつがいるから、人は邪悪とされるんだ。

お前みたいなやつがいるから・・誰かが力ずくで止めないといけないんだ。


・・

・・・・


凛「あ、あ、優人さんもうやめて!死んでしまいます!!」

凛さんに言われて手を止めた。

男の顔は醜く膨れ上がり、気を失っているようだった。


凛「私は平気ですから・・だから・・」

優人「・・蒼之介が見つかったら俺はあいつになんて言えばいいんですか。」

凛「・・」

優人「あいつに会うまで、俺が凛さんを守ります。どんなことをしてでも!」

俺は近くにあった石を掴み、男の頭を割った。


凛「あ・・あ・・」

優人「ここには牢獄もない。縛る縄もない。悪人は殺すしかできません。」

優人「何か起きてからじゃ遅いんです。あんな男の子供を産みたいですか!?」

堕胎ができるわけじゃない。警察がいるわけじゃない。

誰かが守ってくれる優しい世界じゃない。


凛「それでも・・殺すことはいけないと・・思います。」

優人「ええ、それでいいんです。」

優人「俺がすべての罪を犯します。俺が悪になります。」

優人「凛さんは正しい心でいてください。」

凛「そんなダメですよ!優人さんは・・優しすぎます。」

これで3人殺した。

地獄へ堕ちても構わない。

殺したいやつはみんな殺す。


・・

・・・・


<無人島生活4日目>


次の日。

昨日は早目に休んだ。

凛さんも、俺も疲れていたから。

そのせいか早く起きてしまった。まだ空が微妙な明るさだ。

たき火を用意しようといつもの場所へ行くと、既に火がついていた。


凛「おはようございます。」

優人「お、おはようございます。」

凛さんが先に起きていた。

その顔に笑顔はなく、真剣そのものだった。


凛「優人さん、私、優人さんに頼ってばかりでした。」

凛「果物の場所、川の場所、テントや毛布も用意していただいて・・昨日も・・」

凛「私、もっとしっかりします!優人さんに迷惑かけません!」

・・俺はどうすればいいんだろう?

応援?否定?協力?

今まで通りでいいと思うんだけどなぁ。


凛「では早速、川でお魚さん取って来ます!」

凛「優人さんはここで休んでいてください。」

優人「川を舐めるなああああああああああああああああああああああ」

凛「ふぇ?」

優人「夏になると川の事故とかニュースでやるでしょ?ひとりで行くのは危険です。」

川の水を飲むとか手を洗うとかならまだしも、魚を取るなら川の中に入ることになる。


凛「だ、大丈夫ですよ。」

優人「いいえ。まだこの島の生態だってわからないんです。危険な行動は極力避けましょう。」

思えばここ数日、結構単独行動してた気がする。

昨日のことがあったから、ちょっと不安なんだよね。

・・こういう気分で考え変えるのもよくないと言えばよくないんだけど・・


凛「でも、その・・」

なんか凛さんがもじもじしている。

・・はっ、まさか隠れてなにかするつもりじゃあ・・

例えば、川で放尿したいとか。

例えば、川でオナニーしたいとか。

例えば、川でだっ・・これ以上言えない!


優人「えっと、言いづらいこともあるとは思いますが・・ええと・・まぁ尊重します。」

凛「なにか誤解していませんか?」

優人「いえいえ、凛さんが例え川で・・ぷんしたいとしても、俺は何も言いません。」

凛「絶対勘違いしている気がします!か、体を洗いたいだけです!!!」

・・ああそうか。

昨日のことがあったから、体が汚れている気がするんだ。

く、全然気が付かなかった!


優人「それで俺がついて来ると困るわけですね。なら少し離れたところにいます。」

優人「なにかあったらすぐ叫んでください。」

凛「・・私って、魅力ありませんか?」

優人「え?」

凛さんが顔を赤らめて言った。


凛「昨日言われました。男の人は、その、定期的にしないと・・苦しいって。」

凛「優人さんは、全然そんな素振りないので、その・・わ、私のこと女だって思ってないのかなと・・」

えええ?なんでそんなことになるんだ?

俺はずっと、凛さんのことを・・自分の女にしたかった。

でも友人の妻だから、ずっと我慢していた・・今だって・・


優人「凛さんは魅力的ですよ。少なくとも、俺が出会った人の中で一番魅力的な女性です。」

優人「でも凛さんは蒼之介の奥さんでしょう?だからなにもしないんです。」

凛「・・一番、ですか?」

優人「はい。」

凛「・・・・秋生さんよりも・・?」

優人「はい。凛さんと初めて会ったとき、既に凛さんは蒼之介と付き合っていましたから。」

優人「でもずっと凛さんこそ理想の女性だと思っていました。」

凛「・・」

凛さんが顔を真っ赤にしてうつむいた。

・・俺、変なこと言った?

凛さんが魅力的で、でも蒼之介の奥さんだから手を出したりしませんよそんなの常識ですよって伝えたかっただけだけど。


凛「あ、あの・・ならその、川で・・体を洗ってきます。」

優人「じゃあ俺は少し離れた川下のところにいますから。なにかあったら叫んでください。」

凛「は、はい・・」

なんか、凛さんがまた女の顔になってる気がする。

そんな顔されると襲ってしまいたくなる。

凛さんかわいすぎ。


・・

・・・・


しっかり護衛するぞ!

はっ、もし凛さんになにかあったら・・合法的に凛さんの裸を見に行ける?

そんでもって、凛さんの裸を見たせいで俺のがビッグサイズになっちゃったり。

それを見た凛さんが責任をとってくれて、小さくなるまでお世話してくれたり。


ま、動物すら見当たらないこの島で悲鳴を上げる場面なんてありませんが。

こんな安全なところじゃ凛さんといい仲になるチャンスないよなぁ。


もっとこうさ、実は化け物がこの島に住んでて、他の動物を絶滅に追い込んでいた!みたいな。

柔らかくておいしそうな凛さんが襲われ、俺がかっこよく撃退!

凛さんは俺にメロメロ。夜は怖いからと一緒に寝て気持ちよくなりました的な。

・・ないか。


凛「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

悲鳴!?

俺は急いで凛さんのところへ向かった。


・・

・・・・


凛「ゆ、優人さん!」

裸の凛さんが抱きついてきた。

あああ俺の服が邪魔だあああ

・・でもこの時が永遠ならいいのに・・


凛「あれが突然現れて来たんです!」

凛さんが指を差した先には・・サンドウォーム?かな?

ミミズがでっかくなったような生き物が、うねうねとこちらに向かって来ていた。

ば・け・も・の!


優人「凛さんはすぐたき火のところへ行ってください。生き物なら火を恐れるはずです!」

凛「優人さんは?」

優人「適当に足止めしたら俺も行きます。」

凛「・・無理しないでくださいね。絶対ですよ!」

そう言って、凛さんは行った。

さてと・・あれはなんなんだ?

巨大ミミズ?突然変異?それとも・・人間による実験?

わからないが、友好的な存在なのかが重要だ。


巨大ミミズは、スピードを緩めることなく突っ込んできた。

軽く横に避ける。

ミミズが進行を止めた。顔をゆっくりこちらに向けると・・顔が開いた。

顔だと思っていたところは口のようで、中は深淵と思われるような世界だった。

歯をカチカチさせよだれを垂らしながら、ゆっくり近づいて来る。

・・友好的じゃなさそうだ。


ミミズが襲い掛かって来た!

とりあえず手近な石を口の中へ放り込むも、ガリガリと歯で砕いていく。

森へ逃げるも、うねうねとした姿は木をうまく掻き分けこちらへ向かって来る。

障害物があればでかい口で破壊している。

なるほど・・ならばこいつの対処法は・・俺は考えを巡らせた。


・・よし、これでいこう。

俺は少し大きな木を見つけた。

ここも果物があるのか。今度ゆっくり収穫したいな。

っと、まずは巨大ミミズの対処だな。


ミミズの動きをうまく誘導して、この大きな木を中心に結んでやる。

さあ来いミミズ!知能の差を見せつけてやる。

ミミズが俺に向かって・・来なかった。

のんびり果物を食べ始めた。

よく考えてみたら、ミミズに歯は無かったよね?なんで食えるの?

しかし巨大ミミズは果実をのんびり食べている。

・・さて、戻るか。


・・

・・・・


凛「優人さん大丈夫でしたか!?」

優人「!?」

凛さんは毛布にくるまっていた。

その下は裸?


優人「俺は大丈夫だけど、凛さんその姿は・・?」

凛「川で体を洗っているときにあのミミズが現れたので・・その・・」

服は川のとこに置きっぱなしなのか!


優人「俺とってくるよ。さすがにその格好は・・」

毛布もそこまで大きくないので殆ど隠せていない。

胸の谷間や生足がバッチリ見えてる。

・・ちょっと下から覗いたら見えそう。


凛「あ、危ないですよ!」

優人「今なら大丈夫だよ。あの巨大ミミズは食事中だし。」

凛「他にもいるかもしれません。」

優人「うまく逃げるよ。」

凛「・・行かないでください。」

優人「え?」

凛「ひとりにしないでください!」

凛さんが抱きついてきた。

色々と柔らかい部分が押し付けられる。


凛「ひとりは怖いです。一緒にいてください。」

それはいいが・・その姿はやばい。

エロすぎる!


優人「なら一緒に服を取りに行こうか。」

凛「・・・・怖いから明日でもいいですか?」

舌を出して笑う凛さんはいつもよりかわいかった。

しっかり者のお嬢様が、普通の少女になったかのような・・


そんな凛さんのお願いを断れる生き物がいるだろうか?

いるわけない(断言)


優人「なら朝食にしましょうか。森の果実を取りに行きましょう。」

ぶんぶんぶんぶん。

凛さんが盛大に首を横に振る。


優人「えーと、食べるものが無いと困るでしょう?」

ぶんぶんぶんぶんぶんぶん。

凛さんが全力で首を横に振る。

わがままが許されるのは小学生まで!

ここは無人島。わがまま言ってたら生きていけない!


凛「明日必ず森も行きますから。ねっ、ねっ♪」

優人「・・今日は非常食にしましょうか。」

凛さんが俺に甘えてくる。

無茶苦茶嬉しい。


・・

・・・・


凛「はい、あーん。」

優人「じ、自分で食べられますから。」

裸に毛布一枚であーんしてくれるとか、キャバクラでもしないぞそんなこと!

く・・座っているとよりエロさが際立つ。

上も下もちょっと毛布をずらせば大事なところが見えるだろこれ。

あの男に同意するのはしゃくだけど、エロい身体だ。


凛「あの・・あまりじろじろ見られると・・恥ずかしいです。」

優人「あ、ごめん。」

凛「・・優人さんもちゃんと私のこと女性として見ていたんですね。」

優人「凛さんは自信持っていいと思いますよ。100人の男がいたら99人は間違いなく凛さんを綺麗な女性だと思いますから。」

凛「残りひとりは?」

優人「犬しか愛せない人です。」

残念ながら凛さんの魅力をもってしても、犬しか愛せない男の心を揺さぶることはできない。

犬バンザイ。


凛「私、そんなにも魅力的ですか?」

優人「はい。」

凛「なら、こんなことしたらどうですか♪」

凛さんが毛布を少しずらす。

ぽっちが見えるか見えないかのところまで、大きな胸の谷間が露わになる。


優人「ちょ、ちょ・・りりり凛さんは俺をどうしたいんですか?」

誘ってる?いやそんな人じゃないはずだけど・・


凛「えっと、お友達だから大丈夫かなって。」

優人「絶対ダメです!性別の差は友情を超えます!」

凛「そうなんですか。」

わかってるのかな?


凛「でも優人さんは大丈夫ですよね。」

優人「ダメです。大丈夫な人はいないという前提で考えてください。」

凛「?」

優人「なぜわかってもらえないんだろう。」

凛「優人さんはいい人ですから。」

・・俺はそんなんじゃない。

俺は人殺しだ。

でも、凛さんの前ではいい人でいたいと思ってしまう。


・・

・・・・


夜になった。

あー、ふたつ目のテント設置しておけばよかった。

凛さんとイチャイチャするのが忙しかったから・・うん俺が悪い。

今日もハンモックで寝るか。


凛「あの・・」

優人「そのそろ寝ようか。」

凛「はい。それでですね・・一緒に、寝てほしいです。」

・・へ?


凛「寝ている間にあのミミズさんが来たらと思うと・・」

優人「いやいやさすがにそれはまずいですって!間違いが起きたらどうするんですか。」

凛「・・優人さんが相手なら、蒼之介さんも許してくれると思います。」

・・え?

今なんか・・OKした?


凛「テントの中で起きる出来事については何も言いません。」

それってつまり・・


凛「なんでもしますから一緒にいてください。」

凛さんが俺を求めている。

なんでもしてくれる。

ごくり。

今すぐにでも毛布をはぎ取って欲望のまま行動したい。

凛さんはきっと受け入れてくれるはずだ。


優人「・・ちょ、ちょっと待っててください!!!」

俺は急いで乾かしていたテントを持ってきて、超高速で設置した。

場所は凛さんのテントと森の間。


優人「お、俺はこのテントで寝ます。森から何かがやって来たらすぐお報せしますから大丈夫です。」

凛「一緒に寝てはくれないのですか?」

優人「凛さんはどんなことがあっても俺が守ります。その俺が、その、凛さんに危害を加えるようなことがあってはいけませんので。」

凛「そうですか・・」

凛さんがすごく残念そうだ。

俺も残念だよ!でも蒼之介と再会したとき、絶対に凛さんが苦しむことになる。

元気づけてあげたい・・そうだ。


優人「眠れなかったら言ってください。テントの外から俺の歌を披露しますよ。」

優人「おっと、俺の美声で眠れないという苦情は受け付けません。」

凛「ふふ、それは楽しみです。」

ちょっと笑ってくれた。

今俺にできることはこの程度くらい・・ええい蒼之介どこにいるんだ。

お前の凛さんがこんなに辛そうなのに!


・・

・・・・


<無人島生活5日目>


・・生きて朝を迎えられた。

あの巨大ミミズは足音ないから。

正直、近づいてもわからないと思う。


テントから出て体をのびのび~とする。

罠とか仕掛けた方がいいんだろうか?

巨大ミミズ・・栄養ありそう。


凛「優人さん、おはようございます。」

優人「凛さん。おはようございます。」

相変わらず毛布一枚でエロい姿だ。

もうこの格好が普段着でもいい気がしてきた。

俺の理性が持たないかもしれないけど。


凛「・・あの、優人さん。」

優人「はい。なんですか?」

凛「昨日は・・その・・色々失礼なことを言って申し訳ありませんでした。」

凛「恥ずかしいこともたくさん言ったかなと・・で、できればその・・忘れてもらいたいのですが・・」

優人「もちろん・・ツイートしたら忘れます。」

凛「世界へ発信してます!ネット環境ありません!スマホもパソコンもありませんよ!」

優人「ナイスツッコミ。」

凛「えっへん♪」

優人「さてたき火を作ろうかな。」

凛「わーすーれーてーくーだーさーいー。」

凛さんが可愛すぎて辛い。


・・

・・・・


たき火を作り、俺たちは非常食を食べた。

そして・・凛さんの服を取りに行く。


凛「・・明日にするというのはどうでしょうか?」

優人「明日になったら、また明日にしようって言いだすんでしょ?」

凛「だって・・怖いです。」

優人「俺も怖いよ。でもいつまでもそんな格好をするわけにはいかないだろう?」

裸に毛布を巻いただけの姿はエロすぎる。

ちょっとかがんだら見えちゃいそう。


凛「えーと・・これはこれでいいかなーと。」

そんなにも巨大ミミズが怖いのか。


優人「・・俺ひとりでとってこようか。」

凛「それはダメです!絶対一緒にいてください!」

優人「なら一緒に取りに行こうね。」

凛「うー。」

凛さんが不満そうな顔をする。かわいい。

正直、四六時中そんな格好の凛さんが一緒にいると、俺がおかしくなりそうだ。

凛さんを襲ってしまいそうだよ。


優人「凛さんは俺が絶対守るから。」

凛「はい。信じます。」

ちょっと凛さんの顔が和らいだ。

この信用を壊したくなる衝動に駆られる。

人間とは、どこまで邪悪な生き物だろうか。


・・

・・・・


最短ルートで凛さんの服のある場所へ行くには森を通らないといけない。

あの巨大ミミズは森へも入って来るから、どう行こうが安心はできない。


凛「大丈夫ですよね?なにもいませんよね?」

凛さんが俺の服の袖を掴んで話しかける。

静かなのが不安なのだろう。


優人「今まで何度も川や森へ行ったけど、巨大ミミズに会ったのは一度だけ。」

優人「確率としては、出会いにくい方だと思うよ。」

凛「優人さんがそう言うなら信じます。でも怖いです。」

そうこうしているうちに、川に着いた。

ミミズはいない。


凛「服ありました!」

優人「ああ、石を置いて風で飛ばされないようにしてたんだね。」

凛「はい。これでこの・・恥ずかしい格好をしないで済みます。」

凛さんは苦笑した。

・・うーん、残念。

たき火のところへも問題なく戻れて、凛さんは普段着に着替えた。


凛「動きやすいです。毛布は・・脱げてしまいそうでしたから。」

そういやアクシデントで毛布が!・・みたいなことは起きなかったな。

エロの神様は仕事してください。


凛「あ、優人さん何か流れ着いています。」

凛さんが漂着物へ駆けよる。

そこそこ大きいな。なんだろう?


凛「これは・・テント?」

優人「これでテント3つ目か。無いよりあった方がいいけど、数は足りてるんだよね。」

凛「他の遭難者さんがいたときを考えて使えるようにしましょうよ。」

だね。


凛「あ、でも・・川で洗うんですよね?」

凛さんは巨大ミミズを恐れているようだ。


優人「前はさ、魚を捕るという目的だったから上流の方へ行ったけど、テントを洗うくらいなら海に近いところでいいんじゃないかな?」

あんまり海に近すぎても、川が小さかったり汚い場合があるけど。


凛「・・もしかして私が体を洗う時も、もっと安全な場所がありました?」

優人「まぁ、いつもの場所みたいな感じであそこまで行ってたからね。」

どちらかというと、魚がいるから・・みたいな場所なんだよね。


凛「うー、優人さん嫌いです。」

ぽか、ぽか、ぽか、ぽか。

凛さんが抗議の暴力を振るう。なお痛くはない。

凛さんに嫌われた(´・ω・`)俺は心に深い傷を負った。


優人「いやその、ごめんなさい。」

凛「えへへ、嫌いだなんて冗談ですよ。優人さんのこと大好きです♪」

凛さん超かわいい。

もう我慢できない!今夜なにがあろうと襲う!

欲望の限りを尽くしてやる!!!


凛「私が気付くべきでした。自分のことでしたのに。」

優人「お互い様ということで・・協力していこう。ひとりじゃできないことも、ふたりならきっとできるよ。」

凛「はい!」

優人「じゃあテントを洗おっか。」

俺たちは、川へテントを持っていき洗った。


凛「とっても綺麗になりました!」

テントを干して楽しそうな凛さん。

こっちまで嬉しくなっちゃう。


凛「次は何します?」

優人「そうだね・・果物取りに行こうか。非常食ばかり食べてたらいざという時に困るし。」

凛「・・ミミズさんいませんよね?」

 どうだろう?


優人「そう遠くないし、いざとなったら逃げればいいと思うけど。」

凛「ですが、ミミズさんがここまで来ない保障はありません。」

それもそうだ。

川や森でしか見てないだけだからなぁ。


優人「なら念のため火を持っていこう。生き物なら火を怖がるはず。」

俺たちは、たき火から木をひとつ拝借した。

ロングソードとか、はがねのけんとか欲しい。やっぱりはじゃのつるぎでお願いします。

サバイバルナイフで戦うのは怖い。


・・

・・・・


いつもの森の中にある果物地帯へやって来た。

凛さんは辺りをきょろきょろして注意している。

今のうちに果実をもぎ取る。

・・数個とれば十分なので、収穫はすぐ終わった。


優人「はいOK。」

凛「ミミズさんがいなくてよかったです。」

俺たちが戻ろうとしたら・・

ズズズ・・バキバキバキ・・

地面を這う音と、草木をなぎ倒すような音が響いてきた。


凛「あ、あの・・優人さん・・」

凛さんが俺の袖を掴む。


優人「まだ姿は見えないから大丈夫、遠くだよ。さあ戻ろうか。」

凛「はい。」

俺たちは速やかに撤収した。


・・

・・・・


たき火の前で取って来た果実をかじる。

甘くておいしい。

そして不安そうな凛さんが俺のすぐ隣に座っている。

夜にでも激しい運動すれば不安も消し飛ぶさ。

これだけ怖がっているんだ。きっと今夜も俺を誘ってくる。

そしたら・・いっぱい喘がせてやろう。


凛「・・蒼之介さん・・」

凛さんが夫の名前を口にする。

お前がいつまでも現れないから、凛さんがこんなにも悲しんでいるじゃないか。

俺が慰めてあげなきゃ。


優人「食べたら海岸を歩いて誰かいないか捜そう。」

凛「・・もしかしたら、蒼之介さんはもう・・」

優人「蒼之介がこのまま見つからなくても、俺はずっと凛さんを守るから。」

凛「・・はい。ありがとうございます。」

凛さんが体を預けて来た。

肩と肩がぶつかり、凛さんの頭が俺の肩に乗る。

いける!

今夜凛さんは、俺の女になる。

俺好みの女に育てて・・・・あ、もう俺好みだわ。


・・

・・・・


食べ終えた俺たちは、海岸を歩く。

途中漂着物もあったけど、使えそうなものはなかった。


優人「これもゴミかな?よれよれの小さなビニールとか使い道がない。」

凛「いえ希望ですよ。」

優人「ゴミが?」

凛「文明が近いって思えますから。」

なるほど。

人工物は無人島では癒しになる。


優人「いずれは帰らないといけないよな。」

凛「はい。心配している方もいると思います。」

蒼之介が見つかるまではここにいるつもりだった。

無人島を脱出した後で蒼之介がこの島へ来たら、もし既に蒼之介がこの島にいたとしたら・・

蒼之介が置いてきぼりになってしまう。

それを避けるため。

まぁ救助が来てくれれば、俺たちは帰れるしこの辺りを大捜索してもらえるんだけど。


優人「凛さんとこは知り合い多いから大騒動になってるだろうね。会社とか大丈夫?」

凛「みなさん優秀ですから。大丈夫ですよ。」

うーん、さすが。

俺は・・帰っても心配してくれる人はあまりいないなぁ。

親とか兄弟とか、親戚くらいか。

仕事先は激怒かなぁははははは。

・・悲しい・・あ!!!


優人「凛さんあれ!」

俺は遠くを指差した。

あの姿。あの格好。あれは・・・・蒼之介!?


凛「あ・・蒼之介さん!!!」

凛さんが走り出した。

やっぱり凛さんも蒼之介に見えたんだ。

俺も走った。


凛「蒼之介さん!蒼之介さん!」

蒼之介「・・・・凛・・?」

凛「蒼之介さん!!よかった、無事だったんですね。」

蒼之介「・・お腹空いた・・」

優人「一応持ってきた果物だ。これを食べろ。」

蒼之介「優人・・?」

優人「まずは体を回復させるんだ。積もる話はたくさんあるぞ。」

蒼之介「ああ、そうする。」

果物を食べて蒼之介は人心地ついたようだ。


凛「本当に、本当に無事でよかったです。」

蒼之介「ふたりも無事でよかった。ところで優人。」

優人「なんだ?」

蒼之介「俺・・さっきお腹空いたって言ったけど、喉も乾いてたわ。」

優人「むっちゃどうでもいい。」

果実に水分も含まれてただろ。


優人「ひとまずたき火のところへ戻ろう。予想でしかないが、火があれば化け物も寄って来ないだろうし。」

蒼之介「お前たちも会ったのか!?あの巨大ミミズに。」

凛「すっごく怖かったです。」

優人「人間より果実を好んでるみたいだから、まぁなんとかなってるけどね。」

蒼之介「それでか・・俺も森で食べられそうな果実を見つけたんだ。そこへあのミミズが現れてな・・」

人間の味を覚えて気に入ったら・・超怖いな。

逆に食えないものだろうか。栄養たっぷりなら・・毒持ちだったらどうしようね。


・・

・・・・


たき火のところへ戻って来た。


蒼之介「すまないな肩借りて。」

優人「倒れるほどだったんだ、無理すんな。ほらとっといた果物あるから食え。」

凛「そうです。今は休んでください。」

蒼之介「すぐ回復するさ。それより今はどんな状況なんだ?テントにたき火とか、キャンプみたいに快適そうじゃないか。」

優人「色々漂着して来るんだよ。ペットボトルに水を入れれば太陽光で火を起こせるし、テントは・・3つ目が今日漂着したよ。」

凛「非常食とかサバイバルナイフもあります。でも自然の中に食べ物があるから助かってますね。」

蒼之介「へぇすごいもんだ・・あー、ふたりはいつくらいから一緒なんだ?」

そういや日にち数えていなかった。


凛「優人さんとは今日で4日目です。この島に漂着して2日目に会えました。」

2日目に会ったなら、凛さんも俺と同じ日にこの島へ来たことになる。

1日目ひとりで、4日間はふたりっきり(若干一名は無かったことにした)

無人島に来てから5日目になるな。


蒼之介「そっか・・結構長く一緒にいたんだな。」

優人「色々あったから、あっという間だった気もする。」

凛「でも魚とったり果物とったり楽しかったですよ♪」

優人「巨大ミミズ」

凛「それだけは嫌です!」

蒼之介「・・」

優人「蒼之介は?今までどうしてたんだ?」

今まで海にいたって感じじゃなかった。

蒼之介が倒れていたのは砂浜の真ん中で、海から流されてきたわけじゃなさそうだった。


蒼之介「俺は・・この島に来てから4日経つ。」

蒼之介「初日は良かったよ。おいしそうな果実があってとりあえずお腹と喉を満たすことができたから。」

蒼之介「2日目にな・・あの巨大ミミズに出会ったんだ。」

蒼之介「森を出れば安心かと思ったら、砂浜まで追いかけて来て・・」

優人「え、あいつ川や森だけじゃなく、ここまで来れるのかよ・・」

凛「そんなぁ・・」

凛さんが悲しそうな顔をした。

安全だと思っていた場所が安全じゃなかったからな。


蒼之介「火は大丈夫なのか?」

優人「試したことない。俺たちのとこじゃ砂浜まで来たことなかったから・・」

蒼之介「そっか。砂浜だと走りにくいからマジきついぞ。まだ森の方が逃げやすい。」

凛「もしミミズと同じ種なら、海水も苦手だと思います。」

蒼之介「塩か・・試したいが、海はこっちが動き取れなくなるから・・」

優人「もしミミズが海も平気だったら逃げられなくなるな。」

蒼之介「ああ。それからろくに食事してなくて。ついに4日目、つまり今日ダウンした。」

蒼之介「そこをふたりに助けてもらったわけだ。本当に感謝してる。」

凛「いいですよ夫婦なんですから。」

優人「むしろお前を助けることがここに居続けた理由だからな。」

蒼之介「そっか・・待っててくれたんだな。」

優人「無事でよかった。」

俺と蒼之介は見つめ合った。


凛「あれ?なんか私がお邪魔虫ですか?」

蒼之介「そんなことないって!」

優人「凛さんもいなきゃいけない人ですよ。」

凛「ふふふ、嬉しいです。」

凛さんがにっこり笑った。

やっぱり蒼之介がいると、凛さんの笑顔もいつもの10倍だな。

エロさは減るけど。


蒼之介「・・俺のいない間、ふたりとも結構仲良くなったんじゃないか?」

優人「巨大ミミズがいるからな。基本一緒に行動しているし、仲間割れしてる暇もない。」

凛「優人さんとっても優しかったです♪」

蒼之介「・・・・そうか・・」

あれ?蒼之介が落ち込んでるような気がする。

いや疲れているだけかもな。

果物だけじゃ元気出ないだろう。


優人「しゃあない、魚とって来るからお前はここで待ってろ。」

蒼之介「魚がいるのか?」

優人「川にな。魚食べて動物性たんぱく質を摂取すればもっと元気になる。というか果物じゃ腹いっぱいにならんだろ。」

凛「危ないですよ!私も行きます。」

優人「凛さんは蒼之介と一緒にいなよ。」

凛「ダメです!巨大ミミズが最初に現れたのは、あの川なんですよ!」

蒼之介「・・俺のことはいいから、凛を連れて行ってくれないか?確かにひとりじゃ危険だと思う。」

優人「でもお前が・・砂浜にも出るんだろ?」

蒼之介「あの時は森から追いかけて来たからかもしれない。ま、ここには火があるから大丈夫さ。」

凛「そうですよ。優人さんの方が危ないです!」

優人「わかったよ。できるだけ早く戻るから。非常食の場所を教えておくから、もしやつが現れたらそれ与えて逃げろ。」

蒼之介「お前も気をつけろ。」

優人「いざとなったらこれで戦うさ。」

俺はサバイバルナイフを取り出した。

あの巨体には無意味な気もするけど。10メートル以上ありそうだからなぁ。幅もかなりあったし。

・・むしろ乗り物に・・やっぱ無し。ミミズに乗りたくない。


・・

・・・・


凛さんと川へ。


優人「じゃあ俺が魚を取っているから、凛さんは異変がないか周囲を見てて。」

凛「お任せください♪」

凛さんは気持ちいいくらい快くOKしてくれる。

ほんといい子だ。


俺も負けてられない。

魚確保!

1匹

2匹

3匹

4匹

今何時?

3時。

4匹

5匹

6匹

7匹

8匹

・・こんなもんか。いつもよりちょっと多め。


優人「十分とったから戻ろうか。」

凛「はい。こちら異常ありませんでした!」

優人「凛さん楽しそうだけど・・見張り楽しいの?」

凛「優人さんのお役に立てるのが嬉しいんです♪」

どこまでもかわいい人だ。

俺だけのモノにしたくなる・・ああいや、蒼之介がいる以上、俺が手を出すわけには・・

でも、辛いな。


・・

・・・・


優人「たくさん魚とって来たぞ!」

凛「焼きますからどんどん食べてくださいね。」

蒼之介「無人島で焼き魚を食べられるなんて不思議な気分だ。」

優人「味気ないけどな。塩も醤油もないから。」

蒼之介「海から塩を作れないのか?火があるなら蒸発させれば塩が残るだろ?」

優人「・・その手があった!」

凛「その場合、鍋やフライパンなど海水を入れることができ、火にかけても平気な器が必要です。」

鍋?フライパン?

無人島に・・あるわけない!


優人「器がなかった。」

凛「天日干しする方法もありますが、苦みが強く市販の塩と比べ大きく味が落ちます。」

蒼之介「苦みをとる方法は?」

凛「火にかけてろ過すると、苦みの成分であるにがりが抽出できます。残った塩が見慣れたものですね。」

優人「終わった。」

やっぱり火にかけないといけないのか。

そしてろ過する道具もない。


凛「あとは・・普通の塩とは違いますが、海藻を干して焼くと塩の混じった灰ができます。」

凛「大昔はこれを塩代わりにした時代もあるんですよ。」

優人「いつの話?」

凛「古墳時代か飛鳥時代か・・そのあたりだったかと。」

優人「・・いつだっけ?」

蒼之介「三国志の後くらいかな。数百年ズレはあるが。」

優人「いやわからん。」

凛「6世紀か、もう少し前くらいでしょうか。ちなみに三国志は3世紀です。」

ああ、そりゃ数百年ズレてるわ。


蒼之介「古墳時代なら3世紀からだろ?」

凛「そうですが、塩づくりの話とズレちゃいます。」

優人「どの道、大昔だね。」

凛「この時代は文字の文化がまだ弱く、歴史的に曖昧な部分が多いんですよ。」

凛「歴史書の作り方を知らないと、作り話まで盛り込みますし。」

それはわかる。

中国の昔話・・紀元前1700年くらいのだと妖術とか出て来るけど、妖術が現実にあるとは思えない。

幻覚効果のある草やキノコが使われたんじゃないかとか予想はできるけど・・実際のところはわからない。

もしかしたら、本当に妖術があったのかもしれないし。


神様がいたとしても、現代で神様を見た人がどれだけいる?

科学的に証明できない以上、真実は当時の人しかわからない。


優人「ステンレス鍋が漂着しますよーに。」

俺は祈った。


蒼之介「そう都合よくいけばいいが。ま、素材の味を楽しむよ。」

凛「お話している間に焼けました。はいどうぞ。」

蒼之介「サンキュー。」

凛「優人さんもどうぞ。」

優人「ありがとうございます。」

今はいいかもしれないけど、もし無人島生活で長期戦を考えるなら、塩の摂取も考えた方がいいんだろうな。

とっとと脱出するなら別だけど。


・・

・・・・


夜になった。


優人「蒼之介は凛さんと一緒のテントで寝なよ。」

蒼之介「・・いいのか?」

いいのかって・・お前ら夫婦だろ?


優人「正直テントの数も足りないから。」

3つ目のテントはまだ乾いていない。明日になれば乾くと思うけど・・

森に巨大ミミズがいる以上、森の入口につけたハンモックも不安。だって砂浜まで来るんでしょ?


蒼之介「じゃあそうさせてもらうよ。」

凛「では優人さん、おやすみなさい。」

優人「ああ、おやすみなさい。」

・・これでいいんだよな。

なんだろう。胸が痛い。

早く寝よう。寝れば治るさ。


・・

・・・・


?「・・・・あ・・・・」

ん・・うとうとしてたら聞きなれない感じの高い声で目を覚ました。

耳を澄ます。

・・声は聞こえるも、どこの誰の声かはわからない。

海もあるしセイレーンとか。

人魚!


ま、非現実なことはともかくとして、テントの外に出てみる。

巨大ミミズの鳴き声だったらどうしようかな。

・・あ・・

テントの外に出たらすぐわかった。


凛さんの喘ぎ声だ。

そっか・・蒼之介と一緒だもんな・・

・・胸が苦しい。

あのテントの中に自分がいないことが悔しくなる。

凛さんのことが好きだ。

いや、元々好きだった。

ずっと我慢してた。でも無人島でその想いはずっと強くなってしまった。

欲しい。

凛さんが欲しい。

俺だけの凛さんになって欲しい。


・・

・・・・


<無人島生活6日目>


あー。

いつもより寝坊してしまった。

太陽が眩しいや。

・・蒼之介と凛さんはまだ起きて来ない。

昨日はお盛んだったからな・・


・・・・俺は決意した。

凛さんを奪おう。

この手を血に染めようとも。


って、何を考えているんだ!

凛さんは蒼之介の、友人の奥さんだ。

ああもう!たき火を作る!何かしていれば落ち着くはず!

たき火の火種は・・あー無くなってる。

しゃあない、ペットボトルをレンズ代わりにして火をおこすか。

枯草を持ってきて、黒そうな部分に集約した光を当てる。

燃えろ。燃えろ。あ、ステンレス製の鍋とか漂着してないかな。

光を当てながら、海の方を見る。

・・なにもない。

まったく、現代人は海に物を流さないのか!常識的過ぎるぞ!

あ、火種ができた。

風を防ぎながらうまく火を他の枯れ草に移す。

・・成功!

とっても上手にできました!!!


蒼之介「お、早いな。」

凛「おはようございます。」

優人「おはようございます凛さん。おはよう蒼之介。」

蒼之介「おはよ。たき火ありがとな。」

優人「先に起きたしな。」

蒼之介「・・それと・・・・ありがとう、すまなかった!」

優人「は?」

蒼之介が、いきなり90度お辞儀をした。

なに?なにがあったんだ?


蒼之介「昨夜凛から聞いたよ。凛と優人が出会ってからの4日間のこと。」

蒼之介「俺さ・・その、なんかお前らが仲良くなってるなって思って・・その、深い仲になったんじゃないかって邪推してた。」

蒼之介「でもお前はずっと紳士的だったって。それに・・凛のために殺しまで・・」

優人「・・俺が自分で望んだことだ。凛さんのためじゃない。」

蒼之介「凛が夜テントに誘っても断ったんだってな。そんで巨大ミミズから凛を守るように自分のテントを設置までして。」

優人「あれ?それは秘密じゃなかったの?」

凛「つい話しちゃいました♪も~優人さんすっごくかっこよかったんですよ!」

蒼之介「昨夜からこれだよ・・ありがとな。優人。」

優人「凛さんに何かあったらお前に会わす顔がなくなる。」

蒼之介「さすが親友!・・でも辛くないか?お前は秋生さんを・・」

優人「過ぎたことだ。それにもう・・犯人が誰かもわからなくなった・・」

凛「優人さん・・」

もうどうでもいいさ。

俺の人生無茶苦茶だよ。


蒼之介「・・いかだを作らないか?」

優人「ん?」

蒼之介「帰ろう。そしたらお前にお礼ができる。」

凛「そうですよ。ここでは私たち優人さんにお世話になりっぱなしですが、帰ればいっぱい優人さんにお礼ができます。」

優人「・・そうだな。」

元々、蒼之介が見つかるまで自力で帰るのは控えてたんだ。

実際に帰るかはともかく、準備するのも悪くない。

帰るための問題点とかあれば、早目に対処できるしな。


優人「作るか!俺たちのいかだを!」

蒼之介「おお!」

凛「おー♪」

俺たちのいかだ作りが始まった。


・・

・・・・


蒼之介「サバイバルキットって便利だな。のこぎりまであるのか。」

優人「あまり大きくないけど使えそうか?」

蒼之介「大丈夫だ。このサイズならいける。」

優人「俺がびっくりしたのは、ロープまで入っていることかな。普通入ってないだろ?」

蒼之介「でもまさにサバイバルキットだよ。いかだをどうやって束ねるのかって話だ。」

優人「まぁ・・な。」

人工のロープは植物のツルなんかじゃ出せない耐久力を持っている。

それが入っているってことは・・無人島からの脱出を想定してんのかよこれ。


蒼之介「凛の方はどうだ?」

凛「異常なし!」

凛さんには巨大ミミズが現れないか見張ってもらってる。

さすがに3人いれば安心なのか。

それとも・・蒼之介がいるから?


俺はロープに代わるツルを探している。

いやロープもあるんだけど、ツルも使ってがっちり木と木を結びたいとのこと。

いかだになにかあったら終わりだもんな。完璧でなお足りないとはこのことだ。


あと最低限必要なのは・・日差しから守るものとかかな。

大きな葉っぱがあればいいが。

あとはオールか。

ボートなんかで漕ぐやつね。

これが無いと潮の流れに100%任せることになっちゃう。

陸地が見えても辿り着けなかったら悲しいものがある。


優人「おっ。」

中々いいツルが見つかった。

引っ張っても切れなくて、長い。


蒼之介「木を切るのって大変だ。」

蒼之介はかなり汗をかいている。


優人「代わるよ。」

蒼之介「疲れるぞ。じゃあ俺は・・なにしてよう?」

優人「休んでてもいいけど、オール作りとか?」

蒼之介「切ればいいのか?やすりとかあればいいんだが。」

優人「・・そういやサバイバルキットにあったような。」

蒼之介「え?・・あった!」

マジでサバイバルさせる気だなこのキット。


・・

・・・・


こうして、俺たちのいかだ第一号が出来上がった!


優人「疲れた。」

蒼之介「クタクタ・・」

凛「これで帰れそうですか?」

優人「いや、作ってみて色々思ったよ。持ち込める水と食料だけじゃ不安だ。自給自足できないと博打要素が高すぎる。」

いかだのサイズや重量、安定感を考えると全部は持ち込めない。


蒼之介「そうだな。まだここに残って救助を待った方が安心か。」

凛「あのミミズさんがいなければ安心安全ですけどね。」

そういやそうだった。

安全ではないなここも。


凛「お魚さんを取るというのは?」

優人「取ったとしても、いかだの上じゃ火をおこすのも大変なんだ。いかだが燃えたら・・ね。」

凛「確かにそうですね。」

生で食べると寄生虫が怖い。


蒼之介「一番ないと困るのは水か?」

優人「海水は飲めないからなぁ。」

海水は利尿作用がある。

飲んだ量より排出する量の方が多くなる。だから飲んではいけない。

そもそも塩分が多すぎる。というか塩の取りすぎでおしっこしたくなるんだよね。


凛「火と鍋があれば蒸留できますが・・」

いかだの上じゃ火も怖いし鍋もない。

ないない尽くしだ。

これじゃあ帰るのは危なすぎる。


蒼之介「すぐ脱出しないといけないわけじゃないんだ。じっくり時間をかけて問題を解決していくか。」

凛「ですね。」

優人「疲れたから今日は休もうか。」

蒼之介「ああ、そのことなんだが。」

優人「ん?」

蒼之介「凛と話したんだが、やっぱり俺もテントをひとつ使うことにするよ。」

・・今、俺の中で悪魔の声が聞こえた気がした。


蒼之介「ひとつ余ってるんだろ?乾かしているのが。」

優人「あ、ああ。」

蒼之介を亡き者にして、凛さんを手に入れることができると。


蒼之介「テントの設置は初めてなんだ。疲れてるところ悪いけど手伝ってくれないか?」

優人「ああ・・」

凛「私も手伝います♪」

ふたりきりになれば、凛さんは俺だけを頼って来る。

ふたりきりになれば、凛さんは俺のすべてを受け入れてくれる。

ふたりきりになれば、凛さんのすべてが手に入る。

それは、なんとも甘美な誘惑だった。


・・

・・・・


蒼之介のテントを作り、俺たちはそれぞれのテントに入る。

ここで行動すれば、凛さんが手に入る。

凛さんが欲しくないのか?

悪魔が誘惑する。


もし帰ったらどうなる?


蒼之介と凛さんは資産家だ。金に困ることはない。

賠償金を払っても平気だ。そもそも保険に入ってるだろう。

自分たちの会社だ。クビになんかならない。

幸せな生活に戻るだけ。ここでのことは、一時のイベントにすぎない。


だけど俺は・・仕事はクビだろう。

秋生はもういない。俺が殺した。

蒼之介と凛さんは友人だ。多額の補償金を請求することなんかできない。

俺の人生は転落する。

もし、蒼之介や凛さんの口から俺が客を殺害したことが漏れたら・・もう這い上がることもできない。


悪魔はさらに誘惑する。


ここで蒼之介が死ねばすべて解決する。

凛さんは俺を頼るようになる。俺との行為を受け入れてくれる。

資産家なのは凛さんの家だ。

凛さんと一緒になれば、生活も安泰だ。綺麗で優しい奥さんも手に入る。


悪魔は俺を導こうとする。

外道へ。


蒼之介から伏線をもらった。

巨大ミミズは砂浜までやってくる。

テントで寝ている蒼之介になにかあっても・・巨大ミミズが罪をかぶってくれる。


さあ今がチャンスだ!

みんなが疲れている今なら、きっと成功する。


俺は・・起き上がってテントから出た。

その手には、サバイバルナイフを持っている。

音を潜め蒼之介のテントに入る。

蒼之介はぐっすり寝ていた。

俺は蒼之介に・・ナイフを突き立てた。


・・殺した。

これで4人目。

俺は蒼之介を抱きかかえ、森へ入っていった。

ある程度奥へ行き、蒼之介を捨てた。

これでいい・・これで・・

サバイバルナイフを洗い、俺は再び眠りについた。


・・

・・・・


<無人島生活7日目>


・・さん・・

優人さん・・


凛「優人さん!大変です!」

ん・・凛さんが起こしに来るまでぐっすり眠ってしまった。

疲れていたのだろう。体も、心も・・

俺は軽く深呼吸して落ち着いた。


優人「どうしましたか?」

凛「・・蒼之介さんが・・」

凛さんは泣いていた。

その理由を俺は知っている。

蒼之介のテントへ行くと、中はもぬけの殻だった。


凛「蒼之介さんがどこにもいないんです!蒼之介さんになにかあったら、私・・私・・」

優人「捜そう!もしかしたら出かけているだけかもしれない。」

凛「どこを捜せば・・」

優人「食べ物のある森と、あと川の方かな?もしかしたら海岸を歩いているだけかもしれないけど・・」

優人「海岸ならそれほど心配しなくていいと思う。森と川に行ってみよう。」

凛「はい、はい!」

パニックになっている凛さんをなだめながら、俺たちは森へ入った。

捜すふりをして、蒼之介を捨てた場所へ行ってみる。


・・蒼之介は無残な姿になっていた。

食べられた後なのか、服と体のパーツが少し残っているのと、あとは血だまりが残っていた。

巨大ミミズだ・・俺はそう思った。


優人「凛さん!こっち!」

凛「蒼之介さんが見つかりましたか!?」

凛さんは、巨大ミミズの食事の跡を見つけ真っ青になった。

放心してその場に座り込む。


凛「そんな・・蒼之介さん・・」

目に大粒の涙を浮かべ、頬を垂らした。


優人「蒼之介・・」

こんな凛さんといい仲になれるのか?

後追い自殺なんかされたら・・

・・悪魔の声が聞こえた気がした。

女の心を操れと。


優人「俺が、俺が全部悪いんだ!いかだが出来て帰る道筋が出来てきたと思い、気が緩んでしまった。」

優人「俺を責めてくれ、すべて俺の責任だ。」

凛「そ、そんな!優人さんは悪くないです。それに油断していたのは私も同じ・・」

優人「それでも、凛さんを残して大切な友人を死なせてしまった。」

優人「俺は死んで償わないといけない。」

凛「いえ、死んではいけません!優人さんが生きているのはきっと意味があるんです!」

他人に死んではいけないと言った以上、自殺はしないだろう。

俺は悪魔に誘導されているかのようにすらすら言葉が出ていた。


優人「ありがとう。本当にありがとう。」

優人「・・でも、これからどうすればよいだろうか・・」

凛「生きましょう。蒼之介さんの分も私たちが生きて、そして帰りましょう。私たちの国に。」

俺は頷いた。


優人「俺は、必ず凛さんを守る。ここでそう誓うよ。」

凛さんの顔を見ながらそう言った。

凛さんは、少し顔を赤らめ恥ずかしそうだった。


優人「あ、ごめん。顔が近すぎたね。」

凛「いえ・・気にしないでください。」

優人「戻ろう。いつまでもここにいたら危険だ。」

凛「・・はい。」

凛さんを連れ、テントのところまで戻った。


優人「辛いだろうから、今日は休んだ方がいい。」

優人「俺も・・心にぽっかり穴が空いたようで寂しいけど、なにもしないわけにはいかない。」

凛「いや・・優人さんはずっと一緒にいてください!ひとりにしないで!」

凛さんが抱きついてきた。

俺もそっと凛さんを抱きしめた。


優人「今日は一緒に話でもしようか。」

凛「はい。」

優人「テント入っていい?」

凛「は、はいどうぞ・・なにもお構いできませんが・・」

凛さんとテントの中で、昔の話をした。

まだ凛さんと出会う前の話。

取り留めないことが、非日常であることをより増大させた。

気が付けば、かなり時間が経っていた。


優人「あまり長くいちゃダメだよね。俺は行くから凛さんはもう少し休んでなよ。」

凛「いや、行かないで!」

優人「今の俺はどうかしている。このままいたら、キミを襲って寂しさを埋めてしまうよ。」

凛「・・それでもいい。ずっと一緒にいてください。」

優人「凛。」

凛「優人様・・」

俺は凛さんを優しく押し倒した。

友人の妻は、身体の方も最高の女だった。


・・

・・・・


<無人島生活8日目>


いつの間にかお互い寝てしまったようだ。

目が覚めてテントの外に出ると、まだ夜明けあたりだった。

テントの中と違って肌寒い。


俺は堕ちるところまで堕ちた。

これからどうすればよいのだろうか。

・・また、悪魔の声が聞こえた気がした。

不安定な環境でこそ凛さんは俺を頼って来る。

いかだで海に出ろと。

そうは言っても、飲み水や食料の心配が・・


ふと海を見ると、そこにはペール缶と鍋が漂着していた。

ペール缶は、ドラム缶より小さい筒上の缶だ。

・・これがあれば船の上でもたき火ができる。水や塩が作れる。


あーでも、たき火するなら空気穴が必要か・・そんな道具・・・・ある。

ホールソーだ!サバイバルキットの中に・・って、普通そんなもんまでないだろう。

運命が俺たちを海へ行けと言ってるのか?

一応熱も怖いから、下にステンレスの敷くやつがあれば安心なんだが。

ステンレスは熱伝導率が低いから。


凛「優人さん?」

凛さんがテントから顔を出していた。


優人「おはようございます凛さん。ちょっと漂着物を見ていました。」

凛「おはようございます優人さん。なにかありましたか?」

優人「はい、ペール缶と鍋です。これがあればいかだの上でたき火が出来ます。」

俺たちはいつもの呼び名に戻っていた。

だからどうというわけじゃない。昨夜の出来事は紛れもない事実だ。


凛「これでお魚さんも焼けますし、鍋もあれば水も作れますね。」

優人「気になるのは燃料かな。海の上で木切れが漂流していればいいんですが・・」

凛「お魚さんもとれるとは限りません。それでも海へ出ますか?」

優人「凛さん?」

凛「ここで、ずっとふたりだけで生きていく選択肢はありませんか?」

・・俺もそれは考えた。

しばらくは楽しい日々になるだろう。

凛さんの身体を貪り、欲望にただれた楽しい生活。

でも、安定は考える時間を与える。

凛さんが心変わりするかもしれない。


優人「ここにいると、巨大ミミズに怯えながら暮らさなきゃいけないけどいい?」

凛「う~退治してください!」

サイズがでかすぎるからなぁ。サバイバルキットは携帯用だからサイズや耐久性が心配なんだよ。

エクスカリバーが漂着してくれないかな。

・・あれ?

本当に流れてきた!?


凛「あの剣はまさか・・」

わくわくしてきた!ミミズ倒したらハッピーエンドじゃないか!

俺は流れてきた剣を拾った。


エクスカリパーを手に入れた。


パー?

あれ?


優人「・・・・ダメージ1固定じゃないか!」

凛「クリティカルなら3ダメージいけますよ。」

廃棄決定。


・・

・・・・


今日はいかだの改良。


まずペール缶に空気穴を開け、いかだに設置する。

いかだに直置きは怖いので、木の板を間に挟む。ステンレス製のはなかった。

・・ま、あるものでなんとかするのが無人島生活だよね。

動かないよう固定して・・と。


凛「これで真水や魚を焼くことができそうですか?」

優人「試してみよう。」

というわけで、魚を確保しに行く。


凛さんと川へやって来た。


凛「おっさかっなさんかっくほ♪」

楽しそうに魚を網ですくう。

よかった、元気そうだ。


凛「優人さん見てください。上手にお魚さん取れるようになりました!」

優人「プロになれそう。海でも期待しよっかな。」

凛「サメが絶滅したらやってみます。」

・・ちょっと難しいかなぁ。

メキメキ・・

木がなぎ倒される音が聞こえた。


凛「あ・・優人さん・・」

笑顔だった凛さんの顔が恐怖におびえる。

巨大ミミズだ。姿は見えないが近くにいる。


優人「すぐここから離れよう。」

もし、あいつが人間の味を覚えて・・気に入ってしまってたら・・

前は果実があればそちらへ行ってたが・・


・・

・・・・


ミミズに会う前に戻ることができた。

海に出なくても、あの巨大ミミズを退治できれば凛さんの心は鷲掴みだと思う。

ここで俺と一緒になってくれる・・までは言い過ぎかな。


凛「優人さん・・私もう・・ここにいたくないです。」

凛さんが俺に抱きついてきた。


優人「ああ。いかだを完成させて、無事帰ろう。」

凛「優人さんは・・ずっと一緒にいてください。」

優人「俺はどこにも行かないよ。」

凛「優人さん・・愛してます。」

俺は、くちづけで返事した。


優人「さ、真水を作って魚を焼こう。」

凛「はい!」

鮮度を考えると先に魚なんだけど、塩と一緒に食べたいからまずは真水+塩を作ろう。


ペール缶に火をつけ、鍋に海水を入れて火にかける。

鍋に真水を溜める器を入れる。鍋の海水は、この器が浮かない程度にする。

鍋の上側をビニールシートで覆い、器が置いてあるところをちょっとくぼませる。


原理としては、鍋で熱せられた水蒸気(湯気)がビニールシートに付き、それが器に集まっていく感じ。

水蒸気はほぼ水分のみなので、器に集まったのは真水に近くなる。完全に塩気が無くなるわけじゃないけど。

鍋は水分が蒸発するので残るのは塩となる。


優人「・・結構時間かかるね・・」

凛「沸騰させるよりはるかに時間かかりますよね。蒸発させるのって。」

まったくその通りだ。

一緒に魚も焼くことにした。


凛「時間当たりでとれる水の量を把握しておいた方が良さそうですね。」

優人「うん・・あまり集まらない・・」

水が飲み放題とかにはならなさそう。


優人「こうなったら、飲尿を!」

凛さんのなら飲める!


凛「海水ほどでありませんが、塩分が入っていますので常用は危険ですよ。」

優人「そうなの?」

凛「はい。おしっこは不要な塩分や老廃物を排出するんです。なのでどうしようもない場合に飲むくらいがいいんです。」

塩分の取りすぎはおしっこしたくなるんだよね。

海水みたいに塩分が多すぎると、飲んだ水分より排出する水分が多くなるから危険。

尿はそこまでじゃないにしろ、塩分があるから控えた方がいいか・・


優人「こうなったらずーっと海水を蒸留し続ける作戦!」

凛「火を使ったまま寝たら危ないですよ。」

凛「それと、蒸留した水は消毒されていませんから、時間を置くと菌が繁殖する恐れがあります。」

優人「難しいもんだ。」

凛「それでも少しは水を作れるんですから。作ってすぐ飲めば平気ですよ。」

凛「普段は蒸留した水で生活して、いざという時に持ち込んだ水を飲めば大丈夫だと思います。」

凛「と言いますか、早くこの島から出たいです!」

よっぽど巨大ミミズが・・そうだよな。

凛さんは蒼之介がミミズにやられたと思っているんだから。


魚が先に焼け、もう少し蒸留して・・少しだけど水が出来た。

鍋には水分が蒸発され塩が・・不純物も混ざっているけど。


優人「あれ?焼く前に塩をまぶすのが普通な気がしてきた。」

先に焼いちゃったよ。


凛「いいんですよそんなの気にしなくて。一緒に食べればなんでもおいしいですよ。」

凛さんがにっこり笑った。

ああもうかわいい!


優人「水は・・飲んでみる?」

凛「ふたりで飲みましょう。海に出たらそうなるんでしょうし。」

それもそうだ。

まず俺が飲んでみる。


優人「・・ぬるい。」

おいしくはない。ちょっと塩分が感じられるかな。


凛「では私も・・これなら十分飲料水ですよ。」

優人「まぁね。」

ジュースじゃないんだしこんなもんなのかな?


さて次だ。

塩をかけて魚をたべる。


優人「お、おいしい!」

凛「久しぶりの塩分は体に染みます♪」

塩があるかどうかでこんなにも違うのか。

もう塩になら抱かれてもいい。


・・

・・・・


ま、俺は抱く側なんだけどね。

夜になったからテントに戻ったら、凛さんがしおらしくなった。


凛「あの・・今夜も一緒にいたいです。」

顔を赤らめお願いしてくる。


優人「俺も凛さんと一緒にいたい。」

凛さんの腰を抱き、一緒にテントの中に入った。

そして、ふたりだけの夜を過ごした。


・・

・・・・


<無人島生活9日目>


目が覚めると凛さんはもう起きていた。

にこにこしながら俺を見ている。


凛「おはようございます♪」

優人「おはようございます。俺なんか見てて楽しい?」

凛「楽しいですよ。ふふ。」

なんてかわいいんだ。


凛「ふぇ?優人さん?」

俺は凛さんを押し倒した。


・・

・・・・


凛「・・人によって全然違うんですね。」

した後、凛さんが困った顔で言ってきた。


優人「違うってなにが?」

凛「その・・大きさとか、す、すごさとかです。」

凛「優人さんのって、大きいし、奥まで・・あ・・なんでもないです!」

顔を真っ赤にして話を途中で終わらせた。

そっかぁ(棒)

きっとよくわからないから途中で終わらせたんだな(棒)

だったら教えてあげよう(親切心)

俺は再び凛さんを押し倒した。


・・

・・・・


凛「優人さんのエッチ」

優人「ごめんなさい。」

調子に乗ってしまった。

凛さんはものじゃない。それなのに俺は・・


凛「あ、あまりし過ぎないでください・・ハマっちゃいそうだから・・」

優人「凛さんはこういうの嫌い?」

凛「・・以前はあまり好きじゃなかったです。」

優人「今は?」

凛「・・・・知りません!でも・・あの・・なんでもないです。」

凛さん・・お嬢様なのに、淫らな子になっちゃって。

いや、まだなろうとしているんだ。

なんか使命感がふつふつと燃え上がりそう。


<ミッション:凛さんをエロい子にする>


凛「そんなミッションはありません!」

否定された(´・ω・`)


MISSION FAILED!(任務失敗!)


・・

・・・・


脱出しようと思えば脱出できる・・そんな状況が今だ。

だが島を脱出したからといって、無事に帰れるとは限らない。

いかだが壊れたら、飲食物が無くなったら、火を起こせなくなったら、オールが流されてしまったら・・


島に残った場合、どうしても巨大ミミズ問題が残る。

退治することを考えないといけない。

可能性として、火と海水が弱点だと思うが・・火は森まで焼きそうだし、海水はバケツでぶっかける程度じゃダメだろう。

海に入れるくらいしないと。でもまぁ、どうすりゃ海へぶち込めるんだって話だ。


凛「なに考えているんですか?」

優人「脱出した場合と、島に残った場合のシミュレーション。」

凛「脱出した場合、無事帰って一大王国を作り上げます。」

凛「島に残った場合、ミミズを駆逐して一大王国を作り上げます。」

王国づくりは必須なのかな?

凛さんの意外な野望。


優人「凛さんはどちらがいいですか?」

凛「ミミズさんが嫌なので帰ります。」

まぁずっとそう言ってたもんな。


優人「・・よし、帰る方向で最後の準備をしよう!」

凛「あとは何が残っているんですか?」

優人「保存食だよ。」

海の上で魚がとれないときもある。

流れ着いた保存食もあるけど、自分たちでも作っておいた方がいい。


凛「・・干物や燻製ですね!」

優人「さすが凛さん。」

干物は魚をさばいて海水に浸し、天日に干せば作れる。

天気さえ良ければいかだの上でも作れる優れものだ。

長時間干せばより長持ちするけど、数時間程度でもできるから今日中に作ることもできる。

寄生虫が怖いから食べるときは火を通そう。


燻製は海水に半日から一日さらし、真水で塩抜き。

火があたらない程度にたき火の煙で数時間燻せば完成。

貴重な真水が必要になるので、いかだに乗ったら作るのは難しいかな。


もちろんこれは原始的なやり方なので・・

現代技術と道具があれば、もっとおいしく作れる。

特に燻製は温度管理がなぁ。


俺たちの保存食作りが始まった。

ベースは魚。

巨大ミミズに気をつけながら、乱獲する。乱獲する。数日分はとりまくる。

それを持ち帰り、干物や燻製にしていく。

干物は海の上でも作れるから燻製を多めに。

出来上がりは明日かな。

つまり・・無人島脱出は明日だ。


干物を作り、燻製を作り、干物を作り、燻製を作り、干物を作り、燻製を・・

夜は子供を作った。


・・

・・・・


<無人島生活10日目>


次の日。

今日で無人島ともおさらばだ。

いかだに荷物を乗せる。

漂着物を全部持っていくことはできない。

忘れ物をしても取りに帰れない。

凛さん提案でダブルチェックをした。

嵐が来てもいいように、荷物もいかだに固定した。


そして・・


凛「いつでも出発できますね。」

優人「出発式する?」

凛「あ、なら果物を食べて出発しましょう。海に出たら甘いものはしばらく食べられませんよ。」

凛さんと甘い蜜月を過ごせば・・あれ?受けなかった?

俺たちは森へ果物を取りに行った。


優人「・・」

凛「あ・・あ・・」

せっかくだから・・とたくさん果実をとったところで・・出会ってしまった。

巨大ミミズ。

音が殆どしなかったから接近に気付かなかった。

けもの道と同じだ。前も通った道だからあまり木や草がなかったんだ。

それで音が・・く、とにかく凛さんを逃がそう。

あとは果実をおとりにできるか?

にらみ合いは10秒ほどだったが、感覚としては数分くらい経った気がした。

ガサガサバキバキ。


え?

俺たちと巨大ミミズが対峙する横から、もう一体現れた。

巨大ミミズ。

えー、一匹じゃないのーーー!?

退治は無理ゲーでしょこれ!


心臓が高鳴った!俺の本能が危険信号を発した。

・・が。

巨大ミミズ同士で取っ組み合いを始めた。


優人「今だ!逃げよう。」

凛「は、はい!」

凛さんに走ってもらい、俺は少しミミズたちから目を離さないよう距離を置いてから走って逃げた。


・・

・・・・


凛「さようなら無人島さん。私たちは今日、旅に出ます。」

優人「出発する気満々だね。」

凛「だって~2匹とかあんなの反則です!」

珍しい凛さんのぶりっ子だ。

よし、許そう!


優人「というより、2匹いたならもっといると考える方が順当かな。」

凛「嫌です~、考えたくないです~。」

俺も考えたくないや。

だとすると、よく今まで俺たち無事だったな。

夜のうちにたき火は消えるから、海・・塩を怖がっているのか?

もしくは森を抜けた向こう側が住処すみかなのかも。こちらへは変わった性格のやつがたまに来るくらいで。


凛「早く出発しましょう!」

優人「うん。」

とった果実をいかだに積み込み、俺たちは出航した。

数日住んだだけの島。

そこは食べ物も水も豊富にありながら、恐ろしい巨大ミミズも生息していた。

住みやすい場所だから競争も激しいと考えれば納得がいく。

ここじゃ俺たちが侵入者だったんだ。悪かったよ、迷惑かけたな。

ちょっと感慨深くなりながら、島が小さくなっていくのを凛さんと見つめていた。


やがて島は見えなくなった。


凛「ふふふ♪」

優人「ミミズから離れられて嬉しい?」

凛「違いますよ。これからは優人さんとずっと一緒なのが嬉しいんです。」

凛「もう逃げられませんよ♪」

それはむしろこっちのセリフなんだけどね。

昼も夜も楽しませてもらおう。


・・

・・・・


<漂流生活?日目>


漂流生活は恐ろしい。

なにより、失敗がそのまま死につながる。

そして終わりが見えない。

いつ終わるかわからない状況は心を砕いていく。

泣き言を言いたくなる。でも・・


凛「大丈夫ですよ。ひとつひとつやるべきことをやっていれば陸に辿り着きます。」

凛さんはずっと俺を励ましてくれた。

魚を取ったり、真水を作るのも一緒にしたり・・もしかして凛さんって、完璧な人間なんじゃない?

眩いほどの光だ。なら俺は闇かな?

凛さんがいればなんでもできそうな気がしてくる。

それでも不安なときは、凛さんと気持ちいいことした。

不安じゃなくても気持ちいいことするけど。


悪魔がまた俺にささやく。

もし陸に辿り着き帰れたとして、凛さんはそれでも俺のそばにいるのだろうか?

俺は凛さんの目の前で客船の乗客を殺した。

他に誰もいないから俺を愛しているだけかもしれない。

安定した生活に戻ったら、凛さんは俺を煙たがるのでは?


凛「優人さん大変です!水も食料も自給自足しちゃうから荷物が減りません。」

優人「準備しすぎたかなぁ・・」

大きな葉っぱをいかだにつけて日よけにしたりと、喉が乾きにくいようにしてるし。

魚は干物にするから多少保存できて安定しているし。

それでも持ち込んだ果実や干物、燻製は食べきったけど・・それほど長くは保存できないから。


悪魔は俺にささやき続ける。

凛さんをずっと手元に起きたくないか?

ずっと不安定なら凛さんの気持ちはこのまま俺に傾いたまま。

帰った先で、なにか起これば・・

そうだ、化け物が現れて大変なことになっていれば・・

俺を頼ってくれるのでは?


不安定な状況で、安定を求めるから愛が生まれるんだ。

凛さんを不安定な状況にして、俺が安定を与える。そうしていれば凛さんは俺のそばにいてくれる。

問題は、無人島と違って化け物がいないことかなぁ。ははは。


凛「どうしたんですか?そんな考えこんじゃって。」

優人「ああ・・無事帰れるといいなって思ってたんだよ。」

凛「帰ったら・・私たちどうなるんでしょうか。」

優人「どうなるって?」

凛「今は私しか女性がいないから、優人さんは私を愛してくださるのかなって・・」

優人「え・・?」

凛「元の生活に戻れば魅力的な女性はたくさんいます。私なんかよりも・・」

優人「凛さんより魅力的な人なんて見たことないよ!?」

凛「それは今こういう状況だからそう思うだけです。人は環境で簡単に心が変化する生き物です。」

凛「それに気付かないのは、自分を守るための防衛本能と適応能力の高さ故。」

凛「今が永遠ならいいのに。」

待って・・それって、俺と・・同じこと考えていた?


優人「で、でも、それなら凛さんも今は俺しかいないからってことにならない?」

凛「いいえ。乗客の方が現れたときも・・蒼之介さんと再会したときも・・私は、優人さんに惹かれていました。」

心がざわめく。

動悸が激しくなる。


凛「蒼之介さんと再会した夜、蒼之介さんに求められましたが・・その時も、私は優人さんのことを考えていました。」

凛「蒼之介さんのことを優人さんだと思いながら、あの夜は抱かれたんです。」

凛さんは、その時にはもう俺のことを・・


凛「優人さんは、私のためになんでもしてくださいました。そしていつも正しいのは優人さんです。」

凛「私は優人さんが欲しいです。帰ったら、お金に物を言わせてもそばにいてもらいます。」

俺は・・


凛「あ!」

優人「え?」

凛さんが突然びっくりしたような声をあげた。


凛「ゆゆゆ優人さんあれ見てください!」

珍しく動揺している。

俺は凛さんが指差す方を見た。


優人「・・陸だ!」

凛「帰って来たんですよ!」

優人「行ってみよう!」

俺と凛さんは、オールを使って陸へいかだを走らせた。

もし違ったら・・また無人島だったら。はたまた外国に辿り着いたら。

期待してたら違ったときのダメージも大きい・・が、どうしても期待してしまう。

陸が近づく。ビルが見えた。

人工物があるってことは、人がいる!

でも・・


凛「なんか・・変じゃないですか?」

俺も気付いた。

建物がいくつか壊されている。

戦争でもしてる・・わけないよな。看板の文字が見えたけど母国語だ。

遭難している間に戦争が始まってたなら別だけど。まさかな。


優人「地震でもあったのかも。遠くにいたから気付かなっただけで。」

凛「こんな壊れ方するならかなり規模の大きな地震になります。だとすると、遠くにいても巨大な津波が起きていたはずです。」

・・巨大津波なんて遭難中にはなかった。

ならやっぱり戦争?どこと?

もしくはテロ?廃村?


凛「優人さんあれ!」

凛さんが指さす先。少し壊れたビルの上に、なにかがいた。

鳥?蝶?それにしてはなんだか・・


優人「遠近感でよく・・なんか大きくない?」

凛「はい。この距離でこの大きさだと、恐らく人間より大きいです。」

そんな生き物いるわけが!

・・そういやいたっけ。巨大ミミズとか。

あれは無人島だったから、ガラパゴスのように独自進化した結果だと勝手に納得してたけど・・


ビルの上にいた生き物が飛んだ。

蝶だ。巨大な蝶。

どうやら攻撃的なようで、民家を手あたり次第攻撃している。


凛「上陸する場所は考えないといけませんね。」

非現実的な状況でも、凛さんは冷静に判断している。

俺は、状況についていけない。

だって・・客船を沈めた巨大な大王イカが現れたとき、俺は化け物が現れたらと思った。

無人島にいたときも、凛さんと仲良くしたいために化け物が現れたらと思った。

そして今回も・・俺は化け物を望んだ。


あ・・あ・・

思い出した。

客船で、秋生を殺した後・・夢を見たんだ。

3つの願いを叶えてくれるって。非現実的なものだけ叶えるって。

俺が望んだから?

客船を沈めた巨大なイカも、無人島の巨大ミミズも、そしてあの巨大な蝶も・・

そしてもう、3つの願いは叶え終わった。

あとは自分の力でなんとかしろってことか?

それとも、3つで十分だってことか?

もしくは・・4つ目を願う未来は訪れないのか・・


まぁなんでもいいか。

なにが起ころうが、俺は凛さんを守っていく。

どんな手を使ってでも!


・・

・・・・


ミルク「ふふふ~ん♪次はなにしてあげようかな。」

ミルク「イベントカード・・ドロー!」

ミルク「隕石」

隕石が落ちるまで、残り〇日。


END.隕石から凛さんを守れたかはご想像にお任せします





あとがき。

まずは見て下さってありがとうございます。


なにやら中途半端なところで終わっているように見えますが、タイトル通りです。

無人島から帰ったら終わりなんです。


さて、当初の予定と一部話が変わってしまったためか、一見さんには疑問の残る終わりだったと思います。


まず主人公の性格。

私の書く主人公は、基本的にいい子になってしまうので、今回は悪人を目指しました。

殺す対象は3人の予定でした。奥さん殺して、探偵殺して、友人殺して合計3人。

で、書いてみたら1人増えました。


探偵と友人の間に、乗客の男も殺しているんですよね。

この男、凛さんは魅力的な女性ですよってことをアピールするために用意されました。

あと・・私が寝取られ好きだから・・つまりは趣味だったり・・まぁ・・謝ることじゃないですがごめんなさい。


この話は寝取りの要素も含んでいます。

で、あれば、凛さんは主人公に好かれるだけの女性でなければ説得力が薄れてしまいます。

私の表現力の無さからすると、文章で”凛さんは綺麗ですよ最高の女性ですよ”と書いても見ている方がはてな?となってしまいます。


男にもてる女性は性的に魅力的です。

というわけで、凛さんに心狂わされる役として、乗客の男が追加されました。

で、生かしたままだと話がどんどん変わっちゃうので、主人公に始末させました。


ちなみに乗客の男が主人公に殺された時、凛さんが襲われる直前か事後だったのかは・・ぼかしました。

好みの別れる展開なので、読者さんにお任せしようかと。

解釈は人それぞれです。他人に自分の解釈を押し付けちゃダメですよ。


さて、乗客殺しが追加されて困りました。

主人公の殺人に正当性が生まれました。

牢屋もない。警察もない。そんな無人島で人妻を脅迫して関係を持とうとする人がいたらどうすればいいか。

放っておくと事件。拘束できない。事件が起きてからじゃ遅い。

だから殺した。


関係もっちゃって妊娠したらさらに大変ですよね。

無人島なので病院もないから堕胎もできない。

説得で罪を犯さなくなるなら世の中に悪人はいないし警察は拳銃も警棒も不要です。


そんな必要悪ともとれる殺しをさせちゃったので、主人公が悪になりきれなくなってしまいました。

で、エンディングも変わりました。


元々の予定は、願ったから化け物が現れたのを主人公が自覚して、

悪魔が願いを叶えてくれた。神は不要みたいなことを言ってしまい、ミルクさん(天使)に処分されるオチでした。

悪いことをすれば罰が当たるんですよ、神様が見ているんですよという教訓を与えてくれる普通の話になったのですが・・


ところが中途半端な善性を持っちゃったために、神様を否定する展開になりませんでした。

で、仕方ないからあんなオチに・・この話、なにが言いたいのかわかんなくなりました!寝取り最高とでも言いたいのかな・・


他にも全部の殺人がバレて死刑になるとか、凛さんとの新生活が始まるとか、

主人公が単独もしくは傭兵を率いて化け物退治に向かうとかのオチも考えましたが・・

結局今後どうなるかという点はぼかしまくることにしました。

納得いかない気持ちもありますが、これが私の限界です。


そしてそんなオチにしてしまったために、ミルクさんの正体がうやむやのままになるという・・

どれか他に書いた話で、ミルクさんが天使だって書いたような気がするので・・わかる人はわかると思いますが。

あー、殆どの人がわからない気がしてきました!

ごめんなさい!



さて注意事項です。

この無人島生活は、かなーり非現実的で都合の良い展開をバシバシやっちゃっています。

マネしないでください。うまくいく確率は物凄く低いです。

そもそも、いかだで出発したらトイレは見られながらするんでしょうかね。そういうの好きならいいでしょうけど・・

トイレットペーパーないけど大丈夫?

みたいに結構色々なところをすっとばしました。


あと若い人は、干物や燻製の作り方を熟知していませんよね・・

いかだ作るとき、日よけとか考えます?突然漂流することになった一般人ですよ?

私が無人島に漂着したら、3日で虫のエサになりますよ・・あ、私は若い人じゃなかった・・



そして最後に。

前回書いた「悪魔の声」もそうですが、ターゲット層変えすぎですね・・

合わなかったらごめんなさい。


”無人島生活”は完結しました。


2018年5月28日(日)

書いた人:おぺ


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