第8話《Building blocks》
毎度感想ありがとうございます。いつも励みになっております!!
今回から主人公視点を主に進めて行きます。しばらくは日常編なのでバトル等を期待して下さった方、申し訳ありません......
それではお楽しみ下さい。
心地よい風が吹き、桜が満開に咲いていて、外を太陽が優しく明るく照らす季節、春がやって来た。
俺は散っていく花びらを桜の木の下で眺めながら昼寝をしている。こんなに素晴らしい気候の中、外で寝ないと言うのは人生を半分損していると思う。というか、この世界にも桜があるのには驚いた。まぁ前世の桜は図鑑でしか見てないが確かこんなものだった気がする。
実物はこんなに綺麗だとはな。今なら日本人が花見する理由がわかる気がする。
「さぁ今日は積み木をして遊びましょう!」
「「「はーい!」」」
園内で元気いっぱいに返事をする幼児たちそれぞれが、様々な感性を持って積み木で遊んでいる。
ここはストレア街にある幼稚園。
エルザとロジックが挑んだ魔神獣討伐から何事もなく3年が経ち、俺は4歳、リーエは推定6歳となった。そして俺は去年からここ、国有数の英才教育科の所で学んだり遊んだりしている。
今日も座学が終わり遊戯時間となっている、俺は遊びとかにはあまり興味がないから日陰でいつものんびりしている。
「シオンっ! しょうぶっ!」
「はぁ? またかよ!?」
だが、休みたい俺なんか知らんぷりで話しかけてくる奴がいる。
赤髪で幼いながら目がキリッとしてる女の子のオリヴィア、こいつが毎回俺に付きまとってくるんだよ...1度この幼稚園内でいい成績を取っているだけで他人に偉そうな口を聞いたりしていて、このままじゃ将来が危ういと思い、オリヴィアを泣かせるほど精神的に追い詰めて、更正させようと言う計画を実行。
計画は成功して、オリヴィアは他人を軽蔑したりしなくなったが、あの時俺に負けまくったのが気にくわないのか毎度毎度、遊戯時間になると勝負を仕掛けてくる。ここ半年間ずっとつきまとわれてる。
俺が嫌そうな顔をしてると突然リラの目が潤み始めた。
ちょっ...いくらお前と言えど女の子に泣かれると俺も弱いんで止めて?...ね?...ね?
「しおん...しょーぶぅ...ぐすっ」
「ああぁんもうっ! 仕方ねぇな! 今日は積み木勝負なんだろ! じゃあどっちが20個の積み木で難しい塔を作れるか勝負だ! それでいいな?」
「......うん!」
流石に泣かれると困るので勝負を受けることにする。満面の笑みで頷くリラは涙を猫の毛繕いのように可愛らしく袖で拭き、小さな足でトテトテと走って園内へ向かっていった。
オリヴィアは将来、美人さんになるだろうなぁ...。
俺はそう思いながら嫌々園内へ入る。
園長さんが俺とオリヴィアのやり取りを見てニヤニヤしている、見てる暇が有るなら俺を休ませる為に少しはオリヴィアを僕に近寄らせないように努力してくださいよ!
迷惑なんだよまったく......
〜〜〜〜〜
さぁ今回の勝負は積み木の積む精度が求められる勝負となる。
遊びにはあまり興味がないが勝負事だったら話は別だ、嫌々この話に乗ってやろうにも本気を出さないとプライドが許さない。
そしえ今度こそオリヴィアの心を折らせるためにっ!
「制限時間は5分! 準備はいい?」
「いつでも...いいっ!」
「よし...じゃあ行くぞ、よ〜いスタート──ッ!」
勝負開始だ、まず芸術的な積み木を作ろうにも土台が大事だから20個のうち5個は下に置く。
思い浮かべるのは前世にあったパルテノン神殿。
柱を斜めにして軽く中央に寄らせて高く見えさせるアレを積み木でやろう。
恐らく前世の世界の芸術的感性とこの世界の芸術的感性は似てるものだと思う。
俺は器用に斜めにして建ててパルテノン神殿擬きの積み木が出来上がった。
〜〜〜五分経過〜〜〜
「よし五分たったぞ! ふふふ...今回も僕がどうせ勝つんだ、さぁお前の積み木を────ッ」
──そこにあったのは絶妙のバランスを保っていてこれぞ芸術と言えんばかりの小さな塔があった。
それを作り出したオリヴィアは誇らしげに腕を組んでいる。
「ま...負けた...」
積み木の精度がまるで違いすぎる...。
悔しさで俺は膝から崩れ落ちた。
「ふふんっ! リラの勝ちね!」
こいつッ!今回初めて僕に勝ったからって調子に乗りやがって...
「ちッ──もう一回勝負だっ!」
いつも負けて大泣きして立ち去るオリビィアに上から目線で嘲笑され、僕の中で何かに火がついた。
ぜってぇに泣かせてやるっ!
〜〜〜〜〜〜
「ぜぇ...ぜぇ...」
「はぁ...はぁ...」
勝負は夕方近くまでまだ続いた。勝率は俺52勝オリヴィア52勝 そして引き分けが15とまだ続いており120回目の勝負をしようにも力尽きて2人とも大の字で寝ている。
今回のオリヴィアは前回と違って別人のように強い、何でここまで強くなったのかは知らないがこの4年間勝負事に関しては前世の記憶もあるので、負けることがあまりなかった僕に対してこの年齢で競るとは天才他ならない。
「なぁ、オリヴィア」
「ぜぇ...はぁ...な...なに?」
「お前は何で、こんな俺に関わろ『オリヴィアちゃん〜お迎えですよぉ〜』...タイミング悪ッ!」
「......?」
僕がオリヴィアに問いかけようとすると狙ったかのようにお迎えがやってくる。
オリヴィアは俺のツッコミに首を傾げながら帰りの支度をして親の元へと走っていく。
「あっ! シオン!」
「な...何だよ」
彼女が突然思い出したかのように踵を返してきた、どうせ、『今日は私の勝ち!』とか言うんだろう。
「来週もまた、遊ぼ!」
「──は? オリヴィア今なんて...」
「オリヴィア嫌い! リア!」
自分が予想していた言葉と全く違う事を言われたので直ぐには言葉を返せれなかった。
「う...うん、分かった......リア」
「やった! 絶対だよ!」
オリヴィア...リアが俺の返事を聞くと満面の笑みで走って帰っていった。
「また遊ぼ......か...」
今日は時間を忘れてリアに付き合ってしまっていたがそこまで嫌とは思えなかった、またこうやって全力で勝負しまくるのも悪くはないかな。
時計を見るともう18時だ、そろそろメラが僕を迎えにくる。
俺も帰りの支度をしないとな。
「いてっ!」
立ち上がり振り返ると裸足でブロックを踏んでしまった、何気に痛い。
踏んで足に軽く引っ付いたブロックを取り、前を向くとそこはゴミ屋敷に近いほど散らかっていた。
リアの奴! 片付けずに俺に押し付けやがった!?
「片付けてから帰ってけよぉおおお──ッ」
俺は園内に響くほど大声で叫んだ。
「「「「うるさい!!」」」」
ほかの園児全員に怒られた。何で俺が片付けないと行けないんだよ......
(あいつ絶対許さねぇ...)
皆に白い目で見られながら泣く泣く片付けた。
「──ん?」
突然背後に視線を感じたから振り返ってみると黒い人影が俺を見つめていた。
俺の視線に気付くと人影は慌てて奥の部屋へ去ってしまった。
「今の、誰なんだろ」
しばらく去った後を眺めているとメラが迎えに来た。
今日あった出来事を家族に話して俺は部屋で読書を始めていく。
積み木を片手で遊びながら、ね────
リアちゃん照れ屋で可愛いですね!ロリコンになっちゃいそう!
あ、自分もうロリコンでしたテヘペロ、あっやめてそこの君通報しないで!! 飴あげるから!
今回もお楽しみ頂けたでしょうか?少しでも面白いと感じてくださったら嬉しい限りです!
今週から本格的に作者がテスト週間になるので次回投稿は一週間後だと思います。
次回 第9話〈魔法と魔術とライロード家〉
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