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第6話〈出発〉

またまた新キャラ?登場です。


感想11件

レビュー2件

ブックマーク 62件

ポイント 200pt達成

アクセス数 5000越え

ユニークアクセス 2000人越え


本当にありがとうございます!これからもこの作品をよろしくお願いします。

 第6話


 ーーーーーーシオン視点ーーーーーー


 朝早くから出かけていた母エルザが夕方ごろに小さな少女を連れて帰ってきた。


 その娘は死んだ魚のような目をしておりずっと虚空を見上げていて、心ここに在らずって感じだ。


 エルザは家族みんなに話しがしたいという事で俺もロジックに連れられてリビングで会話を聞いていた。


 彼女、リーエと名付けられた娘はエルザがメイドを買いに奴隷屋に出向いた時に見つけ、家族として迎えて育てていくらしい。


 正直言ってまだあまり状況が掴めていない。


 リーエは俺よりも4〜5歳ほど上だろう。俺よりもはるかに背が高い。


 軽く今後の事を両親が話し終えた後、エルザはリーエを風呂へと連れていきロジックは冷や汗を浮かべながら「言うべき? 言わないべき?」とずっとぶつぶつ言っている。


 ロジックは10分後、何かを決心した顔で俺を部屋へと送ってくれた。


 その後、一階のリビングの方から怒鳴り声が聞こえた。


 めったに怒らないエルザが怒るってロジックは一体何をしたんだ...俺は一階が煩くて寝れなかったから先日盗ん...借りた【ウィネマジネの全て】を読み進める。エルザの説教が終わり静かになるまで本の世界に入り浸っておこう────


 〜〜〜〜〜〜


 新たな知識を得られ満足気に寝た、その翌朝。起きてみるとエルザとロジックが慌しく動いていた。


 俺は気になりドアを開け、廊下へ出てみるとそこには、ローブを着てハーティアを背中に担いでる女がいた。


「まま?」


 俺はパッと見誰かわからなかったのでとりあえずママ? と聞いてみる。


 彼女は俺の言葉に振り向くと綺麗な金髪がロープからチョロっと見えた。良かった、エルザだ。


「おはよう、シオン」


 エルザは目を細めて挨拶をしてくれる、目を細める行為は無表情のエルザなりの笑顔を作っている時だ。俺も滑舌がまだよろしくないなりに挨拶を返した。


 彼女は俺をリビングに連れていき軽くご飯を食べさせてくれた、そしてリビングには巻物のような物を広げてそこに魔法陣を書いているロジックを見つけた。


 俺が近づいて見ても気付いていない、ものすごい集中力だ。


 いつもならまだ寝ているロジックが朝っぱらから真剣に物を作ってるし、エルザはローブを着込んでる。今日は何かあるのだろうか...まるで2人とも遠出するみたいな...


 その予想は的中した。

 エルザに突然抱き上げられソファへ2人で腰掛けて膝枕されながら今後、ロジックとエルザは何処へ行き何をするのか。


 唐突すぎてまだ状況が飲み込めていない。


 そんな俺なんてつゆ知らず、母は荷物をまとめ、父は魔法陣を完成させてメラをそこに乗せた。


 ロジックはメラが魔法陣に乗ると両手を巻物の端に乗せた。


【守護聖獣よ 我の呼び声に応え その姿を変えさん 人間化アクティス


 そう詠唱を唱えるとメラが淡く光り出し、なんと...なんと...突然カッと部屋全体を光が多い俺はキュッと目を閉じた。


 眩しい光が消えた事を確認してうっすらと目を開けるとそこには裸の犬耳娘がいた。


 その犬耳娘は眠そうにトロンと落ちてる目で周囲を見渡して俺と目が合う、彼女も俺に気付くとニッコリと微笑んでくれた。


 か...可愛い...


 犬耳娘は最後にロジックに目を向けるとロジックはなんと白目ひん剥いて顔をゆでダコみたいに真っ赤にして倒れていたのだ。


「......?」


 犬耳娘は首を傾げながらしゃがんでロジックの頰を突いていた。


 〜〜〜〜〜〜


「シオンを撫でれる側になった...シオンを撫でれるのです...うふふ...」


 後々わかったがこの犬耳娘はあの守護聖獣のメアで人間化アクティスを行なって、親2人が居ない間の世話役をしてくれるらしい。


 俺は今メイド服を着たメアに膝枕されて撫でられまくってる、メアの尻尾が左右に振られ、毎回顔にペシペシ当たっていているが怒るほどでもないので黙っておこう。


 メイド服をリアルで初めて見たがこんなに良いものだとは...じゅるり...


 隣にはリーエが体操座りで俺をじっ〜と見てくる。


 やめろ!? 俺を見るな...ッ!

 虚空を見つめててくれよ!?


 リーエからの視線に何故か殺気が宿っている。

 冷や汗を流しながらメアにされるがままにしているとエルザとロジックがこちらへ着た。


「終わりましたわ」

「了解なのです、玄関までは見送りをさせていただきますなの。」


 ────出発の時間が来たようだ。


「じゃあ、行ってきますわ」

「行ってくる......っ!」


 2人はそう言って俺の頭とリーエの頭を撫でてくれた。なぜそんなに思い表情で俺を撫でてくるか分からない...王都に呼ばれるってことはそんなにヤバいものなのだろうか、無知ゆえ何もわからない。


 30秒程撫でると2人そろって扉を開けて行く。


 ────その時の姿が昔、事故に遭う直前、病室に見舞いに来てくれた両親との最期の別れに似ていた。


「ややぁ──ッ!」


 俺は必死に叫んだ、あの様な顔をする人達は死ぬ。だってうちの親が事故をする前の顔も、そして──────妹が死ぬ前の時もあんな顔をしていたんだから────


 俺は嫌ほどあの表情や空気を見て感じて来た。


 ──バタンッ


 扉が閉められた。


 その日、俺はメアに撫でられ抱きしめられながら一日中泣いた。


 何故か分からないが涙がポロポロと、ポロポロと止めど目もなく流れ出てた。


 リーエはというと泣き続けてる俺をずっと観察する様に見つめていた。


 シオンが泣き止むまで、ずっと──ずっと────


 〜〜〜〜〜〜


 ーーーーーーエルザ視点ーーーーーー


「ややぁ──ッ!」


 私達が出て行く瞬間に、あまり甘えて来なかったシオンが私達に手を差し伸べて嫌だ、行かないで。そう言ってくれた。



 本当ならその手を取って抱きしめてあげたい。


 でも私達は振り返る事は出来ない。


 今回の任務は私達、ⅩⅢ使徒アポストロ・レイですら負傷者、死亡者が出ないと言い切れないほどの相手だと聞いている。


 ので私達はこの任務で死ぬ前提で動かなければならない。もちろん死ぬ前提なだけで死ぬ為に行くわけではないが......


 私は決意を固め前へと歩き始める。ロジックはと言うと涙と鼻水をズルズル出しながら、でもしっかりと歩みを進めている。


「お待ちしておりました、エルザ様、

「待たせたわね、さぁ行きましょう」


 玄関を出て、庭園を抜けると魔術帽子をかぶったシワがある男2人が待っていた。


 彼らは国の転送屋テレポーター、光属性の魔術師が使う転送魔法を使って人を移動させたり、物を送らせたりそう言った商売をしている。


 ちなみに転送魔術はそう簡単に習得できる技ではない。光属性の魔術を全て習得し扱える様になってからやっとこの魔術が得られる。


 つまりこの人達はSランク相当の人達だ。


 私達はその人達の力を借りて、ロア帝国王都へと向かう。


 〜〜〜〜〜〜


 ロア王都城内に直接転送され、外の景色を見る暇もなく控え室へと連れて来られた。


 私達は部屋の奥に連れてかれ、シャワーや礼服に着替えさせられた後荷物を預けられて隣にある部屋で休もうとドアを開けるとそこには。


 美少女に間違われてもおかしくないほどの美貌を持っている美男子、目が細めで閉じている様にも見えるお爺さん、脳も筋肉でできているんじゃないと思うほどの巨体の持ち主、優雅に紅茶を飲んでいる赤毛の女性、黒髪で「ギブアンドテイクってやつだよ!」と意味がわからない言葉を羅列して話している女の子、それを困った様に聞いている桜色の髪をたなびかせている天使の様な娘、その他もろもろ私達を除いて11人の人達がそれぞれ暇を持て余していた。


 彼らは首や手の甲に、あの禍々しい太陽の紋章が刻まれている、使徒だ。


 私達が入ってきたのに最初に気付いたのは黒髪の少女だ、年齢は13ほどであろうか。本当に幼い。名前は確かハルカな気がする。


「あ! エルザ姉ちゃんじゃん! おひさ!」

「お...おひさ?」


「あ、おひさって言葉知らない? えっとね、お久しぶりって意味だよ?」


「何故他の人達は知らないの意味わかんない、みたいな顔をするな...ここにいる人達全員ハルカの言葉が通じていない事、いい加減分かりなさいな...」


「はぁ〜い」


 ちょっと説教じみた感じになってしまったな、やっぱり私も年だな...


 その後使徒の皆と軽く話し終えると、ドアをノックして騎士が1人入ってきた。


「準備が整いましたので応接間へ御同行願います。」


 私達はそれぞれ色んな事を考えながら応接間へ向かった。


 〜〜〜〜〜〜


 応接間は異常に広く、そして豪華な品が沢山並んでいる。


 その応接間の最奥、階段の先にあるとてつもなく大きな玉座に威厳あるオーラを放つ1人の小人族パルムンクが座っている。


 私達は彼の玉座近くまで寄り膝をつきこうべを垂れた。


 使徒でのリーダーは私だ、とりあえず王とは私が会話しよう。


「今日はよく来てくれた、使徒の諸君。歓迎するぞ、──面を上げろ。」


 小人族とは思えない凛とした声が応接間中に響いた。


「アレス王よ、本日はいかなる御用で私達を及びになさって?」

「ふむ...その件だが君たちにはなる魔物...いや...魔神獣を討伐していただきたい」


 獣神獣とは魔物や魔獣の王たる存在。例えるとロア帝国で言うⅩⅢ使徒アポストロ・レイの1人という感じだ。


 王は話を続ける。


「その魔神獣のランクはSSランクであり、身体能力は不明。名前は────デス・ヒュドラだ。」


 デス・ヒュドラ、その言葉を聞いた瞬間に私は頭の中にあるシーンが浮かんだ。


 ──昔、私達の仲間、家族を皆殺しにした存在を片腕を抑え、涙を堪えて睨みつけたあの日を......


 私は手に爪が食い込まんばかりの力で拳を握った。


「......出陣はいつ頃で?」


 私は怒りに勇まれながらも辛うじて、声だけは冷静にと心掛けて問いかけた。


「本当なら、明日出発の予定だが、予想よりもデス・ヒュドラの破壊活動が活発的でいち早く止めに行かねばならん。ので、出発はこの後すぐに頼む!! 城の正門で転送屋が待っておる!」


 ──ハッ!!


 私達は顔を下に下げ王の意に従った。

 私はデス・ヒュドラに仇を撃たせてくれる王に感謝を込めながらこうべを垂れた。


 その後、王は思い出したかの様にこういった。


「おっとすまぬが今ここで潜在能力ステータスを見させていただこう、最近世が物騒でな、魔道具やらで変装しているから否か判断せにゃならん」


 私達は全員右手の甲に魔力を注ぎステータスを浮き出させた。


 王はそれを軽く一瞥した後。戻ってよいと事で皆踵を返して控え室へ戻ろうとする。


「此度は死ぬかもしれない危険な討伐任務だ! そなたたちでも苦戦を強いられるであろう! だが私達は無事を祈っている。」


「これは私からのもう1つの命令だ!」


 王はそう言うともう一度大きく息を吸い込み。


「生きて帰って来い──ッ!!!」


 私達は背中でその言葉を聞きながら、ある人は笑い、冷や汗を流しながら応接間へ振り返らず進む。


 生きて帰って来い。その言葉を心の中で反芻しながら。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(⚠︎補足おまけ)


【使徒メンバーの潜在能力ステータス】※一部キャラのみ


 一応ロジックとエルザのステータスが大まかに決まりましたのでここに載せておきますね!


 0.一般男性(25歳)


 種族:人間族

 職業:--

 能力:--

 レベル:12

 攻撃力:50

 防御力:20

 魔術力:15

 魔力総量:30

 速さ:13


 Ⅰ.エルザ


 種族:人間族

 職業:賢者[上位職]

 能力:水属性[派生+氷魔術使用可]∥回復属性[派生+死者蘇生]

 レベル:82

 攻撃力:130

 防御力:890

 魔術力:1120

 魔力総量:6550

 速さ:525


 2.ロジック


 種族:人間族

 職業:真・召喚魔術師[上位職]

 能力:召喚属性・改[派生+龍族召喚可]

 レベル:79

 攻撃力:200

 防御力:600

 魔術力:200

 魔力総量:10000

 速さ:160


 いかに使徒たちのステータスが馬鹿げてるか分かりますよね!


 これからも他キャラのステータスが決まり次第補足としてここに載せさせていただきます。













































やっと魔神獣の名前を出せました...より道しすぎで本当に申し訳ありません。


次回からはメアとリーエと共に家に残された【シオン視点】と、任務中の【エルザ視点】をバランスよく載せていきます。


感想、レビュー、ブックマーク、評価。いずれか1つでもして頂けますと有難いです。


次回は土曜or日曜日に投稿します!!


次回 第7話〈魔神獣討伐編.4〉

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