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第4話《XIII使徒》

魔神獣討伐編と書いてあるのに一向に魔神獣が出現しなくてほんと申し訳ない......


もう少し舞台設定書かせてください....っ!!

  ーーーーーーエルザ視点ーーーーーー


「う〜〜ん......」


 高らかな日差しの下、沢山の小鳥たちが木の上で可愛らしく鳴いている。私ことエルザは1人、上空で、【箒の魔道具】に座って唸り続けている。


 メイドが欲しいとは言ったものの、いい案があまり見つからなくて苦戦している。


 メイドのように、子育てが出来、家事全般も可能な世話係を手に入れるやり方は2通りあると、ロジックから聞かせてもらった。


 私はあることが理由で、あまり王都周域や買い物に出かけずに、大体は家で家事をしたりしている。


 買い出しなどはいつもロジックに任せっきりだ。だから何処に買いに行けば良いのか、あまりわかっていない。


 手にいれ方の1つ目は王都に私の方から出向き、メイドが欲しいとお願いをして、メイドを1人貰うことだ、このやり方だと王都まで着ければ楽だが、デメリットの方が多い。


 私達、ライロード家は【ロア帝国王都周域】から少し離れた街、【ストレア街】に住んでいる。ので、幾ら私と言えど半日は移動にかかる。


 いつもなら別に半日かかるくらいならどうでもいいと思うが今回は、【ⅩⅢ使徒アポストロ・レイ】を集めろと依頼がある、私事で王からの依頼を疎かにするのは流石に気がひける。


 ──そしてもう1つ理由がある、それはこの、【箒の魔道具】が王都周域から発生される、魔法や魔術を使わせない為の妨害結界が張り巡らされているせいで、途中から【魔道具】を使って空を飛べなくなってしまうからだ。ので、短時間での移動、と言うのが出来ない。


 王都は魔術を使った反乱などを防止するために、王都には魔術妨害結界を使っている。




 ────この世界、【ウェネマジア】での魔法の種類は大きく分けて2つある。


 その2つとは、物を使って使用する【魔法】と、詠唱や術式を使う【魔術】だ。


 【ハーティア】や、この【箒】等は【魔道具】と総称されている。


 魔道具は、魔力がある人なら誰でも扱える、その魔道具の稼働に必要な魔力を送り込むだけ、ハーティアの使い方は少し複雑だが原理は変わらない、これも魔力を送り込むだけだ。


 何故、魔道具は、人が魔力を込めるだけで使用できるのかというと、魔道具の中に無数の魔法陣が記されている中心核コアに書かれているからである。


 コアとは、魔物や魔獣がドロップするアイテムの一つだ。魔物達のドロップアイテムはその負の感情で想われた物がコアとなるが時々負の感情に明確な殺意がない時がある、そのときに出来る魔力結晶と呼ばれるものを加工したものだ。


 魔力を送り込むことによってコアに書かれていた魔方陣が起動して魔法が発動する感じだ、魔道具は箒のほかにも日常生活で使えるようなものも沢山ある。


 ロア帝国は魔道具製造に一役買っている国、なにせ国最大の魔術国家だ。ロア帝国はそんな事もあって便利な魔道具が簡単に手に入る。


 ちなみに今私が乗っている、【箒の魔道具】は市販では売っておらず、私の自作だ。


 作成に約30年は費やしたが、まぁそれは別の話だ。


 ──魔術は、文字通り。術を使って魔法を編み出す方法だ。


 昔だと魔法を使うときは、紙などに魔法陣を一々書かないと行けなかったのだが、ロア帝国にいる魔術師たちの尽力により、声で魔方陣を作り出す【詠唱】で魔法を出せるという技を生み出した。


 そのおかげで今となっては、詠唱魔術は魔術師にとってとても身近な存在になった。


 大抵の魔術師は、魔方陣系統の魔術よりも、詠唱魔法を使う。


 まだまだ詠唱魔法については研究が進んでおらず、【召喚術】での詠唱短縮は出来るようになったが、魔法陣と詠唱をどちらも使うので、即効性がないこの魔法は人気がなく廃れてきている。


 召喚術の詠唱はとてつもなく長いってのも皆が使わない理由である。


 それでも、召喚術は他の魔法や魔術と違ってとても強力だ。


 ──まぁそんな感じで、ロア帝国王都まで行くのは最終手段としよう。


 2つ目の探し方が、【ストレア街】にある【冒険者ギルド】を頼ること、これに関しては見つかるかも危ういというデメリットがあるが、こちらから探さなくても良くなるので手間が省ける。


 こちらはこちらで、ⅩⅢ使徒アポストロ・レイの捜索に力を入れれるので一石二鳥でもある。


「よし、決めたわ」


 このまま悩んでいても仕方がないので、比較的デメリットが少ない【冒険者ギルド】に向かう事にしましょう。


 私は箒の魔道具に魔力を込めて、飛行を開始した。


 ーーーーーー


 冒険者ギルド 【マラドーナ】


 このギルド、マラドーナは少数人しか住んでいない小さな町、ストレア街に依然と構えていて、とてもとても目立つ外装をしている。


 マラドーナの部屋の中は、広間しかないがその広間が物凄く広い。


 外装は全て赤煉瓦で出来ており、王城の上部品を切り取って持ってきたのかと思うほど一室がデカい。


 部屋の外からでもワイワイガヤガヤ、冒険者達が酒を煽り、大暴れしているのだろう。


 こんなならず者の溜まり場に入るのは少し気が遅れるが、私も昔は冒険者の一端だったので慣れてはいる。


 私は心の中では躊躇いつつも、表面上では堂々してて、木でできた【マラドーナ】の玄関扉を堂々と押し開ける。


 マラドーナの広間内にドンッと、音が響き渡った、流石にここまで注目されるとは...強く開け過ぎたか...まあ良い。


 私は呑んだくれている冒険者達の宴会場を突っ切りながらギルドカウンターへ向かおうとすると、全員が道を開けてくれた。


 ある者は、私に怯えたり、敵意の目線を向けたり、羨望の眼差しで見つめてくる。


 私は、幻悪種の王【ベアリル】にトドメを刺したことからロア帝国では英雄と言われる存在になってしまっているので私の事を知らない人はまずいないであろう。


 そんな私がこんな小さな街の冒険者ギルドに顔を出して来たのだ。驚くのは当たり前だ。


 【マラドーナ】の外装は王城の上半分を切り取ったんじゃないかというほど派手なものだったが内装は、すべて木材で出来ており、とてもモダンな雰囲気を醸し出している。


 私がギルドに入った途端、あの喧騒が嘘みたいに静かになった。


 私のせいで楽しい時間を潰してしまったのなら申し訳ない。


「あ、私にはお構いなく、めっちゃ騒いでいてオーケーですよ」


 私は右手でグッジョブしてみんなを安心させるようにした。


 それを見た冒険者達が呆気にとられていたがしばらくすると私の言葉に甘えたのかわからないが、ワイワイガヤガヤしだした。


 うん、冒険者たちはこんな姿がお似合いだ...


「ど...どどどうも、はじめままましてててて、エルザ様、こここ今回はどのような、ごごごご要件で??」


「えっと...実はですね...」


 ガヤガヤとした喧騒の中、私はギルドカウンターにいる受付嬢に事情を軽く話た。


「なるほど...それでは────」

「あぁ〜それと...」

「はっはいぃ〜!」


 話す途中で割り込んで申し訳ないが1つ言いたい事があるので言わせていただく。


 あまり怖い顔をせずに優しい顔を心がけて────。


「少し緊張しすぎでは無いですか?もう少しリラックスした方が、お互い楽に話を進めれると思うのですが...。」


「ひぃ〜っ、ごめんなさい〜...」


 受付嬢は私の顔と言葉を聞いて、顔を真っ青にしてヘコヘコ謝ってくる。


 あれ?私笑いながら話しかけたはずなのに相手を怯えさせてしまった、何故だろうと私は頰に手を添えると────


 ──なんて言うことでしょう。


 頰が釣り上がってすら無く、なんだ、その...私の顔は真顔だったのだ。


 私は感情表現が苦手だが、ここまで酷いとは、思いもよらなかった。


 あまり人と関わりが無かったのが裏目に出た。


 あぁ...悲しくなってきた...


 ビビらせてしまったが、どう落ち着かせようか。謝ろうか?いや...真顔で謝っても逆にこの娘を怖がらせてしまうだろう、笑いながら冗談よ、と話しかけるか......って私笑えないんじゃない!?


 私がオロオロしていると、何かを企んでいると勘違いされて、受付嬢の目尻に涙が溜まってきた。


 『なになにぃ? お困りのご様子だねぇ? どったの〜?』


 ギルドカウンターのとなりにある二階までの階段から、可愛らしい声がした。


 そして1人の【長耳族エルフ】がこちらへ向かってくる。


 その【長耳族エルフ】は私よりも背が低くて、163センチほどだろう、ライトグリーンの短い髪をしていて、耳もとんがっている。


 体型は痩せ気味で、顔も小顔で美形だ。私よりもスタイルが良いんじゃないかって思う。


 ──私はこの人の名を知っている。


「リュックさん...っ!」


 受付嬢はうぅ〜っと涙を流しながらこの背の低めの美少女...ちがったな、美少年を見つめた。


 この人の名は、【リュック】、【長耳族エルフ】の長であり、【ⅩⅢ使徒アポストロ・レイ】でもある。


 そして彼はこの冒険者ギルド【マラドナーナ】のギルドマスターである。


 【人類種ヒューマン】の中にはそれぞれ、多種多様な種族がある。

 その中の1つがエルフだ。


 彼は小顔で華奢な身体をしているが、これでも80歳程である、中身はおっさん、精神年齢は子供、身体は【人間族ヒューマノイド】から見ると16歳前半くらいであろう。


 エルフというのは、私たち【人間族ヒューマノイド】と違って身体の成長が物凄く遅い。


 ヒューマノイドの寿命は130歳が限界だがエルフは300歳を軽く越えるとこができる。


 そしてリュックは私と同じ【ⅩⅢ使徒アポストロ・レイ】だから、幻悪種の因子を持っている。ので、もっと長寿になっているから、成長速度が物凄く遅い。


 私は良いところに来たリュックに耳を貸してもらい今の現場のことと、何故このギルドを訪れたのかを話した。


「はぁ...いい加減エルザは感情表現の仕方を覚えた方がいいよぉ〜ったく...ボクを見習って欲しいよ...」


「す...すまない」


 リュックがため息をつきながら、私を叱ってくる。


 176センチと背が高いエルザが子供のようなエルフのリュックに怒られているのに他の人たちからしたら違和感の塊でしかないだろうが私達にとっては戦争時はこれが日常茶飯事だ。


 そして何も言い返せない......自分自身も感情表現が苦手という事に軽く気付いている。よく仲間たちからも指摘を受けて直そうと心がけるが、何度やっても無理だったのだ...


「でも仕方ないね! ボクはエルザのそんなところが好きだしね! ちょっとボクに任せてよ!」


 リュックがニヒッとかわいい笑みを貼り付けて好きと言ってくれた、何が狙いかは分からないが、仲間からそう好きとか言ってくれると、ロジックに言われる好きとはまた違った喜びがある。


 ギルドに申請をするのを取り持ってくれるそうなので私はその言葉に甘えておく。


「頼みましたわ...」

「はいは〜い、頼まれましたよぉ〜」


 リュックは背を向けながら私に向かって手をヒラヒラしながらギルドカウンターに向かい、受付嬢と話を付けに行ってくれた。


 ーーーーーー


「はい!」

「...これは?」


 15分後、リュックが申請を終わらして帰って来て、この文字が書かれていて軽く魔力が込められている紙を渡された。


「これは契約書だよぉ〜、この契約書には魔力が込められていてここに書かれている依頼がこなされたりしたら淡く光って教えてくれる便利な魔道具なんだ! 無くさないでよ!」


 なるほど、これで依頼に連絡が入ったのか分かるのか、これは便利なものだ。


「すまない、感謝するわ」

「良いってことよぉ〜、それじゃ、ボクも仕事があるからおさらばするよ」


 リュックは踵を返し、ギルドの二階へに向かおうとしてふと足を止めた。


「あぁ〜そうそう、子育てするお手伝いさん欲しいなら貧民街にある奴隷を売ってる所に足を運んで見ると良いよ」


「わかったわ、何から何までありがとうね、リュック」


 良いことを聞きましたわ、あとでリュックの言う通りに貧民街へ出向きましょうか。


 ──あら?何かリュックに伝え忘れていることがあるような.........あっ!!!


 リュックに王からの招集依頼を伝えるのを忘れていたわ!?


「リュック! ちょっと待ちなさい!」


 私は冒険者の騒ぐ声に負けじと大声を出してリュックを呼んだ。


「何ぃ〜? ボクまだ仕事残ってるから早く戻りたいんだけど...」

「これを!」


 私はリュックに王都から貰ったあの手紙を投げて渡した。


 それを手に取り手紙の内容を読み進めていくうちにリュックの目が険しくなる。


 そしてニヤッと頰を釣り上げると。


「へぇ〜王都からの招集命令ねぇ...こっちの方もボクに任せてよ。ボクの方が顔が広いしすぐ集まると思う。エルザは自分の息子の事を気にかけてあげて、君はまだ1歳の子供の母なんだから」


 リュックにこの依頼は任せろと言われたが何かとお願いしにくい、さっきも任せっきりだったから気遅れしてしまうが、家族の事を話を出されたらお願いするしか無かろう。


「わかりました、そちらの方は頼みます。私は、魔道具等の武器製作や人員探し、貴方の言う通り、子育てにも専念させていただきますわ」


 リュックにはこの依頼が終わったら感謝の記しとして、飯を奢ってあげましょうか。


 リュックは私の言葉を聞くや否や早口で、


「ほいほい〜それじゃまったねぇ〜」


 と言い残して二階へ上がって行った。


 私は冒険者ギルドを出、リュックの助言通りにひとまず貧民街へ行こうと思う、でも、その前に息子が心配だ。


 ロジックが子守りをしているとはいえ、やっぱり自分の目で確認しないと安心できない。


「それでは、一旦家へ戻りますか」


 私はそう独り言を残し、箒の魔道具を使い、空を飛びたった。


 ーーーーーーシオン視点ーーーーーー


 ──さて、母エルザが出かけて行ってから約4時間は経ったのだろうかそろそろ日が沈みかけている。


 いま俺は父ロジックと一緒にダブルベッドで寝ている。


 俺と一緒に寝ようと言って、俺をエルザのロジックの寝室へ連れていかれて、ベッドに横になったが、赤ん坊の俺よりも先に寝てしまうとは...疲れがたまっていたのだろうか。


 溜まっていたのだろうな、目の下にクマがある。何が起こるのかは知らないが、最近は親2人ともとても忙しく動いている感じがする。


 あの無表情のエルザですら外へ出て行くのだ。あの感情表現が苦手そうな母親が外へ出て言った時は本当にビックリした。


 俺はロジックを起こさないように、そぉーとベットから降りようとする。

 俺はもう1歳になるから、ハイハイは出来るだろう。


 ベッドから降り、つかまり立ちをしながらドアを開ける。向かう先は隣の部屋の書籍部屋だ、最近、ロア帝国のおとぎ話に飽きてしまい他の知識が欲しくなった。


 ハイハイとつかまり立ちを交互にしながら俺は書籍部屋を押しあけようとした──


「シオン! どこに行った...の?」


 片方の目をこすりながら、もう片方の目をを開けているロジックと、パッチリと目があった。


 ──やべぇ、見つかった!?


 するとロジックがあわわわ口をワナワナさせている。


 怒られるのかなと思い、キュッと目を瞑ると、頭を思いっきり胸に押し当てられてぎゅっと抱きしめられた。


「シオンが...シオンが歩いてる......っ!!」


 俺がハイハイをしたりするのを見るのは今が始めてだろうから息子の成長に喜ぶのも仕方がなかろう。俺自身も初めてのハイハイだ、ハイハイが成功して俺の気分もハイ↑ハイ↑だ!?


「凄いよ...! 凄いよシオン...!」


 ──突然、ロジックが俺に頬ずりしてきた。


 やめろ!?

 ヒゲがジョリジョリする!?


 ──と言いたいところだが、いかんせんロジックは美肌だ、ツルツルすぎて羨ましい。


 日本にいる女性がロジックの肌を見たら泣きだすだろうな...


 俺はそんな事を考えながらロジックにされるがままになっていた。


 書籍部屋にはまた今度行こう......
























 
































 

次回 第5話《魔神獣討伐編.2》


誤字等のご指摘お待ちしております。

ブックマーク、感想、レビュー。いずれかひとつでも、していただけると嬉しいです。


次回の更新は今週末だと思います。

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