第13話《試験開始》
そろそろ大きく物語が動き始めると思います。
「タオルよし・・・筆記用具ある・・・」
「シオン〜〜、準備はできましたか〜?」
「出来ましたぁ! すぐ行きます!」
自分の持ち物確認を軽く行ってから一階の玄関にいるエルザの所へと向かう。
そこには箒の魔道具を手に持って外出用の服を着ているエルザ、そしてリーエ、ロジック、メアの2人が出迎えてくれている。
俺はさっさと靴を履いて玄関の外で魔道具の調整を行い始めたエルザの所へと向かい、その魔道具に彼女と共に跨る。
「それじゃあ行くわよ」
「はい! それじゃ、行ってきます!」
「うん、いってらっしゃい・・・ッ!」
「シオンちゃん頑張って!」
「無事に帰ってくることを願ってるなのです!」
ロジック、リーエ、メラの順に行ってらっしゃいの挨拶をもらうと、エルザは魔道具に魔力を徐々に通していき箒共々俺と彼女を浮遊させ、幼稚園に向かって飛び立った。
ほんの数秒で俺と彼女は雲の上に到達した。
見ろ! 人がゴミのようだ!
俺は雲を突っ切りながら進む箒を握り締めながらもその手や額は冷や汗タラタラになっている。
やべぇ、めっちゃ怖えぇ・・・
俺は下を見ないように必死に箒からエルザにしがみつき直すととエルザから声を掛けられた。
「今日からのお泊まり会、本当に何事もなく終わらせなさいよ」
「わかってますって、お母さん」
エルザはさっきから大丈夫か大丈夫かとうるさい、でも煩くなるのも仕方がないだろう。
今日行われる行事は、お泊まり会、幼稚園最後の〝卒業試験〟なのだから。
そしてちなみに俺はそのことを昨日まで忘れていました!!
フハハハハ────ッ・・・マジで大丈夫かな・・・
◆
「あぁ・・・怖かったぁ・・・」
命綱無しの楽しい楽しいフライトが終わって俺は安堵と共に最終試験を前に緊張感を覚えていた。
それにしても母上よ、速度飛ばし過ぎではありませんかね? 危うく首もげる所だったよ? 僕死んじゃう所だったよ?
「あ、おはようございます〜シオン君と使徒様!」
「おはようございます!」
校門で待っていた先生に挨拶を返す。エルザは先生と軽く話しをしてから『息子をお願いします』と俺を先生に引き渡す。
「シオン、頑張りなさいよ」
「はい・・・って速っ!」
エルザはそう言い残すと凄いスピードで青空へ消えて行く、なにあれ速すぎでしょ。
俺を乗せていた時と比べ物にならないほどの速さで立ち去るのを見て唖然としていると校門から赤い髪をした天才少女オリヴィアことリアと同じく天才クラスの頭脳を持っている男の子、シンが来た。
「シオン、おそい!」
「やぁ、シオン君おはよう」
リアは相変わらず腕を組んで人を下に見るような目で俺に声をかけるが慣れってのは怖いね、この仕草だって可愛く見えてしまうよ。
シンは、勉強時の席で隣同士だった子だ。あまり喋る機会がなかったがある日じっくり話すことが出来てその時に意気投合して仲良くなった。
「お、2人ともおはよう!」
俺もにこやかに挨拶を返す。
「あれ? シオンその目どうしたの?」
「あぁ・・・まぁ、色々あったんだ」
この目は魔力障害によって出来たとは声を大きくしていうものではないだろう、先生には魔術使用禁止と言われているのでこれがバレるのはヤバい。
その後俺と2人は軽く会話をしていく。
「それじゃあ3人とも試験会場へ行きますよ」
「はい!」
「うん!」
「ええ!」
屈託のない会話をしていると時間になったのか先生が俺たちを試験会場へと向かわせた。
「ほえ・・・机と椅子しかない」
幼稚園の裏側にある別棟に連れられた俺たちは机と椅子しかない場所に行かされて座らされた。
この部屋を眺めていると前世の隔離病棟を思い出す、ちょっと嫌な雰囲気が漂っている。
「それでは、お泊まり会。 英才学部 児童卒業最終試験を始めます!」
先生の声が教室いっぱいに響く。
「それでは試験用紙を配りますので配り終わったら定刻のチャイムがなるまで伏せておいて下さい。 チャイムが鳴ったら始めてください」
3人に試験用紙が配られる。
シンは目を閉じて落ち着かせている、一方リアは自信満々な顔で時計を見つめている。
俺はというと冷や汗がまだ止まらなくて焦っている。だって俺昨日まで試験のこと忘れてたからノー勉なのだ。
キーンコーンカーンコーン──ッ
「「「はじめ!!!」」」
チャイムと先生の合図がお泊まり会の始まりを告げる────
次回 第14話《お泊まり会.2》
やっとモチベ上がりましたんで更新速度早くなります。
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テスト前ノーベンでやらかすことってみんなあるよね?




