第10話《サンドイッチ》
今回はめちゃくちゃ短いです。
実はこの第10話、第9話の中に組み込むはずだったんですがあのエルザのスパルタ授業でシオンも私も力尽きてしまい先に投稿しちゃいましたテヘペロ♪
それではお楽しみ下さい。1500文字です。
──「正解、これでテストは終わりね、お疲れ様。もう戻っていいわよ」
「へい...ありがとうございました」
第43問、時間にして約2時間使ったテストがようやく終わった...俺は脳の使いすぎで倦怠感に襲われながらも、小さな足を引きずってエルザの部屋から出る。
これでやっとエルザのスパルタ授業からはオサラバだ。
ドアを開け、とぼとぼ何処へ行こうか迷っていると、大きな弁当箱を持っているリーエと出くわす。
「あ! シオンお疲れ!」
「うん...もう死にそう」
本当に疲れた。前世で過労死が話題になっていた、今なら亡くなった方々の気持ちが分からんでもない。
「うわぁ、本当に死にそうな顔してる。──ちょっと待ってて」
リーエが引きつった笑みを浮かべてる。俺の顔は今そんなに酷いのか、近くにあった鏡で顔を見てみると、あら不思議、そこにはやつれたお爺ちゃん(4歳)がいた。まるで妖怪じゃないか。
「はいっ!」
「──ッんぐっ...もぐもぐ...こっこれは!!」
リーエが手に持っていた弁当箱から何かを振り向きざまに俺の口に放り投げてきた。
俺は反射的にそれを噛んでみると、ふわっとしたパンとみずみずしいタレスの、かみごたえあるシャキシャキとした感触が襲ってくる、もう少し噛み進めて行くとふんわりとした、だが噛むとトロッと濃厚な味が吹き出てくるスクランブルエッグと薄くスライスされたローストビーフの肉汁が口の中に広がってきた。そしてもっと噛み締めて行くとパン、タレス、卵、肉の味が合わさって豊かなハーモニーを奏でている。
「どう? 私の作ったサンドイッチ!」
「ふぉふゃひゅいゆ!(美味すぎる)」
こんなうまいものをリーエは作れるのか、やっぱりうちの姉は凄い。
口の中のサンドイッチを食い終わると俺の腹の虫が咆哮を放った、廊下中に響く、めっっちゃ恥ずかしい。自然と顔が赤くなる。
リーエは俺の腹鳴りのデカさに大笑いした。
「はははっ凄い音! お腹減ってるなら、一緒に食べようよ!」
まじか、あのサンドイッチをまた食わせてくれるのか、なら一緒に食べるしか道はない。
「うん!」
俺が了承すると俺の手を引いて庭へと連れて向かった。
〜〜〜
庭にある大きな木の下で昼食を取る。
「ほら、あ〜ん」
「あ〜ん、もぐもぐ...うめぇ...」
俺はリーエに、あ〜んをしてもらいながら昼食を食べている、別に自分で食べれるのだがリーエがこう食べさせたいと頑なにするので仕方なく、あ〜んをしてもらっている。
リーエはしっかり者な性格なので他人に自分のワガママを言わないのだが俺と2人きりの時は頑固者でしかも甘えん坊だ。
今も肩と肩が当たるほど近いところでお互い座っている。
弁当を一頻り食べ終わると眠気が襲ってきた。
身体がまだ喋ったり走れるとはいえ、4歳の身体だ、18歳の時と違って眠気が襲ってくる頻度がまだ多い。
「眠くなってきたね...リーエ?」
「...す──...す──」
俺はまぶたが落ちるのを抑えるために瞼を擦りながらリーエに顔を向けると可愛らしい寝息を立てて気持ちよさそうに横になっていた。
さっきまで俺に飯を食べさせたりしてたのに気づいたら寝ちまってる、飛んだ気分屋だな、うちの姉は。
ロジックの授業まではまだ少し時間がある、それまで俺も横になるとしますか────
次回 第11話《魔法と魔術とライロード家.3》
次回はいつも通り、4000~6000文字になると思います。




