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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

レジ店員とそのお客さん

作者: 喬雅

最近よく来る客がいる。


この近くに引っ越してきたのかな。


まぁオレは接客するだけだし、特に関係ないか。




見つけてしまった、好きな人・・なのかな。


一目見たときからもうずっと心臓がバックバック言ってる。

ほら、ちょっと想像しただけで。


もうあの人のことしか考えてない。


ってわけじゃないけど、10回ボーっとしたら6回ぐらいあの人のこと考えてる。


もうこれ恋だよね?




────


あ、今日もまた来たあのひと。


綺麗な人だからついつい目で追っちゃう。


今日は何を買っていくんだろう。






今日は板チョコを買っていった。

かなりの確率でチョコを買っていくから、甘いもの好きなのかな。




今日はいた、レジのあのひと。


昨日おとといと居なかったから辞めちゃったのかとちょっと慌てちゃった・・・。


ってこれじゃストーカーかな、私って重いかな。




あのひとのレジ、なかなか空かないな・・。


あ、空いた。



────


ちょっと予定が立て込んでバイト入り時間に遅れた。

店長には連絡入れておいたから問題なかったけど。


さぁ今日もレジ打ちしますか。



あ、あのひと居たんだ。


ん?表情がパーっとした気がするけど、どうしたんだろ。

欲しかった商品でも見つけれたのかな?



レジのあのひとのシフト、結構把握できちゃってきた。

もうこれじゃぁ立派なストーカーだよ…


でも今日は居ない。


なんでだろう。



あー私って重いな…



────


何だろう、この気持ち。


あの人が来ると目で追っちゃう。

鼓動が早くなる。


お釣りを渡すときに手が触れるとドキっとなる。


これを恋っていうのかな?




いや、まさかね。




流石に自分で重い、ってわかったからちょっと自重しようかな。


具体的にはお店に行く頻度を抑える。


ちょっと気持ちを落ち着けよう。

このままじゃ私ホントにストーカーになっちゃいそう。



────


最近あのひとを見かけなくなった。


来てないってわけじゃないんだけど、頻度が落ちたっていうのかな?



それにちょっと寂しいと感じているオレがいる。



恋・・なわけないじゃん!



だって…あのひとはさ………





行く頻度を抑えたらかなり楽になった。

っていうのかな。


好きって気持ちは変わらないけど、ちゃんと理性が働くようになった。



この恋は叶わない、ってわかってる。


だからこれからもこうやって見るだけにしよう。


これはこれで気持ち悪いかな?


前よりかはましになったと思って納得しとこう。



────


「712円になります」


「825円でお願いします」


「これお釣りなしにできますが?」


何故そんなこと思って、なおかつ口にしたのか。

いつもだったら何も考えずに受け取って清算するところなのに。

まぁ、この不思議な行動のおかげで自分の気持ちにはっきりと白黒つけられたんだけど。



「えっと、あの・・これでお願いします」


「??」


うん、わかってる。

お釣り出来ないようになるのもわかってる。

でも、こうしたいの。

だって。

お釣り返してくれる時に手を握ってもらえるかもしれないから、ね?

このぐらいの幸せは、欲しいもの。

触れるだけでもいいけどね。



「113円のお釣りになります」




ギュって。


え?


「え?」


驚いて、あのひとの顔を見る。


「声、出てましたよ?」

って笑う。


「え、わ、わたし…、あの……」



周りを見回す。

珍しく、他の客はいない。



手を握った瞬間に悟った、気持ち。



グイッと握った手を引き寄せて、唇を重ねる。


これが、答え。



「もしよろしければ」


「お願いしますっ」


って食い気味に。

綺麗な人だけど、どこか可愛い。


そんな、この人が好きになった。



髪型とかあんまり気にしてなさそうで、どこかがさつで。

でも行動力はあって、可愛げもある。


そんな女の人を、好きになった。


────

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