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記憶
ずっと心にあった物語です。最後までかけますように。
それは暗いくらい闇だった。
暗くて深い闇。
寒くて狭い檻。
いつまでここにいればいいのだろう。
「醜い姿をさらすな」
「我々は優秀な一族だ。お前のような汚ならしい存在をあのお方が許すものか」
「私たちの頂点にいられるお方。汚れのない白き肌は美しさの証。近寄らないで」
「恐ろしい目をしている。邪気を放っているぞ」
生まれ落ちたときから幾度となく被せられた言葉の針。けどもうここ200年くらい言葉というものを聞いていないな。痛みも悲しみも忘れた頃。
君が現れた。
「あなたは何て美しいの」
初めて言われた肯定の欠片。
僕は君を探しに、君に会いに行く。