始動
飲食店で一休みして宿を探してると、
[かなりこの街広いわね~宿も色々あるみたいだし]
[そうだな・・・姉上、手持ちの小銭はどの位あるのだ?]
[えっと・・・これだけしかないわ]
どうやらかなり安い宿か野宿になりそうだ。
ってあれ?アルゼイアに来た時に比べて10分の1程まで減っていた。
俺は黒くて苦いが深みがあってなかなか美味しい飲み物1杯だけだった。
って事は・・・
[姉上・・・あの店でかなり使ったな・・・]
かるく睨んで威嚇しながら事情聴取開始。
[えぇ!?そ・・・そんなことないよ~ひゅ~ひゅ~]
出来ない口笛をしてるってことは間違いなくウソをついているな。
ってなわけで事情聴取終了。
姉上はウソをつくことが全く出来ないのでこの時の姉上の扱いも容易いことだ。
[姉上、もし宿が決まったら今夜は一緒に寝ないか(姉上が寝たらベットから出て一人で寝るがな)]
[シンちゃんゴメンナサイ!あそこのケーキ美味しかったから今日の宿代も含めてその分使っちゃった~てへ♪]
少し舌を出しながら誤った。
[なにしてんじゃバカ姉ー!てめぇこれじゃ今日野宿ほぼ決定じゃあねえかよ!]
[うわ~ん!シンちゃんゴメーン!大和じゃあんなケーキ食べれないし2か月も野宿だったし食べたかったのー!]
[うるせぇわ!雨風凌げる場所とケーキとどっちが大事かわかるだろ!]
すると姉上はお世辞にも大きいとは言えないささやかな胸を張りながら
[もちろん!ケーキ!]
姉上は無類の甘いもの好きだ。ケーキと言うのは分かりきっていが・・・
[はぁ・・・]
呆れてものが言えないな。
[シンちゃん!本当にゴメンー!]
半泣きだった。う~ん半泣きしてる姉上は本気で反省してるし・・・
[まぁ、新しい街にきて羽目を外しちゃうのは仕方ないし・・・今回だけにしてくれよこんな事は]
小銭はとりあえず何とかなるし今は姉上の慰めが先だ。
これ以上いじけると元に戻すのが面倒だ。
て言うよりかは自分が姉上に対して甘いのかもしれないな。
[姉上、小銭なら俺が何とかするから泣き止んでくれないか]
姉上は泣き止んでたが別の場所を見ていた。
[姉上?どうした?]
気になって姉上が見ていた方を向くと・・・
そこにはこの国の奴隷であろう1人の少女がいた。
リヤカーで大量の食べ物やおそらく牛乳が入っているであろう瓶が詰まれていた。
おまけにその少女の足には鉄でできた足枷が2つ付けられていた。見ただけでも相当な重さだ。リヤカーを引いていた銀髪の少女はやつれていた。
しかし・・・
[姉上より大きいな・・・]
姉上には悪いがつい思ってしまうのは仕方ない。
[うん?どうしたの?]
[いや、何でもない]
姉上、すまん。小銭が集まったらケーキを食べさせてやる。
[それよりもあの子をどうにかせねば]
[えぇ、じゃないと可哀そうよ]
銀髪の少女を助けるために10数年間使っている大和に伝わる5つの神剣、〈天羽々斬〉(アマノハバキリ)を抜刀しようとしたら1人の初老の男性が
[あんた達、命が惜しけりゃやめときな]
[・・・なぜだ?]
[あの足枷には外されたときに大音量の警報がなるんだ。そして、その音を聞きつけて警備隊がやってきて外した奴と外された奴隷が捕まってバスーラにされるぞ]
[・・・・・・・・・・ならばその警備隊を片っ端から切り捨てていくだけだ]
[お・・・おい!やめろ!そんなことしたらあの国王に殺されるぞ!]
銀髪の少女に向かって歩みよった。
[俺は知らねぇぞ・・・忠告したからなぁ!!!!]
うわあああああああああああああ!!!!
殺されるぞおおおおおおおおおお!!!
逃げろおおおおおおおおおおおお!!!
などと聞こえる。どうやら相当危険なことのようだ。
[シンちゃん、やるのね・・・]
[あぁ、そのためにこの国に来たのだし]
既に周りにいた人々は神代姉弟と足枷を付けた銀髪の少女の3人だけになっていた。
そして、銀髪の少女の元に近づいて行ったが最初に口を開いたのは少女からだった。
[すいません、・・・私・・・に・・・関わらないで下さい]
ギリギリ聞こえてくる声で話してきた。
どうやらさっきの男性との会話を聞いてきたようだ。
[俺は・・・この国の国王の首を討ち取るためにこのアルゼイアに来たのだ]
[え?・・・あの国王を?]
[あぁ、だから警備隊が何人来ても平気だ]
そう言うと天羽々斬を抜刀し彼女の足枷を切る準備をした。
[あ・・・あの、私・・・死にたくないです・・・]
彼女は泣き声でそう呟いたが・・・
[安心しろ、俺は・・・・・・俺たちは契約者〈コントラスト〉だ]
契約者〈コントラスト〉・・・その一言で彼女の顔から涙が消えた。
そう、契約者〈コントラスト〉はこの世界で別次元の強さを持つ者だ。理由は、契約者〈コントラスト〉だけが使える神装〈リゼア〉をした人の身体能力は神装〈リゼア〉をする前に比べて数百倍も膨れ上がるし、稀に空を飛ぶ力を持つ者もいる。
そう、契約者〈コントラスト〉は普通の警備隊などでは止めることができない。それどころか契約者〈コントラスト〉を相手にしたら何1000人相手にしても勝てないくらいの強さなのだ。
そのことは少女も知っていた。いや、知らない方がおかしいのだ。
少女は驚きの顔を隠せなかった。
もしかしたら自分は救われると思ったからだ。その時には既に彼女についていた足枷は綺麗に真っ二つになって
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!!!!!!
大音量で警報が鳴っていた。
[俺の名はシンジ・カミシロ、この国を変えに来たものだ]
その言葉は、これからのこの国の全てを変える一言であった。
これから物語が動いてきます。
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