国の法律
[あぁー!あの街だよねシンちゃん!]
[そうだな・・・うん、あの街で間違いないぞ]
[やったー!ようやく着いたー!]
俺の目の前に佇む黒髪長髪で巫女服を着た実姉は背伸びしながら
[うぅ~ん、大和からどの位かかったのかな~?]
[ざっと半年くらいであろう]
[各都市に寄ってもその位か~なんか早かったね♪]
[それじゃあお姉ちゃん先に行ってくるね!]
[うむ、それでは姉上、頼みます]
[うん!お姉ちゃん頑張ってくるね!]
わが姉上は先に街に繰り出していた。
まぁ、新しい街に来るといつも情報収集をいう名の単独行動をする。
いつものことなのでもい気にしてない・・・・・・っというのはウソだ。1つだけどうしようもない事があるのだがその事を考えていると・・・・・・
[はっはっは!相変わらずあの女子〈おなご〉はお主の事となると元気になるの~]
[そうだな・・・いつもみたいに迷わなければいいのだが・・・]
先ほど街に行った少女、神代悠奈〈かみしろゆうな〉は俺と2つ違いの実姉だ。
一度聞いた事や見たものは何があろうと忘れることはない。
・・・故に俺の恥ずかしい過去の事をいつまでも弄ってくるしおまけに重症のブラコンときたもんだ・・・それが悩みだ・・・
ちなみに俺は神代慎迩〈かみしろしんじ〉、俺も姉上と同じく和服を着ている。
自分の剣術と姉上の力で半年近く旅をしてきた。
[まぁあの女子〈おなご〉が持ってくる情報は確かなものだし良いではないか]
[だが姉上が道に迷って合流するのがいつも遅れるのだがな]
決して俺は1人で話しているのではない。俺は今、契約している神と話しているのだ。
だが、契約しても普通に話せるわけではない。
俺たちみたいに話せるのはごくごく稀なのだ。
だから街中で話してるとよく不気味がられてしまう・・・
[まぁそろそろ新しい街だ。我はしばらく黙っていよう]
[そうしてくれると非常に助かる]
そうして、俺たちはシルヴィア第三の街〈アルゼイア〉にたどり着いたのだった。
シルヴィア大帝国、かつての大戦で一番被害が大きかった場所を復興させるべく立ち上がったチームが何世代も時間をかけ作り出した国だ。
たしかシルヴィアを復興させたチーム名から取られてアルゼイアはそのチームメンバーから取られたらしい。
まぁ、ここから先はいつか姉上が教えてくれるだろう。
・・・いつ見つかるかだが。
アルゼイアの市街地を歩いていると、
[シンちゃ~ん!]
後方から姉上がやってきた・・・
[あっ・・・姉上!?本人ですか!?]
[ちょっ・・・シンちゃん!?それどういうこと!?]
[・・・自覚無いのか?]
[ゔっ・・・でも、でもそれは酷くない!?]
[いや、方向音痴なのにいつも突っ走る姉上が悪い]
姉上はどうしようもない方向音痴だ。
本や歌などは一瞬で覚えるがなぜか地図や道だけは覚えれない。
[うぅ・・・そこまで言わなくても~しくしく]
[ウソ泣きなよいから早く情報を教えてくれ]
姉上は顔を膨らませながら
[うぅ~シンちゃん最近お姉ちゃんの扱い雑になってない?]
[気のせいだ、それより姉上が得てきた情報を教えてくれないか?]
姉上は・・・
[ふ~んだ!お姉ちゃんの扱いが雑な弟には教えませ~ん]
うん、不機嫌だ。
こうなった時の対処法は一つだ
[姉上、今日の宿、一緒の部屋にせぬか?]
[うん!お姉ちゃんに任せて♪]
ちょろいな。
[よ~し、オシャレな飲食店があったからそこで話すね]
ってなわけで、姉上に連れられて飲食店えと向かった。
我々が和服ってのもあり周囲の目が気になるが店の角席に座り、姉上が口を開いた。
[やっぱりこの服は目立つね・・・あはは]
[気にするな]
[そうだね、もう慣れてるし]
色んな街を巡って来てたので慣れているのだ。
[それじゃまずはこの国の事からね]
姉上が教えてくれたことは衝撃的なことだった。
この国の王はまだ9歳の子供だということだ。そして、現国王である子供がこの国の市民の3分の2を奴隷にしたという。
しかもその奴隷制度には段階があり、まず、国の資源を1日20時間労働で食事などの自由があるが、牢獄で生活をしている人々を[エルス]。睡眠が3日に一度でその間の休息がほとんどない人々を[エニア]
そして、一番酷いのがこの国の地下で何かをされているという[バスーラ]の3種類があるという。
そして奴隷を一人でも開放すると重罪で[バスーラ]になってしまうらしい。
[ちなみに、近々この国で国王選定戦があるっていうからそれに参加して新しい国王になって奴隷制度を廃止したい人が物凄い多いのよ]
[なるほど・・・]
少し考えてると姉上が
[シンちゃん、出たいなら出ましょう。]
[えっ・・・姉上?]
[1チーム3人まででエントリーできるから一緒に出場しましょ♪]
[・・・・・・・・]
姉上は優しく微笑みながら
[シンちゃんの考えはお姉ちゃんにはぜ~んぶお見通しだよ]
[はぁ・・・姉上には適わないな]
考えてることが全部わかるのか・・・流石俺の姉上だ。
[ならば姉上、共に国王選定戦に参加してくれないか?]
姉上は満面の笑みを見せながら
[うん!お姉ちゃんに任せて!]
そうして〈アルゼイア〉の国王選定戦に出ることを誓い合った。
・・・・・・・が
[でも・・・・・・あと1人をどうやって探す?]
[あっ・・・・・・]
悩みの種が増えた瞬間でもあった。
今回はかなり長くなりましたが読み応えはあるかと・・・
次回は二人目のメインヒロインが出てきます