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finding of a nation online  作者: はちわれ猫
第十二章 探索開始……北の森の恐怖の館
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finding of a nation 88話

 「ほほっ、それではあなたに逸早くこの状況を理解して頂く為にもまずはその引き伸ばし拷問台による苦痛を味わって頂きましょうか。ちょっと手に掛けた手錠を変更せねばなりませんがね……」


 “ピッ……”


 「えっ……、今度は勝手に腕だけが動いて……い、いえ……。動いているのは手錠で手はそれに連れられているだけですわ……。服を着ているとはいえこんな脇が見えるまで引っ張り上げられて恥ずかしい……」


 拷問紳士が指を鳴らしてミーレインに向かってまじないのようなものを掛けるとミーレインの両手に掛けられていた手錠が段々その頭上に向かって動き出した。当然その手錠と共にミーレインの腕もバンザイをするようにつり上げられていき、ミーレイン体は大の字から今度はアルファベットの“X”を描く体勢に変えられてしまった。その身の全てを捧げるような格好に羞恥心を感じていたミーレインではあるが、とてもそんなことを気にしている場合ではないと頭の中で必死に言い聞かせていた。


 「こんな格好をさせて一体私をどうするつもりですの……。このような異性を辱めるような行為……、お父様様やこの館の者達がお許しになると思っているのですかっ!」

 「おおっ!、それなら心配ありませーん。これから行うのは辱めるなどと言うような生易しいものではありませんから。そんなことよりあなたの引っ張り上げられた手の手錠の先がどこに繋がっているか見てみてくださーい」

 「どこに繋がっているかですって……っ!。こ、これは……」


 拷問紳士に促されミーレインが自身の手とそれに繋がれた手錠のある頭上を見上げると、なんと手錠の形状が先程までの横になった台から直接輪の半分の部分がはみ出たものではなく、完全に台から離れ主に警官が使用しているような輪の先に鎖に付いたものに変形してしまっていた。そしてその両手の手錠の鎖の先が繋がっているのはもう一つの手錠の輪ではなく、台の上に平行に設置された左右に歯車の付いた鉄棒であった。どうやらその歯車と共に鉄棒が回ることにより手錠の鎖を巻き上げていく仕組みになっているようだが……。


 「わ、私の手錠の先に鎖が付いて何かの棒に繋がれている……。これは一体どういうことですの……」

 「ほほっ、それはこういうことでーす」


 “ピッ……カタッ……カタカタッ!”

 “ギギギッ……”


 「っ!。こ、これは……、手錠の鎖が回転する棒に巻き上げられて私の体も引っ張り上げていく……。でも……」

 「そう……、あなたの体は足首に手錠を掛けられていることで下半身が固定されている。ですがあなたの上半身は巻き上がる手錠と共に容赦なく引っ張り上げあなたの体を引き裂こうとするのでーす。これは身を引き裂かれる痛みを徐々に強く与えていくことで相手を拷問する“引き伸ばし拷問台”と言うものなのですよ……ふふっ」

 「そ、そんな……っ!。い、痛い……、このままでは本当に体が裂けてしまいますわっ!。早くその歯車を止めてぇーーーっ!」


 なんとミーレインが寝かされていた台は“引き伸ばし拷問台”と呼ばれる台に固定されて乗せられた者の体を上下に無理やり引っ張ることによって身を引き千切られる痛みを与える拷問器具であった。引き伸ばし拷問台にも様々な仕組みのものがあるが、今ミーレインが寝かされているのは相手の下半身を固定した状態で手に掛けられた手錠を巻き上げることで上半身を引っ張り上げる仕組みのものらしい。通常は巻き上げる鉄棒を回すのに人手がいるはずだが、これも拷問紳士の魔法の力なのか指を鳴らすだけで勝手に左右に歯車が回り出しそれと共に回転する鉄棒がミーレインに繋がれた手錠の鎖をゆっくりと巻き上げていった。当然それと共にミーレインの体は上下に引っ張られ、身を引き裂かれる痛みに耐えかねて悲鳴を上げていた……。


 “ギギギッ……”


 「いやぁぁぁぁぁーーっ!、痛いっ……痛いぃぃぃぃっ!。誰か助けてぇぇぇーーーっ!」

 「おっと……、このままでは本当に肩の骨が抜けて脱臼してしまいまーす。これはあくまで彼女に自分の置かれている状況をしっかりと理解して頂く為のもの……。意味のない苦痛を与えるのは拷問のエキスパートである私のすることではありませーん」

 

 “ピッ……カタッ……”


 「……っ!。は、歯車が止まった……。巻き上げられていた鎖もいつの間にか元に戻ってる……はぁ……はぁ……」

 「さて……これでご自身が置かれている状況を正しく理解できましたでしょうか……。では痛みから解放され安堵しているところ悪いですが本格的な拷問に移らせて頂きまーす。この後も診察……、いや拷問の予約が入っていて私も忙しい身ですのでね」

 「よ、予約……、まさか私以外の者にも今のような拷問を……。お父様とお母様は普通の診察以外何もなかったと仰っていたのに……」

 「それは他のこの館の者達を信用させる為でーす。自分達の当主とその奥方から勧められたとなれば誰も私の診断を受けることを断れないでしょう。まさに今私の元を訪れているあなたのようにね」

 「くっ……私達にこのような真似をして一体あなたの目的は何なんですの……。この由緒あるホーリースピリット家を狙う何者かがあなたにこのような行為を命じたのですか……」

 「それは拷問を進めていきながら追々話していくとしましょう。……取り敢えず今は天井の方を見ていて下さい」

 「天井……っ!、あ、あれは……っ!」


 “ピッ……ウィーン……”


 再び拷問紳士に促されてミーレインが今度は天井の方を見上げると、少し離れた位置に三日月形の巨大な刃物が吊るされているのが見えた。それはナギ達の捕えられてる広間にもあった巨大な刃が左右に揺れることでその刃の軌道上にいる者の体を真っ二つに分断するまさに振り子と呼ばれる拷問器具の一つであった。よくゲームなのではプレイヤーの行く手を阻むトラップとして設置しているが、拷問においては天井を見上げる形で寝かされた受刑者の胴体の真上に吊るし、刃を左右に揺らしながら徐々にその高度を下げていくことによって胴体を斬り裂かれる恐怖を煽る為に使用される。勿論そのまま高度を下げ続ければ本当に受刑者の胴体を斬り裂いてしまうことになるのだが……。そしてまたしても拷問紳士の呪いにより顔を引きつらせて天井を見上げているミーレインの胴体の真上へと移動してくるのであった。


 「あ、あの巨大な刃は一体何……。まさかあれを私に向かって落とすつもりですのっ!。あんなものを落とされたら体が真っ二つになるどころか内臓まで吹き飛んで確実に命を落としてしまいますわっ!」

 「それは違いマース。あれは拷問の受刑者に身を斬り裂かれる恐怖心を与えて自白を迫る為のものでーす。こんな風にね……」


 “ピッ……ガッ……ガガガガガガッ……”


 「なっ……や、刃が独りでに片側に振り上がって……」


 “バッ……ブゥゥーーーンッ!”


 「……っ!、こ、これは……」

  

 続いて拷問紳士が指を鳴らすと、吊るされた振り子の刃が“ガガガッ……”っと軋む音を鳴らしながらゆっくりと片側、大体斜め45度の位置の辺りまで振り上げられていった。そして振り子を動かしていたと思われる魔法の力が解かれると一気に反対側に向かって弧を描くように刃が振り下ろされ、凄まじい風切り音と共に天井に繋がれた柄の部分も含めた刃全体で巨大な扇型を描きながら激しく左右に揺れ始めた。それと同時に揺れる刃が左右の振り幅の頂点に達する度に吊るされた刃の高度が下がり始め、地上からその光景を見上げていたミーレインにはまるで天井の奥の暗闇から死神が自身の持つ鎌を何度も自分に向けて振りながら近づいて来ているように感じられた。


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「くっ……、何もしなければ私の体はあの巨大な刃に斬り裂かれてしまうというわけですか……。確かに身動きを封じられたままあの光景を見上げさせられるとは凄まじい恐怖を感じずにはいられません……」


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「ふふっ…、ではこの拷問の主旨を理解して頂いたところで先程のこのような行為をする私の目的とやらから話していきましょうか。先程も申しましたが私は拷問のエキスパート……、ですが決して誰かの依頼を受けて拷問を行うことはありませーん。私はあくまで自分の意志でこうして他者を拷問に掛けているのでーす」

 「な、なんですって……っ!。ではあなたは自分の楽しみの為だけに私や他の人々にこのような恐ろしい行為をしているというのですかっ!。先程自身の行う拷問を芸術だと仰っていましたが……、そんな下劣な目的の為に人々を苦しめる輩にエキスパートを名乗る資格などありませんっ!。あなたは只自分の欲求を抑え切らないサイコパスよっ!」

 「おおっ!、話は最後まで聞いてくださーい。確かに私は自身の行う拷問を芸術と称するに相応しいものだとは思ってはいますが、私が拷問を行う理由は他の拷問士と同じくあくまで対象から情報を引き出す為でーす。中には罪人に与える刑として拷問を行う者もいますが……、私は決してそのような偽善ぶった理念を掲げるつもりはありませーん。罪人に必要なのはに労働を課して社会に罪を償わせる為の貢献を少しでも多く行わせることでーす。彼らの心や体を痛めつけても決して更生することはなく、犠牲者の復讐心が収まることもありませーん。むしろ罪人の哀れな姿を見てより一層人に絶望し倫理観のない者やそれを培う術のない貧困者への憎しみを募らせることになるでしょう。そして最後は自分以外の者を一切信用せず完全に排他的な人間になってしまうのです……。無抵抗な人間を痛める拷問という行為程恐ろしいものはありませーん。場合によっては犯罪よりも人々の心を歪ませることになるのでーす。ですから拷問とは私のようなエキスパートにのみ許された至高の行いであるのでーすっ!」

 「くっ……、最後の至高という言葉は別として確かにそれは拷問士として素晴らしい理念かもしれません……。ですが依頼者もいないというのに何故ここまでして他者から情報を引き出す必要があるのです……。今のあなたの理念に反するかもしれませんが、普通拷問士とは国家やこの館の当主である私の父のように守るべき資産のある家柄の者に雇われて生活しているはず……。一体私から情報を引き出してあなたは何を得ると言うのです……」


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「くくくっ……。確かに私は拷問士としては誰からも雇われておらず、それらの行為によって報酬を受け取ったことは一度もありませーん。……ですが情報というものはそれを入手した経緯にに関わらずいつの時代にも価値がある物なのですよ」

 「……っ!、で、では……」

 「そう……私はこうして拷問で得た情報を各地で売り捌くことで生計を立てている所謂“情報商人”という奴なのですよ。私が拷問によって情報を仕入れていることを知っている者には“拷問商人”などと呼ばれたりもしていますがね……」

 

 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「ふざけないでっ!。金銭の為だけに他人を拷問に掛ける等最も醜悪で下劣な行いよっ!。先程の素晴らしいという言葉は今すぐ撤回させて頂きますっ!。あなたはサイコパスどころではなくこの世で最も愚かで下等な人間だわっ!」

 「おおっ!、これは手厳しいお言葉でーすっ!。お金の為に拷問をしているのは他の雇われたり依頼を受けたりしている連中も同じではあーりませんかぁっ!」

 「彼らは少なく共国家の秩序やその家の資産を守る為に働いています。例え残酷な行為を行う仕事であっても必要悪として報酬を受け取る権利は十分に有しているはずですっ!」

 「はぁ……、そのような国権力や裕福者の利権に媚びを売るような連中こそ愚かで下等……。“自らの生存の為だけにのみ活動を行う私こそ各国の者達に平等に情報を提供できる至高の存在だ”っと反論したいところですが……、恐らくあなたには何を言っても理解して頂けないでしょうし……、大分時間も食ってしまったことですからそろそろあなたの拷問の話の方に戻りましょうか」

 「くっ……」


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”

 

 「さて……、すでにお分かり頂いている通りあの振り子の刃は段々とあなたに向かって高度を下げていき、最終的にはあなたの胴体を真っ二つに斬り裂いてしまうことになりまーす。それを回避する方法は只一つ……、これから私の行う質問に正直に答えることでーす」

 

 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「何を馬鹿な……。あなたのような下劣な人間の質問に私が答えることなどありません。このような振り子の刃などに私が怯えるとでも思っているのですかっ!」

 「ふふっ、まぁ口ではなんとでも言えまーす。では迫りくる振り子を眺めながらあなたには私の質問に答えるか否かじっくり考えてもらいましょうか」


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「うっ……」


 拷問紳士との会話が終わりミーレインの意識は再び目の前でまるで悪魔の雄叫びような悍ましい風切り音と共に揺れる振り子の刃に集中せざるを得なくなった。拷問紳士の言う通りミーレインは口頭でこそ気丈な言葉を発していたが、その刃を見る表情は引き攣り全身をブルブルと震わせ怯えを隠せない様子だった。恐怖を振り払う為ミーレインは罵声を浴びせるような強い言葉を必死に拷問紳士に対して投げ掛けるのだったが、そのことを見抜いてか拷問紳士は決してミーレインの言葉に反応することはなかった。


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「本当にあなたって最低の人間だわ……。自分の利益の為に私や他の人をこんな恐ろしい目に合わせるなんて……。一体これまであなたの拷問に苦痛を感じ悲鳴を上げる人達をどんな目で見てきたのっ!。あなたのしてることがどれだけ残酷で非道なことか少しは自分の良心に問いかけてみたらどうなのよっ!」

 「………」

 

 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「あっ、こんなことサイコパスを越える異常な人間に言っても無駄か……。どうせ良心どこらか人としてのまともな心すら持ち合わせてないんだから。一体どうやったらこんな人間の皮を被った化け物が生まれてくるのしら」

 「………」

 「あら……、でもごめんなさい。よく見たら別に皮なんか被ってなかったわね。あなたのその気持ち悪い白目、それに臭そうな歯茎を剥き出しにした口とグシャグシャにひん曲がった顔の輪郭はどう見ても化け物そのものだったわ。もしかしてあなたを産んだ両親も元々人間じゃなかったんじゃない」

 「………」


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「それにもしこのまま私が何も答えずにあの振り子の刃に真っ二つにされたらどうするつもり。いくら人が好いお父様達でも娘が殺されたとあっては黙っちゃいないわよ。そしたらあんたなんかこんな拷問なんかよりもっと酷い地獄とも思えるような苦しみを味合わされて処刑され……」

 「………」

 

 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「もうぉっ!、さっきから黙ってないで何とか言いなさいよっ!。あんただって何も情報を引き出せないまま私が死んじゃったら困るんでしょっ!。だったから私の口を割らせる為に恫喝したり色々恐怖を煽るようなこと言ったり……、それにこれだけ罵声を浴びせられてるんだから無視ばかりしてないで私に何か言い返したらどうなのよっ!」

 「………」


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「ちょ……ちょっとぉ……。このままじゃあ本当に何も言う前に刃が私のところまで下りて来ちゃうわよ……。どうせこの程度の恐怖で私が口を割ることなんてないんだから一先ずあの刃を止めなさいよ……」

 「………」


 ミーレインは嫌味や中傷、自分が死んでしまった場合の指摘までありとあらゆる言葉を喉が枯れるまで懸命に投げ掛けたが、拷問紳士はそれらの言葉に何一つとして答えることはなかった。その気丈な態度が迫りくる振り子の恐怖を更に助長させ、ミーレインの発する言葉と態度を段々と弱弱しいものへと変えていった。そして振り子の刃はミーレインの胴体を真っ二つにする直前まで迫り……。


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「い、いやぁ……。だからこのままじゃあ本当に私の体が斬り裂かれちゃうって言ってるでしょ……。いいから早くあの振り子を止めてよ……」

 「………」


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「いやぁぁぁぁーーーーっ!、もう黙ってないで何とか言ってよっ!。あなたが何か言ってくれないと私どうすればいいか分からないじゃないっ!」

 「………」

 「……っ!。いやぁぁぁぁーーーっ!、嫌嫌嫌ぁーーーっ!。私まだこんなところで死にたくないぃーーーっ!。早くあの振り子を止めてぇぇぇぇーーーっ!」

 「………」


 とうとう恐怖に耐え切れなくなったのかミーレインは我を忘れたように取り乱し、拷問台に拘束された体を力の限り振るわせながら大声で喚き始めた。“ガチャガチャ”と激しく鳴り響く手錠の金属音がその必死さを物語っていたが、それでも拷問紳士の方からミーレインに声を掛けることはなかった。そして迫りくる振り子の恐怖と誰にも相手にされない孤独にさいなまれ続けたミーレインはついに……。


 “ブゥゥーーーンッ……ブゥゥゥーーンッ!”


 「いやぁぁぁぁーーーっ!、分かった……分かったわよぉっ!。あなたの質問になんでも答えるから早くあの振り子を止めてくださいぃぃーーっ!」

 「おおっ!、そうですかっ!。私ももしやあなたがこのまま真っ二つにされてしまうのかとヒヤヒヤしていたところでーすっ!。では……」


 “ピッ……”

 “ブゥゥーーーンッ……ピタッ!”


 ミーレインが観念の言葉を発するともに振り子の刃は片側の頂点まで振り上げられた位置でピタリと止まった。これでミーレインは振り子の恐怖から解放されたわけだが、恐怖に耐えかねて思わず拷問紳士への服従の言葉を発してしまったことにミーレインは更に耐えかねぬ程の悲哀と屈辱を感じ全ての気力を失い完全に脱力した様子で拷問台の上に横たわっていた。すでにミーレインにほとんどと言っていい程自身の意志は残されておらず、後は拷問紳士の為すがままに質問に答えさせられるしかなかった。


 「はぁ……はぁ……」

 「さて……では約束通りこれから私の行う質問に全て嘘偽りなく答えて頂きましょうか。先程あれ程哀れに泣き叫びながら命乞いをしておいて今更やっぱり答えないというのはなしですよ。ふふっ」

 「うぅ……」


 その後ミーレインはこのホーリースピリット家の家柄の他家や近隣国家との関係、館の構造、この館の全ての住民の情報、金銭の蓄えや宝物の隠し場所、自らの人間関係やその他の秘密まで自身の知るありとあらゆる情報を洗いざらい喋らされた。この拷問には他者を服従させる魔力も込められているようで、地下室から解放された後ミーレインは誰にも拷問紳士の秘密を暴露することができなったようだ。当然拷問紳士の危険性に気付けない……、気付いていたとしても抗うことのできない他の住民達は次々と拷問の餌食になっていった。勿論最終的には館の当主であるサニールも……。そして館の全員を拷問し服従の魔力に掛けた後、拷問紳士はこの館を占領する為に用済みになった自分達を拷問の行われていた地下室にて一人残らずギロチンに掛け処刑してしまったと言う……。ミーレインの霊の口から生々しく語られる衝撃的な事実にカイル達は唖然とし、同時にゲームのキャラクターとはいえこのような非道な行為を行った拷問紳士への怒りの感情を煮えたぎらせていた。しかし今まさにカイル達の同志にして友であるナギ達がその拷問紳士の魔の手に掛かろうとしていたのだが、果たしてカイル達はナギ達の元に辿り着きっくき敵である拷問紳士にその行いの報いを受けさせることができるのだろうか……。



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