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finding of a nation online  作者: はちわれ猫
第十二章 探索開始……北の森の恐怖の館
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finding of a nation 82話

 ナギ達が絵画の謎を解いてエリア内の見取り図を手に入れた頃、近くの部屋で休息を取っていたゲイルドリヴル達も改めて今後の方針を決め再び進軍を始めようとしていた。やはりこのダンジョンの霊であるベンの意見を参考にして方針を決めたようだが、果たして前に話ていたダンジョン攻略の為のアイテムの情報は聞き出すことができたのだろうか。


 「なる程……ではお前の言うアイテムはこのエリア内の食糧庫にあるということで間違いないんだな、ベン」

 「“はい……そのアイテム力ならばきっとこの館の負の魔力からご当主様の魂を救い出すことができるはず……。そしてそのアイテムを使いこなせるのは鷹狩様……、あなたをおいて他にいないということを忘れないでください”」

 「ああ……、必ず成功させるとの約束はできないがやるだけやってみよう。なんにせよまずはそのアイテムを手に入れなければならないわけだが……、それを手に入れるのにも一苦労するみたいだしな」

 「“すみません……”」

 「よし……っ!、ではそろそろ探索を再開するとするか。今後は一先ずベンの案内に従って食料を目指すこととする」

 「了解っ!」


 こうしてゲイルドリヴル達はベンの言うアイテムを入手する為食糧庫へと向かった。何やら鷹狩が重要な鍵を握っているようだが一体どのような効果を持ったアイテムなのだろうか。鷹狩と聞いて真っ先に思い浮かぶことといえばナギと同じく魔物使い系統の職に就いていることだが……。




 「……着いた。ここが見取り図にあった大広間ね。なんか目の前に大きい階段があって如何にも上でボスが待ち受けていそうって感じだけど……」


 ナギ達は見取り図に従って通路進み目的の大広間へと出て来ていた。ナミの言う通りナギ達が入って来た入り口から見て正面に向かって上がる広間の半分以上を占める程横幅のある階段、中腹まで上がると踊り場となっており、面した壁には踊り場が丸々入り込むほどの巨大な壁鏡が設置されていた。その踊り場から壁に沿った更に左右へと上がる階段があり、その階段を上がった先は広間の壁を一周して繋がったバルコニーとなっていた。バルコニーの四方にはそれぞれ他のフロアへと繋がる通路があり、今ナギ達がいる上の階にも同じく入り組んだ通路のエリアが広がっているようだった。今まで取ってきた狭い廊下の通路とは打って変わってゆとりのある空間にナギ達は解放感のようなものを感じていた。


 「どうやら見取り図によると上の階にも下と同じくらいの広さのエリアがあるようね。私達が来た通路を除けばここから分かれた通路は上4つ、下2つの合計5つ……。まぁ、どの通路も途中で繋がっているみたいだから実際は上と下のどっちから探索を始める科の選択になるわね」

 「そうね、リア。……でも私はなんだかこの大広間にも何か仕掛けが隠されていそうな気がするんだけどなぁ〜。ほら、正面を階段を上がったところだけじゃなくて私達が通って来た通路の入り口の上にも大きな鏡が設置されてるでしょ。これって二つが合わせ鏡になってるってことよね」

 「本当だ……。でもよく気が付いたね、ナミちゃん。これはまだシスちゃんの言ってた初心者の直感っていうのが働いてるのかなぁ〜」

 「もうぉ〜、何言ってんのよ、レミィ。こんなの前の鏡を見れば誰だって分かることじゃない。ねぇ、ナギや他の皆だってもう気が付いてたでしょ」

 「う、うん……。僕も目の前の鏡の中の景色が変だったから僕も後ろを見上げてすぐ……。やっぱりナミの言う通り何かまた仕掛けがあ……っ!」


 “ブゥー……ブゥー……っ!”


 「な、なんだぁっ!。急に僕のアイテム袋の中から振動が……。これは端末パネルから何か情報が更新されたみたいだ」


 ナミに同意を求めれたナギだったが、その瞬間ナギのアイテム袋の中から振動音が聞こえて来た。どうやら端末パネルにナギに知らせるべき情報が更新されたようだ。


 「えーっと……何々……」


 “あなたの所持しているアイテムに内容が変更された物があります。詳細ページを見て確認を行ってください”


 「内容の変更されたアイテム?。でも勝手に内容が変化することなんてあるのかなぁ。一体どのアイテムが……っ!。こ、これは……、デビにゃんがセイナさんに鑑定して貰ったの卵じゃないかぁっ!」

 「にゃぁっ!」

 「えっ……それじゃあもしかして……」

 「うんっ!、デビにゃんのがくれたリトル・ホワイト・ドラゴンの卵がもうすぐ孵りそうだってっ!。正確な時間は分からないけど多分今日中にはって書いてあるよっ!」

 「にゃぁぁぁーーーっ!、やったにゃぁぁぁぁっ!。ついに僕にも一緒にナギを守る仲間ができるんだにゃぁぁぁぁっ!。これは今からそのリトル・ホワイト・ドラゴンとの連携を考えとかないとにゃ……。やっぱりドラゴンって言うんだから僕がその背中に乗って……」

 「何々っ!。卵が孵りそうって……、もしかしてナギ君に新しい仲間モンスターが生まれるってことぉっ!。それはおめでたいことだねっ!。でもいつの間にモンスターの卵なんて手に入れてたの?」

 「それが元々デビにゃんが持っていた卵で、確かヴァルハラ国が建国してすぐ渡して貰ったんだったけな。最初は何のアイテムか分からなかったんだけどセイナさんに鑑定して貰って、その後でリアに図鑑で調べて貰ってリトル・ホワイト・ドラゴンの卵だってことが分かったんだ、レミィさん」

 「へぇ〜、そんなことがあったんだぁ〜。つくづくナギ君ってこのゲームの神様に愛されてるんだね。デビにゃんっていう超可愛らしいモンスターを仲間にできてるし、リアちゃんやマイちゃんって超強いNPCさん達とも仲良くなってるし。確か猫魔族をヴァルハラ国に迎え入れることができたのもナギ君がデビにゃんを仲間にできたおかげなんだったっけ」

 「う、うん……まぁ……。(確かにこのゲームを始めてから色々と上手く行き過ぎてる気はするんだけど……、やっぱりデビにゃんの僕達人類を応援する意志のおかげってことなのかなぁ……)」

 「でも折角ならこのダンジョンに入る前に孵化してくれてれば良かったのに……。そしたら私達も逸早くナギの新しい仲間モンスターが活躍する場面が見られたのになぁ〜」

 「でも今日中に孵りそうって書いてるからもしかしたらこのダンジョンの攻略が終わる前に皆の前に姿を現してくれるかもしれないよ、ナミ。僕も今の内に名前を考えておかないと……」


 ナギの端末パネルに更新された情報とはナギがヴァルハラ国建国時にデビにゃんから受け取ったリトル・ホワイト・ドラゴンの卵のものであった。どうやらゲーム内の時間で今日中にも孵化するということらしい。ナギとデビにゃんは勿論、ナミやレミィ、他のメンバー達も共に喜びを分かち合ってくれていたのだが、そのあまりに浮かれ過ぎた態度を懸念してかバジニールが忠告の言葉を発して来た。


 「ちょっと……、仲間モンスターが生まれるだかなんだか知らないけどさっきから浮かれ過ぎよ、あんた達。モンスターが生まれる前どころか今日中、っというかこのダンジョンを攻略すること自体達成できる保証はないんだからね。見取り図を手に入れたとはいえ探索しないといけないエリアの広さが分かって逆に私は焦ってるぐらいなんだから少しは気を引き締めてもらわないと困るわ」

 「はいはい。昨日から気が抜けたところをあんたに注意されてばっかりね、私達。いつもはそういう時はリアの厳しい言葉で私達も気を引き締め直してたんだけど……、あんたの方がそのポジションが板についてきたんじゃなーい」

 「な、なんですって……」

 「そうね、ナミ。私もあなた達の浮かれ気分を代わりに戒めてくれる人がいて楽だわ。リーダーのレミィもどっちかって言うとあなた達の雰囲気に流されちゃうみたいだからね」

 「め、面目ない……」

 「ぐっ……私だって何も好きでこんなポジションを引き受けているわけじゃないわよ。只常に緊張感を持ってゲームに臨まいと不測の事態が起こった時に対処が遅……」

 「ふふっ、その禿げの人の言う通りよ。あなた達は今敵の陣中の真っ直中にいるってことをもう少し意識した方がいいわ」

 「……っ!、な、何……っ!。い、今の声はどこから……っ!」


 “バッ……グオォォォォッ!”


 「……っ!、いきなりモンスターが現れて周りを囲まれたっ!。どうやら早速バジニールの言った不測の事態とやらが起こったみたいよ、ナミ」


 バジニールから忠告を受けてから束の間もせず、急に見知らぬ女性の声が広間中に響き渡ったと思うとナギ達の入って来た通路の入り口を囲うように、そしてナギ達の背後、通路の奥にも大量のモンスターが出現しナギ達の周囲を取り囲んだ。現れたモンスターはマッド・ゾンビやグラッジ・シャドウ、このダンジョンに出現する通常のモンスター達がアンデット、ゴースト系、その他の種族問わずに出現したようだ。リアの叫んでいた通りナギ達にとって完全に不測の事態が巻き起こってしまったのであった。



 「にゃぁぁぁぁぁっ!、こんなに沢山今までどこに隠れてたんだにゃぁぁぁぁっ!。いくら影の薄いモンスターばかりだからってこの見渡しのいい広間で存在に気付かないはずにゃにゃぁっ!」

 「こいつらは恐らくあいつのリスポーン・ホストの能力によって出現したものよ、デビにゃん。ほら、私達の正面のバルコニーの上、こっちを見下すように眺めてる貴族みたいな格好した女がいるでしょ。さっきの薄気味悪い声も多分あいつのものだわ」

 「にゃぁ……っ!」


 リアに言われデビにゃんが目を向けるとナギ達の正面、階段を上った先の鏡の上のバルコニーに先程の声の主と思われる西洋の貴族服、濃い紺色で少し暗いイメージを受けたが高貴なものと思われる衣装に身を包んだ女性の姿があった。ナギ達に向けられる視線からは強い殺気をマジマジと発していたが、やはり彼女も悪霊となったこの館の住民だった者なのだろうか。


 「ちっ……、薄気味悪いとは人聞きが悪いわね。私はこれでもこの館の長女なのよ。兄弟姉妹の中で一番上だからつまりはこの館で3番目に偉い存在ってわけ。家にはもう祖父も祖母もいないからね」

 「ちょ、長女……。それじゃあ君はこの館の住民だってこと……。こんなゾンビや幽霊ばかりの館に人が住んでたなんて……」

 「いえ……ナギ、この禍々しい殺気は最早人のものではないわ。恐らくもう完全なモンスター……、それもゴースト系の悪霊と化してしまっている……。そうでしょ、この館の長女とやらの幽霊さん」

 「ゆ、幽霊……、それじゃあもう実際のあの女の人は死んじゃってるってことぉっ!、リアっ!」

 

 低く木霊するように広間に響き渡った声と共に現れた女性は自らをこの館の長女だと称した。これ程の館を所有する親族であるとすれば高貴な服に身を包んでいることにも納得できる。肌の色のこそ青白く不気味であったが、少しパーマが掛かっていたが美しく床に届く寸前まで伸びた金色の髪、目の下に隈のようなものが出来ていたが綺麗なラインを描いてつり上がった目付きと水のように透き通った灰色の瞳がその女性の霊の生前の高貴さを物語っていた。ナギ達はまだこの女性が惨殺されたこの館の住民が悪霊となったものだとは知らなかったはずだが、NPCであるリアは女性から発せられる殺気や雰囲気からそのことを悟ったようであった。


 「ふっ……、まさか殺気を感じただけで私が悪霊であると気付くとは……。流石は私と同じNPC……、それも固有NPC兵士となる程の存在ではあるわね」

 「別に人とそうでないものの違いくらいNPCじゃなくてもゲームになれればすぐに見極められるようになるわ。ナギ達がこのゲームでゴースト系のモンスターと出会うのはこの館のダンジョンで初めてのことだしね。……それよりこの館の住民であったが悪霊となり、その上私達にそれだけの敵意を放っている理由を聞かせて貰えないかしら」

 「……っ!。くくくっ……、多少頭の働くNPCだとは思ったけど随分と下らない質問をするのね。そんなのどっちも理由も決まってるじゃない。私達が生前味わった苦痛と恐怖をあなた達にも味合わせてあげたいだけよ……こんな感じにねぇっ!」


 “ヴアァァァァーーーっ!”


 「きゃっ!、ちょ、ちょっと何よこの声……。まるで部屋全体が振動してるみたいに響き渡ってくるじゃない……」

 「恐らくアイアンメイル・バッファローのショック・スタンプと同じ振動に巻き込んだ相手の動きを制限する技よ。効果の程は全然及ばない程度のようだけど……。多分宣戦布告の合図でもしたつもりなんじゃないかしら。これに乗じて周りに沸いた雑魚共も仕掛けてくる……、皆この程度の束縛さっさと振り払ってこいつらを迎え撃つわよっ!」

 「OKっ!、リアちゃんっ!。それじゃあこのまま狭い通路の方に追い込まれたら戦い辛いだろうからまずはモンスターの囲いを突破して中央に移動するわよっ!。アクスマン君っ!、シスちゃんっ!」

 「おうっ!」

 「了解っ!」


 リアとの会話の最中突如として女性が甲高い叫び声を上げると広間中に鉄と鉄が擦れるような奇怪な音が響き渡りその音振に包み込まれてしまった。どうやら長女の霊がグラッジ・クライングという自身の怨念の叫びによって範囲内の対象の動きを止める技を放ったらしい。リアはアイアンメイル・バッファローのショック・スタンプを例に出していたが、振動というよりは声に込められた怨念への恐怖によって動きが止まってしまうようだ。だがどちらにせよ今のナギ達にとっては振り解くに造作もない程度のものだったようで、ナギ達はリアの叱咤激励の後続けて出されたレミィの指示に従って迎撃を開始した。


 「まずは俺からだっ!。アックスゥ〜……ブーメランッ!」


 “ブゥゥゥゥーーーンッ……ズババババッ!”

 “グオォォォォッ……”


 「ちっ……ゾンビ共はやれてもやはり幽霊共に俺の攻撃は通じないか……、シッスっ!」

 「任せてっ!。はあぁぁぁぁっ!、……気功弾っ!」


 “バァンッ!、……バンバァンッ!”

 “グオォォォォッ……”


 「よしっ!、それじゃあ皆今の内に中央に移動して陣形を整えてっ!。一先ず固まって迎撃に専念してその内に打開策を考えましょうっ!」


 まずは敵の囲いを突破する為アクスマンとシッスが攻撃を仕掛けた。アクスマンが放ったアックス・ブーメランは斧を前方に向かって弧を描くように投げ放ちゾンビや骸骨の姿をしたアンデットと思われるモンスターを薙ぎ払った。例の如くゴースト系の相手には全く効いていなかったようだが、その後シッスが気功弾、自らの闘気をエネルギー弾に変えて手の平から放ちゴースト系のモンスター達も撃ち倒した。どうやら気を使って放つ技の為か馬子の祈祷弾と同じく物理攻撃でありながらゴースト系の相手にも有効だったようだ。アクスマン達の攻撃で敵の囲いが崩れた隙にナギ達は広間の中央へと移動した。


 “グオォォォォッ!”


 「くっ……、中央に移動したはいいけどまたすぐに回りを囲まれちゃったわ。どうせあいつを倒さない限りこいつらは無限に沸き続けるんだからもう無視して突っ込んじゃった方がいいんじゃないの、レミィっ!」

 「焦っちゃ駄目、ナミちゃんっ!。幽霊ってことはあいつは私達人と同じぐらいの知性を持ってるはずだよ。普通に会話も出来てたし一体どんな罠が待ち受けているか分からない……、ここは慎重に相手の出方を窺った方がいいわ」

 「だ、だけど……」


 “グオォォォォッ!”


 「……はあっ!」


 “ズバッ!”

 “グオォ……”


 「レミィの言う通りよ、ナミ。幸いこいつらのリスポーンの間隔はそれ程早くはない。このまま迎撃に徹していれば自然と数が減る瞬間が出てくるはずよ。こちらから打って出るのはその頃合いを見計らってからでも遅くはないわ」

 「わ、分かったわ……。まずはこいつらを一通り蹴散らせばいいってわけね。ゴースト系のモンスターも混じってることだしリアにセンスがないって言われたけどここは私の魔法で……」

 

 “グオォォォォッ!”


 「我が魔力より生まれし炎よ……、私の闘志と同じその熱き力で我が敵を焼き払えっ!。……フレイム・ストライクっ!」

 

 “バアァァァァァァンッ!”

 “グッ……グオォォォォッ……”


 レミィとリアから戒めを受けたナミは一先ず襲い来るモンスターを殲滅すべくフレイム・ストライクという火属性の魔法を放った。フレイム・ストライクは前方広範囲に向けて強烈な炎を放ち、炎による熱気で敵の体を焼き焦がし更には凄まじい勢いで放たれたことにより発生する衝撃で敵を撃ち払う魔法である。この魔法はまるで水のように重たい質量を持った炎の塊をぶつけられたように感じながらその身を吹き飛ばされてしまうことだろう。自身の所持属性である火属性の魔法を多用してるナミと同じく、今は魔術師の職に就いているナギも猫魔族の長老から貰ったネコノテ杖を右手に持ち自身の所持属性である土属性魔法を用い襲い来る敵を撃退、他の者達もゴースト系とそうでない敵、それぞれ職の特性に応じて攻撃対象を分担し効率よく敵を殲滅していた。


 「……ストーン・ブラストっ!」


 “バァンッ!、……バンバァンッ!”

 “グオォォォォッ……”


 「ふぅ……、僕も割と魔法を使うのが慣れてきたぞ。長老から貰ったネコノテ杖の使い心地もいいし、弱い敵が相手なら魔法を主軸に戦っても大丈夫そうだね。ねぇ、デビにゃんもそう思……」

 「にゃぁぁぁぁぁっ!、デビルキャット必殺っ!、デビル・アックス・クラッシャーにゃぁぁぁぁっ!」


 “ズバァーーーーンッ!”

 “グオォォォォッ……”


 「……次はゴースト系のモンスターが相手だにゃ。ならば……、はあぁぁぁぁっ……ライトニングっ!、にゃっ!」


 “バリバリバリィッ!”

 “グオォォォォッ……”


 「す、凄い……。なんかいつも以上に気合が入ってるみたいだ……、デビにゃん。もしかしてさっきの卵が孵りそうって話を聞いたからなのかな」


 ナギの仲間モンスターであるデビにゃんも他の者達に負けない勢いで敵モンスターを撃滅していた。まずはデビル・アックス・クラッシャーと叫びながら悪魔の力を借りたかのように凄まじい勢いで斧を振り下ろして敵を両断し、更にゴースト系のモンスターに対してはデビルキャットの種族として修得したライトニングの魔法で対応していた。どうやら自身に仲間モンスターとしての仲間が誕生すると聞いて意気が上がっているらしい。因みにデビル・アックス・クラッシャーというのは狂戦士の職に就いた者が使用できるアックス・クラッシャーの上位互換と言える技であるが、これもデビルキャットとしての特性のおかげがデビにゃんは戦斧士の状態でもアックス・クラッシャーを修得してさえいれば放つことができるようだ。


 「よしっ!、大分敵の数が減って来たよ。これならもうそろそろ上の階に移動を始めても大丈夫かな……」

 「ちっ……、奴等警戒して中々こちらに向かってこない……。このままでは私のリスポーン・ホストのモンスター共の復活の間に合わなくなってしまう……。ならば仕方無い……少々予定と違うが出て来なさいっ!、あなた達っ!」

 「はっ!、ローレイン様っ!」

 「こいつらの処刑は我々にお任せくださいっ!」


 “バッ……”


 「な、なに……っ!、また上の階に気味悪い女が二人出て来たわよっ!。最初に現れた奴と違ってメイドの格好をしてるけどあれもこの館に棲む悪霊モンスターなのかしら……」


 周囲を囲うモンスター達の数が減り、レミィは皆に上の階への進軍の指示を出そうとしたのだが、その様子を見た長女の霊が何かに合図を送ると長女のいる左右のバルコニーにもメイドの格好をした二人の女性が姿を現した。正面から長女を見て右側のバルコニーに現れた女性は緑色のボブショートで少し活発な雰囲気、左側に現れた女性はスラッと伸びた黒髪のロングヘアーで真面目で几帳面という感じだった。だが二人共肌の色が青白く変色しているのは長女の霊と同じで、ナミの言う通り悪霊と化したモンスターと見て間違いないようだった。


 「この二人は生前この私の専属のメイドだったキャスティーとニールよ。そして今キャスティーが呼んでいたように生前の私の名はローレイン・ホーリースピリット……、この森の神霊を司ると言われる崇高なホーリースピリット家の長女だった……。今はすっかりダークスピリットへと堕ちてしまったけどねぇっ!」

 「くっ……、やっぱりあいつらもこの館の悪霊……。ってことはつまり……」


 “グオォォォォッ!”


 「あわわわわっ……やっぱり追加の雑魚モンスター共が現れちゃったわ。あの二人もリスポーン・ホストの能力を持ってるってことで間違いないみたいね」


 どうやら長女の霊がローレイン、緑の髪のメイドがキャスティー、黒髪のメイドがニールという生前の名だったようだ。キャスティーとニールが姿を現すと共にナギ達の周囲に新たに大量のモンスター達が出現し、ナミも慌てて声を上げていたが二人の悪霊もリスポーン・ホストの能力を所持しているようだった。ローレインの口振りからすると本来はナギ達が自分に向かって進軍して来た時に伏兵として二人を出現させるつもりだったようだが、これはレミィとリアの判断が功を奏した形となったのだろうか。


 「それにしてもこんな奴等が控えてたってことはやっぱりレミィとリアの指示に従って正解だったわね。きっと私達があいつに向かって行ったところにちょうど良く出現して寝首を掻くつもりだったんだわ」

 「でも代わりに今度は前より凄い量のモンスターに囲まれちゃったよ、ナミちゃん。これだともういくら倒しても数が減るタイミングなんてできないだろうし……、それこそさっきナミちゃんの言ってた通りモンスターの発生源となってるあの三人を直接叩くしかないんじゃないかな」


 “グオォォォォッ”


 「確かにシスちゃんの言う通りこのままだとジリ貧になっちゃいそうだね……よしっ!。それじゃあ今から上の階に向かって進軍を開始するよ。まずパーティを前線を上げるメンバーとこの場に留まるメンバーの2つに分けるから、前者のメンバーは上の階へ向かう進路にいる敵を倒しながらある程度進軍して、後者のメンバーは後ろから迫るモンスターを迎撃しながら前者のメンバーとの距離を詰めて来て」

 「進軍する際にこの雑魚モンスター共に足元をすくわれないようにするってわけね。ふっ……、刑事さんらしい慎重かつ堅実な作戦だわ」

 「ありがとう、バジニールさん。前軍メンバーの編成はアクスマン君、シスちゃん、プリプリプリンセスさん、それに私。アクスマン君とシスちゃんが突破口を切り開いた後を私とプリプリさんが援護しながらついて行くからよろしくね」

 「ふっ……このアクスマンに任せておけ」

 「私も了解っ!」

 「にゃぁぁぁぁぁっ!、僕も今回は前軍で突破口を切り開くメンバーに入れてもらいたいにゃぁぁぁぁっ!、レミィっ!」

 「おっ!、気合入ってるね、デビにゃん。OKっ!、それじゃあデビにゃんもアクスマン君とシスちゃんと一緒に突破口を切り開いて。残ったナギ君、ナミちゃん、リアちゃん、バジニールさんは一先ず私達が階段の上の踊り場に行くまでこの場でモンスターを食い止めてて」

 「了解っ!」

 「よーしっ!、それじゃあ進軍開始っ!」

 「にゃぁぁぁーーーっ!」


 伏兵による不意打ちを回避したかに思われたナギ達だったが、今度はより大量に発生したモンスター達に物量で押し切られそうになっていた。このままではまずいと判断したレミィはナギ達にパーティを2つに分けての進軍する指示を出した。先行して突破口を開くメンバーにはアクスマン、シッス、レミィ、プリプリプリンセス、そしてデビにゃんの5名だったのだが、レミィの進軍開始と共にいつもより気合の入ってるデビにゃんが同じく前衛であるアクスマンとシッスを差し置いて飛びだして行った。レミィの指示もナギ達パーティメンバーの連携もより洗練されたものになっていたが、果たしてナギ達はローレイン、キャスティー、ニールの3体の凶悪な悪霊達を打ち破ることができるのだろうか。




 


 

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