finding of a nation 72話
「よーしっ!、いよいよ作戦の日の朝だなっ!。護衛の人達が作ってくれた朝食もたらふく食ったことだしちょっと準備運動でもしとくか」
「俺も付き合うぜ、レイチェル。……まだちょっと緊張が残ってるみたいだし少しでも体と心をほぐしとかないとな。カイルもどうだ?」
「そうだね、ヴィンス。こうしてジッとしてても仕方ないし……。だけど変に張り切り過ぎて余計な体力を使い過ぎないようにね。行動ポイントはほぼ満タンの状態だからそこまで心配する必要はないと思ってるけど……」
「分かってるよ、カイル。しかしお前達と一緒のパーティなれて良かったぜ。他の奴等とも皆初対面だけどまぁまぁ自己紹介の挨拶ぐらいはちゃんとできたし……、これなら私等のパーティはバッチリ連携が取れそうだな。おまけにしっかり者のカイルがリーダみたいだしよ」
プレイヤー達がそれぞれの配置場所について丸一日……、作戦の日の朝を迎えたレイチェル達は朝食を終えテントの外で軽いストレッチなどをして体をほぐしていた。どうやら他のパーティメンバーとも一夜でそれなりに親睦を深めることができたようで、皆テントの外に出てくるとレイチェルやカイル達につられてストレッチを始めていた。上手くパーティとしての連携が取れそうなカイル達に対し、他のパーティの様子はどのようなものなのだろうか。
「よしっ!、それでは作戦開始前に皆で円陣を組むぞっ!。初対面の者達も多いようだし一致団結した連携の取れるよう皆の心を一つにしておくのだっ!」
「お、おお……。随分と気合が入っとるのぅ、セイナ。リーダーのお主がその調子じゃとわし等も意気が上げやすいわい。……さぁ、ロザヴィや。セイナの言う通り皆の心を一つにする為わしと肩を……」
「駄目ですっ!、ボンじぃっ!。皆の心を一つにするのにそんな厭らしい目付きで仲間のことを見ちゃいけませんっ!。ボンじぃとは私が肩を組みますっ!」
「ふふっ。お爺さんのセクハラから私を守ってくれありがとう、アイナちゃん」
「セ、セクハラって……。わしは別にそんなつもりじゃ……ええいっ!。じゃがわしの好みとはちと違うがアイナも女子であるおとには変わりない。それより今わしが気にすべきは反対側の肩を組む相手……」
「うすっ……!。よろしくお願いします、お爺っさん)」
「うげっ!、なんか体育会系のむさ苦しい奴が来たの……。まぁ少し堅物者が礼儀正しいしたまには男の若人との友情を深めるとするか」
「よしっ……ならば行くぞっ!。……ヴァルハラァァァ〜〜〜〜〜っ!」
「ファイオッ!、ファイオッ!、ファイオォォ〜〜〜っ!」
どうやらセイナがリーダーを務めるパーティにはアイナとボンじぃ、そして遺跡の探索で同行したロザヴィもいるらしい。セイナが先導して行った円陣の様子を見る限りこのパーティも連携に問題はなさそうだった。そしてこの部隊の最高司令官、ゲイルドリヴルが指揮するパーティはというと……。
「よしっ……そろそろ作戦の開始時刻だ。皆昨晩説明した陣形と連携の最終チェックをしておけ」
「私は陣形の中央後部……、ヴェニルを使って探索と索敵に専念すれ良かったんだな、ゲイル」
「そうだ、鷹狩。獣癒術士のお前にはできればメンバーのHP管理も頼みたいところだが、それは天淨に任せてお前は魔物使ったチームのサポートを優先してくれ」
「しかし鷹狩さんまでもう上級職に転職しとるなんてビックリじゃね。遺跡の探索の時は私等のレベルとそう変わらんかったのに……」
「ああ、実は経験値取得の為の討伐の際ずっとこのゲイルとパーティを組んでいてね。他のパーティメンバーもかなりの実力が揃いで相当数のモンスターを討伐できた上ヴェニルによる戦闘のサポートによる経験値が思いの他多く手に入って気がつけば治癒術師のレベルが獣癒術士に必要な80を大きく超えて100にまでなってしまっていたんだよ」
ゲイルドリヴルの陣営には鷹狩と天淨と呼ばれていたが馬子の姿があった。どうやら鷹狩もすでに獣癒術士という魔物使いと治癒術士を組み合わせた上級職に転職しており、総合レベルも200を超えているようだ。ヴェニルによる戦闘のサポートの経験値が大量に取得できたと言っていたが、上空から行われる広範囲の索敵がそれだけ多くのプレイヤーのモンスター討伐を効率化していたということだろう。リアも言っていたがこのゲームの経験値の取得量は直接モンスターを倒す以上にパーティメンバーやヴァルハラ国への貢献度が大きく影響する。因みに獣癒術士はナギの目指している魔獣術師と同じ魔物使い系統の職業で、自身の仲間モンスターに特に効果の高い回復魔法や、モンスター特有の自身のみに効果のある回復系やステータス上昇系の術技が使えるようになる。
「ちょっと馬子さんっ!。上級職への転職ならばすでに私もクリアしていましてよっ!。少しは私のこの素敵な狩人の姿にも注目なさったらどうなのでしてっ!」
「あぁ……、そういえばあんたも一緒のパーティじゃったね。……っていうか素敵な姿っていっても転職前とそう変わってないんじゃけど」
「ふっ……、やはり凡人にはこの私の華麗に変化した姿の美しさは分からないものなのですね。……っとそれはそうとゲイルドリヴルさんっ!」
「……なんだ」
「そんな仏頂面で“……なんだ”じゃありませんわっ!。一体このパーティ編成はどういうことなのでしてっ!。この作戦の司令官であるあなたがリーダーを務めるのは仕方無いことですが……、この私をそのパーティのメンバーに加えて他の一兵卒のようなプレイヤーと同等の扱いにするとは非合理にも程があるのではございましてっ!。私の実力ならば他のパーティでリーダーを務めさせて頂いても十分なはずですわっ!。おまけにあのような目立ちたがり屋のNPC兵士と一緒などと……」
「……っ!。だから目立ちたがり屋なのはあんたの方でしょっ!。私の方こそあんたみたいな高慢ちきなプレイヤーと一緒になって最悪よっ!。それなのに私はこの前みたいにあんたがリーダーのパーティに入るなんて絶対ごめんだわっ!」
ゲイルドリヴルのパーティは鷹狩や馬子の他に不仲とマイもいたらしい。遺跡の探索の時と同様に二人は忌み嫌い合っているようであったが、一体どのような意図でブリュンヒルデ達はこのパーティを編成したのだろうか。
「まぁ……、なんて失礼なNPCさんなんですのこと……。まぁよろしいですわ。不出来なNPCさんには真に素晴らしいプレイヤーが誰なのか知らしめるのは非常に困難こと……。今回こそ私の華麗な実力を見せつけてあなたの曲がった心を但し純情で誠実なNPCへと導いて差し上げましょう」
「誰が不出来なNPCよっ!。もう許せないっ!。ARIAに通報して今すぐあなたをPKできるようにしてコテンパンにやってつけてやるわっ!」
「コ、コテンパンって……。今はそんなナミちゃんみたいなこと言うとる場合じゃないじゃろ、マイ。気持ちは分かるけど今は任務に集中して……」
「ふんっ……、私は別に構いませんでしてよ、馬子さん。この私が如何に優れたプレイヤーであるかということを知らしめるにはプレイングを見せつけるより直接戦って実力の差を教えてあげた方が早いと思いますわ。さぁ、ならば早くARIAとやらに連絡を取って私と決闘と……」
「いい加減にしないかっ!、お前達っ!」
「……っ!」
不仲とマイの言い争いは直接手を出し合おうとする程ヒートアップしていたのだが、不仲が決闘を申し込もうとする直前のところでゲイルドリヴルの凄まじい怒号が鳴り響き、言い争う二人を完全に制止させてしまった。その気迫と威圧感はまさに司令官に相応しいもので、傲慢不遜のたけだけしい不仲の態度さえも何一つ反論の言葉が発せられない程であった。
「……まずお前達に言っておくがこのパーティ編成は私だけではなく作戦の参謀を務めるカムネス達、女王であるブリュンヒルデ様にも会議に参加して抱いて決定したものだ。そして不仲とグリマーイ、他の固有NPCとその組み合わせとなるプレイヤーの編成に関してはブリュンヒルデ様の意向が特に大きい」
「……っ!。ブ、ブリュンヒルデ様が私をこのパーティに……」
「そ、それは一体どういうことなのっ!。ゲイルドリヴルさんっ!」
「まず不仲……、お前に関しては確かにプレイヤーとしてのプレイ技術はかなりの実力があるものの、他のプレイヤーやNPCへの振る舞いを見る限りパーティを指揮するには人間性にかなりの問題があると判断して私のパーティに組み込まれた。これは会議に参加した者達全員一致の見解だ」
「なっ……なななななななななっ!。あなただけではなくブリュンヒルデ様や他の文官達にまで私にはリーダーとしての器量がないと判断されているのでございましてっ!。そ、それは由々しき事態ですわ……」
「そしてそう言った自我や自尊強い……、もっと悪く言えば自分勝手で他との調和を見出す原因になりそうな者のいるところにグリマーイのような固有NPC兵士が組み込まれているのだ」
「……?。ちょっと意味が分からないんだけど……、どうして調和を見出しそうな奴とわざわざNPCである私を一緒にするの。同じプレイヤーに対してもあんな傲慢な態度取ってるこの人とNPCを一緒なんかにしたら余計パーティの連携が取りずらくなるだけなんじゃ……」
「だからこそだ。確かに今のようにパーティの連携が阻害されるような行動を取られたら任務の遂行が一気に困難になる。だがこのゲームの性質上どのプレイヤーにもいずれはNPCと連携を取らざるを得ない状況が訪れるはずだ。これから先グリマーイのような固有NPC兵士はどんどん増えていき、最終的には我々プレイヤーの数を圧倒的に上回ることだろうからな」
「なる程……。確かに俺達固有NPCが主要な戦力となったゲームの終盤……、それも他国のプレイヤーやその編成されたパーティ達と戦わなければならない時に今のような茶番で連携を乱されていてはたまったもんじゃないからな。今の内にそいつらの溝を埋めておく必要があるというか」
「ナ、ナイト……。そういえばあんたもこのパーティにいたんじゃったね」
ゲイルドリヴルから叱責を受けている不仲達の前に今度はマイと同じく固有NPCであるナイトが姿を表した。どうやらこのパーティはマイとナイト、二人もの固有NPC兵士が組み込まれているようだ。
「それだけではない。今回の任務はこれから先固有NPC達とも優れた連携の取れるこの国の主力となるプレイヤー達を選定していくものでもあるのだ。今後も今のような態度を繰り返すならば如何に戦闘の技術が高かろうとヴァルハラ国の戦力として重用されることはなく、このような作戦に招集されることもなくなるだろう」
「ぐっ……」
「しかしマイだけじゃなくナイトまで一緒のパーティにいるってことは……、よっぽどブリュンヒルデさん達から問題視されてるってことじゃね、不仲さんは」
「ぐぐぐっ……!」
「当然よっ!。この前の会議の奴等程じゃないにせよこの私にあれだけの悪態をついたんだもの。もう評判システムによってヴァルハラ国中の人々にあなたの悪評が広まってあなたと連携を取ってくれるNPCなんて誰もいないんじゃないかしら……、ふふっ」
「そ、そんな……」
「人のことをあざ笑っている場合ではないぞ、グリマーイ。主力となるメンバーの選定が始まっているのはお前達固有NPC兵士も同じなのだからな」
「えっ……!。でも別に私はブリュンヒルデさんの評価が下がるような真似はしていないでしょっ!。確かにちょっとそいつの態度に過敏に反応しちゃったけどそれはそもそもそいつの態度が悪すぎるせいで……」
「ああ……、私もお前にほぼ非がないことは分かっているが、ブリュンヒルデ様は何もプレイヤー側の意識を改めさせるだけではなく、そのサポートをさせる為にお前達固有NPC兵士を不仲のような者のいるパーティに組み込んだのだ。不仲程評価が落ちることはないだろうが、それでも今のように相手の挑発に乗った態度を取っているようではとてもブリュンヒルデ様の期待に応えたとはいえないだろう」
「……っ!。(そ、そうか……。それでリアの奴昨日の会議でバジニールって奴と同じパーティになったっていうのに一つも不満を口に出していなかったのね……。パーティの編成を見ただけでそこまでの意図を察することができるなんて……、やっぱりNPCとしての実力はあなたには敵わないわね、リア)」
やはりブリュンヒルデがリアやマイ達固有NPC兵士をバジニールや不仲と同じパーティに組み込んだのはゲームの序盤である今の内にできる限りの溝を埋めておきたかったからのようだ。如何に優れたプレイ技術を持ったプレイヤーといえどこのゲームの性質上NPC達との連携は避けては通れない。ブリュンヒルデは真にヴァルハラ国の担い手となるプレイヤー達の選定をすでに始めているようだ。ゲイルドリヴルの言葉にNPCであるマイの方は納得できたようだが、肝心のプレイヤーである不仲の方はというとブリュンヒルデからの自身の評価が低いことへのショックが大きく、折角のゲイルドリヴルの忠告の意図をまるど理解できていないようであった。そしてそんな不仲の姿を鷹狩は何かに疑問を感じるような目で見つめていた。
「………」
「なんですの……、鷹狩さん。さっきから私の方をジロジロ見て……。まさかあなたまでゲイルドリヴルさんと同じように不出来な私を叱責なさるおつもりなのですか……」
「いや……、そういうわけではないのだが少し君を見ていて気になることがあってな。先程君も自分で言っていたことなんだが、君のステータスのページを見せてもらうと確かに狩人の上級職に就いているようだ。それでその狩人についてなんだが……、確か狩人に転職する為には最低でも魔物使いの職業のレベルが80は必要なはず……。っということは君は恐らく経験値取得の為の討伐を行っている間ずっと魔物使いの職業に就いている状態だったはずだが……、その割には仲間モンスターと思われるものの姿がまるで見られないと思ってな。ステータスの詳細ページを開いても仲間モンスターの情報は載ってないようだしもしや……」
「………」
「ああ……、そういえば魔物使いにはそのような特性がございましたわね。まぁ、この私に相応しいような華麗さと勇猛さを兼ねそろえたような……白銀の狼のような姿をしたモンスターがいれば私の僕として迎え入れてあげようと思っていたのですが……、生憎とそのようなモンスターは見当たりませんでしたのでそのまま狩人へと転職してしまいましたわ」
「………」
なんと不仲は狩人になる為に魔物使いの職に就いていたというのに仲間モンスターを1体も仲間にすることなく狩人へと転職してしまったというのだ。魔物使いの職業を経たとはいえ狩人は弓術師が主体となっている職業……。この職に就いている間は魔物使いの職で修得した術技や魔法、一部の特性は使用できるものの新たなモンスターを仲間にすることはできない。例え狩人に転職しても魔物使いの職の間にモンスターを仲間にしておけば狩人に転職した後も共に連れて行くことができるのだが……。これにはゲイルドリヴルや鷹狩達も指摘する気力すら湧いて来ずただ呆れ果てるしかなかったようだ。
「ふわぁ〜、今日も晴れ晴れとしたいい天気ですこと。絶好のピクニック日和ね♪」
「げぇっ!、あ、あんたはリリス……。この重苦しい雰囲気の中周りの空気をまるで察することのできない不仲さんとは別の意味で問題のあるプレイヤーが出てきおったけぇ……」
「あらあら皆さん。折角こんなにいいお天気だというのに何をそんなにどんよりしてらっしゃるのかしら。まるで皆さんの周りだけ湿気に包まれて今にも頭からカビが生えちゃいそうですわ」
「ぐっ……、どんよりしとんのが分かっとるんじゃったらそんな皮肉言わんとってほしいんじゃけど……」
「そうだわっ♪。皆さんを元気つける為に私がスピリット・メッセージでこのパーティの今日の運勢を占ってあげましょう。……この辺りを彷徨ってる幽霊さん、今日私達はヴァルハラ国の今後の行く末に関わる重大な任務に就かないといけないの。だけど皆さんその任務の重圧に負けて落ち込んでばかりで……。だからあなたの占いで私達には明るい未来が待ってることを教えてあげて元気づけてあげて。え〜いっ!、スピリット・メッセージっ♪」
“ピンッ♪、ポ〜〜ンっ♪”
「あらっ♪。今日はこんなに早くお返事が来ちゃったわ。きっととってもせっかちな幽霊さんだったのね。それじゃあ早速メッセージを読んでみましょう」
「“占いを希望ということでしたのでこのパーティの運勢を占ってみました。結果は以下は通りです”」
10月26日 ゲイルドリヴル率いるパーティメンバーの運命 ※5段階評価
全体運 ☆……全体的にどんよりとした気分の一日。どんなに天気が晴れでも自分達だけ雨水が漏れおまけに電気のついていない暗い小屋の中にでもいるみたいでしょう。その気分の示す通り今日一日は何をやっても上手くいきません。
仲間運 ☆……自分と価値観の違うプレイヤー達と言い争って大きな蟠りを残すことになるでしょう。
仕事運 ☆☆……必死に仕事をこなそうと頑張ろうとするもののやる気が空回りしてかなりの体力と気力を消費する一日になりそうです。ですがなんとかやり遂げることができればそれなりの成果は得られそう。
健康運 ☆……何かとトラブルに巻き込まれてHPやMPを多く消費しそう。各回復系統のアイテムは十分に持ち合わせを用意して出掛けた方がいいでしょう。
金運 ☆☆……何かと入用で散財をするも最後に思わぬ報酬が得られそう。むしろその報酬を得る為の資金を出し惜しみしない方がいいでしょう。
「え〜っと、何々……。どんよりした気分に他のプレイヤーと言い争い……凄っご〜いっ!。この占い今の私達の状態をピッタリと当ててるわっ!。これなら他の占いも百発敵中ねっ♪」
「い、いや……、そんなん今の私等の様子を見て適当に織り交ぜただけじゃ……。それに他の占いも当たってもそんなに嬉しくなさそうなもんばっかりじゃし……。でもテレビの朝のニュースでも見てるみたいで多少の気分転換にはなったんじゃ……」
「………」
「……そうでもないみたいじゃね」
ゲイルドリヴルがリーダーを務め、更には冷静さに好評のある鷹狩がいることで非常に纏まりのいいパーティだと思われたが他のメンバー達の間には問題が山積みだった。恐らくゲイルドリヴルの指揮や統率能力の高さを評価して課題の多いメンバー達を多くこのパーティへと組み込んだのであろうが、流石のゲイルドリヴルも自分にこのパーティを纏めることができるのかと疑問に思う程であった。このことが裏目に出て優秀な戦力であるゲイルドリヴルの実力が制限されてしまうことがなければいいのだが……。
そしてもう間もなくして作戦開始時間である9時となり、それぞれの拠点に配置されたパーティ達が皆北の森林を目指して進軍を開始するのだった。
「3……2……1っ!。よしっ!、たった今作戦開始時間の9時になったわっ!。それじゃあ出発するわよ、皆っ!」
「おおぉ〜〜っ!」
「それじゃあ事前に話ていた通り先頭はナミちゃんっ!。森林の手前までは護衛の人達も付いて来てくれるからあんまり一人で突っ走って行っちゃ駄目だよ」
「うぅ〜、そんな子供扱いしなくても私は大丈夫よ〜、レミィ」
「バジニールさんは最後尾で背後の警戒もお願い。あと後ろから見て皆の陣形が乱れてるようだった注意してあげて」
「了解よ。まぁ、森林まではあまり張り切り過ぎずゆったりとしたペースでいきましょう」
「よ〜しっ!、それじゃあ北の森林目指してレッツ・ゴーっ!」




