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finding of a nation online  作者: はちわれ猫
第十一章 緊急招集っ!、北の森でモンスター大量発生っ!
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finding of a nation 71話

 「よーしっ!、じゃあ次はシスター×シスターさんの自己紹介の番っ!」

 「は〜いっ!。え〜っと実は私には2つ下の妹がいるんだけど……」


 拠点へと到着したナギ達は設置されたテントの中でレミィの仕切りで早速新しいパーティメンバー達と自己紹介をしていた。今はちょうどセイナやゲイルドリヴルと同じく総合レベルが200を超えていたシスター×シスターの自己紹介の最中だったようだ。

挿絵(By みてみん)


 「その妹が教会の修道女をやっていて、それでその修道女、つまりはシスターのお姉さんってことでシスター×シスターって名前を付けたわけ。真ん中の×は好きな漫画のタイトルを真似してつけました。呼び名はそうだな……、両方のシスターを略して“シスシス”って呼んでっ♪」


 シスター×シスターという名前はどうやら修道女のシスターと姉のシスターを掛け合わせたものらしい。っといっても彼女が修道女をしているというわけではなくて、修道女の妹の姉ということでシスター×シスターという名前をつけたようだ。実際彼女は白髪はくはつの短髪、優しいそうな目付きはしていたものの眉は少しはつりあがっていて、更に服装も修道女を意識してはいるものの上服はタンクトップように肩まで袖を捲り上げ下服も非常に際どいラインのミニスカートを履いていてとても修道女と思えるような身なりではなかった。


 「じゃあ次はプリプリプリンセスさんっ!」

 「は〜いっ♪。私の名前はプリプリプリンセス。まずは一つ目のプリはプリティ、その次はプリーステス、最後のプリンは勿論大好物のデザートのプリンのことよ〜♪。そっちのシスシスさんと同じように“プリプリ”って呼んで〜。副業として調理師の仕事もやってて、この国ねプリン専門もデザート店を開こうと思ってるから皆よろしくね〜♪」

 「シスシスにプリプリね……。なんかちょっとリリスと同じで天然地雷プレイヤー臭がするわね……。大体名前で一番重要なプリンセスの部分はどこいったのよ」


 次に自己紹介したプリプリプリンセスはナミの言う通りあのリリスを彷彿ほうふつさせるようなおっとりした口調で話すふんわり系の天然プレヤーのようであった。現在の商業は精霊術士ではあるが治癒術士のレベルが100まで到達しており、恐らくナギ達のパーティのメインの回復役を務めることになるのだろうが、果たしてナギ達は全滅することなく無事任務を達成することができるのだろうか。


 「はい……、それじゃあ次にバジニールさん。……一応注意しとくけどこの前の会議の時みたいに悪態ついちゃ駄目だよ」

 「分かってるわよ、リーダーのレミィさん。この前ブリュンヒルデさんにもこっぴどく注意されたばかりだしね」

 「よし……それじゃあ自己紹介の方よろしく」

 「私の名前はバジニール。この前の会議では皆の前でこっぴどくしょっ引かれちゃったからもう名前と顔ぐらいは覚えてくれてるでしょ」

 「ええ……、あんたがリア達に対して差別に満ちた酷い発言をしたってこともね……。言っとくけどもしまたリア達に酷いこと言ったら今度は私が塵童の代わりに本気でブッ飛ばしてやるから肝に銘じときなさいよね」

 「しつこいわね。そう何度も言われなくても分かったって言ってるでしょっ!。……しかし塵童の代わりにか。あいつの性格があそこまで豹変したのもあんた達の影響だったのね。あの狂犬をあそこまで手懐けるなんてあんた達の人の良さが相当なもんだってことが窺えるわ」

 「……っ!。塵童さんは狂犬なんかじゃないよっ!。それに僕達は手懐けてなんていないし単に一緒にパーティを組んで友達になっただけだよっ!」

 「あら、これは言葉が悪かったわね。ごめんなさい、これでも一応褒めてるつもりだったのよ、私」

 「そ、そうなの……」

 「まぁ、言葉の表現の仕方は人それぞれだから……。それでリーダーの私からこんなこと聞くのもなんなんだけど……、バジニールさんってやっぱりこっち系の人なの……」

 「ええ。正真正銘のオカマよ。今はそっち系の夜の店で週に3回程度働かせてもらってるわ。……こういったゲームを始めたのは中学生の時で、自身も周りも私がオカマだってことを自覚し始めて周囲に馴染めずに不登校になった時……。そのせいで勉強は全然できないけどゲームの腕だけは自信があって一応このゲームでも格闘士っていう上級職に就けてるからよろしく頼むわね」


 次に自己紹介をしたバジニールはやはり自他ともに公認する正真正銘のオカマだったようだ。塵童のことを口にした時に多少ナギが怒ったような態度を見せたが、特に最初の会議の時のように皆といざこざになるようなことはなかった。その後の自己紹介もスムーズに進み、彼に対するナギやナミ達の印象も多少良くなったようであった。


 「こちらこそよろしく……。それじゃあ最後はデビにゃん。仲間モンスターだからって最後にしちゃってごめんね」

 「別に構わないにゃ、レミィ。えーっと、僕はナギの仲間モンスターのデビルキャットのデビにゃんにゃっ!。仲間モンスターといっても魔族である僕はプレイヤーの皆と同じように職業に就くことのできるんだにゃ。今は斧槍ふそう術士を目指して戦斧士のレベルを上げてる最中だにゃ。あと今回の任務に就くに当たって猫錬金で一杯アイテムを作ってきたらもし分けて欲しい人がいたら遠慮なく言ってくれにゃ」

 「本当にっ!。私普段からアイテムとかあんまり揃える癖がなかったから助かるわ、デビにゃん。流石にヴァルハラ国から支給された分だけじゃあ心許ないからね。ところで職業に就くことができるって言ってたけどそれじゃあデビにゃんの職業レベルはどうなってるの。パーティ蘭にはデビにゃんの名前がなかったからチェックできてなかったや」

 「一応ナギのステータスページの詳細から僕のステータスページにも飛べるんだけどにゃ……。まぁいいにゃっ!。それじゃあ僕のステータス画面を皆に送るからちゃんとチェックしておいてくれにゃっ!」


 最後の自己紹介はナギの仲間モンスターであるデビにゃんであった。やはりデビにゃんも主人であるナギと同じく上級職に就けていないようだが一体各職業のレベルはどうなっているのだろうか。シスシスに言われてデビにゃんが送ったステータスページをチェックしてみると……。


 ・デビにゃん……現在の職業 戦斧士 総合レベル 168(槍術士・103 戦斧士・65)


 「へぇ〜、凄〜い、本当に私達と同じように職業に就いてるぅ〜。え〜今の職業が戦斧士で総合レベルが168か。こんなにちっちゃいのに前衛職なんて勇気あるね。きっとご主人様のナギ君を傷つけたくないからなのかなぁ〜」

 「う〜ん……、まぁ職業に関しては成行きの部分があるんだけど……。例えどんな職業に就こうとご主人様を守るのは仲間モンスターとして当然の務めなのにゃっ!。魔族としての特性上ちょっとステータスが低くて前衛として頼りないかもしれないけど、ナギだけじゃなくパーティ皆を敵の攻撃から守る為頑張るからよろしく頼むにゃっ!」

 「うんっ!、こっちこそよろしくね、デビにゃんっ!」


 その後自己紹介を終えたナギ達はトランプをしたり自分達の身の上やVRMMOを始めた経緯などを話しパーティの団欒を楽しんだ。バジニールもオカマとして特異な人生経験を積極的に話して上手くパーティに溶け込むことができていたようだ。この前の会議の件があったにも関わらずここまで皆と慣れ親しむことができるのはこれまでのMMOのプレイで培った経験のおかげだろう。そして暫くしてその団欒の時間もあり、ナギ達は明日の任務に備えてそれぞれの床へと就いていった。バジニールも同じように床に就こうとベットに腰掛けていたところだったのだが、その前に意外な人物が姿を現したのだった。


 「さてと……、私も明日の任務に備えてそろそろ寝るとするか。この前の会議の失点を確実に取り返す為にもこの任務の失敗は許されないことだしね。まぁ、失敗が許されないっていうのはヴァルハラ国の今度のことを考えるとこの任務に参加してるプレイヤー全てに言えることなんだけど……って」

 「………」

 「あら、これは意外な人が私の前に現れたわね。明日に任務に備えて皆床に就いてるっていうのに一体この私に何のようなのかしら、固有NPCのリアさん」


 バジニールの前に姿を現したのはなんと会議の時にNPCであることを理由に作戦への参加に反対されたリアであった。先程の団欒では特に敵意のある態度は見せていなかったとはリアもバジニールに対して良い印象は持っていないはずだがどういつつもりなのだろうか。


 「……私だって本当は寝る前にあなたの顔なんてできてないわ。だけどブリュンヒルデさんにこのパーティに組み込まれた私も期待に答え与えられた役目を果たさないといけない。……その言見合いも込めて少しあなたに忠告しておこうと思ってね」

 「忠告……?。私のようなNPCへの偏見の強いプレイヤーをあなた達……固有NPC兵士って言ったからしら。それらを同じパーティに組み込んだのは今の内にその溝を埋めさせておこうって魂胆があることなら私ももう承知してるわよ。さっきここの皆で話してる時もあなたに対して特に偏見のあるような態度は取らなかったでしょう。それにもうあなた達NPCと任務に就くことへの不満も持っていないわ。ちょっとムッと来たけど会議の時のブリュンヒルデさんの言葉は納得できるものだったし、私だってゲームのプレイヤーとしてあなた達NPCへの好感度やらを少しは上げておきたいしね」

 「ええ……、確かに今までプレイして来たゲームならそれで良かったでしょうね。だけどこれは私達電子生命体そのものを用いて作り出されたゲーム……。いくら表面上は愛想よくしていても私にはあなたが私達NPCと協力……、いえ、他のプレイヤー達とすら心を通わせて共にゲームをプレイすることへの凄まじい抵抗があるってことをね」

 「……っ!。これは驚いたわね。他のプレイヤー達には気付かれたこともないようなことをまさかNPCのあなたに見透かされるなんて……。電子生命体って奴も中々侮れないものね。だけどそれがどうしたっていうの。例え本心ではなかったとしても協力してることには変わりないんだからあなた達NPC達への好感度も上がることはなくても下がることはないはずよ。他のプレイヤーも必要最低限の協力さえしてれば何も文句は言わないでしょう。私は現実の世界でもゲームの中の世界でもたった一人で生きてきた。さっきみたい愛想よく振る舞うのもあくまでこの世界で生き抜く為で体裁はどうであれ心はずっと一人……。信じられるのは己のみで他者に依存したことなど一度もないわ。例えあなたやブリュンヒルデにどう言われようと私自身の生き方を変えるつもりはないっ!」

 「まぁ……、私としても別にそれで構わないんだけどね。一応あなた達人間をこのゲームに招いた電子生命体の一部としてあなたに言ってあげておこうと思ったことがあるのよ」

 「……一体なんなのかしら……それは」

 「あなた達プレイヤーも薄々気付いてるかもしれないけど、このゲームにおいてあなた達の参加する12の国それぞれのプレイヤーはランダムに集められたものではないわ。それぞれの国の特徴に合わせてそれに見合った性質を持つ人間達がプレイヤー達が参加させられているのよ。私達電子生命体本体の意志によってね……」

 「………」

 「それでこの国のプレイヤー達とここまで行動を共にして私もその性質が分かって来た……。ヴァルハラ国のプレイヤー達は皆他者を思い遣りそして調和に重きを置くプレイヤー達が集められているのよ。そしてそれはあなたも例外ではないわ」

 「……っ!。ふざけないでっ!。私が他者を思い遣り調和に重きを置くですってっ!。黙って聞いてればNPCの分際でこの私に偉そうなことを……っ!。もうあなたへの好感度なんてどうでもいいわっ!。目障りだから早く向こうへ行ってちょうだいっ!」

 「言われなくてもそうするわ。だけど最後に一つだけ……。この国に配属された以上もあなたも人としての本質はナギやナミ達と同じはず……。もしこのゲームの世界でその自分の本質に嘘を付くような行動をしたら現実世界のあなたの精神や肉体にまで多大な影響を与えることになるだろうから気を付けてね。……それじゃあ」


 リアはそう言い残すとバジニールの前から去って行った。かなり意味有りげなことを言っていたようだが果たしてバジニールの心には届いたのだろうか。やはりリアとバジニールが同じ組み込まれたのはブリュンヒルデの意図によるものだったようだが、今のリアの言葉を聞く限りそれ以上の存在の意思が働いているようにも感じられる。果たしてその意志はデビにゃんのようにナギ達人類を応援するものと同じなのだろうか……。


 「ふんっ……、何がゲームでの行動が現実の世界の私に影響を与えるよ……。私達人類の玩具でしかないゲームの存在風情が偉いことほざいたもんだわ。私の本質は力と孤独であり、それは現実の世界にこそ存在する……。現実の世界の私がゲームの世界の私に影響を与えているのであってそれが逆になることなんてあり得ないわっ!」




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